今回も、稲荷神様は出てきません。申し訳ありません。その代わり次回は絶対出します!
日間ランキング30位以内入賞ありがとう御座います!この事実を知らなくて、お気に入り登録者と閲覧数が倍増していて、私は宇宙猫と言うのを体験しました。(最新話投稿していないのに…)
―第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリス―
フォーク海峡にて座礁した【ラ・カサミ】を日本国のサルベージ会社が海上自衛隊護衛の下離礁作業をしていた日、少なくとも魔法技術において頂点に君臨する神聖ミリシアル帝国の帝都、ルーンポリス。そこは、高層ビルが立ち並んだこの世界の最先端とも言える都市だろう。(日本の地方都市レベルなのは内緒)
そんな帝都の皇城、アルビオン城の一室で、世界を動かす会議が行われようとしていた。その名は、【皇前会議】。その名の通り、皇帝が出席する会議であり、神聖ミリシアル帝国の要人たちが一同に集う。この会議の決定は、神聖ミリシアル帝国は勿論、世界の運命すら左右する。そんな重要な会議である。会議室には、既に要人たちが集っていた。やがて、荘厳な扉の開閉による重厚音と、共に姿を現したのは、ミリシアル8世。この世界で最も影響力を持つ皇帝である。
「これより、皇前会議を開催します」
司会を務める外務大臣ペクラスの言葉により、会議が始まった。最初に口を開いたのは、ミリシアル8世であった。
「余には…許せない事がある」
口調はゆっくりながらも、かえって怒っている事が窺える。
「グラ・バルカス帝国。我が国の民を、我が国の臣民を無差別に攻撃し、カルトアルパスを攻撃し、世界に冠たるわが帝国に泥を塗り、世界会議にて暴挙を行った国…。奴らは異世界より現れたと言うが、この世界を舐め腐っている。余は世界の長として、彼の国に神罰を与える!」
ミリシアル8世の言葉に、会議に参加する要人たちは何も口を挟まない。当然だ。皇帝が行うと言ったからには、その事実こそが正しいのだ。
「我が国を中心に、第一文明圏と第二文明圏の文明国からなる連合軍…【世界連合軍】を組織し、旧レイフォル沖に展開するグラ・バルカス帝国艦隊を殲滅せよ!陸軍もムー大陸に派遣し、奴らを第二文明圏から叩き落とせ!その後、奴らの本土…帝都を焼くのだ。では、会議を始めよう」
皇帝の意思がグラ・バルカス帝国撃滅なら、それを叶えるのが臣下の務め。しかし、皇帝のグラ・バルカス帝国撃滅は決定事項としても、具体的な作戦はこれから考える必要がある。それを決定すべく、会議が始まった。
この会議には、国家運営に携わる重役が顔を揃えており、司会進行を務めるペクラス外務大臣、外務省統括官リアージュ、軍務大臣シュミールパオ、国防省長官アグラ以外高級官僚も参加している。
国防省庁アグラは、挙手をして話始めた。
「陛下、すでに海軍としては、第1〜第3魔導艦隊の派遣準備が殆ど完了しています。陛下のお言葉1つで出撃可能です。なお、この3個艦隊は現在は、カルトアルパスに展開しております。第4~第7魔導艦隊は、現在準備中ですので、第1~第3魔導艦隊の出撃後の本土防衛用に残しておきたいと考えています」
神聖ミリシアル帝国は、帝都が国土の西方に位置している上、第三文明圏よりも第二文明圏の方が技術力が高いという観点から、西方防衛に力を入れている。第1〜第3魔導艦隊はミリシエント大陸東方の第三文明圏と第一文明圏にまたがるベリアーレ海の防衛を主軸とし、第4〜第7魔導艦隊はミリシエント大陸西方の第二文明圏と第一文明圏にまたがるシルベリア海及び帝都防衛を担っている。しかし、最近の国際情勢の変化により、第三文明圏旧列強のパーパルディア皇国が新興国である、日本国に滅ぼされた。その為、第1〜第3魔導艦隊司令部は緊張状態に陥った。
しかし、日本国は極めて友好的かつ、理性的、平和的で、パーパルディア皇国の様な覇権主義国家では無かったので、重要度は低い。故に、東方防衛をガラ空きにしても、第1〜第3魔導艦をグラ・バルカス帝国艦隊撃破に向かわせようと言う判断である。
