稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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実は今話に幼女戦記ネタをちょろっと入れてます。


止められない電撃戦

 

 

―ロウリア王国東部軍諸侯団―

 

将軍パンドールは苛立っていた。先遣隊として送り出していた2万5000の兵がギム制圧をするはずだった。しかし、彼等は音沙汰が取れなくなっており情報が錯綜していた。しかし、何も行動を起こさないのは問題の為次の指令を飛ばしていくことにする。

 

「本軍の援護はどれくらいだ?」

「ワイバーンが50騎が常時直衛にあがります。残りは国境近くの竜宿にて休ませています。命令があればいつでも出撃要請をだします」

 

部下の言葉に対してパンドールは不思議に思った。我軍は先遣隊で約2万の軍を失ったがまだ補填可能な損失だ。しかし、まだ兵力がたくさん残っているのにワイバーン50騎が直衛にあたるのはいささか過剰戦力だと考えたからだ。

 

「…50騎?いささか多くないか?」

「はい。いいえ。今までの連絡途絶…これはもしかしたら敵はとてつもない力を手に入れたのかもしれません。本軍が壊滅した場合、兵力は本国防衛用のみであり今回のクワ・トイネ公国攻略作戦は失敗します」

「わかった…」

 

上空にはワイバーンが編隊を組み活動している。その姿は何者が来ても勝てると思わせる安心感を与えてくれる。きっと伝説の『魔帝』もこれほどの軍があればきっと跳ね返せるだろう。だが、そんなワイバーンが撃墜される敵はいったい…そんな考えが浮かんでいたパンドールだったが爆発音を聞いて考えを中断する。

 

上空を旋回していたワイバーンが突如として爆発したのだ。ギムがある東方を見ると竹とんぼの形状をしたものがバッバッバッと異様な音を立てながらワイバーンを攻撃する。近くには小さい小鳥が控えている。

 

パンドールは混乱していた。そこに更なる混乱が襲いかかる。

 

「報告!報告します!東方に鉄の地竜が騎兵の如き速さでこちらに向かってきています!」

 

報告が終わると同時に地上が爆発音に包まれる。陸上自衛隊の電撃戦により電撃戦というドクトリンすら考えつかないロウリア王国は有効な対策を取れないままだった。

 

空ではワイバーンがどんどん異型の鳥に撃墜され、陸では鉄の地竜により爆裂魔法を撃ち込まれていく…

 

パンドール含めロウリア王国の者たちはワイバーンの数と質こそ勝敗を分けると思っていた。しかし、精鋭の竜騎士が一方的に殺戮されていく…これ程のワイバーンの数ならば炎神竜にさえ勝てると思っていた。だが、現実はどうだ?まるで蚊を駆除するかのごとく一方的に撃破される。

 

上空に旋回していた精鋭ワイバーン部隊が鎧袖一触の如く撃墜された。東から鉄の地竜を援護するかの如く鉄の鳥が同じ速さで進んでいく。彼等は爆裂魔法や何発もの無属性魔法を撃ち込んでいく。彼等の果てしない攻撃にパンドールはこの世を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

陸上自衛隊は戦車による電撃戦を戦闘ヘリの援護を受けながら有利に進めていた。

 

本来は敵を包囲殲滅しながら素早く行動する必要があるのだが、ロウリア王国との技術力が離れすぎており44口径120mm滑腔砲の攻撃で重装歩兵や騎兵関係なく破滅をもたらし、副砲の12.7mm重機関銃や7.62mm機関銃がまだ生き残った兵を蹴散らしていく。

 

捕虜を取るべきなのだろうが何分威力が強く降伏する前に殲滅してしまうのだ。

 

無人戦闘ヘリのAIの判断により敵ワイバーンを認識するとすぐさま30ミリ機関砲が放たれワイバーンを蜂の巣にする。ワイバーンとの速度は余り変わらないため後ろに回り込まれ火炎弾を撃ち込まれそうになる。しかし、AIは人間の視覚及び反射神経を凌駕する。回避行動をすぐさま行い、30ミリ機関砲あるいは空対空ミサイルを撃ち込んでいく。

 

戦闘ドローンは戦闘ヘリの援護する為にAIの補助を受けて機関砲を撃ち込んでいく。戦闘ドローンは戦闘ヘリより小さいが故にワイバーン達は後回しにして戦闘ヘリを叩こうとする。しかし、彼等は戦闘ドローンが小回りを活かしてワイバーンの後に回り込み機関砲を撃ち込む。

