稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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ロウリア王国侵攻〜序章〜

 

 

―クワ・トイネ公国西部ロウリア王国国境から20キロ、ギム

 

―中央歴163年4月11日午後―

 

西部方面騎士団及び第一飛龍隊第二飛龍隊が駐屯しているギムの町にて西部方面騎士団団長モイジは苛立っていた。

 

クワ・トイネ公国の西部方面隊の兵力は歩兵2500、弓兵200、重装歩兵500、騎兵200、軽騎兵100、飛龍24騎、魔導師30人だ。日本からの情報によりロウリア王国がギムの町に攻めてくるとクワ・トイネ公国上層部はこの地域に日本から輸入した刀やコンパウンドボウ、馬上で使う薙刀等を優先的に配備、訓練をしてきた。その為、量はともかく質は勝っていると言えるだろう。現在は準戦時体制でありクワ・トイネ公国の総兵力から考えるとかなりの兵力だ。しかし、国境沿いに張り付いているロウリア王国の兵力はクワ・トイネ公国側の兵力を遥かに凌駕する。

 

兵力が負けている事もそうだが、こちらからの魔信をロウリア王国側は無視しつづけている。

 

日本側の情報を信じてギムの住民は事前に避難させているのが唯一の救いだが心理的にストレスが溜まっていた。

 

「ロウリア王国からの返信は?」

 

モイジは魔力通信士に尋ねる。

 

「現在引き続き通信を行っていますが返信はなく無視を決め込まれています」

 

ロウリア王国については期待していないがこの兵力差を覆す作戦はモイジには思いつかない。

 

「司令部から増援の要請は?」

「はい。先程本部より連絡があり日本国の自衛隊が今日夕方にも到着するとのことです」

 

モイジは日本国の名前を聞いて肩の荷が下りた気がした。自分の指揮下の兵には日本から輸入した刀、薙刀、コンパウンドボウが配備されている他、クワ・トイネ公国は日本国のインフラ設備建設のお陰で発展しているため日本国の軍隊は技術力的にも強いと理解しているからだ。

 

約一週間程前から準備してきた日本はクワ・トイネ公国に上陸、ギムへと移動していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕方近くに日本国の軍隊―自衛隊―がギム近郊にやって来た。

 

今回派遣された自衛隊の内訳は以下の通りだ。

 

歩兵…6000人、戦車と自走砲…10両、地対空誘導弾…多数、ヘリコプター…15機、攻撃ドローン等となっている。

 

これを聞いたモイジは落胆せざるを得なかった。日本が圧倒的な技術を持っているのは知っているがこの兵数はロウリア王国との兵力差が分かってないのではないかと思ったからだ。

 

「日本国陸上自衛隊第7師団長の大内田です。本国より援軍に参りました!」

 

陸上自衛隊は相手との戦力差を考えすぐに送れる人数の連隊を派遣した。後日第7師団全軍が到達する手筈となっている。

 

そんな事を知らないモイジは日本軍を見ていた。太田内と言う彼の後ろには見たことが無い鉄の地竜と不格好なワイバーンらしき物があった。それらは小さく狐のペイントが施されているが自分の知識ではこんな兵器?が役立つとは思えなかった。しかし、それが間違いなのは次の日にはっきりすることになる。

 

―中央歴1639年4月12日早朝―

 

この日は1本の通信によって始まった。

 

「ロウリア王国のワイバーン多数ギム方向へ侵攻。同時に歩兵数万が国境を越え侵攻を開始した。繰り返す…」

 

自衛隊のドローン操作をしていた通信士は師団長の太田内に報告。続けてクワ・トイネ公国指揮官のモイズに渡された魔通で連絡した。モイジはロウリア王国侵攻を司令部に報告、そのまま全軍に指示を飛ばす。

 

「第一飛龍隊及び第二飛龍隊は全騎上がり対空戦闘!軽騎兵は右側側面からかく乱しろ!騎兵200は指示あるまで待機!最前列に重装歩兵その後に歩兵を配置隊列を乱すな!弓兵はその後ろにつけ最大射程で支援!魔道士は、攻撃せず全員で風向きをこちらを風上としろ!」

 

飛龍が舞い上がり24騎全てが高度を上げる。隊を2隊に分け1隊を水平飛行2隊目に上昇限度まで高度を上げさせる。対空陣地を構築している間にもロウリア王国方面の空に黒い点が大量に現れる。その量にクワ・トイネ公国の飛龍部隊は驚愕する。

 

ロウリア王国東面軍先遣隊の飛龍第一次攻撃隊その数75騎なのに対してクワ・トイネ公国の飛龍部隊は勇猛果敢に突っ込んで…いかなかった。何故なら日本軍指揮官太田内に撃墜し損ねたワイバーンとの対空戦闘をお願いされていたのだ。司令部からは日本国を信じろと言われているために無理にワイバーンを突撃させなかった。

 

