ペロリストの皆様お待たせしました!
この話とは関係ありませんが、作者の別作品も是非宜しくお願いします。(面白くなかったら低評価宜しくお願いします)
―第三文明圏圏外、日本国首都東京―
ある日、日本国外務省に、1人の女性外交官が来ていた。彼女は、神聖ミリシアル帝国外交官、フィアームである。
彼女は、2日前に、外務大臣と会談を行い、世界連合軍への参加交渉をした。日本国側は、関係各所の重役を集めて、稲荷大社謁見の間で会議を行った。ムー大陸への派兵は決まっていたが、世界連合艦隊、ひいては、神聖ミリシアル帝国主導の連合軍に参加するかの会議を行ったのだ。
「フィアーム殿、お待たせて申し訳ありません」
会談場所で待つこと5分、やって来た外交官相手に、外務大臣は声を掛けた。
「いえいえ、それよりも、先日の世界連合艦隊への参加の有無の結論が出たのですね?」
「はい。我が国は検討した結果…」
◆
時間は1日遡る。
神聖ミリシアル帝国外交官フィアームからの参加要請を受けて、自衛隊のトップである稲荷神は勿論、その他閣僚達を集めて会議を行った。
「私は、今回の交渉については、見送るべきだと思います」
稲荷神の言葉に、場は小さなどよめきが響いた。先日の会議で、ムー大陸への派兵の話が纏まった所で、その発言を否定するかのような言葉だ。閣僚達は、不思議に思った。しかし、稲荷神の意見を裏付ける証拠があった。
「私は、稲荷神様の意見に賛成です」
そう言ったのは、別班統合隊長であった。
「我々が各国の把握出来ている戦力規模を下に、何度かシュミレーションを行いました。しかし、全ての結果において敗北しています。帆船は論外として、第二文明圏のムー国以外は、精々が江戸時代初期の黒船であり、ムー国でさえ、江戸時代後期の戦艦三笠クラス、神聖ミリシアル帝国でようやく第二次大戦頃の戦力です。当てになるのは、神聖ミリシアル帝国くらいでしょう。事実、幕末頃にロシア帝国による対馬占領事件において、戦艦大和が、三笠より劣るとは言え、ロシア帝国海軍のポサドニック号を主砲攻撃で撃沈しているのです。木造船など、戦力にならないのは明白です」
別班統合隊長は、1拍おいて続ける。
「それに加えて、航空戦力についても同様です。この世界の主力の航空戦力であるワイバーンを運用している国は、文明国では少ない様ですが、その上位個体であるワイバーンロードでも、グラ・バルカス帝国の戦闘機に一方的に撃墜されています。ムー国の戦闘機は、我が国が技術供与したものですが、零戦に97式艦上戦闘機では勝てないのは道理です。また、神聖ミリシアル帝国の戦闘機はジェット機に似た航空機なのですが、速度がレシプロ戦闘機レベルであり、此方も同様に撃墜されています。つまりは、対等以上に戦えるのは、我が国と神聖ミリシアル帝国のみです」
この事実が正しければ、神聖ミリシアル帝国は、日本国の軍事力を当てにしていると言う事だ。しかし、これは別の問題も意味する。
「我が国ならともかく、他国はグラ・バルカス帝国に敵う筈もありません。恐らく、神聖ミリシアル帝国は、各国の戦力を当て馬…別の言い方をすれば、弾除けに使うつもりでしょう」
これは許されざる事であった。自衛官達は皆、ペロリストであり、稲荷神に忠誠を誓っていると言っても過言ではない。そんな、ペロリスト力溢れた自衛官が神聖ミリシアル帝国の弾除けの為に集めた艦隊のお世話をしながら参戦するなど、彼等の忠誠を裏切る事と同義である。
別班統合隊長の言葉で、稲荷神の言葉に理解こそすれ、納得していなかった面々も賛同した。つまりは、日本国の派兵延期に舵が取られたのだ。まあ、それを事前に予測して対策する稲荷神をワッショイワッショイして、稲荷神は、チベットスナギツネ略してチベスナ顔になるのだが、それを知る者はいない。
