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今回から新章スタートです!
稲荷神の見学ツアー
―神聖ミリシアル帝国カン・ブリッド―
神聖ミリシアル帝国がグラ・バルカス帝国の攻撃の恐れがあるとして、先進11カ国会議参加国の外交官はここ、ガン・ブリッドに移動していた。
ガン・ブリッドにある政府施設の一つで会議が行われていた。
「あの礼儀を知らない蛮族共へは、キッチリと教育を行うべきだろう」
そう言ったのは、エモール王国の外交官、モーリアウルだ。その言葉に、神聖ミリシアル帝国やアガルタ法国、トルキア王国、マギカライヒ共同体も賛同した。その他、ムー国、ニグラート連合、パンドーラ大魔法公国、日本国は静観した。
「そうですね。グラ・バルカス帝国への非難声明も必要でしょう」
ムー国代表が意見をする。武力制裁を希望していたエモール王国以下の国もその意見に賛成する。その後、神聖ミリシアル帝国主体の対グラ・バルカス帝国戦の大まかな作戦を伝え、各国にも協力を呼び掛けた。参加国の中には、その場で即決する国もいたが、大抵の国は、本国に持ち帰る事が決まった。結果として、グラ・バルカス帝国への非難声明と、各国が共同してグラ・バルカス帝国への抵抗を決定。この会議の結果は、神聖ミリシアル帝国や各国報道陣を通じて、各国に報じられた。
◆
―神聖ミリシアル帝国フォーク海峡沖グレードアトラスター艦上―
先進11カ国会議が終わり、各国大使は帰国の途に就こうとしていた矢先、神聖ミリシアル帝国カルトアルパス空軍基地に魔信が届いた。
「あ〜あ〜マイクテスト、マイクテスト。此方日本国です。応答願います」
『此方、神聖ミリシアル帝国カルトアルパス空軍基地です。どうかしましたか?』
「えっと、日本国は、グラ・バルカス帝国所属戦艦、グレードアトラスター級戦艦を鹵獲しました」
『…えっ?鹵獲ですか?』
「はい」
『…ちょっとお待ち下さい』
そう言って、神聖ミリシアル帝国のオペレーターは、上司に確認を取るようだ。少ししてから、返事が帰ってきた。
『お待たせしました。湾岸管理局の指示に従って入港して下さい』
「分かりました。攻撃しないように周知して置いて下さい。宜しくお願いします」
そう言うと、稲荷神は魔信を切った。
「お疲れ様です。稲荷神様」
「いえ、そこまで苦労してませんよ」
そう言って、稲荷神は苦笑する。因みに、稲荷神に声を掛けてきたのは、近衛だが、彼等は稲荷神から遅れてグレードアトラスター級戦艦【アンドロメダ】に乗艦。
グレードアトラスター級戦艦は、大和型戦艦と酷似しているので、艦船に詳しい者も連れてきているお陰で、動かし方もわかる。近衛の1人が、グラ・バルカス帝国の国旗を海に投げ捨てて、日本国の小さい国旗を艦橋で振り回している。
グレードアトラスター級戦艦【アンドロメダ】は、目立った外傷も無く、攻撃されることも無く無事に、カルトアルパス港に入港した。
◆
―神聖ミリシアル帝国カルトアルパス軍港―
フォーク海峡戦から数時間後、カルトアルパス軍港にグレードアトラスター級戦艦が入港していた。捕虜とした乗組員は、全員隔離された。外交官シエリアだけは軍人では無いので、文明人なら外交官は返還すべきだろう。との考えで、後日、神聖ミリシアル帝国が輸送する事になった。しかし、捕虜の方は、捕虜の返還条約等も結んでないので、神聖ミリシアル帝国の隔離施設に収容する事になった。
神聖ミリシアル帝国から『日本国がグレードアトラスター級戦艦を鹵獲した』と通達された一報に各国大使は懐疑的だったが、世界最強国家である神聖ミリシアル帝国が法螺を吹く必要性が無いと判断。各国大使は、本国に連絡すると共に、本来なら神聖ミリシアル帝国の飛行機で帰国する予定だったが、各国大使は、グレードアトラスター級戦艦の艦内が見れると言うことで、急遽、カルトアルパスに戻ってきた。
そんな背景を知らない稲荷神は、集まった大使を前に話始める。
「えっと、我が日本国は、グレードアトラスター級戦艦を鹵獲しました。しかし、我が国には必要の無い物ですので、各国の技術発展に寄与するべく、此方を共同財産として、ムー国に保管する事を提案します」
その言葉に、何故神聖ミリシアル帝国ではないのか?と言った言葉が出る。
「神聖ミリシアル帝国は、魔法立国なので、それよりかは科学技術を使っているムー国の方が良いという判断です。また、グラ・バルカス帝国の脅威が迫っているので、我々も技術発展に協力します。今回はその一環として艦内を案内しようと思います」
