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世界最強との接触
ー第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリスー
この日、帝都近郊の空港で一機の航空機ー天の浮舟ーが離陸した。この天の浮舟は元第三文明圏列強パーパルディア皇国を打倒した第三文明圏のフィルアデス大陸よりも更に東に存在する新興国家日本国に対して、来年に予定されている先進11か国会議への参加要請と国交開設のための総勢30名の先遣使節団を派遣した。
第一文明圏の列強である以上、航空機も存在する。しかし、この航空機(神聖ミリシアル帝国では天の浮舟。以後ミリシアル帝国の航空機は天の浮舟で統一する)はジェット機だ。しかし、この天の浮舟はジェット機であるにも関わらず、旅客機とは言え時速300キロしかない。しかも、この天の浮舟は翼が真横に突き出ている。本来、ジェット機なら空気抵抗やその他理由から後退翼(後ろに伸びた翼)であるのが常識だ。日本人が見ればおかしな形状の航空機と思う事だろう。今回は、東の果てということで燃料補給が必要だ。故に、ムー国が輸出入や飛行機械を着陸するために用意している空港を利用する手筈になっている。アルタラス王国で燃料を補給後、日本国西に存在する地方都市福岡に着陸。その後、一泊滞在して二日後には首都東京に向かうことになっている。帰りはアルタラス王国で再度補給を行い、帰国する事になっている。
使節団の面々は嫌そうに、ある者は楽しみにしながら神聖ミリシアル帝国の旅客機【ゲルニカ35】は青い光を出して日本国へ向かった。
◆
ー日本国首都東京稲荷大社謁見の間ー
神聖ミリシアル帝国の日本国派遣使節団が向かって来ている頃、謁見の間に来日する神聖ミリシアル帝国の使節団を迎える為の最終確認を稲荷神を交えて会議を行っていた。
会議が始まると外務大臣は起立し、話始める。
「もう何度も確認されていると思いますが、今一度使節団を迎える日程を確認しておきます。今回、来日されるのは神聖ミリシアル帝国、この世界最強を名乗る国家です」
(この世界のアメリカポジションかな?)
稲荷神は外務大臣の言葉にそんな事を思ったが、そんな事は無かった。神聖ミリシアル帝国は確かに列強に名を連ねているが、元パーパルディア皇国の侵攻を止めようとはしなかった。そう、この世界ではアメリカ程戦争に介入しないし、国連も存在しない。列強というのは世界に与える影響力を持つ国に与えられる名ばかりの称号なのだ。
そんな稲荷神の考えはさておき、外務大臣は話を続ける。
「神聖ミリシアル帝国の使節団は福岡空港に着陸後、現地で観光をしてもらい、翌日にリニアで東京まで移動、日本の技術力の高さを見せつけた上で、会談を行う予定です。技術力を見せつける理由として、この世界では自国の凄さを見せつけるのは極々普通の外交だからです。故に、自衛隊にも許可を貰い軍事関係に関しても旧式兵器は見せる予定です」
そう言って外務大臣は着席した。そして、稲荷神が話し始めた。
「今回は、世界最強と呼ばれる国ですのでサクラで歓迎ムードを演出するとしましょう。また、外務大臣の言葉に付け足して、私も使節団の護衛として同行します」
「稲荷神様が護衛されるのであれば問題は無いに等しいでしょうな」
稲荷神はその神様の力で人の善悪を朧げだが把握できる。事実、それで助けられた人はたくさんいるのだ。この後、段取りの確認をしてその場はお開きとなった。
◆
―日本国近海上空―
第三文明圏圏外国では、日本国の航空機以外はワイバーンしか飛ばない。(最近はプロペラ機が普及しつつある)だが、日本国領空近くに1機の航空機が飛んでいた。
その航空機はプロペラを持たないことからジェット機であるのが窺える。そう、この航空機は神聖ミリシアル帝国から派遣された使節団を乗せる旅客機【ゲルニカ35】である。彼等は長旅を終えて間もなく日本国に到着しようとしていた。
『間もなく日本国の戦闘機2機が当機の護衛及び先導を行います。ご安心ください』
そう言う機内放送が流れた。情報局員ライドルカは背伸びをして右側に座る外交官フィアームに話しかける。
「いや〜長かったですね」
「ええ。やはり遠いですね。東の果ての文明圏外国家を相手にするのは大変です。戦闘機2機が護衛と先導を行うとの事ですが、ワイバーンでないのは驚きです。流石ムーの支援を受けているだけの事はあります」
フィアームは典型的なミリシアル至上主義者だ。だが、ただの差別主義者が外交官など務められる筈もなく、公私の区別はしっかりしている。
