稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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今回は稲荷神は名前だけです!その代わり次は出演を沢山するので許して…


西の帝国

 

 

ー第二文明圏旧列強レイフォル首都レイフォリアー

 

 

グラ・バルカス帝国の超弩級戦艦グレードアトラスター級の全力砲撃による苛烈な攻撃により元々繫栄していた町並みは例外なく瓦礫の山と化した。首脳部が軒並み死亡したことで降伏したこの国はグラ・バルカス帝国領レイフォル地区としてグラ・バルカス帝国の建築様式の街並みに変わっていた。それに伴い、グラ・バルカス帝国の臣民が植民に訪れている。植民地を守るため、空港が整備され空にはレシプロ戦闘機が飛び回っている。

 

その光景を見てこれからの事を考えてため息をつく者がいた。神聖ミリシアル帝国の使節団である。彼らは、先進11ヵ国会議の招待をするためにやってきたのだ。しかし、グラ・バルカス帝国本土にて会談を行う予定だったが、グラ・バルカス帝国側はこれを拒否。旧レイフォルを会談場所に指定したのだ。

 

空を飛ぶ戦闘機を見て、武官のパーシャは真剣な面持ちで口を開いた。

 

「ムーの戦闘機より速いですね。もしかしたら、我が国の戦闘機型の天の浮舟に迫る速度かもしれません」

「確かにそうだ。停泊している戦艦も我が国の魔導戦艦に匹敵する大きさだ。レイフォルでは勝てないのも道理だな」

 

使節団は神聖ミリシアル帝国では要注意国家であるグラ・バルカス帝国の会談に緊張していた。

 

グラ・バルカス帝国の行政府の一つの建物に入り、使節団は会談を行うグラ・バルカス帝国の外交官を待っていた。やがて、外交官ダラスが入室したので、彼が着席したのを見計らって神聖ミリシアル帝国の使節団の外交官シワルフが挨拶をした。

 

「初めまして。私は第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国外交官のシワルフと申します。今回、貴国を先進11ヵ国会議に招待すべくやってきました」

「あなた方の技術ではここまで来るのにさぞ大変だったでしょう。第一文明圏列強、大層な名前ですな…それで?」

 

嫌味な返しをするのを見てシワルフは内心顔を顰めながら続ける。

 

「旧列強であるレイフォルが滅んだため、その代わりに貴国グラ・バルカス帝国を招待することになりました。詳細はこちらの書類に纏めてあります。では…」

 

詳しい説明を…と話そうとした所に笑いを堪えていたダラスは遂に耐えきれず大笑いした。

 

「いや失礼した。我が国の戦艦一隻に降伏した弱小国家が噂で聞いていましたが、本当に列強だったと聞いて…いやはやこの世界の技術は程度がしれます」

 

その言葉にシワルフは顔には出さないが驚いた。文明圏外国家が文明圏国家に虚勢を張ることはあっても第一文明圏、それも世界最強と謳われる神聖ミリシアル帝国に対してこの様な事を言う国は初めてだったからだ。しかし、表情には出さず淡々と説明する。

 

「外交の場でその様な他国を貶す発言は控えて頂きたい。貴方の言葉が貴国の評判を落とす事もありうると考えたほうがいい」

「その忠告、記憶の片隅にでも留めておきます」

 

一色即発の会議室、だがシワルフは淡々と業務をこなす。

 

「会議に先立ち貴国本土と首都を教えて頂きたい」

「本国の位置は現地人に対しては極秘事項です。帝国への連絡事項はここ、レイフォル地区で承ります」

 

外交官ダラスの癪に障る言動に嫌悪感を覚えるもグラ・バルカス帝国領レイフォル地区を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラ・バルカス帝国。それは第2文明圏列強ムーより西に存在する文明圏外国家だ。しかし、その実情は異なる。彼等は文明圏外国家としては破格な技術を持ち、超弩級戦艦グレードアトラスターを始めとする兵器で瞬く間に第2文明圏外国を制圧。ついには第2文明圏列強レイフォルをも滅ぼした。たった1隻の戦艦に列強レイフォルが敗れた。この事実に第2文明圏諸国は恐れ、グラ・バルカス帝国の名は世界に轟いている。

 

そんな注目を集める国、グラ・バルカス帝国の帝都ラグナは開国前の日本国首都東京に似た街並みだ。路面電車や自動車が行きかい活気に満ちあふれている。しかし、この景色を稲荷神が見たらグラ・バルカス帝国上層部を蹴りに行くことだろう。何故なら、帝都ラグナは軍事工場や造船所から出る煙に包まれ、光化学スモッグつまりは現実世界の中国や高度経済成長の日本の様な様相なのだ。

 

稲荷神は環境保護に戦国時代から取り組んでいる。故に、工場の煙の有害物質を取り除いたり、鉱山の有毒成分のろ過など様々な政策を実行している。これはひとえに稲荷神の前世で環境問題が話題になっていたからだ。お陰で、外国人からは街と自然が共存している国と開国当初から評判だ。この取り組みは親日国でも行われ、公害病などは発生していない。

