稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

51 / 96
お気に入り登録、高評価、誤字報告ありがとう御座います!

作者の他作品も宜しくお願いします。(面白くなかったら低評価でもして行ってください)


グ帝基地襲撃

 

 

―日本国西方地点、名も無き無人島―

 

この世界には、大小様々な無人島が存在する。そう言った無人島は、何処かしらの国の手垢が付いている物だが、この島はとても小さく人間が住める環境が整っていなかった。更に、辺境の地にあるが故に航路にもならず、結果として何処の国も手を付けなかった。こんな島に来るのは、精々が海賊がたまーに潜伏する程度だった。

 

しかし、現在この島は、遥か西に位置するグラ・バルカス帝国が占有していた。この無人島は、海岸が崖に囲まれており、グラ・バルカス帝国は、この海岸を軽く削って潜水艦基地を建設していた。本来はここで終わりだったのだが、軍部の指示で第三文明圏の通商破壊を含めた第三文明圏及び第三文明圏圏外への攻略拠点の1つとすべく、戦車やら港湾施設やら航空基地を建設した結果立派な中規模軍事拠点へと変貌していた。

 

陸上戦力として工兵や戦車数十両、警備兵を。海上戦力として、潜水艦数十隻、駆逐艦、巡洋艦、軽空母合わせてくれれば数十隻。航空戦力としてアンタレス07式戦闘機とシリウス型爆撃機が十分な数用意されていた。

 

これ程の戦力なら、この世界の主力海軍は時代遅れの戦列艦であり、航空戦力も速度で劣るワイバーンやワイバーンロードだ。日本国は分からないが、彼の国が艦隊を出撃させたと言う情報はない。

 

そして、肝心の日本国に対する通商破壊作戦だが、全くと言っていいほど進んでいない。日本国近海へと送った潜水艦は悉くが未帰還になっている。最初の内は、事故か何かと思われたが、30隻以上が未帰還となれば、日本国は対潜水艦装備を持っているという事だろう。しかし、基地司令官てあるゴートンはこの島は近隣国の航行ルートから離れているので基地が見つかるはずがないと高をくくっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝早くからアンタレス07式戦闘機の小隊が離陸していた。この基地に近づく船舶がいないかの哨戒任務をしているのだ。

 

そんなアンタレス07式戦闘機を基地に取り付けられた対空レーダーで、レーダーマンが警戒に当たっていた。夜勤シフトが代わったので眠い眼を擦りながら任務に当たっていた。眠いので、軽く瞬きをする。その一瞬の隙に先程まで正常に動いていたレーダーの画面は白くなっており何も映らなくなってしまった。

 

レーダーマンは故障かと思い、押したり引っ張っりする。しかし、レーダーはうんともすんとも言わない。電源を入れ直しても駄目だった。上官に報告しようと持ち場を離れようとした時だった。突如として空襲警報が鳴ったのだ。混乱しつつも、レーダーマンは持ち場に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

 

朝早くから離陸していたアンタレス07式戦闘機の小隊は、哨戒に当たっていると、近くの海に船の一団を見つけた。それらは、この世界の主力艦である戦列艦よりも大きく速度も速かった。近隣国でこの様な艦を持っているのは日本国だけだ。しかも、空母を有している主力艦隊と見て間違いない。

 

如何にアンタレス07式戦闘機が優れた機体とは言え、神聖ミリシアル帝国と同等とされている日本国の主力艦隊に小隊規模で挑むのは自殺行為だ。しかし、隊長は基地に連絡をしようとするが、ノイズが走るだけで基地からの応答は一切なかったので、襲撃をかけようとする。しかし、日本国も発見されたからには生かしてはおけないとばかりに、戦闘機を発艦させる。

 

この戦闘機は、ほんの数秒でアンタレス07式戦闘機が飛ぶ高度までやって来たと思えば、目視で追えないほど素早い動きをする。そんな飛行機は、とある物体を打ち出した。それは、ロケットと呼ばれる物であった。

 

グラ・バルカス帝国でもロケット兵器は知られているが、その評価は砲撃よりも命中率が低く、産廃兵器であると考えられている。それを、更に命中しにくい航空機に当てるなど、舐められた物だと感じつつ攻撃をしようとする。

 

しかし、回避したロケット弾はあろうことか、向きを変えてピッタリと追ってくる。振り切ろうにも、誘導兵器に対する対策など何一つ無いアンタレス07式戦闘機は、小隊全てが、数分の内にバラバラになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国の艦隊は呉を出港した。ムー国への派兵を行うために、戦後初めてであろう、多数の輸送船を駆逐艦、巡洋艦、空母による輸送船団護衛が行われていた。そして、今回、日本国周辺海域で通商破壊を行っているグラ・バルカス帝国の軍事拠点を叩くべく、数隻の巡洋艦と空母が出向いていた。