「パーパルディア皇国に勝った理由も分かる気がします。どんな戦闘機が来るのか楽しみですね」
フィアームが脳裏に浮かべたのはムーのプロペラ戦闘機【マリン】だ。情報局は日本国に対する情報を集めていたが、不確定な情報が多く正確な情報を得るまでは各省庁に対してパーパルディア皇国に勝った国という事実と正確な少しの情報のみを提供していたのだ。
そんな事を話ている内に異音が近づいていた。これは異音と言うより轟音と言うべき物だった。窓から外を覗くとちょうど何かとすれ違った。それは航空機だった。しかし、すれ違って直に【ゲルニカ35】に追いついた事からこの航空機の速度が見て取れる。1機は【ゲルニカ35】の隣で護衛を行い、もう1機は前方に回り先導を行う。
「アレが日本国の戦闘機!速すぎる!」
「あの戦闘機には空気取入口がある!日本国も魔光呪発式空気圧縮放射エンジンを実用化しているのか!」
日本国が護衛及び先導に派遣したのは戦闘機【富士】である。
「なんて速さなんだ!【エルペシオ3】の速度を凌駕しかねない!」
武官の言葉に動揺が走った。【エルペシオ3】の最高速度は時速530キロ、それに対して戦闘機【富士】はマッハ1.8標準速度2205キロだ。しかし、今回は【ゲルニカ35】の速度に合わせているので、標準速度より低い。だが、気付く者はいない。
「あの航空機は後退翼です!理論上は音速を超えるとされる航空機だ!」
この言葉を聞いて外交官フィアームはワナワナと震えて叫んだ。
「馬鹿な!文明圏外国が我が国の天の浮舟を超える戦闘機を持てるハズがない!」
「しかし、あの戦闘機は明らかに音速越えです」
「我が国は古の魔法帝国の遺産を解析し他国より突出した技術を持っている!それにも関わらず、天の浮舟という分野で文明圏外国に負けるとは…」
フィアームは激しく狼狽え、最新鋭の戦闘機が文明圏外国の日本国に負けている…彼はその事実を苦々しく思っていた。
◆
戦闘機の護衛と先導を受けて、【ゲルニカ35】は福岡空港に着陸した。使節団が天の浮舟から降りると使節団の迷惑にならない範囲で報道陣が詰めかけカメラを回している。報道陣に見守られながらある人物が使節団に花を持って近づいた。その人物は稲荷神である。稲荷神は自分が歓迎するムードを演出することで、一部の過激なペロリストを抑える役割がある。報道陣は稲荷神が花束を渡すシーンを撮影した。この光景は各報道機関の号外になるのは明白だろう。
「では、ホテルのチェックインまで時間がありますし、我が国の案内をしますよ」
稲荷神の言葉を好意的に受け止めた使節の一行だったが、稲荷神と名乗る獣人の出現に戸惑いを覚えたのは情報局員のライドルカだった。魔王と一対一で勝ってしまう存在は国内で秘匿されていると思っていただけに日本国の地を踏んですぐの対面に違和感を覚えた。
自動車で白バイの護衛を伴って移動する。使節団は別々に分かれて移動しており、稲荷神は日本の軍艦を見たいと希望したグループに同行している。何故なら、自衛隊は稲荷神の直属だからだ。彼らは門司港に停泊している軍艦を見て衝撃を受けた。それは神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦かそれより小さいほどの軍艦であり設計には疑問が残るものの、パーパルディア皇国に勝ったというのには納得出来るものであった。
他のグループは食事を楽しんだり、知られても問題ない技術を見て回ったり、日本国の歴史を見て回った。
ホテルで使節団の各々は食事をとり、日本国についての考察を行っていた。
「いや~食事は美味しいものばかりですね。所で、日本国についてどう思います?」
情報局員ライドルカは外交官フィアームに聞いた。
「正直に言って驚きのひと言だ。リニアという科学の法則である電磁誘導…だったか?を利用して時速500キロを出せるという。わが国でも弾丸列車計画はあったが、ここまでの速度は出せない」
「そうですね。日本国の科学技術はムー国を超えていると思われます」
そんな話をしている内に日本国の外交官と稲荷神から挨拶を受けた。フィアームは稲荷神に大きな魔導機械をプレゼントした。これは、地球でいう電卓である。しかし、コンピューター黎明期の様な姿なので結構な重さがある。しかし、この魔導計算機を稲荷神はいとも簡単に片手で受け取り、近衛に渡した。近衛は両手だったが小言一つ言わずにその場を魔導計算機を持って去っていった。