 

だが、そんな光化学スモッグ等の物質を含んでいる曇りがかった青い空だが、グラ・バルカス帝国人はこの光景を機械文明の豊かさの象徴と思っている様だ。そんな帝都ラグナの皇城の一角で1人の男がいた。

 

「この世界は我々に何を求める?」

 

そう呟くのはグラ・バルカス帝国帝王グラ・ルークスである。彼は今までの帝国の歴史に思いを馳せる。

 

この国は日本国同様転移国家だ。前世界、ユグドと呼ばる世界において最大勢力を誇ったグラ・バルカス帝国。

 

この世界―ユグド―では【始世の国】と呼ばれる、【ミルーク神】を祀るケイン神王国と世界を二分した世界大戦を行っていた。

 

尚、ユグドにはグラ・バルカス帝国とケイン神王国を含めた計9つの国があった。しかし、人口や国力、技術力や軍事力、どれを取ってもグラ・バルカス帝国が世界一だった。2番手であるケイン神王国すら大差を付けて引き離していたのだ。グラ・バルカス帝国が戦争に勝利し、世界の覇権を手に入れることは誰の目にも明らかだった。

 

征服地から集めた豊富な資源、圧倒的な生産力、そして世界最高の技術力。グラ・バルカス帝国には全てがあった。しかし、転移という異常現象が起こり本土のみが別世界に来てしまったのだ。海外植民地や植民した国民、植民地に残した陸軍、海軍がユグドに取り残されてしまった。しかし、不幸中の幸いにしてケイン神王国本土攻撃の為に戦力を本土に集中していた時に転移したためグラ・バルカス帝国陸海軍の損失はほとんど無かった。

 

別世界に転移した事により一時は混乱したが東にはユグドよりも劣った民族と広大な土地があった。彼らは剣や弓が主力装備であるがこちらは銃や機関銃、戦車に飛行機など隔絶した差があった。あっさりとそれらの国々を支配したが、この世界には文明圏という未知の共同体の存在を知った。この文明圏の程度が分からず融和政策が行われた。

 

しかし、それがグラ・バルカス帝国の今後を変えた。接触した国々は魔法という未知の技術を有するもそのどれもがグラ・バルカス帝国より劣っていた。だが、転移した場所が問題だった。第二文明圏兼外国という立地のせいで、遅々として外交は進展しなかった。

 

融和政策の旗頭である皇族ハイラスがパガンダ王国に足を運んだのだが、外交の場で罵られハイラスはそれに反論したら不敬罪で処刑されてしまった。

 

外交官をその場で処刑するという暴挙に融和政策を進める者は誰も居なくなった。前世界、ユグド同様に武力による領土拡大政策がとられた。まずはパガンダ王国を強襲制圧し国民諸共皆殺しージェノサイドーを行った。

 

その後、パガンダ王国の宗主国であった列強レイフォルに宣戦布告されるもグレードアトラスター級戦艦の武力の前にあっさり降伏した。

 

この世界も文明圏国だろうが、列強だろうがグラ・バルカス帝国では弱小国家でしかない。

 

実は世界にはグラ・バルカス帝国に勝てる国が2か国と伝説上のあの国があるのだが、彼らはその事実を知らない。

 

「全く…滑稽な世界よ」

 

嘲笑しながら帝王グラ・ルークスは世界征服の夢を見ていた。彼が間違いに気づくのは何時なのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

ー神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリスー

 

神聖ミリシアル帝国情報局では先進11ヵ国会議開催に先立ち、新たに列強になるのが確実視される日本国とグラ・バルカス帝国へ使節団を派遣していた。両国共にまだ情報を集めている段階であり特に閉鎖的なグラ・バルカス帝国の実情は不明な点が多い。そのため、使節団に同行していた情報局員のザマスと日本国へ派遣されたライドルカが情報局室で情報の共有を行っていた。

 

「グラ・バルカス帝国は旧レイフォルを外交窓口にするとの事です。また、外交官は何処か此方を下に見た言い方をしています。レイフォルを滅ぼしたことで増長しているのかもしれません。今後の為に本土の位置と首都を教えて欲しいと申し出たのですが本土の位置は機密と言われ把握出来ませんでした。要注意国家と言えるでしょう。また、レイフォル上空を飛行していた天の浮舟はムーの飛行機械より素早く、我が国の天の浮舟に迫る速度でした。少なくとも技術力は侮れません」

 

ザマスの報告にアルネウスは唸った。グラ・バルカス帝国が先進11カ国会議に来るかは不明だが、先日もレイフォル近くの国、イルネティア王国が滅ぼされたと聞く。急速に勢力を拡大する以上、国際会議の場で何をするか分かった物ではない。だが、考えても仕方がないと割り切りライドルカの報告を聞く。

