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稲荷神様の活躍を少し増量してお送りします。
―日本国艦隊―
『神聖ミリシアル帝国艦隊4隻沈没!4隻炎上!いずれも戦闘不能!』
日本国艦隊旗艦巡洋艦【木曽】に悲痛な報告が入った。本来なら、神聖ミリシアル帝国が偽大和型戦艦を相手取っている間に全速力で本国に帰還するつもりだった。しかし、神聖ミリシアル帝国の巡洋艦の外見性能からあまり持たないと思っていた。
その予想は当たり、全艦戦闘不能という状態に陥っている。本来なら素早く撤退するつもりだったのに予想以上に全滅するのが早かった。これにより、最前線が日本国艦隊になった。そこからの日本艦隊の行動は早かった。
司令官石原は稲荷神様に無線連絡をする。
『稲荷神様!敵戦艦に攻撃許可を!』
「私に考えがあります。石原さんは戦艦大和の攻撃回避もしくは主砲弾撃破を狙って下さい!」
『…!分かりました!お任せ下さい!』
そう言っている間に【アンドロメダ】から46センチメートル三連装砲が放たれる。しかし、それはAIと電子機器によって即座に軌道計算と脅威度予測が行われる。その情報は即座に共有され主砲が素早く脅威となる弾を破壊する。その爆風と爆音が響いた。
稲荷神は艦橋の上で爆音と爆風に晒された。普通の人間なら悪くて転倒、良くて足元が不安定になりよろけるだろう。しかし、稲荷神は人間とは比較にならぬ身体能力でよろけたりもしなかった。
稲荷神は揺れが収まると、大和型戦艦に酷似した戦艦を見て思う。
(あれって51センチメートルも無いよね?じゃあ、46センチメートルかな?まあ、関係ないけど…)
そう思い、右手を敵戦艦に向ける。そして、何かを握り潰す様に手を拳にして言った。
「狐火ッ!」
そう言うと、【アンドロメダ】は次の瞬間、全体から一斉に青い炎がパッ!と現れた。突然の青い炎のせいで、グラ・バルカス帝国御自慢の46センチメートル三連装砲や副砲の砲声が軒並み静かになった。この隙をついて、日本国艦隊はフォーク海峡付近から脱出、生き残っていた数少ない各国艦隊もこの隙を付いて逃げ出した。
◆
―日本国艦隊―
「石原司令、敵戦艦にトドメを刺さなくて良かったのですか?本艦に取り付けられた武装ならあんな戦艦なんて…」
巡洋艦【木曽】の艦長飯田は司令長官石原に質問した。
「ああ、確かに本艦の装備ならそれも可能だろう。だが、それは許可出来ない」
「それは…何故です?」
「…私は稲荷神様に無力化ないし、撃沈願いを出した。しかし、稲荷神様は「私に考えがある」と言っておられた。ここからは私の想像になるが…聞くか?」
「是非」
「ウム。今回の会議で全世界にグラ・バルカス帝国が宣戦布告したな?」
「はい」
「当然、その宣戦布告された国に我が国も含まれている。我が国だけで、グラ・バルカス帝国を打倒するのは簡単だろう。しかし、味方が多い事には越したことはない。だが…今回の海戦での臨時連合艦隊の被害を見れば分かるだろう?」
「ええ。戦況を有利にするどころか、逆に此方が足を引っ張られてしまいます。無能な味方は敵より恐ろしいとはよく言った物です」
「そこまでは言い過ぎだぞ。まあ、確かにあの艦隊の中で使えるのは神聖ミリシアル帝国位だが…」
一拍続けて石原は言った。
「航空戦力に関してもそうだ。ワイバーンやワイバーンロードでは話にならず、互角なのはエモール王国の風竜とか言うのだけだ。恐らく、稲荷神様は偽大和型戦艦を鹵獲するつもりなのだろう。あの偽大和型戦艦を鹵獲して、戦力になりそうな神聖ミリシアル帝国、ムー国と技術の共有を行う事で今後の対グラ・バルカス帝国戦で最低限足を引っ張らせないためだろう」
「なんと…流石稲荷神様です。しかし、どうやって敵戦艦を鹵獲するのでしょうか?」
「何、簡単なことだよ。稲荷神様は人間とは違う。あの御方が向かわれた以上、敵戦艦の鹵獲など簡単に行ってくれるだろう。さあ!我々は稲荷神様の帰りを信じて帰国するぞ!」
「「「はっ!」」」
司令官石原含めて、海上自衛隊の派遣された艦隊の乗組員は稲荷神の勝利を疑っていなかった。
◆
―グレードアトラスター級戦艦【アンドロメダ】艦上―
世界最強の戦艦は今、未曾有の事態に陥っていた。航空機による攻撃で、日本国と神聖ミリシアル帝国以外の艦隊は殆どが全滅した。時々、航空機が撃墜される事態があったが、概ねグラ・バルカス帝国優位に進んでいた。
