お気に入り登録、高評価、誤字報告ありがとう御座います!
―グラ・バルカス帝国第二次攻撃隊―
空母から発進した戦闘機15機、爆撃機20機、雷撃機25機の攻撃隊は各国護衛艦隊に向かっていた。攻撃目標は神聖ミリシアル帝国と未だに被害を受けていない日本国艦隊だ。彼等より後ろではムー国を始めとした各国の艦隊が火を出している艦もあれば、傾斜しつつある艦、航行不能になった艦も見える。
だが、神聖ミリシアル帝国艦隊と日本国艦隊は健在だ。神聖ミリシアル帝国艦隊は第一次攻撃隊の攻撃目標では無かったが、日本国艦隊には攻撃を与えた筈だ。しかし、現実には被害は何処にも見受けられない。余程対空砲火があったのか、回避行動をとったのか、はたまたその両方か…
それに、脅威ですらないとされた帆船の攻撃目標だった編隊の一部が帰還していない。実際、アガルタ法国と思われる艦隊から放たれた閃光弾によって2機が撃墜されている。何か隠し玉を持っていても可笑しくない。彼等は気を引き締めて戦場に突入した。
◆
カルトアルパスで行われていた先進11カ国会議にてグラ・バルカス帝国は全世界に宣戦布告した。手始めに、世界最強と謳われる神聖ミリシアル帝国の第零式魔導艦隊を全滅させた。その後、各国護衛艦隊を航空機で攻撃すると言う暴挙に出た。
各国護衛艦隊は自分達の得意技で攻撃をしたが、グラ・バルカス帝国には効かず、既にパンドーラ大魔法公国と、トルキア王国艦隊は、ほぼ全滅状態。アガルタ法国とニグラート連合は全滅に向かいつつある。ムー国は半壊状態になりつつある。現時点で無事なのは神聖ミリシアル帝国の魔導巡洋艦隊、日本国の護衛艦隊、マギカライヒ共同体の機甲戦列艦隊のみだ。
航空戦力は神聖ミリシアル帝国が中心となり、ムー国空母から飛び立った【マリル】50機、ニグラード連合の竜母から発艦したワイバーンロード48騎、神聖ミリシアル帝国からの要請を受けた、エモール王国の風竜騎士団22騎だ。だが、結果はお寒い物であった。ニグラート連合のワイバーンロードは、ほぼ全滅状態。ムー国の戦闘機も15機までに減っている。神聖ミリシアル帝国の戦闘機も一方的に撃墜されていた。唯一、奮闘していたのが、エモール王国の風竜騎士団である。
風竜は、ワイバーンロードやワイバーンと比較して、明らかに巨大だ。外見に比例して速度は遅いと思われるが、むしろ旋回性能も最高速度も、ワイバーンロードを上回る。
風竜は、全体的に流線型の格好をしている。故に、空気抵抗が少ない。結果として、飛行時の最高速度はワイバーンロードどころか、ワイバーンオーバーロードすら上回る時速500キロを発揮するのだ。
その風竜の武装だが、通常、ワイバーンやワイバーンロードは導力火炎弾を用いるが、風竜は圧縮空気弾を使用する。これは導力火炎弾と比べ物にならない威力と速度、装填速度を有するのだ。
ワイバーンは"空飛ぶトカゲ"自分達風竜は違う。と自負している。その風竜に乗り込んだエモール王国の風竜騎士団はグラ・バルカス帝国の航空機と戦っていた。
エモール王国は人口100万の小規模国家だ。それ故に、数を揃えるのは難しい。ならば、質を整えるのは当然の帰結だった。その代表格がエモール王国風竜騎士団である。実際、世界ではエモール王国風竜騎士団は一騎当千と謳われている。
実際、模擬戦でも風竜に乗る竜人族の呼吸が出来ない高高度の戦いは出来ないが、列強ムー国の戦闘機【マリン】ですら風竜には勝てない。エモール王国風竜騎士団は魔法も使わない航空機に竜が負ける訳が無いと信じている。それ故に、グラ・バルカス帝国との戦闘でも彼等は勝利を疑っていなかった。相手は文明圏外国家だ。しかも魔力の少ない人族中心国家である。制空権を確保するのは容易いと思っていた。
だが、グラ・バルカス帝国の戦闘機は上昇能力や旋回能力こそ低いが、風竜の速度を上回る。それ以上に数が多すぎた。相手が同数でなら負けはしないだろう。しかし、質の高い風竜騎士団といえど、およそ10倍の数の差で苦戦を強いられていた。グラ・バルカス帝国の戦闘機は風竜と互角なのだ。