 

こうして陸空共にクワ・トイネ公国へ侵攻したロウリア王国兵は運良く戦車で倒されなかった者のみ後方からやって来た機械化歩兵によって捕虜となったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

―ロウリア王国王都ジン・ハーク―

 

日本人がみたら中世ヨーロッパを思わす様な街並みの中に1人異質な男がいた。

 

その男は余り見かけない物を持っていた。第三文明圏にはある魔写を撮るものではなく日本人が見たら何ともレトロ漂う写真を撮るためのカメラを持っていた。

 

彼の名はアスラン。第2文明圏列強ムーの情報通信部情報分析課から来た観戦武官であった。

 

彼はこんな辺境に来ても意味は無いと思っていた。戦争の中心は銃も持たない、海では帆船が主流、航空機は低速なワイバーン。どれをとってもムーより劣っている。彼はやる気は全くなく暇を数日前まで持て余していた。

 

しかし、今は違う。圧倒的優勢だと思われていたロウリア王国がロデニウス沖での海戦で敗北したからだ。情報分析課はクワ・トイネ公国の帆船を多く見積もっても100隻に満たないと情報を得ていた。ロウリア王国の艦船4400隻に敵うはずがなかった。しかし、日本と呼ばれる国が援軍として来てから8隻だけでロウリア王国の艦隊の多くを撃沈したという話だ。彼自身日本海軍の艦隊を見ており回転砲台があるのを見て驚いたものだ。海がこれなら陸はどれ程のものか彼は少し日本の陸軍に対して興味を持っていた。その願いは直に叶うことになる。

 

電撃戦で素早く行動していた自衛隊がやってきたからだ。彼等は王都を囲う城壁より少し離れた場所で停止すると後方から運ばれていた第7師団の隊員が続々と配置についていく。そんな彼らに城壁の上から弓で攻撃を加えようとするロウリア兵…しかし、次の瞬間には彼は眉間に弾丸を撃ち込まれて絶命する。第7師団所属のスナイパーに狙われたからだ。他にも戦車砲である44口径120mm滑腔砲が城壁へ向かって放たれた。城壁は石壁であり通常なら城門に破城槌を打ち込むのだが、滑空砲はそんな常識を打ち破るように城壁を破壊していく。

 

「何だあの地竜は?」

「矢が効かない!」

「もう駄目だ!」

 

ロウリア兵は戦意を喪失し我先にと逃げ出していく…

 

そんな様子を遥か上空から見ていた物があるのを彼等は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

―陸上自衛隊輸送機―

 

陸上自衛隊が保有する輸送機内にて第1空挺団がパラシュートや小銃を持ってロウリア王国王都に来ていた。彼等は王城に突入し政治首脳部を捕らえ戦争を終わらせる任務を負っているのだ。

 

「間もなく降下地点だ!稲荷神様より賜ったこの作戦必ず成功させるぞ!」

『おぉぉぉぉぉ!』

 

第1空挺団団長中山は団員に発破をかける。中山は降下地点を確認すると彼が真っ先に飛び降りた。

 

「天皇陛下万歳!稲荷神様万歳!」

 

中山は神の加護があります様にと叫び降下していく。それを見た団員も次々と降下していく…

 

 

 

 

 

 

 

 

―ロウリア王国王都ジン・ハーク ハーク城―

 

ロウリア王は震えていた。6年もの歳月を列強の支援と言う名の服従と捉えられる屈辱的な条件を飲みようやく実現したロデニウス大陸を統一する軍隊。統一にあたり錬度も列強式兵隊教育によりつくり上げてきた。資源も国力のギリギリまで投じて数十年先までの借金をしてようやく作った軍隊。念には念を入れクワ・トイネ公国やクイラ王国になるべく悟られないように軍事力に差をつけた。これなら圧倒的勝利で勝つはずだった。これが日本という天と地との差の強さを持つ国の参戦ですべて狂った。保有している軍事力のほとんどを日本の攻撃で失った。宰相は開戦前にワイバーンのいない蛮族等と抜かしていたがとんでもない。蓋を開けてみればワイバーンが全く必要の無いほどの超文明を持った国家だった。軍のほとんどを失った。残っていた船団も夜間停泊中に空からの攻撃を受け港ごと灰燼に帰した。こちらの軍は壊滅的被害を受けているのに日本に被害らしい物は与えられていないという。こんな一方的な戦い…文明圏列強を相手にしてもここまで酷い結果にはならないと思っていた。相手の情報を決めつけずしっかりと集めておけばよかったのだ。敵はもう来ている。首都上空を我が物顔で羽虫のような機械が飛びまわっている。王都を守るワイバーン部隊も全滅した。