 

何故、今になって拠点を叩きに来たのかと言うと、既に赤外線カメラを取り付けた監視衛星で場所を特定、その後、付近まで接近したステルス無人偵察機によって、この無人島がグラ・バルカス帝国の通商破壊作戦をしている基地だと特定は出来ていた。しかし、何故直に破壊しなかったのかは、新設した護送船団がしっかりと機能しているかにあった。護送される民間人には悪かったが、テストを行い、データが採取出来たのと、ムー国への派遣すると言う情報が露呈しない為の機密保持、そして、本国に残る自衛隊の軽減負担の為に、今回叩かれる事になった。

 

今回の攻撃だが、自衛隊が事前に日本本土で稲荷神や総理大臣の許可を得て、ムー国へ派遣される前の本格的な軍事演習と銘打ってやることになった。その作戦は以下の通りだ。

 

グラ・バルカス帝国はレーダー類を実用化しているので、電子機材と無線を無効化する。その間に艦隊で島を包囲する。そうしたら、ステルス戦闘機を発艦させ、基地内の対空兵器、戦車、戦闘機と言った兵器を破壊する。また、その際に邪魔してくると思われる敵戦闘機を撃破。その後、レーダー施設は余裕があれば破壊。基本的には石油タンクや燃料庫や弾薬庫を破壊する。そうしたら、駆逐艦や巡洋艦からの巡航ミサイルの攻撃により基地機能を完全に喪失させる。その後、空挺師団による攻撃で生き残りを捕縛。基地を制圧すると言った内容だ。

 

既に離陸していたアンタレス07式戦闘機を撃墜したステルス戦闘機富士は、後続のステルス爆撃機星影を先導しながらグラ・バルカス帝国基地へと向かっていた。

 

この様子を見張り台から見ていた警備兵は驚いた。この世界で連戦連勝していアンタレス07式戦闘機が機銃1発も撃てずに一方的に撃ち落とされたのだ。相手の戦闘機の後ろには数十の爆撃機が向かっている。直に電話で司令部に伝えると、空襲警報が鳴り基地は騒然とする。

 

アンタレス07式戦闘機のパイロットは慣れた手つきでアンタレスの離陸準備をする。あるいは、【2号軽戦車シェイファー】やシリウス型爆撃機に偽装ネットを被せ、対空機関砲や高射砲の照準を上空に合わせようとする。敵爆撃機や敵戦闘機は、グラ・バルカス帝国の爆撃高度よりも低空を飛行しており、対空砲を命中させるのも簡単だと思われた。しかし、日本国の航空機は音速を超えるのだ。目視で捉えることは困難であった。対空砲は当たらない。しかし、敵爆撃機のロケット弾による攻撃は飛行場を、対空砲を、離陸中のアンタレスを、2号軽戦車シェイファーを破壊していった。

 

そして、緊急発進に成功したアンタレス数機は、敵戦闘機や敵爆撃機を攻撃しようとする。しかし、それらは全て青い炎によって炎上する。ムー国に派遣される部隊なので、当然の様に自衛官の士気向上の為に稲荷神も艦隊に乗り込み、作戦にも参加していたのだ。稲荷神は、飛行機が飛び交う空を狐火を灯しながら飛行する。そして、科学の目より高性能な視力でまだ健在な施設を燃やしていく。

 

それにより、戦車や飛行機、その他兵器や施設を燃やす。これにより、この基地における戦力は著しく低下していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国の攻撃隊がグラ・バルカス帝国の基地を攻撃している頃、無人島西部では空中戦が繰り広げられていた。

 

空母【出雲】【青龍】【白虎】から発艦したステルス戦闘機富士は、2つのグループに分かれて行動していた。1つは、グラ・バルカス帝国の空母から発艦した戦闘機の排除。もう一つが、駆逐艦や巡洋艦、空母そして、潜水艦を撃沈するチームだ。

 

グラ・バルカス帝国の戦闘機を撃墜するチームの仕事は早々に終わってしまった。何故なら、空対艦誘導ミサイルを撃ち込んでいたもう一つのチームが空母に優先的に撃ち込み、グラ・バルカス帝国のアンタレス07式戦闘機を発艦させる隙が少なく、数機程度しか出せなかったのだ。

 

そして、音速を超える戦闘機を持ち、空対空誘導ミサイルを所持している日本国の戦闘機に音速も超えておらず、ミサイル1つも所持していないグラ・バルカス帝国の戦闘機が敵う筈もなく、撃墜された。最早、練度が云々の問題ではなかった。

 