一騎の風竜は後ろから迫る敵戦闘機から逃れるべく急上昇して速度を落とす。先程いた地点には敵戦闘機の攻撃を受けていた。しかし、そこには風竜はいない。風竜は敵戦闘機の後ろを取り、圧縮空気弾を撃とうとする。しかし、その後ろをまた別の敵戦闘機がとる。そして、銃弾を叩き込もうとする。そこをまた、圧縮空気弾の発射を止めて急旋回する。そこに、敵戦闘機の攻撃が叩き込まれる。
風竜騎士団は予想外の強敵に悪戦苦闘していた。
◆
悪戦苦闘していたのは、グラ・バルカス帝国も同様だった。神聖ミリシアル帝国の戦闘機は速度、旋回能力、上昇能力全てが劣っており、楽に撃墜する事が出来た。しかし、風竜についてはそうはいかなかった。
アンタレス艦上戦闘機隊の一機は一匹の風竜に狙いを定めて20ミリ機銃を撃ち込む。しかし、風竜は素早く上昇する。生物とは思えない速度であり、銃弾は当たらなかった。
アンタレンス艦上戦闘機の一機は急上昇した風竜を追い始める。しかし、アンタレス艦上戦闘機の上昇速度は風竜に及ばず距離を離されてしまった。諦めて戻ろうと反転した所、風竜も反転して空気弾を発射した。不可視の攻撃はアンタレス艦上戦闘機の左翼を根元から破壊する。コントロールを失ったアンタレス艦上戦闘機は墜落した。
現時点では風竜とアンタレス艦上戦闘機は互角だ。だが、数的優位を保った上での互角なので、完全に負けている。グラ・バルカス帝国の主力戦闘機が、たかが生物に撃墜される。第二次攻撃隊のプライド打ちひしがれた。
エモール王国風竜騎士団とは互角だったが、戦況はグラ・バルカス帝国優位で進んでいた。ニグラート連合の艦隊は8割方全滅している。ムー国も甚大な被害を受けている。現在、全速力で航行出来るのは旗艦【ラ・カサミ】以下、巡洋艦、装甲巡洋艦8隻と言った有様だった。
ムー艦隊旗艦の【ラ・カサミ】ではムー艦隊司令ブレンダスはやって来るグラ・バルカス帝国の航空機60機を睨みてけていた。ムー艦隊含めて各国艦隊は死屍累々であり、対処出来る物ではない。
その時、不意に聞き慣れない音が響いた。目線を移すと日本国艦隊から何か物体が発射されていた。それは、敵航空機に向かい、ピッタリと敵航空機の後ろを追跡し命中させている。
「あれは!もしや誘導魔光弾!」
誘導魔光弾…それは、古の魔法帝国のみが使用したという兵器。それは、航空機や艦を意思を持つ様に軌道を変えて攻撃する恐るべき兵器だ。その誘導魔光弾と思しき物を日本国が使用した。それ即ち、日本国は古の魔法帝国と肩を並べる技術を有すると言うことだ。ブレンダスが驚いていたが、そんな考察をする暇は訪れない。
「敵機2機!敵機直上!急降下!」
その報告を聞いてすぐさま【ラ・カサミ】艦長ミニラルは命令を飛ばす。
「対空戦闘用意!取舵いっぱい!」
【ラ・カサミ】に取り付けられ、生き残っている対空機銃で射撃をするが、グラ・バルカス帝国のシリウス型艦上爆撃機には当たらない。
やって来た爆撃機は爆弾を投下、回避は間に合わず2発共に命中した。
『被害報告急げ!』
その声と共に、続々と報告がなされるが、事態は深刻だった。
『艦尾及び左舷中央に被弾!』
「舵が故障しました!操作効きません!」
『此方機関室!機関異常発生!出力落ちません!』
速度が落ちず、勝手に移動する【ラ・カサミ】は陸の方へ向かう。【ラ・カサミ】は岩場に乗り上げて、座礁してしまった。
「被害報告!それと各艦に伝達!『各艦は構わず本国に帰投せよ!』」
『此方機関室!機関停止!』
『艦底部に浸水!応急修理急げ!』
『此方無線室!無線機故障!送信不能!』
その言葉を聞いて、艦長ミニラルは手旗信号と信号灯で各艦に伝達。修理を急ぐ一方で、対空機銃を撃ち込み少しでも戦いに貢献しようとしたが、座礁した【ラ・カサミ】は脅威でないと判断したグラ・バルカス帝国航空機は近寄らなくなった。つまりは、【ラ・カサミ】が出来ることはなくなってしまった。