 

彼はもう諦めの境地に至った。

 

タタタタ…と聞かない音がした。王城の中からしておりその後にした近衛の叫び声に怯える。

 

謁見の間に緑色のまだら模様の服を着て見慣れぬ武器?を持っている者たちがやって来た。その格好にロウリア王は恐怖に駆られて他人に聞かせる訳でも無いのに呟いた。

 

「まさか…魔帝なのか?!」

「魔帝…というのはわかりかねますが我々は日本陸上自衛隊です。貴方を戦争犯罪者として連行します」

 

第1空挺団団長中山はロウリア王に縄をかけた。これによりロウリア王国とクワ・トイネ公国との戦争は援軍として参戦した日本により終結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ムーの観戦武官アスランは日本の兵器に驚いていた。

 

陸上を走るムーより洗練された戦車。

トラックに乗って運ばれてくる兵隊。

ムーでは考えもされていない空とぶ乗り物。

空飛ぶ乗り物を小さくしたような兵器。

 

どれをとってもムーより洗練され性能が良いと感じる物だった。アスランは写真を撮れるだけとってその写真を本国へと送ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

―クワ・トイネ公国政治首脳部―

 

カナタ含めた首脳陣は緊張が高まっていた。観戦武官として送り込んでいたノウ将軍が日本のロウリア王国首都の攻撃に同行していた。彼から作戦成功の報があれば魔信暗号を送ってくる手筈なのだ。

 

やがて軍務卿の部下が伝令としてやって来る。

 

「報告します!ノウ将軍より報告『公国の夜明け!繰り返します!公国の夜明け』であります!」

「実に結構!」

 

軍務卿が声を張り上げた。カナタも震えてクワ・トイネ公国が存続出来たことを喜んだ。

 

彼等はノウ将軍が帰国次第報告を聞いてブルーアイが見た事実は幻覚でも何でもない事実であり日本がとんでもない軍事力を持つ国であり覇を唱えないことに改めて感謝することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

―日本国首都東京稲荷大社境内聖域―

 

稲荷神はロウリア王国王都攻略戦の作戦成功の報を待っていた。

 

圧倒的技術力を持つ日本がロウリア王国に負けるはずが無いと考えていた。しかし、稲荷神が気にするのは作戦参加者が亡くなっていないかこれ一点である。

 

そうしている間に、人間より遥かに性能が良い狐耳が2人の男女がやって来るのを察知した。近衛とお世話係である。

 

「稲荷神様!ロウリア王国との戦争は終結したとのことです!尚、こちらの被害はゼロだと防衛大臣から連絡がありました!」

「良かった…皆無事で…」

 

稲荷神は自衛官が全員無事だと聞いて安堵の息を漏らした。しかし、稲荷神は次の言葉を聞いてチベットスナギツネ顔になるのである…

 

「尚、戦争終結に伴い第1空挺団及び第7師団への表彰と写真撮影会を行う為出席して欲しいとの事です」

 

お世話係の言葉に稲荷神は若干分かっていた事だが自衛官達のペロリストぶりに呆れつつも出席する事になる…

 






―コラム―

写真撮影会はよく行われており外国との諍いや第二次世界大戦後にも行われる他、慶應義塾大学の中には創立初期に撮られた稲荷神の制服姿やセーラー服、果てはスク水写真がある。


次回は講和会議と各国の反応です。


評価10を下さった、なにぬぬこ様、かなたっち様、三下の天ぷら様、simasima様
評価9を下さった、武舞 界理様、すこなの様、ホワイトドラゴンさん様、アップルシナモン様
評価8を下さった、因幡の白兎様
           ありがとう御座います!
そして評価5を下さった桶の桃のジュース様厳しい評価ありがとう御座います!

稲荷神視点をもっと描くべきか?

  • ペロリストとしてはもっと書いて!
  • 書かなくて結構!
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