稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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今回は、資料とにらめっこしてました。目がしょぼしょぼする…


ラ・カサミ大改造

 

―第二文明圏列強、ムー国首都オタハイトムー統括軍総司令部―

 

ムー統括軍総司令部の一室にて、技術士官マイラスは、とある男性と話していた。彼の名は、セノシ。今ムー統括軍の数々の兵器開発に携わった兵器の専門家てある。そんな彼に、マイラスはとある提案をしていた。

 

「…つまりは、我が国の最新鋭艦である【ラ・カサミ】の修理を、日本国に任せたい。そう言う事かね?」

「はい。グラ・バルカス帝国は、わが国も含め、日本国にも宣戦布告をしました。日本国は内密に我が国に援軍を派遣するとの言質をとっています。それに、在日ムー国大使館からの情報ではグラ・バルカス帝国の外交官の失言が国内に広がったことで、グラ・バルカス帝国への国民感情が最悪レベルになっています。実際、日本国から大規模な軍事及び技術支援要請を受諾する旨の回答を貰いました」

 

マイラスの意見は正しい。そもそも、稲荷神はムー国への自衛隊派遣をするつもりだった。そこに外交官朝田が、ペン型の録音機を持参し、会話を記録していた事が判明した。しかも、録音した内容に、日本国民を怒らせる発言が録音されていた。これを公開した所、日本人のグラ・バルカス帝国への感情は最悪まで落ち込んだ。また、グラ・バルカス帝国の事を散々な表現を使って罵倒している。中には、音声でネットミームを作る者もいるほどだ。

 

「しかしだな…日本国の技術が如何に高けれど、機械文明列強であるムー国が他国に戦艦を見せる事の重大さは理解出来るだろう」

「勿論、理解しております。理解した上で、こう主張しているのです。実際、パーパルディア皇国戦に観戦武官として訪れましたが、技術は圧倒的の一言でした。我が国の最新鋭艦【ラ・カサミ】でさえ、日本国基準で言えば、約200年も前の産物。謂わば、骨董品なのです。最新鋭の技術は載せてもらえないでしょうが、それでも、現在の我が国の技術を遥かに上回る技術によって【ラ・カサミ】は蘇るでしょう。少なくとも、国内での修理よりかは、性能は飛躍的に向上すると確信しています」

「…分かった。検討しよう」

「ありがとう御座います。また、我が軍の主力戦闘機についても、日本国側からテコ入れの申し入れが来ています」

「何?」

「我が国の戦闘機【マリン】や、日本国の技術支援によって生産している艦上戦闘機【マリル】でも、日本国の戦闘機には手も足も出ません。しかし、日本国に技術支援を具体的な内容を聞いた所、戦闘機の支援がありました。これで、我が国の戦闘機を一新する事が可能です」

「なるほど、しかしマイラス君。日本国だってこれから一緒にグラ・バルカス帝国と戦うのだ。そう都合よく支援をしてくれるのかね?」

「はい。そこは小官も懸念していました。日本国には、『新世界技術防止法』という、技術漏洩を防止する法律があると言います。しかし、今回ライセンス生産及び輸入する戦闘機は、日本国が約80年前に使用していた戦闘機であり、日本国主力戦闘機の2世代前の戦闘機らしいです。これならば、我が国の最新鋭戦闘機であり、グラ・バルカス帝国の戦闘機を圧倒する性能を有します」 「何だと!それは本当かね?」

「はい。それが此方です」

 

そう言って、マイラスは写真がついた戦闘機のスペックが記された書類を手渡した。その写真には、小型で丸みを帯びており、プロペラが無かったり、翼の形状が違うなどの違いが見受けられた。

 

「川崎T-4、別名ドルフィン。それが、この機体の名称です」

 

マイラスが見せたのは、ソ連戦で活躍した戦闘機、川崎T-4、別名ドルフィンであった。

 