ミリシアル8世が話を聞く中、外務省統括官リアージュがアグラに質問する。
「アグラ殿、第零式魔導艦隊及び各国の外務大臣護衛艦隊は、グラ・バルカス帝国の空母機動部隊に全滅こそしていませんが、敗れています。新鋭艦で編成されていた第零式魔導艦隊を撃滅した敵に対して、主力艦隊3つで戦力は足りる物なのでしょうか?世界連合を組織するにしても、我が国以外の…それこそ、日本国こそ別格ですが、それ以外の各国の戦力は実質的に形だけのものです。私としては、あてにしない方が良いかと存じます。また、もし次も敗れた場合、我が国の信用失墜に繋がりかねません」
リアージュの言葉に、アグラは慎重に検討し結論を出した。
「第零式魔導艦隊は、確かに新鋭艦で編成されていました。しかし、16隻と数が少ない上、敵の航空戦力に対してこちらの上空支援は、貧弱でした。そのことが敗因に繋がったと考えています。敵の航空攻撃による被害は甚大です。故に、航空戦力に関しては今回の戦訓を活かす必要があると感じています。ですが、レイフォル沖にいると推定される敵の艦隊規模を考慮して、第1〜第3魔導艦隊の3個主力魔導艦隊で十分に足りると判断しました。しかし、グラ・バルカス帝国のグレードアトラスター級戦艦は、46センチ砲との事で、防御力に不安は残ります。流石に、グレードアトラスター級戦艦相手だと、苦戦する事は確実でしょう。また、魚雷と呼ばれる水中移動爆弾も脅威です。しかし、これら3個主力艦隊には、天の浮舟を運用する空母もあります。それに、大型魔導戦艦も多数配備されています。後は、情けない話ですが、乗組員の練度を信じるしかありません」
アグラの言葉に嘘はない。神聖ミリシアル帝国の魔導艦隊の編成は、魔導戦艦2隻、航空魔導母艦2隻、重装甲魔導巡洋艦4隻、魔導巡洋艦8隻、小型艦20隻の計36隻だ。この36隻の魔導艦隊が3つなので、108隻の艦隊。主力艦が魔導戦艦、航空魔導母艦6隻ずつの艦隊だ。
しかし、神聖ミリシアル帝国の艦隊と、グラ・バルカス帝国の艦隊では、質が異なる。神聖ミリシアル帝国海軍の主力魔導艦隊に配備される魔導戦艦は、ゴールド級が主に配備されており、最新鋭の魔導戦艦は、ミスリル級戦艦だ。ゴールド級戦艦が34.3センチ砲、ミスリル級戦艦が38.1センチ砲だ。それに対して、グラ・バルカス帝国のグレードアトラスター級戦艦は、46センチ砲、ヘラクレス級戦艦でも41センチ砲だ。つまり、神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦は、射程、威力共に劣っているのだ。そして何より、戦艦は、自身に搭載された主砲攻撃に耐えられるように設計されている。つまり、神聖ミリシアル帝国の主砲では、ミスリル級戦艦であっても、グレードアトラスター級戦艦は勿論、ヘラクレス級戦艦の装甲も貫くのは困難だ。しかし、グラ・バルカス帝国は、神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦を貫く事が可能と言う事だ。
次に、空母についてだが、こちらも数、性能、艦載機搭載数全てにおいて負けている。神聖ミリシアル帝国海軍の航空魔導母艦【ロデオス級航空魔導母艦】と呼ばれる物だ。しかし、これは、空母というよりは【双胴航空戦艦】と呼ばれる、航空戦艦である。搭載機数は56機。これはグラ・バルカス帝国海軍の【ペガスス級航空母艦】の搭載機84機に比べて艦載機搭載数で劣っている事になる。加えてミリシアルの空母は双胴艦、しかも航空戦艦の為、運動性能、燃費、速度が極端に悪い。艦載機もフォーク海峡戦でグラ・バルカス帝国の【アンタレス07式艦上戦闘機】に落とされた、【エルペシオ3】の為、【アンタレス07式艦上戦闘機】に敵う筈がない。
稲荷神のお陰で、グレードアトラスター級戦艦の脅威は理解出来たが、航空戦力の差は理解出来ていない。練度で頑張る事が出来れば、史実のアメリカ軍は戦艦大和に魚雷を何本も撃ち込んでいない。
そんな事を知らないアグラが、逆にリアージュに質問する。
