稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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※投稿予約を間違えました。御迷惑おかけしました。


いざ!ムー大陸

 

 

―第二文明圏列強ムー国商業都市マイカル―

 

マイカルは、"商業都市"の名前の通り、第二文明圏最大の経済都市だ。他国の船舶に航空機、車両がひっきりなしに訪れる。戦時下であるが、マイカルにはお構い無しに人が訪れていた。当然、沢山の外国人が訪れる為にマイカルの港は広さ、水深ともに良く、貿易港としては勿論、ムー統括海軍の拠点の1つとしても活用されている。

 

そんなマイカルに多数の船団が現れた。それは、一見すると交易船の群れに見えるが、よく見てみると軍艦だと分かる。輸送船が多く、その中に混じってムー国の駆逐艦すら劣る大きさの駆逐艦や巡洋艦、空母があった。

 

そう、日本国海上自衛隊のムー国へ派遣された船団である。

 

その内訳は以下の通りだ。

 

空母…3隻

巡洋艦…9隻

駆逐艦…12隻

輸送船…18隻

 

そして、原子力潜水艦が数隻だ。

 

計42隻の日本国海上自衛隊始まって以来、珍しいほど多くの大艦隊だ。

 

この艦隊は、事前の取り決め通りマイカル、オタハイト、北の要港の3つに分かれて行動する。オタハイトと北に向かう護衛隊は、ゆっくりとマイカルから離れつつあった。

 

マイカルでは、日本企業が多数進出し、日本の優秀な製品が飛ぶように売れ、絶好の好景気となりつつある。技術協定を進んでおり、日本及びムー国の経済発展に一役買っている。

 

それは、観光業にも当てはまる。ここマイカルに進出した日本風の旅館は予約殺到となっているが、稲荷神はフリーパスで利用する事が出来た。それも、高級宿である。稲荷神は、税金の無駄だからと一般宿を希望したが、お世話係を纏めている桜さんと近衛の希望だった。何でも、『稲荷神様に異国の地でも和風情緒溢れる旅館でごゆっくり休んでもらいたい』との事だった。また、『ムー国が外国の要人を安い宿に泊めては国の沽券にも関わります』と言われてしまっては頷くしかなかった。

 

結果、快適なサービスに気を良くした稲荷神であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、ムー国に入港した日本国自衛隊は、北の要港であるボンデム陸軍基地とオロセンガ基地に陸上自衛隊第1師団が駐屯した。水陸機動団は、【ラ・カサミ改】を含めてムー国の首都オタハイトの海軍基地に駐屯した。そして、稲荷神含めた艦隊本隊は、マイカルに入港していた。

 

そして、早くも活動を始めている部隊があった。ムー国西部の鉱山都市キールセキにあるエヌビア基地。そこに、第1工兵隊の姿があった。彼等は、ムー国に着くとムー国側の許可をとって空軍基地の改修を行っていた。

 

内容は、滑走路の延伸及び補強。無線装置の追加だ。後ほど、日本国航空自衛隊のステルス戦闘機やステルス爆撃機がやって来る手筈だ。いち早く受け入れ体制が整うようにレーダー施設やジャミング装置、早期警戒・防空管制施設も設置する予定だ。また、数は少ないが、基地防衛用地対空誘導ミサイルや、AI制御無人戦闘ヘリコプターも配備されている。他にも、輸送用や偵察用もある。

 

何故この様な整備をしているのかと言うと、西からやって来るであろうグラ・バルカス帝国陸軍を迎え撃つためである。また、現地に潜入している諜報員からヒノマワリ王国が降伏を視野にグラ・バルカス帝国と話を進めているとの事だった。

 

