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―第二文明圏列強ムー国、首都オタハイト―
先進11カ国会議におけるグラ・バルカス帝国の横暴と、その後起こった、フォーク海峡戦の報告と対策についての会議を早速行っていた。ムー統括軍総司令部では、物々しい雰囲気に包まれていた。
会議には軍の主要幹部や、外務省高官、技術士官マイラス、【ラ・カサミ】級戦艦副艦長マーベルが出席していた。艦長ミニラルはグレードアトラスター級戦艦の見学ツアーに参加するので、副艦長は、フォーク海峡戦について報告する為に、航空機で帰国していた。列強国であるムー国の空母機動部隊が壊滅的な被害を受けた。この報告に、軍幹部の顔色は悪い。
たった1国、それも文明圏外国に最新鋭部隊が、壊滅的被害を受けた。つまり、グラ・バルカス帝国は余りにも強い強敵である事を示していた。その自信の裏付けが第二文明圏への宣戦布告である。国家存亡の危機に一同は、頭を抱えた。
今回の海戦は、グラ・バルカス帝国の強さを知らしめると同時に、列強国の彼らに対する無力さが浮き彫りになった。しかし、それと同時に、希望もあった。それを協議するための会議が始まった。
「既にある程度の情報を得ていると思いますが、今回の戦いであるフォーク海峡海戦の概要を説明致します。先日、神聖ミリシアル帝国の港街カルトアルパスにおいて、開催された先進11ヶ国会議にて、我が国は、戦艦【ラ・カサミ】を旗艦とする空母機動部隊を外務大臣護衛として派遣しました。同会議にて、グラ・バルカス帝国は全世界に対して従属要求をするという暴挙に出ました。そればかりか、各国大臣とその護衛艦隊がいる港街カルトアルパスに対し、武力攻撃を行いました。突然の行動に、神聖ミリシアル帝国は、魔導巡洋艦8隻の艦隊と、空軍航空機部隊の戦力を集めることが出来ました。お陰で、主力として各国の外務大臣護衛艦隊に、神聖ミリシアル帝国艦隊を加えた艦隊で対応にあたりました。また、航空戦力として神聖ミリシアル帝国空軍の最新鋭戦闘機【エルペシオ3】42機と、【ジグラント2】【エルペシオ2】合わせて、60機以上、エモール王国の風竜騎士団22騎、我が国の戦闘機【マリル】50機、それにニグラート連合のワイバーンロード48騎が出撃しました」
この報告に会議場はざわついた。この戦力は、海空においても質も量も高い物と言えるだろう。海においては、神聖ミリシアル帝国の魔導巡洋艦や自分達ムー国が派遣した16隻の機動部隊、日本国の艦隊5隻と言った、各国の精鋭艦が集まっているのだ。空についても、ワイバーンロードやムー国の新型戦闘機【マリル】、神聖ミリシアル帝国の戦闘機、一騎当千と謳われるエモール王国の風竜と、此方も数と質共に高いだろう。
「結果は、我々の【アラル】を含めた航空戦力の殆どが、撃墜されました。恐らく日本国の魔法と思われる援護もあり各国の航空戦力の撃墜は多少は免れました。しかし、彼等の攻撃で各国艦隊は壊滅的被害を受けました。その後、グレードアトラスター級戦艦による砲撃に晒されました。しかし、日本国による魔法攻撃でグレードアトラスター級戦艦は航行停止し、その隙に撤退する事に成功しました。しかし、グレードアトラスター級戦艦に先行した神聖ミリシアル帝国の魔導巡洋艦8隻は全艦撃沈されました。尚、日本国はグレードアトラスター級戦艦を鹵獲したとの事です」
会議室が騒然とする。神聖ミリシアル帝国の魔導巡洋艦が全艦撃沈された事も驚きだが、科学文明と思われた日本国が魔法を使い、グレードアトラスター級戦艦を航行停止に追い込んだ事は驚くべき事実であり、さらに鹵獲等を行うとは、更に驚くべき事であった。
「お静かに願います。戦果報告については、以上です。詳細な戦闘推移につては、戦場にいた【ラ・カサミ】級戦艦副艦長にお話を聞きます。それでは、宜しくお願いします」
司会の言葉に、【ラ・カサミ】級戦艦副艦長マーベルが立ち上がる。
「ご紹介に与りました。【ラ・カサミ】級戦艦副艦長マーベルです。戦闘推移について、ご説明します。まず、我々は、グラ・バルカス帝国の航空機を察知すると、艦上戦闘機【マリル】を発艦させましたが、敵戦闘機の性能が高く、数機の生き残りを残して、全滅しました」
「そんなバカな!」
「我が国の新型戦闘機がそうやすやすと負ける筈が無い!」
マーベルの言葉に反発したのは、一部の軍幹部や外務省高官である。彼等は、日本国についてよく知らない連中だ。だが、マイラスは、日本から輸入された新型戦闘機のスペックから、グラ・バルカス帝国の戦闘機に勝つことは難しいと考えていた。
「静粛に願います!」
司会が場を沈める。