「リアージュ殿、今回の反攻作戦において、中心となるのは第一文明圏と第二文明圏であり、第三文明圏の国々は、参加しないのでしょうか?」
「はい。各文明国が参加すると言っても、我が国が主力となるでしょう。世界全体でグラ・バルカス帝国の侵略に反抗する為に、連合軍は組織しますが、戦力としては、当てにしていません。また、陛下は早期殲滅を希望しているので、早期に連合軍を組織する必要があります。その為、来るだけでも時間のかかる第三文明圏は、除外しています」
ここで、情報局長アルネウスが挙手をした。
「日本国はどうでしょう?彼の国は、グラ・バルカス帝国の航空機を撃墜しています。しかも、グレードアトラスター級戦艦を鹵獲すると言う離れ業をやってのけました。彼の国なら、戦力としても十分なのでは?」
その言葉に、リアージュは首を横に振って言った。
「確かに情報局長の仰る通りです。しかし、彼の国の本土は、第三文明圏外の東の果てです。第三文明圏の文明国よりも時間がかかるてしょう。最終的には、協力してくれるでしょうが、今回の反攻作戦には参加出来ないと思われます」
「そうですか…了解です」
残念そうに、アルネウスは呟いた。そこに、静かな声が響いた。
「よもや、負ける訳ではあるまいな?」
神聖ミリシアル帝国皇帝、ミリシアル8世が口を開き、続ける。
「この戦いは、文明国や文明圏外国、列強の戦いでは無い!魔法すら持たぬ国が、我が国…ひいては、魔導文明に仕掛けた戦いなのだ!負けられぬ戦だ!軍務大臣、国防省長官!敗北は許さぬぞ!」
「「ははっ!」」
軍務大臣と国防省長官が深く頭を下げている中、ミリシアル8世は、小さな声で、呟いた。
「戦局悪化の際には、古代兵器…海上要塞パルカオンの使用も検討せねばなるまい」
皇帝の呟きは、会議のざわめきの中に消えていった。その後の会議で、以下の事が決められた。
・神聖ミリシアル帝国を中心に、世界連合艦隊を組織し、グラ・バルカス帝国艦隊を撃滅する。
・第二文明圏からグラ・バルカス帝国を排除した後、本土侵攻、帝都を焼き払う。
・世界連合艦隊は、第一文明圏、第二文明圏が中心であり、第三文明圏の参加は見送る。しかし、参戦要請だけは、送る。
・日本国に対しては、断られる可能性もあるが、参戦交渉を密にする。
神聖ミリシアル帝国は、来たるべき戦いに向けて、情報局を中心に、各国の軍事力を調べ、使えそうな戦力を選定していた。海軍と空軍も艦艇や天の浮舟の整備をより一層強化していったと、共に、外交官は、各国に参戦を求めるべく、東奔西走していくことになる。
◆
―第一文明圏、アガルタ法国―
ミリシエント大陸北方に位置するこの国は、第一文明圏の中でも寒冷な気候…亜寒帯気候に属する。故に、夏でも涼しく、水や氷を生かした魔法の開発研究が行われている。また、この国は、第三文明圏のパンドーラ大魔法公国同様、"学院制"と呼ばれる政治体制を敷いている数少ない国だ。魔法学校と呼ばれる魔法・魔導教育研究機関が連合し、何時しか行政も担当する様になった国だ。
世間的には、アガルタ法国は、神聖ミリシアル帝国と同等の魔導技術を有するとされている。違うのは、神聖ミリシアル帝国が、古の魔法帝国の遺産解析にリソースを割いている一方、アガルタ法国は、個人が扱える魔法の研究に重きを置いている。
高度な魔道士ともなれば、箒に乗って空を飛ぶことも出来るが、燃費が悪く、航続距離も短い、風の影響を受けやすいと言った理由から、全てにおいて勝るワイバーンに乗ったほうが良く、使用する者は滅多にいない。
そんなアガルタ法国の首都ピールビーにて、学院連合総長である、法王ヴィンセントの眼前で、今後に関する会議を行っていた。
「…では、神聖ミリシアル帝国は、第一文明圏と第二文明圏の文明国で世界連合艦隊を結成し、旧レイフォル沖に展開するグラ・バルカス帝国艦隊を撃滅する…そして、我が国も参加して欲しいと言う事かね?」
長い白髭を生やしたヴィンセントが、服越しでも分かる筋肉を持つ黒髭を生やした男、軍王エサイアスに質問する。
「その通りです。我が軍は、先進11カ国会議に向かわせた外交官護衛艦隊をグラ・バルカス帝国に沈められています。故に、この戦は、死んでいった彼等の弔い合戦です」