グラ・バルカス帝国は、降伏した国との国境地帯に要塞を作り、其処を軍事拠点として活用する傾向にある。確かに、要塞を作ることで補給基地としても機能するので、この判断は理にかなっているだろう。これは、監視衛星からも旧レイフォルとヒノマワリ王国の国境付近でも確認されており、ヒノマワリ王国にも建設されるのは時間の問題である。故に、近々侵攻があると考えた日本側は、基地の使用許可及び改修を要請。その要請は受理され、こうして工兵隊が受け入れ体制を整えていくる。と言う事だ。

 

そして、約1ヶ月後には突貫の改修工事も終わりに差し掛かっている。ステルス戦闘機やステルス爆撃機は同基地にやって来ている。そんな中、エヌビア基地に陸上自衛隊第1師団がオロセンガ基地から鉄道でやって来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―ムー国エヌビア基地内部キールセキ駐屯地―

 

駐屯地にある司令室で司令官は部下からの報告を聞いていた。

 

「ズドン司令、間もなく日本国の陸上自衛隊第一陣が駐屯地駅に到着するそうです」

「そうか。では、客人たちを出迎えるとしよう」

 

キールセキ駐屯地には、街に繋がる線路とは別に駐屯地内部に入る線路が整備されており、部隊の大規模な展開を迅速に行う事が可能だ。また、戦車も運びやすい作りとなっている。

 

「しかし…最近はグラ・バルカス帝国といい、日本国といい…他国の軍が我が物顔で第二文明圏を歩き回るな…」

 

ズドンの言う通り、第二文明圏は現在政情不安だ。理由は勿論グラ・バルカス帝国の侵略である。旧レイフォルが滅亡してからレイフォルの属国は主権を取り戻したが、レイフォルですら勝てない国に属国が勝てる訳もなく属領含めて全て降伏している。また、ヒノマワリ王国も降伏しており、ここムー国に侵攻するのも時間の問題である。それ故に、ムー国では厳戒態勢が敷かれていた。

 

「日本国の海上戦力や航空戦力の強さは聞き及んでいる。魔法も部分的に扱えると聞く。しかし、陸上戦力の力は不透明だ。一体どれ程の力があるのだ?」

 

彼は、軍上層部から日本国に協力する様に伝えられている。しかし、日本国の陸上戦力については未知数であり彼は日本国の陸上自衛隊に対して疑問を抱いていた。しかし、そんな事は億面にも出さず駅に到着した。そこには、本国政府が気を遣っている日本国の陸上自衛隊を一目見ようと沢山のムー統括陸軍人が集まっていた。

 

ズドンの言葉に部下が反応する。

 

「政府や海軍は日本国を買っている様ですが、陸軍は数と戦略が重要です。派兵戦力は10万人です。これでは少ない様に思います」

「そうだな。援軍は助かるが、半端な援軍は補給を圧迫するだけだ。まあ、航空支援もあるからそれに期待するか…」

 

やがて、貨客列車がやって来た。そこには、ムー国の戦車よりも洗練された戦車があった。しかも、砲塔は巡洋艦の砲かと見間違える程だ。他にも、彼らには用途は分からなかったが、地対空近距離用誘導ミサイルや地対空中距離用誘導ミサイルがある。他にも携帯用の誘導ミサイルやパワードスーツ、コンバットフレーム(この世界風に言えばゴーレム)、戦闘ドローンもある。

 

これを見て、ムー統括陸軍兵士の士気は上がっている。戦車以外の兵器はよく分からないが、とてつもなく強そうなのは見て分かる。

 

下士官らしき人物が戦車等を降ろしているのを尻目に兵器群に圧倒されていたズドンは、気を取り直して最初に列車から降りた人物に話しかける。

 

「良くぞ来てくださいました。私は、基地司令官のズドンです。我々、ムー統括陸軍は貴殿達を歓迎します」

「お出迎えありがとう御座います。私は、日本国陸上自衛隊第1師団、師団長の長谷川です」

 

2人は、握手をした。その後、ムー統括陸軍幹部と合流し会議が行われた。

 