◆
各国の対空戦闘虚しく、グラ・バルカス帝国航空機によって各国の護衛艦隊は数を大きく減らしていた。パンドーラ大魔法公国とトルキア王国、アガルタ法国の戦列艦隊は1隻残っているか、いないか。ニグラート連合は戦列艦2隻、竜母2隻にまで減少。ムー艦隊も巡洋艦、装甲巡洋艦を含めて5隻まで減少。マギカライヒ共同体も機甲戦列艦3隻を撃沈されている。神聖ミリシアル帝国でさえ、魔導巡洋艦1隻が爆弾を食らい、航行不能になっている。1隻も欠けていないのは日本国のみだ。
航空戦力ではムー国の新型戦闘機【マリル】、ニグラート連合のワイバーンロードは全滅している。エモール王国風竜騎士団は3分の1が減少。神聖ミリシアル帝国航空機はアンタレス艦上戦闘機にバタバタと落とされている
各国の艦隊の隊列は乱れており、隊列を保っておるのは神聖ミリシアル帝国と日本国位だ。
各国艦隊はフォーク海峡を脱出しようと進む。そこに、グラ・バルカス帝国の航空機が東から低空で襲来した。
ムー艦隊の生き残りが対空機銃を撃ち込む。しかし、銃弾は水飛沫をあげるばかりだ。一方で、日本艦隊は艦対空ミサイルを使用する。
艦対空ミサイルは素早い動きのグラ・バルカス帝国航空機目掛けて飛んでいく。敵航空機の一部は回避しようとする。しかし、ミサイルは軌道を変えて航空機に命中、爆発する。これを見て驚いたのは神聖ミリシアル帝国艦隊の司令官パテスだ。
「あれは誘導魔光弾!もしや日本国は誘導魔光弾を実用化しているのか!?」
彼は混乱の極みだった。神聖ミリシアル帝国を始め、世界では魔法こそが至上であり、使えない国の者は蛮族と言うのが考えだった。つまり、科学技術で列強にのし上がったムー国はある意味異端なのだ。しかし、日本国はムー国すらも上回ると思われる兵器…誘導魔光弾を使用した。これは、神聖ミリシアル帝国ですら研究段階であり実用化には至っていない。そんな兵器を第三文明圏外国が使用した。これに、司令官パテスは自身の常識が崩れ落ちる気がした。
しかし、そんな事は言ってられない。低空飛行する敵航空機は神聖ミリシアル帝国艦隊にも迫っているのだ。右舷に取り付けられた20ミリ連装対空魔光砲が光り魔導巡洋艦の一斉発射が起こる。しかし、航空機は落ちず、何かを落として上昇しようとしていた。ここで、一機落とす事が出来たが遅かった。
『左舷海中より正体不明物体接近!数多数!』
その報告を受けて、白い線の様な物が接近してくる。司令官パテスは不思議に思った。するとそこに、日本国艦隊も小型艦から何かを海中に向けて発射した。それはしばらくして爆発。巨大な水柱をあげた。これを見て、司令官は決断する。
「正体不明物体を回避せよ!」
それを受けて、神聖ミリシアル帝国艦隊は回避行動をとる。しかし、1隻が間に合わず被雷してしまった。被雷した艦は水柱に包まれ、収まった時には被雷した巡洋艦の姿は無かった。続けて、他の巡洋艦にも被雷。航行不能になってしまった。
"航空攻撃では戦艦は沈まない"この結果は神聖ミリシアル帝国の常識を覆すには十分な威力だった。
次々と各国艦隊の被害報告がなされる中、最悪の一報が舞い込んできた。
『フォーク海峡出口付近に超大型艦が出現! 艦種識別により、グラ・バルカス帝国、グレードアトラスター級戦艦!』
空襲で足止めを食らった各国艦隊よりも、グラ・バルカス帝国のグレードアトラスター級戦艦の方が速かった。グレードアトラスター級戦艦の姿を見た神聖ミリシアル帝国艦隊は力を見せつける為に、速力をあげる。速度はどんどんあがり、各国艦隊を置いてけぼりにしてグレードアトラスター級戦艦【アンドロメダ】に突撃した。
突撃した神聖ミリシアル帝国魔導巡洋艦5隻は【アンドロメダ】に結果として、既に敵戦艦まで15キロを切っている。