「日本国の方は、艦内の構造が分かるのですか?」
集まった大使の中から、質問が飛ぶ。それについて、海上自衛隊の艦マニアである近衛である中下が答えた。因みに、この近衛である中下だが、本来は海上自衛官志望だったが、「合格する訳ないだろw」と、冗談で近衛に応募したら合格してしまったと言う、ある意味不運な男である。
「そこからは、私がご説明します。この、グレードアトラスター級戦艦ですが、我が国が150年程前に保有していた当時世界最大の戦艦、大和型戦艦の形状に酷似しているのです」
場にどよめきが起きる。大和型というグレードアトラスター級戦艦に酷似した戦艦を
「お静かに願います。私は、大和型戦艦のスペックに詳しく無いので、此方にいる、私の護衛に案内を任せます。質問は、彼にして下さい。では、艦内に入ってみましょう」
集まった国は、エモール王国、アニュンリール皇国以外の各国だ。エモール王国は内陸国であり、戦艦を見ても役に立たないと言う至極最もな意見が理由である。
ここに、稲荷神主催のグレードアトラスター級戦艦見学ツアーが幕を開けた。
◆
大使達一行は、一際目に付く前部主砲に集まっていた。
「では、質問がありましたら、適宜挙手を願います」
そう言って、近衛は話始める。
「まず、大和型戦艦の主砲は51センチメートル三連装砲です。最大射程42キロ以上であり、駆逐艦や巡洋艦なら1発で撃沈します」
その言葉に、各国大使は愕然とした。そして、少しのフリーズを経て、メモを取り始める。この戦艦のスペックを知ることで技術発展に少しでも繋げようと言う考えだ。敵の技術を知れば、対応策も浮かぶというものだ。
「しかし、このグレードアトラスター級戦艦は口径計測をした所、46センチメートル三連装砲でした。しかし、威力や射程こそ大和型戦艦より劣りますが、脅威には変わりありません」
その言葉に、各国大使は息を呑む。このグレードアトラスター級戦艦の46センチメートル三連装砲によって世界最強だった神聖ミリシアル帝国の巡洋艦が撃沈されているのだ。戦列艦も例に漏れない。帆船など以ての外だ。各国大使は、グラ・バルカス帝国の脅威を実感する。
各国大使の中には、魔信や通信機を付けっぱなしにして、自国の技術者からの質問を代理で尋ねる者もいた。いくつかの質問を経て、一行は機関室に行くことになった。そして、その道中にある副砲らしき物を見て、1人の大使が尋ねる。
「中下殿、この副砲らしき物は一体?」
「此方は、対空三連装高角砲と対空機銃ですね。高角砲は、遥か上空に位置する航空戦力を撃破する為に使います。機銃は、急降下爆撃や雷撃をする為に接近してきた航空戦力の排除を目的としています」
「失礼、急降下爆撃は理解出来るのだが、雷撃とは何かね?」
そう言ったのは、神聖ミリシアル帝国の大使だった。中下は、「はい」と答えて、続けた。
「急降下爆撃と対比して雷撃についてご説明します。まず、急降下爆撃とは敵艦上空から角度70°付近で機体を急降下させ、爆弾を投下する方法です。これにより、爆弾を正確に投下する事が出来ます。それに対して、雷撃とは、魚雷が誤爆しない様に、低高度で投下して、艦船に浸水を発生させ、撃沈すると言う方法です」
「すまない。その魚雷とは何かね?」
「魚雷とは、謂わば水中推進型爆弾です。水中を進み、敵艦に穴を開け、海水の流入によって、敵艦を撃沈させる兵器です」
この言葉に、各国大使は今度こそ驚いた。そんな兵器は聞いたこともない。つまり、自国の艦船には、魚雷を防御する仕組みは搭載されていないのだ。これは由々しき事態だった。
「すまない、その魚雷への対策は無いのかね?」
「はい。魚雷の対策は幾つかあるのですが、その前に、魚雷の基本的な構造についてお話させて下さい。まず、魚雷とは魚雷発射管から圧縮空気で発射されます。すると、魚雷の機関が作動し、燃焼ガスがピストンを動かし、その力で推進軸を回転させて魚雷を前進させるのです。その際、燃焼ガスが放出されます。それが、白い"雷跡"となります。それで魚雷の位置を把握し、回避行動を取るのが基本的な対策です。また、水雷防御と呼ばれる、防御壁を何重にもすることで魚雷の爆発を抑え込み、重要区画を守る防御方法もあります」
各国大使は、必死にメモを取る。この魚雷とその対策をしなければ、近いうちに来るグラ・バルカス帝国との戦争に勝てない。各国大使は頭を悩ませる。しかし、ここに更なる爆弾が投下される。