陸上自衛隊第1師団がキールセキ駐屯地にやって来ている傍ら、航空自衛隊のステルス爆撃機【富士】やステルス爆撃機【星影】が来ていた。本来なら、ムー国の航空機である【マリン】や【マリル】による出迎え兼案内役として歓迎飛行をする予定だったが、日本国の航空機は速すぎて、邪魔だと判断した軍幹部により取りやめとなった。何故、そんな事を知っているかと言うと、日本国について知っている一部のムー統括陸軍軍人やムー国にライセンス生産が決定し、技術者による研究が進んでいる【ドルフィン】の性能を知っているからである。

 

尚、ジェット機の基礎知識が無いと駄目だろうと言うことで、ジェット機に関しての書籍や技術者も派遣している。

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡る

 

―第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリス―

 

世界で最も栄えている(日本国を除く)都市ルーンポリス。その中心部の一角に六芒星の形をした建物がある。この建物は、帝国国防総省。つまりは、神聖ミリシアル帝国軍の中枢である。

 

この国防総省で帝国の威信を掛けた作戦に関しての会議が行われていた。作戦目標は、第二文明圏西部の旧レイフォル。その首都であったレイフォリア沖に展開していると見られているグラ・バルカス帝国艦隊の撃破である。

 

グラ・バルカス帝国は、この世界の第二文明圏圏外に突然として現れた。その後、第二文明圏圏外の有象無象の国を武力で併合し、支配下に置いた。その後、第二文明圏列強レイフォルの保護国であったパガンダ王国を強襲し、制圧。その後、列強であるレイフォルの主力艦隊を超弩級戦艦1隻で撃破。レイフォル首都レイフォリアを46センチ砲というミスリル級戦艦を上回る砲で灰燼にして、滅亡に追いやった。

 

その後、レイフォルを植民地化し先進11カ国会議への参加要求を出した。なので参加させてみれば、世界への宣戦布告等という巫山戯た話を展開した。その時には、神聖ミリシアル帝国が誇る第零式魔導艦隊を奇襲攻撃。そして、各国護衛艦隊に武力攻撃を加え、少なくない被害が出た。また、カルトアルパスも攻撃され多数の死傷者も出た。まあ、日本国がグレードアトラスター級戦艦を鹵獲してくれたので、多少の溜飲は下りたが…

 

この事実に、ミリシアル8世は(原作程ではないが)激怒。早期のグラ・バルカス帝国艦隊排除を軍部に命じたというわけである。世界の長たる神聖ミリシアル帝国が主導する以上、失敗は許されない。故に会議にも熱が入っていた。

 

「第1〜第3魔導艦隊の派遣予定だが、本当に3個艦隊で足りるのだな?失敗しないな!私は心配だから聞いているのだ!」

 

国防省長官アグラが西部方面艦隊司令長官クリングに問う。

 

「我々の算出によれば、第1、第2魔導艦隊でも事足ります。第3魔導艦隊も加われば、例の新兵器もあるのです。勝利をお約束します」

 

クリングは言い切る。しかし、個人的にはどういった根拠でそんな計算をしたのかと、問いたい物である。

 

「しかし、相手は我々が考えもしなかった兵器を持っていました。対処しきれない可能性も十分にあります」

 

その言葉にもクリングは自信満々に言う。

 

「先程も言ったように新兵器もありますので、3個艦隊でも対処可能です。もしも、グレードアトラスター級戦艦が来ても勝算はあるでしょう。ついでに言うと、あまり活躍は出来ないやも知れませんが、各国の艦隊もやって来ます。未だカルトアルパスに集まっていますが、我が国を除いても第一文明圏だけで、250隻を超えます。ここにムー国を始めとする第二文明圏各国の艦隊が集まるので、史上稀に見る大艦隊になるでしょう。我が国からは、魔導戦艦3隻、魔導巡洋艦6隻、小型艦4隻からなる計13隻の第11地方艦隊が護衛として同行する予定です」