第一文明圏は、この世界で最も文明が進んだ国と言える。その中でも、技術力が突出している神聖ミリシアル帝国が中心となり、第二文明圏で、魔法とは異なる技術体系である科学文明列強のムー国を中心に第二文明圏の文明国も参加する。第一文明圏の文明国たるアガルタ法国が参加しない訳には行かない。
外交官護衛艦隊は、グラ・バルカス帝国に敗れたが今回の攻撃は奇襲であり、神聖ミリシアル帝国も地方艦隊と基地航空戦力しかないので、負けただけだ。第一文明圏の強国が十分な準備をした艦隊なら、負ける筈が無い。会議場には、そんな雰囲気が広がっていた。
そんな中、魔導技術研究学の権威である、オシアトス魔導大学校の校長オロフが話始める。
「しかし…大丈夫なのですか? 奇襲とはいえ、グラ・バルカス帝国は我が国を含め、参加国の艦隊の殆どを殲滅しています。第二文明圏列強ムーでさえ、空母機動部隊が敗れているのです。ムー艦隊は、神聖ミリシアル帝国よりは劣るとは言え、我が国よりも高い技術を有しています。それに、我が国の主力である魔法船団も、ムーやその他の国の艦隊が多大な損害を被っていたので、やむを得ず試作段階である、艦隊級極大閃光魔法を使用したのでしょう?今亡きバクタール艦隊司令が艦隊級極大閃光魔法を使用したのは、バリスタ等の対空兵器では、グラ・バルカス帝国の飛行機械を落とす事が出来ないと判断したからかと思いますが」
そんな言葉に、外務大臣が反論する。
「オロフ殿。そうは言っても、グラ・バルカス帝国の侵略に対して、世界各国は一丸となって対抗しようとしています。そもそも、彼等の要求を飲むことなど不可能である以上、戦う他ないのです。それに、科学文明に我ら魔法文明が勝たなければ、来たるべき古の魔法帝国との戦いに負け、家畜へと成り下がるだろう。世界連合艦隊の参加を拒否すれば、世界は我が国を弱小国だの、腰抜け国家と言うことだろう。それだけは、国の威信にかけて、避けなければならない」
その後も、議論がなされたが、結論として、神聖ミリシアル帝国と共闘し、グラ・バルカス帝国と戦う事を決めた。
第一文明圏からは、アガルタ法国の他にも、傭兵国家として有名なギリスエイラ公国、外交官護衛艦隊が壊滅的被害を被ったトルキア王国が参加を表明した。だが、エモール王国は、参加を見送った。なんでも、『我が国は、内陸国であり、海軍を持たないため、風竜を竜母に搭載しての、運用は不安が残るため、参戦は見送る』との事だったが、しかし、これは、フォーク海峡戦で多数の風竜と、風竜騎士を失った為に、風竜騎士を温存する為の言い訳にしか聞こえない。
第二文明圏からは、ニグラート連合、マギカライヒ共同体、そして、第二文明圏列強ムー国も参戦を決めている。
そんな中、神聖ミリシアル帝国から日本国に1人の外交官が飛び立った。日本国は…ひいては、稲荷神は、グラ・バルカス帝国艦隊撃破をどう判断するのだろうか?
〜コラム〜
魔導戦艦
神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦の砲が、グラ・バルカス帝国のより劣っているのは上記の通りだが、この事実を知ったのは、我らが稲荷神が【アンドロメダ】を鹵獲した事で、グラ・バルカス帝国の兵器の詳細なスペックまでは知らないが、大まかに、『こんな兵器がある』事は、神聖ミリシアル帝国も把握しています。その点が、バタフライエフェクトです。
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これから登場する兵器について
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核兵器
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光学兵器
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その他(生物兵器、化学兵器、宇宙兵器等)