本来ならフォーク海峡を封鎖するのが、【アンドロメダ】の役割だったが、各国艦隊が出て来てしまったので、一番先頭に位置していた神聖ミリシアル帝国の巡洋艦隊をグラ・バルカス帝国が誇る46センチメートル三連装砲でいとも容易く撃沈する事が出来た。だが、その後が問題だった。
神聖ミリシアル帝国の次に近かった日本国艦隊に砲撃を加えた所、主砲弾が命中するどころか、逆に主砲弾を敵駆逐艦の主砲弾で破壊してしまった。この神業に驚くのは無理もなかった。更に驚いた事に、青い炎が一瞬にして全体から燃え上がったのだ。消火しようにも火が回り過ぎて手の施しようが無い。この青い炎は当たり前だが、熱も含んでいるため攻撃をする暇もない。乗組員は艦長の指示で混乱しながらも着実に命令を遂行しようとしていた。たが、そこに更なる脅威が訪れる。
◆
『それ』に気付いたのは1人の【アンドロメダ】に乗る乗組員だった。乗組員は【アンドロメダ】に近づく飛行物体を見つける。太陽の陰になってシルエットになっている。空母部隊はここ、フォーク海峡から離れているので、近付いてくるとしたらそれは敵飛行物体だ。青い炎によって軒並み武装が使えない状況では、撃ち落とす事も出来ない。忌々しく思っていると不意にそのシルエットが大きくなっている気がした。
いや、気のせいではない。実際に近付いてくるのだ。その陰は向きを変えて【アンドロメダ】に突っ込む勢いでやって来る。やがて、『それ』は青い炎で炎上する甲板に立った。それは、古い宗教服…所謂巫女服と昔の履物である下駄を着用している。しかし、人族では無いと象徴する様に狐耳と尻尾が付いている。この世界特有の人種、獣人であった。
突然の乱入者に乗組員は困惑するが、敵であることには変わりない。乗組員は幼年学校で訓練した格闘術で獣人を拘束しようと複数人が獣人―稲荷神―に向かう。稲荷神は拳を1人の乗組員に定めると、
「はっ!」
と、強烈な打撃をお腹に食らわした。食らった乗組員は余りの衝撃に気絶した。その光景に乗組員はあまり驚かなかった。
何故なら、植民地化した現地人の抵抗で獣人の身体能力は人間より高いと、陸軍経由で聞いていたからだ。しかし、銃も使わない劣等種族だ。簡単に獣人を排除できるだろう。しかし、今は消火活動をしても全く鎮火する気配がない青い炎の対処に当たっている為に獣人に乗組員を割くことが出来ない。恐らく、何処かの国の魔法なのだろうが、どうすれば消えるのか見当がつかない。ともかく、今は此方に向かってくる獣人の対処だだ。
乗組員は熱さに負けず稲荷神に特攻をかける。しかし、稲荷神は単騎で世界最強だ。稲荷神は目にも留まらぬ速さで
「狐火!」
「パンチ!」
「キック!」
と、狐火や打撃、キックを食らわせる。そのどれもが威力を抑えているとは言え、食らえば間違いなく気絶する。稲荷神は自身の勘と大和型戦艦の構造の記憶を頼りに司令室へと立ちはだかる敵を薙ぎ倒しながら進んだ。
【アンドロメダ】の乗組員は敵が乗艦して来た事を艦内無線で知らせる。しかし、それは無意味とばかりにどんどん稲荷神は進んでいく。道で邪魔をする乗組員を薙ぎ倒し、扉は破壊して進んでいく。やがて、司令室にまで辿り着いた。消火に追われている乗組員含め司令官セスドは慌ただしく動いていたが、侵入者が目前にやって来たのを見てセスドは携帯していたピストルで脳天を貫こうとする。弾丸はそれはもう呆気なく命中した…に思えた。
しかし、司令官セスドの目に映ったのは親指と人差し指で弾丸を摘む稲荷神の姿だった。そして、稲荷神は鋼鉄より硬い下駄で地面に落とした弾丸を踏みつけた。弾丸の表面が銅製であるにも関わらずペチャンコになっている。
「お返しです!」
そう言って、稲荷神は狐火を発動。司令室にいた人間が次の瞬間、青い炎に包まれ絶叫した。人体を焼却するほどの熱では無いとは言え、軽い火傷はするくらいの熱さはある。
その後、広い広い偽大和型戦艦の中を約1時間かけて無力化。既に消えない青い炎への対処で手一杯だった乗組員達に各国艦隊を攻撃する余力など残っていなかった。乗組員は降伏し、偽大和型戦艦は鹵獲する事に成功した。
◆
―神聖ミリシアル帝国カルトアルパス―
人々が行き交い活気溢れる街であるカルトアルパス。だが、今日は違った。恐らく、神聖ミリシアル帝国建国史上初めての"空襲"に晒されたのだ。
グラ・バルカス帝国のシリウス型爆撃機が250キロ爆弾を投下する。先進11カ国会議会場の帝国文化会館近くに落下し、炎が発生する。護衛として来ているアンタレス型艦上戦闘機は暇なのか、上空から機銃掃射をする機体もいる。20ミリ弾によって建物にダメージが入る。負けじと、神聖ミリシアル帝国も対空魔光砲を発射しているが驚くほど当たらない。神聖ミリシアル帝国の戦闘機はバタバタと落とされ、エモール王国の風竜騎士団も苦戦を強いられている。つまりは、グラ・バルカス帝国の空襲を止められる戦力は無い。