「そうか…」

 

アグラは、そこまで言い切るなら何か根拠があっての自信なのだろうと思い、口を閉じた。

 

「では、纏めると我が国の地方艦隊を含む世界連合艦隊はレイフォリア沖に出港。予測ですが、敵艦隊はムー大陸西部ニグラート連合の西方沖かバルチスタ岬沖周辺で迎撃するでしょう。敵の第一攻撃は飛行機械による物と思われます。この時点で、世界連合艦隊に相当な被害が出ると思われますが、狙いは攻撃隊が帰投する方向です。奴等が帰投する方向から艦隊の位置を割り出し第1〜第3魔導艦隊から発進した天の浮舟で敵空母を撃沈。その後、魔導艦隊による艦隊決戦に持ち込みます。また、天の浮舟も敵艦隊を絶えず攻撃させます。これにより、敵主力艦隊を撃破。制海権及び制空権を確保します。その後、レイフォリア沖合に向かい商船を含めた水上艦を攻撃します。大筋は以上となります」

「では…こう言った場合は…」

 

会議では様々な意見が飛び交い、会議は深夜にまで及んだ。

 

 

 

 

―同日、第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国南端港街カルトアルパス―

 

世界の物流の要衝であるカルトアルパスでは、物々しい雰囲気だった。何故なら、第一文明圏各国の艦隊が集まっていたからだ。既にトルキア王国やアガルタ法国も来ている。国ごとに纏まって集まっているが、既に100隻を超えている。この世界の最高レベルの国々の艦隊が集まっている。しかも、この後に第二文明圏の中心地ムー大陸南東のマギカライヒ共同体の沖にて、第二文明圏の艦隊と合流。その後、ムー大陸の南を回って西部沿岸を北上する予定だ。そしてムー大陸西部に位置する旧レイフォル沖に突入し、グラ・バルカス帝国艦隊を撃破。レイフォルを解放するのだ。

 

今回は、各国護衛艦隊ではなく、グラ・バルカス帝国に少なくない被害を受けた各国護衛艦隊の仇として各国が主力艦隊を出しているのだ。それに加えて、艦自体の数も多い。

 

これを見たカルトアルパスの住民達は、必ずやグラ・バルカス帝国艦隊を撃破し、レイフォルを解放出来ると考えていた。しかも、神聖ミリシアル帝国が地方艦隊を世界連合艦隊に同行し、別動隊として西方方面艦隊の3個主力艦隊が付く事を皆が知っている。勝利に疑いようは無い。

 

…しかし、グラ・バルカス帝国と戦った事がある者はその世論を冷静に判断していたが、一般の人々からしてみれば、被害を受けたのは『奇襲されたから』であり、準備をした今回は負ける筈が無いと思っている。

 

…尤も、その認識は間違っているのだが、それを知る者はいない。

 




〜コラム〜

お世話係長桜さん

お世話係長である桜さんは襲名です。稲荷神様が京都に上洛した時に京都の稲荷大社に努めていた巫女さんです。他にも、お世話係副長に桔梗(ききょう)さんがいます。桔梗さんは、甲斐国(山梨)の出身で、日本吸血病の際にお互いお世話になった関係から、お世話係になりました。稲荷神様自身も、名前が混同しないので助かってます。尚、京都の街で会った花子さんと言う女の子の弟妹が風邪にかかったので、稲荷大社の一室で看病しました。結果として、花子さんは稲荷神様の医学知識を蓄え(高校1年生レベル)後に、江戸一番の名医となりました。

三人が知り合って数日後の宴会で、桃園の誓い(義兄弟の約束のこと)をしていたのを稲荷神様は見て、一瞬チベスナ顔になりました。

次回は、日本の医学の歴史です。

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これから登場する兵器について

  • 核兵器
  • 光学兵器
  • その他(生物兵器、化学兵器、宇宙兵器等)
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