◆
時を戻して…
「はい。我が国は検討した結果…派兵については見送る方針です」
「…理由をお伺いしても宜しいですか?」
「はい。ここ第三文明圏圏外から第二文明圏までは、遠いです。故に、間に合わないと判断しました。他にも、派遣する艦隊の調整も必要です。ムー国への支援も必要ですので、陸上自衛隊つまりは、陸軍ですね。陸上自衛隊の派兵準備も必要です。そう言った理由から、今回は辞退させて頂きます」
「分かりました。しかし、派兵意思はあると言う事で宜しいでしょうか?」
「はい。その証拠に、我が国の最高統治者である稲荷神様と、我が国首相からの署名と判子のある、公式文書をお渡しします」
世界連合艦隊への参加こそ取り付けられなかったが、後々の作戦での派遣は、公式文書まで貰って確約している。これで、成果は得られたと、フィアームは、公式文書を持って、神聖ミリシアル帝国へと帰国した。
◆
―第三文明圏圏外、日本国、沖縄南東約400キロ付近海域―
グラ・バルカス帝国の宣戦布告を受けて、日本国は哨戒機による哨戒シフトを増やし、海上からの侵入にも注意を払っていた。そんな中、青い海面の下に1つの影があった。それは、この世界の生物である海魔や、海のギャングと呼ばれるシャチに似ている。しかし、その生物の背びれの位置に、背びれはなく、突起物が高く伸びていた。これは、生物ではなく、人工物である。そう、この物体は、潜水艦。それも、グラ・バルカス帝国所属の【シータス級潜水艦】ミラ。第2潜水艦隊の潜水艦である。その形状は、戦艦大和と武蔵建造後に作られた潜水艦。【伊400型潜水艦】に酷似している。
グラ・バルカス帝国は、潜水艦を初めて建造した。その後、そのノウハウを用いて、性能の良い潜水艦を作り上げた。前世界ユグドでは、潜水艦黎明期であり、高度な技術を要求される潜水艦を持っているのは、グラ・バルカス帝国とケイン神王国のみであった。そのケイン神王国も、潜水艦は原始的な物であり、グラ・バルカス帝国程の潜水艦は作れなかった。その上、ソナーを開発する事が出来ず、潜水艦を探知する事が出来なかった。爆雷も同様である。故に、潜水艦は大戦において多大な戦果をあけだ。結果、グラ・バルカス帝国軍部内では、戦艦不要論が出るほどであった。
その後、転移した後は秘匿のために潜水艦の任務は基地建設の資材運搬に用いられた。しかし、神聖ミリシアル帝国でさえ、魚雷や潜水艦の存在を知らない事が判明。軍部は方針を転換し、世界征服を優位に進める為、偵察や通商破壊、軍艦撃沈の任務に当たることになった。
そして今回、第一文明圏や第二文明圏への通商破壊を開始すると共に、フォーク海峡戦で予想以上の被害を受け、あまつさえグレードアトラスター級戦艦と言う帝国の武威を見せつける戦艦を鹵獲した日本国を脅威として認識した。グラ・バルカス帝国は、日本国に対して情報を少しでも集めるべく、諜報員増員、戦力の削減を狙っていた。この世界の東の果て位置する日本国でさえ、グラ・バルカス帝国の刃は届く事を世界に知らしめるために、【シータス級潜水艦】ミラは沖縄県近海に来ていた。
この世界に幾つも存在する数々の無人島に建築資材を潜水艦によって浮上した状態で輸送。現地の帆船等を察知したら潜望鏡深度に潜航。秘密裏に運び込み、基地を完成させた。【シータス級潜水艦】ミラは、日本国に程近い無人島の基地から補給を行い、ここまで来ていた。
【シータス級潜水艦】ミラの艦長は、日本国の海上自衛隊所属艦を撃沈すべく、魚雷発射準備を行う。しかし、彼等は知らない。沖縄は、日本国有数の魔境と言うことを…