ロウリア王国飛龍部隊75騎はクワ・トイネ公国の飛龍を視界に捕らえた。竜騎士団長アルデバランはクワ・トイネ公国の飛龍部隊がおかしな行動をしているのに気づいた。本来、ワイバーンは対地戦闘や空対空戦闘に秀でており、ワイバーンを撃墜できるのはワイバーンだけだ。その為に各国の戦闘常識としてまず最初にワイバーンを飛ばし制空権を確保。後に対地戦闘で歩兵や騎兵を援護するのが主な任務だ。しかし、クワ・トイネ公国の飛龍はギム近郊の上空から動かず旋回している。これを好機と見たアルデバランは部下に命じた。

 

「敵は我らに恐れ慄き統率が取れていない!敵は烏合の衆だ!蹴散らせ!」

 

そう言って部下はこの後の報奨に胸を膨らませ次々と向かっていく。今回の前哨戦で自軍の被害が少なく相手を全滅できればギムで好き放題出来るからだ。部下達はクワ・トイネ公国の飛龍を落とそうと火炎弾の発射準備をした。しかし、それは突如として阻まれることになる。

 

一番先頭にいたワイバーンが急に爆発したからだ。アルデバランは驚愕する。何だあれは!そう思う間にもどんどん味方ワイバーンは羽虫の様に落ちていく。しかし、敵ワイバーンは何事もないように健在だ。

 

そして、味方ワイバーンがいなくなりアルデバラン一人となる。そして、彼は光の矢が自分に向かってくるのを見て何事かと思う間もなく死亡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

クワ・トイネ公国西部方面騎士団団長モイジは日本軍の実力に驚愕した。彼等が持って来ていた細長い円筒形の物が火を吹いて飛んでいったと思えば次の瞬間には敵ワイバーンを巻き込んで爆発を起こしており数分の内にワイバーンを全騎撃墜してしまった。しかし、安心したのもつかの間、ロウリア王国東面軍先遣隊歩兵と重装歩兵合わせて2万5000の兵がギムに向かってきたのだ。

 

モイジにとって陸上戦=白兵戦だ。如何に限られた兵力を効率よく運用する事で味方の被害を減らし相手に損害を与えることが重視される。日本軍の対空戦闘が自身の理解の外にある事は理解したが陸戦は日本から輸入した武器の出番だ。日本が何故陸戦の武器を簡単に輸出してくれたのかは不思議だが鉄の地竜が役立つのかは分からない。モイジはロウリア王国との戦争の行く末を憂いた。

 

一方、陸上自衛隊第7師団長の大内田はリラックスしていた。彼ら自衛隊にとって今回の戦争は現代兵器と中世の戦争だ。だからといって油断することは出来ないが同格の国との戦争よりかは幾分はマシだ。相手は歩兵や騎兵、重装歩兵であり銃弾は余裕で貫通できる。インフラが未発達のために市街戦を想定して戦車や自走砲を持ってきたがこれらを盾に上空からの戦闘ヘリを援護にして機関銃を打ち込む計画だ。現地入りしたのが昨日夕方という事もあり塹壕を掘っている暇がなかったので障害物は無いが相手の遠距離手段は弓だけであり問題はないとの見方が出ている。太田内はロウリア王国兵にこれから起こる戦争での哀悼を一人捧げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロウリア王国東方軍の先遣隊を任された副将アデムは異変を感じていた。制空権を確保するべく飛龍を75騎飛ばした。しかし、魔信がいつまでたっても飛龍隊からの応答及び返信が出来ない状態が続いているからだ。

 

彼はギムを制圧し兵站を現地調達と言う名の略奪、虐殺、強姦をするつもりだ。いたずらに兵をとどめていれば兵站の負担になる上に偉大なるロウリア国王への反逆と見なされかねない。痺れを切らした彼は先遣隊を率いてギムへと侵攻した。

 

―ギム近郊にて―

 

ロウリア王国軍の軍勢が陸上自衛隊が定めた作戦エリアに侵入した。それを確認した太田内師団長は指令を飛ばす。

 

「戦闘ヘリは上昇し対空戦闘!戦車及び自走砲は歩兵の盾となれ!歩兵は所持している銃及び機関銃で掃討しそこねた敵兵を攻撃しろ!攻撃ドローンは戦闘ヘリの援護だ!」

 

その言葉を受けて自衛隊員が攻撃態勢へと移行する。

 

まず最初に自衛隊が所有する無人戦闘ヘリがAIによる敵認識機能によりロウリア王国軍を判別。30mm機関砲を浴びせていく。この空からの攻撃にロウリア王国はワイバーンを戦闘ヘリへ向けるが、戦闘ヘリは最高速度約266キロなのに対してワイバーンの最高速度は約235キロ。多少は戦闘ヘリが勝っているとはいえ、差は30キロ程しかない。また、ヘリコプター全般に言えることだが航空機より機動性は悪いため撃墜されかねない。普通なら…しかし、戦闘ヘリには空対空ミサイルを積んでいるため近づいてくるワイバーンに対して30mm機関砲を浴びせ、遠くにいる敵には空対空ミサイルを浴びせ制空権を自衛隊が確保した。