「敵の航空機は時速約500キロ以上出ていたと思われます。また、その旋回能力も恐るべきものでした。技量も高く、我が国の戦闘機は、文明圏外国家のワイバーンを相手にするかのような物で、ほとんど戦闘になりませんでした。ニグラート連合所属のワイバーンロードも参戦していましたが、戦果は全く上がらず、神聖ミリシアル帝国の航空機でさえも、彼らの戦闘機の前にバタバタと撃墜されていきました」
一同に、驚愕が走る。世界第2位の列強国ムー国より上位の国、神聖ミリシアル帝国の魔光呪発式空気圧縮放射エンジンを搭載した天の浮舟でさえ、グラ・バルカス帝国の戦闘機に敵わない。常識の通じない国に何度目か分からず、頭を抱えた。
「唯一、渡り合えていたのは、エモール王国の風竜騎士団でした。しかし、互角であり見た限り、一進一退の攻防でした。ですが、グラ・バルカス帝国の戦闘機の数は多かった為、風竜がもう少し多ければ、互角以上に渡り合えたと個人的には思います」
マーベルは続ける。
「艦隊の対空戦闘も、凄惨な結果でした。アガルタ法国の魔法船団は、艦隊級極大閃光魔法と呼ばれる魔法を使用しました。空に閃光が現れました。その威力は凄まじ物でしたが、敵機を2機撃墜すると魔力切れを起こし、艦隊機能が停止したところを攻撃され、全滅しました。他国の艦隊も自分達の兵器を使って戦っていましたが、全くと言って良いほど相手にならず、次々と轟沈していました。神聖ミリシアル帝国の魔導巡洋艦ですら、航空攻撃により2、3隻が沈められたようです。しかし、その中にあって目覚ましい活躍を見せたのが、日本国の艦隊です。かの国の艦隊は、対空戦闘において、一門しかない主砲で敵機を百発百中で撃墜していました。また、戦いの終盤では、彼の国は、古の魔法帝国の兵器、誘導魔光弾と思しき兵器で撃墜を撃墜したのです」
「そんなバカな!」
「百発百中の一門しかない主砲に、今度は誘導魔光弾かね!嘘も大概にして欲しい!」
今度こそ会議が紛糾した。誘導魔光弾とはそれ程のインパクトがあるのだ。神聖ミリシアル帝国でさえ、開発出来ていない古の兵器なのだがら当然である。
「静粛に!静粛に!」
司会が、場を収める。マーベルは強い口調で言う。
「奴等…グラ・バルカス帝国は強いです!日本国が圧倒していたとは言え、神聖ミリシアル帝国も歯が立たなかったのです。脅威を正しく認識しなければ、亡国となりうる可能性もあります。私は、日本国との協調こそ一番重要であるとこの場で述べさせて頂きます」
マーベルの言葉に日本国をよく知るものは頷く。日本国をよく知らない者もマーベルの気迫に声を出せずにいた。そんな時、技術士官マイラスが声を上げた。
「議長、発言を宜しいですか?」
「認める」
「ありがとう御座います。皆様には予め資料で大まかな概要を説明してあると思いますが、日本国がグレードアトラスター級戦艦を鹵獲しました。日本国は、この戦艦が150年程前に存在した大和型戦艦に酷似していると言うのです。それ故に、使われている技術も理解出来るとの事で、日本国は、技術発展の為に神聖ミリシアル帝国や希望する国から技術者を秘密裏に募集し、戦力増強に努めたいとの事です。それに伴って、科学文明である我がムー国にこの戦艦を輸送したいとの事でした」
会議室がざわついた。グレードアトラスター級戦艦と酷似した戦艦を、日本国が150年も前に所有していたと言う。しかも、その戦艦がムー国に来る。これは、技術の発展に繋がると喜ぶ一方、グラ・バルカス帝国からの攻撃に晒される可能性があると言う危険を孕んでいた。
「一長一短に喜ぶ事は出来んな」
「しかし、これを機に、我が国の技術力も高まる事もまた事実…」
「警備を増やすしかあるまい」
この会議で、ムー国は、日本国との連携強化やグレードアトラスター級戦艦の警備増強を決定した。
◆
―グラ・バルカス帝国帝都ラグナ、外務省―
外務省の一室で、椅子に座った偉そうな男が、部下と思われる男から報告を受けていた。
「…以上が先進11カ国会議に伴う結果と、戦果報告になります」
「………それは真かね?」
「紛れもない事実です」
「では何かね?帝国の威信を見せつけるどころか、多数の航空機を撃墜され、挙げ句の果てには我が国が誇る戦艦…グレードアトラスター級戦艦を撃沈ないしは、鹵獲された可能性があるというのかね?」
「…そのとおりです」
偉そうに椅子に座っている悪党面した男の名はゲスタ。ゲスタは、プルプルと体を震わせると、目の前の机に両腕を叩き落した。
「軍部は何をやっていた!これでは、外務省の面目丸潰れではないか!」
「…因みにですが、グレードアトラスター級戦艦に乗艦していたシエリア外交官の生死は不明です」
ゲスタは、嘲笑して続ける。
「ふん!あんな女の事はどうでもいい。それよりも問題は、今後の対応だ!」
「はい。我々としては、軍部と情報部に対して抗議すると共に、対策を求める事で進めています」