◆
―日本国海上自衛隊、沖縄近海―
沖縄に駐屯する海上自衛隊は、数日前に防衛省と、基地司令部から所属不明の潜水艦が接近しているとの連絡があった。防衛省は、監視衛星にて航跡波が有るのに、船が見当たらない不思議な現象を発見した。しかし、直に潜水艦によるものだと断定。沖縄駐屯基地司令部に連絡した。それを受けて、対潜能力が高い駆逐艦【朝霧】が出向いていた。
現場に出向いた【朝霧】の乗組員は困惑していた。何故なら、所属不明の潜水艦は、防音を全くしておらず隠れている気配が全く無かったからだ。この潜水艦は、グラ・バルカス帝国所属の可能性もあるが、他国の潜水艦である事も否定できない。なので、出来れば所属を明らかにし、戦闘行動を取るなら撃沈する事も許可していた。
困惑していた【朝霧】のソナー係だが、所属不明艦から魚雷発射音が聞こえたのだ。これを受けて、【朝霧】は機関全速を開始。グラ・バルカス帝国の潜水艦から放たれた魚雷は無誘導の空気魚雷だ。魚雷破壊魚雷を使用する事も考えたが、コンピュータによる軌道予想計算によると、回避行動を取れば命中弾ゼロとの事で、使うことはなかった。その後、お返しとばかりに対潜誘導短魚雷を発射した。
◆
一方、グラ・バルカス帝国所属【シータス級潜水艦ミラ】でも騒ぎが起きていた。潜水艦について知らない筈の日本国が、魚雷を発射準備をした途端、全速航行を開始した。その時はまだ無駄な足掻きだと思った。しかし、グラ・バルカス帝国の駆逐艦よりも高い加速性能で
回避してしまった。
爆雷を警戒するため、艦長は急速潜航を指示する。しかし、潜望鏡を覗いていた艦長は日本国艦艇が海に奇妙な物体を撃ち込んでいるのを見つけた。艦長は疑問に思っていたが、その疑問は直に解決する。
ピコーン……ピコーン……
そう、グラ・バルカス帝国でも開発に至っていないアクティブソナーの探査音である。
ソナー係の言葉に艦長は怒る。グラ・バルカス帝国でも開発に至っていないアクティブソナーを日本国と言うそこそこの国が開発に成功している。これはつまり、日本国は潜水艦の存在を、対潜兵器を有していると言う事だ。それは勿論、潜水艦を有していると言う事だ。これは極めて重要な情報であった。艦長は、今後のグラ・バルカス帝国の方針に大きな波紋を与えるこの情報を持ち帰ると決意した。しかし、悲しきかな。彼等に迫っているのは、魚雷。しかも誘導魚雷である。
誘導魚雷は、潜水艦の位置を正確に追跡する。【シータス級潜水艦ミラ】は、何とか振り切ろうとするが、原始的なデコイさえ装備していない潜水艦に抗う術は無かった。(デコイがあっても結果は同じだけど…)グラ・バルカス帝国所属の潜水艦は、戦果を1つも挙げることなく海の底に沈んでいった。
◆
―第三文明圏圏外日本国沖縄県―
沖縄県沖にて、所属不明の潜水艦を撃沈したとの連絡があった。そこで、稲荷神は所属不明潜水艦の対処に当たった駆逐艦【朝霧】の乗組員を表彰すべく、急遽沖縄県に出向いていた。
稲荷神専用プライベートジェット機で那覇空港に着陸した稲荷神は、沖縄県住民から熱烈な歓迎を受けていた。稲荷神は、もう慣れたとばかりにオープンカーに乗って、左右にひしめく観衆達に手を振っている。そんな彼らの歓迎はいつまで経っても続き、沖縄の自衛隊駐屯基地に入るまで続いた。
因みに、沖縄の住民達に混じって屈強な外国人達がいた。これは、日米英独豪安全保障条約にもとづいて、名護市の辺野古周辺に作られた日本国以外の国の基地だ。彼らも休みをとって稲荷神を見物しに来たのだ。
閑話休題
それはさておき、稲荷神は沖縄の海上自衛隊那覇駐屯地に訪れていた。そこで駆逐艦【朝霧】の乗組員を表彰した後、重役達と会議をしていた。