カルトアルパス市民に機銃掃射するという、文明人とは思えぬ所業をする者もいたが、政府関係施設と軍事施設が攻撃対象だ。
数多の250キロ爆弾のせいで、逃げ遅れた市民が犠牲になった。発生した火災についても消火活動をしていたが、そんな彼らを狙う者もいた。
空軍基地については、リゲル型雷撃機の800キロ爆弾が投下され、離陸準備していた航空機や駐機していた【ジグラント2】も爆発。色んな航空機が大破し、中には格納庫ごと爆破される機体もあった。これでは、神聖ミリシアル帝国の天の浮舟も型無してある。カルトアルパス軍港も攻撃に晒され、その機能を大きく低下させた。
これによって、神聖ミリシアル帝国第二の心臓と呼ばれるカルトアルパスは大きな被害を受けた。
―日本国艦隊―
フォーク海峡から死傷者、行方不明者無しで艦隊行動に支障無しの艦5隻は稲荷神を残して日本本土への帰還を目指して航行していた。
そこに、ある一報が届いた。
『艦隊より方位290°、距離200キロ、数およそ20!此方に接近中!』
駆逐艦の1隻からの知らせに乗組員は気を引き締める。本来なら、燃料を補給するため、フィルアデス大陸西部のマール王国、アルタラス王国を経由して日本本土に帰還するつもりだった。その際、これ以上の消耗は避けたいという考えから迂回ルートで移動していたが、敵航空機に捕捉されてしまったようだ。
「対空戦闘用意」
司令官石原は粛々と命令を飛ばす。その命令に伴い、乗組員は慌ただしく移動する。
◆
グラ・バルカス帝国海軍東征艦隊は大戦果を得ることが出来た。世界会議にやって来た各国護衛艦隊を撃破。輝かしい戦果を得る筈だった。
だが、世界会議に参加していた国、日本国はグラ・バルカス帝国の航空攻撃をものともせず、魔法と考えられる青い炎にグラ・バルカス帝国が誇る戦艦【アンドロメダ】は包まれ、全ての機能が停止しているという報告が飛行機乗りから得られた。劣った現地人がグラ・バルカス帝国の最新鋭戦艦を簡単に無力化出来るとは思えない。それよりも、この輝かしい戦果に泥を塗った日本国艦隊は許し難い敵と認定。航空攻撃を行う事が決定した。
索敵に飛行機を飛ばし、見つけたら各自判断で攻撃する手筈だ。しかし、今回索敵に使われた航空機は20機。全ての艦を撃沈するなど不可能だ。ならば、大物を狙うべき。という考えから、2隻いる巡洋艦の内の1隻に集中して狙いを定めて急降下爆撃を開始した。
攻撃をしようと、目標の巡洋艦に迫ると不意に発砲音が聞こえた。目標の巡洋艦含めて、全ての艦が1門しかない主砲を此方に向けて発砲していた。だが、主砲攻撃を飛行機にした所で当たる訳が無い。それが、飛行機乗りの常識だ。しかし、その常識を打ち破る様に航空機が5機、落とされる。初弾命中に驚き、攻撃隊隊長は各機に注意を促す。しかし、主砲は淡々と有りえない速度で航空機を落とす。急降下爆撃が可能になる頃には残った機体は無かった。
これにて、フォーク海峡戦は終わった。被害を受けたのはエモール王国風竜騎士団、パンドーラ大魔法公国、アガルタ法国、トルキア王国、ニグラート連合、ムー国、マギカライヒ共同体であり、どの国も稲荷神の援護により全滅は免れたが、神聖ミリシアル帝国は46センチメートル三連装砲による攻撃で全滅。無事なのは日本国艦隊だけだった。
〜コラム〜
大和型戦艦戦
稲荷神は海上自衛隊の1日艦長をしている為、構造はある程度把握しているのでスムーズに制圧できた。なお、船の上で戦闘をするのは、江戸時代初期の天草四郎の噂を聞いて、九州に行ったら、奴隷貿易船に遭遇した。その際、上空からではなく、海の上を走って奴隷船にオリンピックで10点を取れる回転をしながら乗艦した。その後、奴隷商人から火縄銃攻撃を受けたが、全然平気だった。それどころか、数十発の火縄銃による攻撃を受けたが、その弾丸全てを手で握り潰した。そして、木造船なので、ペチャンコになるどころか、甲板に埋没させた。
狐火は木造船の為に一気に燃え上がる危険性と日本人が移送されてるので、使えなかったが、今回は鉄製の軍艦なので、遠慮なく使いました。
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次回は外伝です。その後に、フォーク海峡戦の各国の反応をする予定です。