「各艦対艦戦闘用意!敵戦艦を沈めるぞ!」
艦隊司令パテスの指示で乗組員が素早く対艦戦闘用意をする。その練度は高い。
シルバー級魔導巡洋艦、艦体前面に、2基の20.3戦力連装魔導砲が装備されている。その標準はグレードアトラスター級戦艦【アンドロメダ】だ。5隻による魔導巡洋艦による一斉射撃による砲弾が飛んでいく。だが、同時期に【アンドロメダ】の主砲弾が発射される。魔導巡洋艦の砲弾は水柱をあげるだけだった。【アンドロメダ】も同様に巨大な水柱をあげただけだった。
再び、20.3センチ連装魔導砲を発射する。一方、【アンドロメダ】は副砲を発射する。20.3センチ連装魔導砲の砲弾は【アンドロメダ】の重要防御区画に命中した。しかし、【アンドロメダ】は何事もなかったかの様に主砲弾を撃ち込んだ。
理由は右舷の410ミリの分厚い重要防御区画に命中した。46センチメートル砲ですら容易には貫通を許さない厚さを20.3センチメートル砲が貫ける筈がない。
【アンドロメダ】が撃ち込んだ46センチメートル砲弾は魔導巡洋艦の1隻に命中。艦隊前部に命中した結果、第1砲塔は消滅し、第2砲塔は力無く垂れ下がっている。艦首は綺麗さっぱり消滅しており、海水が艦内の隔壁を濡らしている。黒煙や炎で視界も悪くなっている。沈没は免れない。艦長は総員離艦を命じた。
しかし、それは遅すぎた。火災が弾薬庫に到達し、誘爆。魔導巡洋艦に巨大な火柱が生まれ、急速に艦内に火災は広まった。乗組員は離艦する前に全滅した。
◆
―グラ・バルカス帝国所属、グレードアトラスター級戦艦【アンドロメダ】―
戦艦【アンドロメダ】はその巨体を前に前に動かしていた。計画では、戦艦【アンドロメダ】でフォーク海峡を封鎖、航空機によって各国護衛艦隊を撃破するつもりだった。しかし、各国護衛艦隊は自ら海峡から脱出してしまったので、戦艦【アンドロメダ】が相手をする事になっている。
今回、グレードアトラスター級戦艦である【アンドロメダ】が単独行動をしたのは、ミレケネスの意向だった。彼女の主張として、『グラ・バルカス帝国の圧倒的強さを見せつけるなら、【アンドロメダ】単艦で各国艦隊に挑むのが最も効果的である』という物だ。
【アンドロメダ】に取り付けられた46センチメートル三連装砲は、神聖ミリシアル帝国の巡洋艦艦隊に砲弾を撃ち込んでいる。
前世界【ユグド】でも、今世界でも世界最強の戦艦は、各国艦隊に牙を剥いていた。そんな超弩級戦艦の艦上で外交官シエリアと【アンドロメダ】艦長セスドは話をしていた。
「ほう。1発で沈むか…」
「本艦の主砲は大きいですからな。敵艦の距離も10キロを切ってるので砲撃も当たりやすいです」
「さすがは、不沈艦だな」
シエリアは【アンドロメダ】の主砲から視線を各国艦隊に移す。そこに、特徴的な艦を見つけて艦長に連絡する。
「艦長、あの日本国の艦隊を叩けないか?」
「現在は、神聖ミリシアル帝国艦隊を叩いてます。その後でしたら構いませんが」
「うむ。それでいい。同じ転移国家でも天と地との差がある事をこの世界の蛮族に知らしめる必要がある。今後の統治の為に、神聖ミリシアル帝国は勿論、日本国も叩いておく必要がある」
「了解しました」
日本にも、46センチメートル三連装砲の脅威が迫っていた。
〜コラム〜
敵味方識別システム
何故、艦対空ミサイルを使わないのかという質問を受けたので説明します。
今回は、多国籍の航空戦力が入り乱れており、敵味方識別システムが付いてない航空機に艦対空ミサイルが向かっていく可能性があります。なので、艦対空ミサイルは使用しませんでした。同じく、輸出品のムー国新型戦闘機も付いてません。ですが、航空戦力が減少した今話なら使ってもいいと言う判断で使用されました。
お気に入り登録、高評価、宜しくお願いします!
次回は、稲荷神様による独壇場です!ペロリストは稲荷神様に信仰パワーを送るのです!