事前に所属不明の潜水艦をサルベージする様に命令した所、トントン拍子に話が進み、先日サルベージが終わり解析も済んだとの連絡もあり、表彰も兼ねて沖縄に訪れ会議をする事になった。
「それでは、サルベージによる所属不明の潜水艦の解析結果は?」
「はい。解析した所、グラ・バルカス帝国所属のシータス級潜水艦ミラだと特定しました」
稲荷神の問いに、駐屯基地の司令官が答える。
「では、性能はどれくらいでしょう?」
「はい。そこからは私が」
名乗りを上げたのは技術者だ。滅多に会えない稲荷神を生で見て、技術者は若干緊張している。しかし、それでは話も続かないので、技術者は話し始める。
「その潜水艦ですが、全長122メートル、幅12メートル、排水量は約3500トンと、幕末期の海上自衛隊の潜水艦、【伊400型潜水艦】に酷似しています。速度も、機関部を解析した所、【伊400型潜水艦】と同程度と思われます。次に主兵装についてですが、53センチ式空気無誘導魚雷です。副兵装については、口径14センチ単装砲1門、20ミリ三連装対空機銃3基、単装20ミリ機銃1丁です」
(ホント、大和もそうだけど、グラ・バルカス帝国って何でこうも設計が似てるんだろう?)
稲荷神は、疑問に思っていたが、1つ思い出したことがあったので、技術者に聞く。
「そう言えば、伊400型潜水艦は艦載機もあったと思うのですが」
「はい。艦載機自体はありますが、伊400型潜水艦とは異なります」
そう言って、技術者は続ける。
「この潜水艦のステルス性なのですが、全くと言っていいほどなっていません。音波吸収材やデコイ、果てはエンジンの騒音すら考慮されていません」
「え…ウチは潜水艦の防音対策はしっかりしてますよね?」
稲荷神は思わず司令官に問う。
「勿論です。そんな欠陥設計はしていません」
稲荷神は、考え込んで言った。
「この潜水艦の情報を含めた対抗兵器について、神聖ミリシアル帝国に情報提供をして下さい」
「稲荷神様?…」
司令官が思わず稲荷神を呼ぶ。稲荷神は頷いて持論を展開した。
「先進11カ国会議で、グレードアトラスター級戦艦の説明をする際に、魚雷や潜水艦の話を簡単にしたんです。けど、どの国も潜水艦は疎か、魚雷すら知らない始末でした。これだと、グラ・バルカス帝国の潜水艦の良い鴨です。そこで、潜水艦による被害を減らすために情報提供をして、連合軍の戦力低下を少しでも防ぐのです」
「なるほど!小官は感激しました!」
その後、技術者は色んな兵器の詳細を資料にまとめて、防衛省に提出。それは、外務省を通じて、神聖ミリシアル帝国に届けられる事になる。
〜コラム〜
日米英独豪安全保障条約
きっかけは、アメリカと日本との安全保障条約だった。しかし、この世界の日本は交戦権を放棄している訳でもなく、軍隊を保有している。(世界最高峰)故に、メリットが無かった。稲荷神の判断待ちになっており、考え抜いた稲荷神は、他国も巻き込もう。と、結果として日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアによる条約が締結。内容を軽く説明すると、喧嘩せずに仲良く協力し合う。もし他国に攻められたら必ず助ける…である。
結果として、ヨーロッパの火薬庫に代わる火薬庫が完成。この5か国が大人しくしていれば、世界は概ね平和という事だ。まさしく鉱山のカナリアであり、日本の関係者は胃痛に悩まされるのだが、発案者の稲荷神はコラテラルダメージと割り切り、狼と戯れていた。
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