 

又、攻撃ドローンが敵ワイバーンに対して自爆攻撃を仕掛ける。ドローンの速度は約280キロであり戦闘ヘリより速い。戦闘ヘリがワイバーンの火炎弾にやられそうになるのかをAIが判断し危険なワイバーンを優先的に排除していく。

 

制空権を確保できないロウリア王国軍は白兵戦ならばと考え、副将アデムは全軍に突撃命令を下した。それに従い全軍が日本軍陣地へと殺到する。

 

突然だがロウリア王国の戦術について話す。このロデニウス大陸は地球でいう所の中世ヨーロッパの文明であり一部ワイバーンや魔信など魔力を使った近代の技術があるがそれ以外は何ら変わりない。さて、肝心の戦術なのだが、まず重装歩兵が突撃し敵陣と衝突。その後から弓兵が援護。重装歩兵が食い破ったら歩兵が左右から援護する。又、包囲殲滅としては機動力の高い騎兵が左右から囲い食い破るのだ。つまり、銃を持たない文明の戦争とは一列での軍隊と軍隊との小競り合いであり騎兵や弓兵を如何に使うかなのだ。

 

では問題…

銃を持たない軍隊を横縦に並べて銃を持った軍隊に突撃すると、どうなる?

 

答え…

銃弾が複数人を纏めて貫通する。

 

7.62mmミニミ機関銃が生き残った複数人の敵兵を纏めて貫通して葬っていく。突撃していくロウリア兵に更なる絶望として戦車や自走砲による44口径120mm滑腔砲や155mm榴弾砲が火を吹いていく。

 

無人戦闘ヘリ、自爆ドローン、機関銃、戦車や自走砲によってまるで雑草かのように重装歩兵も騎兵も歩兵もワイバーンでさえ等しく命を刈り取っていく…

 

そして、ロウリア軍と陸上自衛隊との戦いはロウリア軍の全滅でギム防衛戦は終結することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

―クワ・トイネ公国政治首脳部―

 

「以上が日本軍とロウリア王国軍のギム防衛戦となります」

 

モイジは日本軍の戦闘を詳細に魔信にて連絡。それを受けたクワ・トイネ公国政治首脳部は緊急会議を行っていた。

 

「日本がどうやって高威力爆裂魔法を使用したのか分からないのか?」

「はい。いいえ、高威力爆裂魔法は鉄の地竜から放たれたものであるとモイジ団長から報告があります」

「それに何だ?!この細長い円筒形の兵器は?!敵に自動で向かっていく、鳥がワイバーンに向かって撃墜する!?そんな話があるか!」

 

クワ・トイネ公国政治首脳部は多いに荒れモイジ団長が幻覚魔法を受けたのではと言う者すら現れた。結果としてクワ・トイネ公国はノウ将軍を援軍として派遣するついでに観戦武官として送り込むことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

―日本国首都東京稲荷大社境内聖域―

 

そこにある一人暮らしにしては小さく必要最低限の大きさしかない家にて狐っ娘が1人お茶を飲みながら長崎カステラを頬張っていた。

 

近くには700年程前から一緒に暮らしている狼たちの子孫が仲良くじゃれ合っている。

 

「にしてもお母さん(天照大御神)から転移の事を聞いていたから驚かなかったけどこんなに命が軽い世界とは思わなかったよ…」

 

稲荷神は誰に話すわけでもなく続ける。

 

「転移することが分かってたから衛星類を何時でも打ち上げできるように言っておいたけど大丈夫かな?」

 

天照大御神に転移の事を聞いた稲荷神は持ち前の勘で衛星類を作るように指示。その御蔭でこの世界の大きさを測量し約一ヶ月程で重要度が高いGPSなどの衛星を随時打ち上げており今回の開戦を受けて防衛省は今後の戦闘を見越して偵察衛星を要請し急ピッチで打ち上げにまで持っていった。

 

御蔭で車のカーナビ等で国民は困ることがなくなり、自衛隊関係者や気象庁は稲荷神をワッショイワッショイと流石稲荷神様!となっている事を彼女のみ知らない…

 

え?衛星類を作るように指示されて疑問に思わないかって?日本国民は疑問に思っても稲荷神の指示に従えば必ず良い結果になるからそこまで深く考えないよ。

 

 






―コラム―

衛星について
日本は転移前は圧倒的な技術を持って月面コロニーを建設している程の技術を持つため簡単とは言わないが現代日本と比べれば制限されている事など無いので比較的早く作成打ち上げを行うことができた。

機関銃手は戦車や自走砲の御蔭で出番なくない?

自衛隊の風習みたいので戦果を上げると稲荷神直々に表彰して貰い稲荷神と写真を撮って貰えるため皆さんロウリア王国に届きもしない機関銃を撃ってたり撃ってなかったり…

稲荷神視点をもっと描くべきか?

  • ペロリストとしてはもっと書いて!
  • 書かなくて結構!
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