「また、我々が軽く調べた所、この戦艦には近接信管が取り付けられているのを確認しました」
「その近接信管とは?」
「はい。近接信管とは、電波を発射し、目標物からの反射波を捉えて敵航空戦力が爆発範囲に入ると、起爆し、爆弾の破片を周囲に撒き散らすため、狙いを定めなくとも撃墜する事が可能です。対策としては、低空飛行です。低空飛行をする事で、電波が海面に反射して誤作動を起こすのです。ですので、低空飛行をすると良いですね。他には、物理的に強度を上げたり、電波妨害や電波誤認等が挙げられますね」
中下の言葉に、大使は何度目か分からない驚愕に襲われた。特に、神聖ミリシアル帝国の動揺は大きかった。基本的に、この世界の探知技術とは魔力探知レーダーであり、魔力を有していないと反応しないのだ。つまり、日本国が保有する無人偵察機には反応しないと言うことだ。(まあ、有人ステルス偵察機もあるが、反応しても反応は小さいが…)しかし、その上位の技術に、魔導電磁レーダーがある。これは、魔力を電気エネルギーに変換し、電波を飛ばす。所謂電探である。しかし、この技術は難しく、神聖ミリシアル帝国でさえ、開発途中なのだ。しかし、それをグラ・バルカス帝国、日本国が共に実用化している点で、驚くべき事実だった。また、この魔導電磁レーダーを小さな砲弾に詰め、航空戦力の無力化に応用するなど考えもしなかった。
驚愕に包まれる彼らを無視して、中下は機関室を案内する。しかし、魔法文明が多いこの世界では、科学で動く技術に興味は唆らなかったのか神聖ミリシアル帝国は余り興味を示さなかったが、【風神の涙】を利用している国や、ムー国、マギカライヒ共同体は興味津々だったが…
その後、電探室を案内された、大使一行は、困惑した。それもそのはず、わけも分からない機械が所狭しと置かれ、画面には、不規則な波形が波動いており、何が何だか分からない。これこそが、レーダーで受信した電波を判断する機械である。そういった事を詳しく説明すると、魔導電磁レーダーの開発が進むと後に話を聞いた技術者は歓喜したという。
その後、幾つかの質問を経て、稲荷神主催のグレードアトラスター級戦艦見学は終わった。その後、稲荷神が無線連絡して呼び戻した駆逐艦1隻が護衛に着きながらムー国に向けて出港。散発的にグラ・バルカス帝国の航空機を発見したが、機密保持を徹底する為に、レーダーで把握したグラ・バルカス帝国の偵察機を、目視圏内外から惜しみなく艦対空ミサイルを使用した。これを見て、ムー国大使は驚き慌てたほどだ。結果として、グラ・バルカス帝国の艦隊に接触する事なく、ムー国の商業都市マイカルに帰港した。その際、街の住民に政府の方から連絡をしていたのだが、話を聞いていなかった一部住民が正体不明艦がやってきている!と慌てに慌てたが、いずれも沈静化した。
その後、神聖ミリシアル帝国や日本国を中心として、ムー国に技術者を派遣した。また、重要な技術の塊であるグレードアトラスター級戦艦はその巨体故に、【ラ・カサミ】級戦艦が精々入る程度の大きさのムー国の湾口施設では、隠せる物では無かった。なので、日本国、ムー国、神聖ミリシアル帝国が中心となって警護に当たることになった。
この事実をグラ・バルカス帝国が把握するのはもう少し後の事である。
と言うことで、今回は、グレードアトラスター級戦艦見学ツアーでした。各国もグ帝の技術に驚いてるでしょうね。これで技術開発も進展するかも?
〜コラム〜
近衛とお世話係
近衛とお世話係は、稲荷神が年に一回決める。しかし、応募人数が数万人を超えるため、業務過多に…結果として、稲荷神が決めたほうが後腐れ無いと考え、毎年決める事になった。小学生のなりたい職業ランキングは、男子が稲荷神の近衛。女子が、稲荷神のお世話係である。
尚、日本の給与状況は、働く時間に比例するので、稲荷大社づとめは激務なので高給取りだが、近衛とお世話係は、稲荷神が身の回りの家事は1人でするので出番がなく、護衛などなくとも稲荷神が強いために、薄給という悲しい事実がある。
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これから登場する兵器について
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核兵器
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