 

「局長。日本国について報告する前に一つ…」

 

そう言ってライドルカは一枚の紙を取り出した。それは丸められておりそれを広げるとザマスとアルネウスは驚愕した。

 

机に広げられたのは世界地図だった。だが、地図にしては正確すぎであり、各地の山の標高、谷や川の流れ、街の詳細など日本国は勿論、ムー国や神聖ミリシアル帝国といった列強国から文明圏外国に至るまで精巧に書き記されていた。地図とは軍事機密でありここまで正確な地図があることに二人の視線が釘付けになった。

 

「我が国の地図が正確に書かれているのにも驚きですが、この地図にはグラ・バルカス帝国と思われる国が記されており、これです」

 

そう言ってライドルカはある地点を指さした。そこは第二文明圏外と呼ばれる地域である。ムー大陸より西方、アストラル大陸と呼ばれる小規模の大陸を挟んでさらに西に島というには大きく、大陸というには小さい陸地が記されていた。陸地には山や湖が精巧に記されており、街の位置も記されている。

 

彼らは知らないことだが、この地図は人工衛星。この世界で言うと【僕の星】と呼ばれている宇宙から星を回っている人工的な衛星から撮影された写真を元に作られた物だ。この世界では古の魔法帝国しか実用化していない。彼等は存在こそ知るものの、実物を見たことはない。

 

そんな高度技術によって作られた地図を見て驚いたアルネウスは言葉を振り絞って聞く。

 

「これは…どうやって…」

「先日、日本国大使館を通じて先進11カ国会議に参加する旨の通知を受けました。その際に我が国に駐在している大使がこの地図を持参しており、どのルートで神聖ミリシアル帝国に来ればよいか?と聞いてきました。大使は周辺の地図と言っていましたが、これ程精巧な地図を作れるのですから、もしかしたら日本国は世界の全容を掴んでいるのかもしれません。彼等は他国の領海を通らない様に航行して良いルートを求めてきました。なので、私は各国の領海を調べるために持ち帰って良いか聞いた所問題無いとの事で貸してもらいました。先方は先進11ヵ国会議に参加する国が記された地図と言っていました。なので、グラ・バルカス帝国の位置が記されているのを、持ってきたのでしょう」

「…ここまで精巧な地図を書けるのなら、本土は更に凄まじいのだろうか?」

「はい。やはり凄まじい。その一言です。単なる地方都市でさえ摩天楼が立ち並び、リニアと呼ばれる時速500キロで陸路を走る魔導列車…いえ、科学文明なので列車ですね。パッと日本国について例を挙げたのですが驚いたのはそれではありません」

 

アルネウスは唸った。特に時速500キロで陸路を走る列車というのにも驚きだが、更に驚くことがあるというのだ。

 

「トーパ王国に出現した魔王を一人で討伐してしまった獣人についてお二方もご存じだと思います」

 

その言葉に二人は頷く。この情報は事実確認がとれたらすぐさま情報局内で共有されているからだ。

 

「その獣人なのですが、戦略的な価値が高いことから秘匿されていると思われたのですが、その獣人は日本国の最高統治者なのだそうです」

「何?!最高統治者?最高統治者が軽々しく他国に向かうのか!?」

「ええ。しかも日本国民は獣人を稲荷神と崇めており国教になっていると思われます。そしてややこしいのですが、日本国には二人の最高統治者がいるのです」

「どういう事だ?」

「はい。一人は稲荷神、もう一人が天皇と呼ばれる存在です。天皇が国家元首であるのは間違いないのですが、稲荷神は神皇と呼ばれる天皇の上の存在なのです」

「うん?それは矛盾しないか?」

 

そう、最高統治者が二人いるといいながら天皇より稲荷神が上なのは矛盾が生じるのだ。

 

「いえ、どうやら稲荷神は神と名が付くように神様だそうです。荒唐無稽な話ですが」

「…稲荷神という存在が本当に神なのか神を僭称しているのかは不明だが、グラ・バルカス帝国同様、日本国についても情報収集は行え」

 

その言葉の後、ライドルカによる日本国の説明が続く…

 

 

 

 






~コラム~

稲荷神

稲荷神の力は本来、一か月もすれば力が無くなり普通の少女に戻る筈だったが、物の怪の類と討伐されるのではとビクビクしていたが、現在の愛知県のあった長山村の村民が稲荷神と崇めたので身分を隠しても未来知識を提供していたら徳川家康から織田信長、武田信玄から今川、美濃の裏切り者と沢山訪問してきた。周りに押されて天下統一を決意。2年で村人を助け、2年で天下統一を決意、2年で江戸幕府を成立させた。今では、本体の神の力をも超えており、殺気を飛ばすだけで、スサノオに泡を吹かせるほど。その際、前世の名前を暴露されており、国民は怒るかと思いきや稲荷神様万歳となる始末。まさにどうしてこうなった状態である。

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