「ならいい。我々も独自に情報を集めろ」
「了解しました」
同時刻、グラ・バルカス帝国帝都ラグナ情報部では…
「嘘だろ…」
そう言うのは、情報局員のナグアノであった。ナグアノの目線の先には、グレードアトラスター級戦艦の写真があった。しかし、目を引くのは、グレードアトラスター級戦艦を包み込むように燃える青い炎であった。報告によると、青い炎が突然、船体の全域から発生したという。この光景は、出撃していた戦闘機や雷撃機、爆撃機の乗組員からの証言だ。その乗組員達も殆どが撃墜された。ナグアノが予想していた戦果とは異なる物であった。いや、各国護衛艦隊に被害を与える事には成功した。しかし、日本国には大した損害を与えれないまま、多数の戦闘機、雷撃機、爆撃機を撃墜されている。これだけなら、『異世界国家の底力を舐めていた』の一言で済んだが、帝国の象徴であり武威である戦艦【アンドロメダ】が航行不能になったのだ。その後の【アンドロメダ】の動向は不明だが、恐らく、撃沈されたか鹵獲されたかのどちらかだろう。しかし、これでは痛み分けといった方がいいレベルである。
ナグアノ達、情報局員は、早速、フォーク海峡戦の結果を分析する仕事に取り掛かった。それも、殆どが終わり、今は【アンドロメダ】を炎上させた青い炎の解析である。しかし、ナグアノは技術には詳しいが、この青い炎がどういった兵器なのかが、分からない。故に、専門家に依頼する事にした。
◆
―グラ・バルカス帝国帝都ラグナ―
ナグアノは、専門家の意見を聞くために、ラグナ国立大学の一室にある教授室に来ていた。
「ホントに青い炎ですね…」
そう呟くのは、ラグナ国立大学の自然科学部の教授である。教授は、ナグアノに対して分析結果を報告していた。
「まず、前提として青い炎とは、完全燃焼に伴う高温と、特定の科学物質との化学反応の2つに分けられます」
教授は、饒舌になって続ける。
「高温による物の場合、メタンガスといった可燃性のある燃料が十分な酸素を効率よく吸収する事によって起こります。ほら、ガスコンロの炎も青いでしょ?それと同じです。また、化学反応による例は、炎色反応です。貴方も、理科の実験をしませんでしたか?炎に特定の物質を混ぜると色が変わる実験…あれですよ。青い炎については、以上の例が挙げられますね。それを考慮して考えますと、この炎は、自然発火による物ではないでしょう。そもそも、軍艦が炎上する時は大抵、オレンジ色の炎であるからして、この青い炎と言うのは有りえない。よしんば、本当に軍艦から炎上した物なら、燃料が多量にある場所や、銅を沢山使っている場所が部分的に燃えるなら分かります。しかし、いきなり突然青い炎が船体に出現すると言うのは、私の知識では説明出来ません。なので、これは魔法による物が妥当かと」
「…因みにだが、この青い炎、温度はどれくらいだと思う?」
「一概には申せませんが、これがもし、自然発火する青い炎と同等の温度なら、1700℃から1900℃でしょう。しかし、鉄鋼の融点は、1370℃から1540℃なので、船体の原型が変わるでしょう。この青い炎の温度は想像以上に低いかもしれません。乗組員が火傷で済めば御の字でしょう。」
彼等の考えは一部正しく、一部間違っている。確かに青い炎は自然による物ではなく、稲荷神の力による物だ。だが、稲荷神が使うのは、魔法ではなく神力だ。どちらも原理不明の法則であるのは事実だ。しかし、魔法より使い勝手の良い物だ。青い炎は、狐火であり可燃物があろうとなかろうと燃え続ける。燃やす対象も、どれくらい燃やすかも、燃やす温度も自由自在だ。つまり、これは自然法則に反する炎であり、『燃やすモノ』『酸素』『熱』等の炎が必要とする物は要らない。稲荷神の思うがままなのだ。そんな事を知らないナグアノは、この青い炎を魔法による攻撃で、脅威ではないが、危険である物として、注視はするが、彼の危機感を煽る程では無かった。
稲荷神の御力は世界一イィィィィ!出来んことはないィィ!
〜コラム〜
狐火
狐火は、本文に記した通り、稲荷神しか使えない御業です。燃やせる物は自由自在、例を挙げると…
日本吸血虫
火災
鉄道レール
人
山賊
刀
放射線及び放射性物質
等等です。消費する神力は、物の大きさに左右されます。小さすぎても、大き過ぎても結構な量を使用します。しかし、グレードアトラスター級戦艦を燃やした時は、人口1億を超える日本人や第三文明圏外国の信仰心を得てるので、そこまでの消費は無かった。
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これから登場する兵器について
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