「この川崎T-4、以後ドルフィンと呼称しますが、我が国の艦上戦闘機【マリル】より上回る性能を有しています。装甲は、多少ある程度ですが、最高速度は音速を超えるマッハ2.5。時速2700キロを超えます」

 

その言葉に、セノシは目を見開いて驚く。その反応を見たマイラスは続ける。

 

「これを艦上戦闘機としても活用すれば、前から貰っていた設計図を基に建造する空母に必要な装備を開発して搭載すれば、運用が可能になるでしょう。実用上昇速度は、19000メートル。その上、固定武装に20ミリ機関砲という高火力に加えて、古の魔法帝国の兵器、誘導魔光弾の科学版、空対空誘導ミサイルを搭載できるとの事です」

「何?!誘導ミサイルだと?話には聞いていたが、そんな兵器も支援してくれるのか?!」

「はい。なんでも、もっと高性能な誘導ミサイルを所持しているらしく、我々に支援してくれるのは、慣性誘導式と呼ばれる比較的安価なミサイルです。これもライセンス生産が可能という事なので、最初は輸入しつつ、その後は自国生産にも着手したい考えです。グラ・バルカス帝国の戦闘機は時速約500キロ以上ですが、この戦闘機は音速超えです。鎧袖一触、下手をすれば、神聖ミリシアル帝国ですら互角以上に戦えるかも知れません」

 

マイラスの言葉に、セノシは懸念を評した。それは、立て続けに航空機の生産や解析に手一杯な状況で、引き受けてくれる航空機メーカーはいるのか?と言う事だった。だが、マイラスは、エストリバー社という、【マリン】の設計、生産に携わっていた企業を挙げた。エストリバー社は、戦闘機生産のノウハウがある。レシプロ、しかも複葉機からいきなりジェット黎明期の戦闘機をすっ飛ばして、第四世代ジェット戦闘機を生産するのは、無謀だが、日本国側から技術者もくるので、【マリン】の注文数激減による営業不振に悩んでいるエストリバー社は、引き受けるだろうと評した。かくして、ムー国でジェット戦闘機生産計画が始動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

―第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国、フォーク海峡―

 

某日、グラ・バルカス帝国の鹵獲されたグレードアトラスター級戦艦【アンドロメダ】が各国艦隊に猛威を振るった場所に、日本国のサルベージ会社が来ていた。彼等は、ムー国政府の要望により、【ラ・カサミ】の修理、改造依頼を受けた日本国政府の要請により、費用はムー国持ちで、戦艦の撤去作業が進められていた。今回は、座礁した【ラ・カサミ】を改造すると言う目的があるので、タグボートで引っ張りながらの撤去作業だ。撤去作業が終わった会社は、同行していた海上自衛隊駆逐艦1隻に護衛されながら、無事に日本国内のドックまで運び終えた。そこで、【ラ・カサミ】は、生まれ変わるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

―第三文明圏外日本国広島県呉市―

 

造船や修理を担当する自衛隊技術者は、上から下まで頭を抱えていた。それは、ムー国から依頼された【ラ・カサミ】を修理改造する事だった。戦艦など、長らく扱ったことは無い。その上、ムー国からの要望が無茶な物だったのだ。ムー国からの要望が次の通りである。

 

ムー国からの要望

 

・現在の口径より大きな戦艦用の大口径砲を搭載する事

・舷側の副砲を残すこと

・対空能力の向上

・速力上昇

 

であった。別にこれなら特に問題は無いのだが、次の1文が問題だった。

 

以上の要求を6ヶ月以内に戦線復帰させる事であった。

 

これは、厳しいと言わざるを得ない。ムー国の最新鋭艦【ラ・カサミ】級戦艦は、日本国の200年程前の戦艦【三笠】にそっくりだ。分類としては、前弩級戦艦に当たる。そのため、主砲は40口径30.5センチ連装砲を搭載する事を意識している。そこに、それ以上の口径主砲を載せるのは難しい。対空能力向上については、問題は無い。しかし、大口径砲を搭載した上に、艦対空ミサイルを載せるとなると、スペースの問題がある。艦対空ミサイルを命中させるための、最低限の電探も必要だが、電探については、艦橋の増築をする必要は無い。機関部についても、機関変更は勿論、タービン、発電機交換も必要だ。下手をすると、艦首調整や艦体全長も弄る必要がある。