一方、空母を優先的に撃沈した攻撃隊は、駆逐艦、巡洋艦、潜水艦を狙い始めた。駆逐艦と巡洋艦は、懸命に弾幕を張る。しかし、目視出来ない速度で飛ぶ戦闘機を撃墜する事は出来ず、これもまた、戦闘機同様に空対艦誘導ミサイルで撃沈される。潜水艦は急速潜航をするが、もう遅い。潜水艦対応を行うチームが持ってきていたのは、航空機用の対潜魚雷だ。投下された魚雷は、アクティブソナーによって敵潜水艦を探し出し、グラ・バルカス帝国の魚雷よりも速い速度で進み、魚雷は潜水艦に命中、撃沈された。

 

グラ・バルカス帝国の基地に十分な攻撃を与えた攻撃隊は、各々の空母に戻っていった。その後、沿岸砲も沈黙し、最早海の孤島と化しつつある無人島に日本国の駆逐艦や巡洋艦から巡航ミサイルが残った兵器や施設を攻撃。グラ・バルカス帝国の基地の残存兵力は無いに等しい状態となった。

 

そこに、稲荷神を筆頭とした第一空挺師団が降下。残った武器は手榴弾や手持ちの小銃であるのに対し、第1空挺団は、レーザーサイト付きの自動小銃や機関銃、爆薬など様々だ。しまいには、稲荷神様の狐火がある。これで負ける筈が無い。

 

結果的に、第2潜水艦隊司令官ゴートンは僅かな残存兵と共に降伏。日本国の捕虜となった。生存者が数十名に対して、死亡者は数百を超えた。しかし、日本国側の死者は1人もいなかった。まさしく、ワンサイドゲームと言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

―数日後、日本国艦隊旗艦出雲―

 

グラ・バルカス帝国との衝突で、輝かしい戦果を上げた日本国は、航路をそのまま西に向けて、ムー大陸を目指していた。ムー大陸は、グラ・バルカス帝国の魔の手が迫っており、日本国はグラ・バルカス帝国を叩きのめす為に向かっていた。

 

その際、ついでとばかりに行われた日本に対する通商破壊作戦の拠点を破壊制圧した。これにより、本国の海運業にも支障はなくなるだろう。

 

ムー大陸に行くにあたって、稲荷神と司令官安井、その他幹部や陸上自衛隊幹部、各艦の艦長と副艦長が空母出雲に集まって会議をしていた。そして、特別ゲストとして護衛をしている【ラ・カサミ改】級戦艦の艦長のミニラル、副艦長マーベルが来ていた。彼等は、日本国の空母に興味津々だ。

 

「それでは、会議を始めます」

 

艦長山本の言葉から会議は始まった。

 

まず、安井司令が話始める。

 

「今回は、ムー国の要望により改造した【ラ・カサミ】級戦艦の護衛兼ムー国への派兵です。その際、艦隊を3つに分けます。空母【青龍】を始めとする第1護衛隊は陸上自衛隊第1軍を伴って北部の港へ。空母【白虎】はラ・カサミ改を伴って水陸機動団、第2護衛隊護衛の元、オタハイトに向かう。本艦は、このままマイカルに入港します」

 

話は続く。

 

「神聖ミリシアル帝国が主導する世界連合艦隊が結成されるとの事で、その結果次第では状況は変わりますが、勝利した場合は、各国と歩調を合わせて旧レイフォルに進軍します。しかし、世界連合艦隊が敗れた場合の大まかな流れは、西方から進軍してくるグラ・バルカス帝国を撃破。その後、旧レイフォルや旧イルネティアを奪還します」

「ありがとう御座います。安井さん。聞いての通り、グラ・バルカス帝国を倒す初動は成功しました。我々は後顧の憂いを絶って前線に集中できます。私達は、グラ・バルカス帝国の侵略に対して断固とした対応を取ります。皆心してかかるように!」

「「「ハハッー!」」」

 

そう言って会議はどんどんと進んでいった。その間、稲荷神は…

 

(早く家に帰って狼達と遊びたいな〜家でゴロゴロしたい…)

 

と思っていた。そして、稲荷神の鼓舞に同席していたラ・カサミ改の艦長ミニラル達は…

 

(最高統治者とは言え、幼女に頭を下げている…事前に聞いてなければ目を疑うだろうな…)

 

と思ったとか…

 

まあ、そんな両者の思いを他所に、日本国自衛隊の士気は絶好調になる。そんな事は稲荷神もミニラルも知る由ではない。

 






〜コラム〜

空母名

今回登場した空母出雲、青龍、白虎てすが、史実の日本海軍は空母の名称に想像上の生き物を採用しており、青龍を出したので、今回は白虎を出しました。あと一つは…分かると思います。

因みに、出雲は現代自衛隊の【いずも】から貰いました。

お気に入り登録、高評価、宜しくお願いします!

これから登場する兵器について

  • 核兵器
  • 光学兵器
  • その他(生物兵器、化学兵器、宇宙兵器等)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。