ちなみに、この魔導計算機は解析に回され魔導技術の一端を日本国は覗く事になる。一方、神聖ミリシアル帝国の使節団は一泊して翌朝、福岡発東京行きのリニアに乗り込んだ。駅の周りにいる福岡市民からサクラのお見送りをしながら東京へと向かった。
東京では高さ600メートル以上ある稲荷ツリーと呼ばれる建物を見て驚いた。何処もかしこも高いビル群が連なっており今更だが、第三文明圏圏外国とは言えない風景だった。
「何故グラ・バルカス帝国といい、文明圏外にこの様な国が出現したのだ?」
外交官フィアームが疑問を呈すると情報局員ライドルカは秘密にしていた情報を開示した。
「ひょっとすると魔王ノスグーラが言っていたという古の魔法帝国の復活が本当に近いのかもしれません」
その言葉に使節団の一同は騒然とした。
「魔法帝国は近い日に復活する。だとしたら、空間に歪みが出来て巻き込まれたか神が国を召喚されたのか…まあ、分かりかねますが」
「いや、しかし外務省としては日本国の力をどう報告するか…頭が痛いです」
彼等は東京を見て回った後、最後の訪問場所稲荷大社に到着した。
◆
ー日本国東京稲荷大社ー
稲荷大社に到着した一行は日本国の最高統治者に謁見することになった。稲荷大社の謁見の間の慣れない畳で神聖ミリシアル帝国をも超えるかもしれない文明圏外国とはいえない国、日本国の最高統治者を待っていた。やがて、目的の人物が謁見の間に入ってきた。
その人物は福岡空港で花束を渡してくれた獣人だった。しかし、福岡から東京までの道中、福岡と東京にも獣人やエルフはいない人族の国家だった筈…使節団は疑問に思っていたが情報局員ライドルカだけはこの事実を重く受け止めていた。
(魔王と戦って勝てる様な獣人は戦略兵器の様に秘匿されていると思っていたが日本国のトップだったのか…それにしてはフットワークが軽いと思うが…)
ライドルカは思考の渦から戻った。情報分析は帰ってからでも出来る。今は情報収集を優先すべきと判断したのだ。
「ようこそ日本へ。私はこの国の最高統治者をやらせてもらっている稲荷神です」
「お初にお目にかかります。稲荷神様。私は神聖ミリシアル帝国外交官のフィアームです。今回は貴国、日本国に対しての国交開設と来年開催される先進11ヵ国会議に参加して頂きたく存じます」
そういってフィアームは部下に資料を渡して回る。そこには要約すると以下の通りだ。
・先進11ヵ国会議は2年に一回
・次回は来年に開催
・本会議の参加国は世界に大きな影響を与える大国のみで構成される。議題では今後の世界方針を決める
・本来なら、日本国は持ち回り参加国での参加だが、先進11ヵ国会議固定参加国である元パーパルディア皇国に勝利したことから貴国を固定参加国として決まる。
といった内容であった。
「開催まで後一年しかなく貴国にとっては寝耳に水の話かもしれませんが、大変申し訳ありません。しかし、世界に冠たる大国だと認知されれば貴国としても国益に適うと思います。お手元の書類に記されている様に、これまでの先進11ヵ国会議では第三文明圏列強国のパーパルディア皇国が固定参加国として参加していましたが、パーパルディア皇国は貴国、日本国に解体されパールネウス王国になりました。現状を鑑みるに旧パーパルディア皇国、現パールネウス王国の列強失脚は確実です。なので、是非先進11ヵ国会議を参加して頂きたいです。以上で説明を終了しますが何か質問はありますか?」
その言葉で稲荷神が質問する。
「国際的な会議にお招き頂きありがとうございます。所で、質問があるのですがいいですか?」
「もちろんです」
「もらった資料を見ると前回の会議参加国の欄に第二文明圏列強レイフォルとあるのですが、この国はグラ・バルカス帝国という国に滅ぼされたと聞いてます。この国の穴埋めはどうするのですか?」
その言葉にフィアームは困った表情で言った。
「はい。現時点ではグラ・バルカス帝国を招待する予定です。この国も貴国同様新規参加国であり、まだ打診段階です」
「ありがとうございます」
その後、いくつかの質問を経て、会談は終了した。
後日、日本国は神聖ミリシアル帝国主催の先進11ヵ国会議の参加を正式に内外に表明した。
~コラム~
リニアと稲荷ツリー
リニアは高度経済成長期に全国に敷かれ、稲荷ツリーに関しては史実の東京タワー竣工時に作られました。要するにタワーを戦前に竣工しており稲荷ツリーを新しく建てました。尚、稲荷タワーは作者の独自設定です。(いろんな物に稲荷とつける傾向が日本人にはあるので…)
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