 

そして最後の、6ヶ月以内の修理改造だ。ムー国としては、神聖ミリシアル帝国が主導するグラ・バルカス帝国反攻作戦に参加させたい思惑があるのだが、技術者達はたまったものでは無い。特に、電探やミサイル関係はムー国としては、初めての運用だ。乗組員を鍛えなければ、優れた機械があっても宝の持ち腐れだ。指導員との連携も必要だ。

 

彼等は、悩んでも仕方がないと、【ラ・カサミ】の被害と、損傷箇所を確認し、設計図とにらめっこしながら、情報収集、解析していた。

 

改造前【ラ・カサミ】級戦艦

 

・全長131.5メートル

・全幅23メートル

・排水量15140トン

・機関ディーゼルエンジン

・速力18ノット

・主砲40口径30.5センチ連装砲2基

・40口径15.2センチ単装砲14基、

・20ミリ単装対空機銃

 

改造案

 

・全長136メートル、竜骨の強化

・ガスタービン4基

・主砲:52口径15.5センチ三連装

・副砲:45口径12センチ滑腔砲

・艦首魚雷:2門8本53センチ魚雷

・艦対空ミサイル及び艦対艦ミサイル(グレードダウン品)

・近接防空システム(グレードダウン品)5基

・潜水艦対策にアクティブソナーの追加

・水雷防御の実現

・両舷魚雷三連装2基

・ダメコン能力の向上

・無線能力向上

 

以上の案が可決された。原作の改造から大まかな変更は無いが、そこから更に潜水艦対策を念頭に置かれている。

 

主砲については、問題はない。そして、搭載している魚雷だが、誘導魚雷である。しかし、純酸素魚雷ではなく、空気魚雷である。これは、ムー国が今後生産をするにあたって、いきなり酸素魚雷を使用するのは危険だと言う判断である。まあ、酸素魚雷のライセンス料を個別に取ると言う思惑もあるが…

 

因みに、魚雷を載せたのはムー国と日本国の運用方式の差にある。ムー国は、駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母の4種類の艦艇があるのだが、駆逐艦に関しては、存在意義が薄い艦艇だ。そして、日本国は駆逐艦、巡洋艦、空母しかない。そもそも、戦艦と言う艦艇は、コストの重い上に、遅いので、ミサイルの格好の的なので使われていない。そんな両国の差から生まれたのが上記の改造案だ。簡潔に言うと、『巡洋艦以上戦艦未満の艦艇にしよう』と言う結論に至った。しかし、侮ることなかれ。搭載されるのは、誘導魚雷、艦対空、艦対艦誘導ミサイル、潜水艦対策が施された戦艦の原型が全くない。元【ラ・カサミ】以上の性能を有しているのだ。

 

それから、【ラ・カサミ】級戦艦の乗組員は、海上自衛隊による訓練を施される事になった。その際、無茶な要請をしてきたムー国への腹いせなのか、無茶なスケジュールで日夜訓練を施した。まあ、それでも、管轄外とは言え、第1空挺師団の訓練よりはマシだと言うのだから、彼等のヤバさが窺える。

 

そんなハードスケジュールをムー国軍人が過ごしている間、【ラ・カサミ】の改造は着実に進んでいた。改造開始から約3ヶ月後、兵装の整備は完了し、速度テストや電探、各種ミサイル動作チェックや火器管制コンピュータの最終チェックに移行している。

 

戦艦【ラ・カサミ】

全長:131.5メートル

全幅:23メートル

全高:20メートル

排水量:15140トン

速力:18ノット

主武装:40口径30.5センチ連装砲2基

副武装:40口径15.2㎝単装砲14基、

20ミリ単装対空機銃18基

光学兵装:1.5メートル測距儀

電波兵装:無し

音波兵装:無し

搭載機:無し

 

改造後…

 

戦艦【ラ・カサミ改】

全長:162メートル

全幅:23.2メートル

吃水:8.6メートル

基準排水量:17880トン

満載排水量:19098トン

機関:統合電気推進方式

  JFE PC2.6B CR V20 ディーゼル発電機4基 常用合計  51000キロワット、最大合計62000キロワット

  電動機 最大出力40000馬力2基

  可変ピッチプロペラ2軸

  最大速力:29.4ノット

  航続距離:20ノット/6000海里 バッテリー駆動12ノッ ト/1500海里

  ディーゼル発電機 1200キロワット 2基

  全個体リチウムイオン電池 6群

全高:20メートル

排水量:25000トン

速力:30ノット

主兵装:45口径410ミリ単装自動砲2基

    54口径127ミリ単装自動砲4基

    20ミリ高性能機関砲4基52口径15.5センチ三                   

    連装砲2基

    80式対艦誘導魚雷3連装2基

副兵装︰シースパロー短SAM8連装発射機2基

    アスロックSUM8連装発射機1基

    ハープーンSSM4連装発射機2基

    近接防空システム5基

光学兵装︰OPS-24 3次元レーダー1基

     OPS-28C 対水上捜索レーダー1基

     OPS-20 航海用レーダー1基

電子兵装︰FCS-2-23 射撃/短SAM管制装置2基

     SFCS-6C 対水中射撃管制装置1基

音波兵装︰OQS-4A 艦底装備式アクティブソナー1基   

     OQR-1 曳航式パッシブソーナー1基

     NONR-6 電波探知装置

     OLT-3 電波妨害装置

その他:リング11対応

    スタビライザー2セット搭載

乗組員:480名

 

全長は多少伸びている。そして、40口径30.5センチ連装砲2基から45口径41センチ単装自動砲2基に変更した。これは、グレードアトラスター級戦艦を念頭にしており、交戦距離を3万メートルから15000メートルを目安にし、バイタルパートへの侵撤を防ぎ、上部構造物を破壊して、戦闘不能にする事を目的としている。また、装甲も工夫しており、結果として、距離3万メートルから1万5000メートルで46センチ砲弾の命中を受けても問題無い。

 

また、機関部とモーターについても、独立した場所に収めることで、戦闘不能になる事を防いでいる。最大速力は平水面で29.4ノット、外洋でも最大28ノットである。しかし、射撃距離2万4000メートル以内で命中率75パーセントを保つ為には、速力25ノットが安定的である。

 

また、対潜装備を持つ艦艇がムー国には、無いことから、ソナーやレーダー類も搭載された。しかし、哨戒ヘリは、スペースの問題から断念した。

 

乗組員は、コンピュータの操作方法や各種システムの操作方法を実技演習したり、座学に取り組んだり、魚雷や主砲の操作方法等、できる限りの訓練が施された。

 

こうして、日本国で成長した【ラ・カサミ】いや、【ラ・カサミ改】は、ムー大陸に派遣する自衛隊部隊を護衛に、ミニラル艦長含めた乗組員は、ムー国に帰国していった。

 





読者の皆様へのお願い。

今回、【ラ・カサミ】の改造艦を出しましたが、作者はミリオタではありません。なので、間違っている所があるかも知れません。(というか、あると思う)ので、有識者の方で、「あっれれ〜!おっかしぃぞ〜!」と思う事があったら、遠慮なく感想に書き込んでください。宜しくお願いします。 

各国の反応等で、稲荷神様の活躍が減るかも…ペロリストの皆様は申し訳ありません…

お気に入り登録、高評価、宜しくお願いします。

12月7、らっちぇぶむ様より改造案を頂きました。ラ・カサミの改造は同氏の許可を得て使用しています。

これから登場する兵器について

  • 核兵器
  • 光学兵器
  • その他(生物兵器、化学兵器、宇宙兵器等)
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