作者の別作品も高評価宜しくお願いします。
バルーン平野の戦い〜前編〜
―第二文明圏マギカライヒ共同体南部港町ミル―
マギカライヒ共同体、各国からはマギカライヒ学院連合と認知されているこの国は科学と魔導を組み合わせた魔導機械工学と言う物を確立している。
ムー国が開発してきた科学技術を払い下げてもらい、自国が持つ魔導技術を融合している。故に、準列強と世界からは見なされている。だが、科学も魔導も中途半端なのでどっちつかずの状態なのをマギカライヒ共同体も世界も知らない。
そんな科学と魔導の両方を組み合わせているマギカライヒ共同体は、第三文明圏列強のパーパルディア皇国を打ち倒した日本国は魔法を使わない事を知った。そんな国が魔法を使うパーパルディア皇国を打ち倒した事は驚きだった。そこで、マギカライヒ共同体は日本国と国交を結び技術供与を受けることに成功した。
また、マギカライヒ学院連合は日本国企業の参入を認め、様々な日系企業が参入した。その1つの建築企業が建築した1つにセイカーロと呼ばれる病院があった。
その病院は今や戦場と化していた。理由は、バルチスタ沖海戦によってグラ・バルカス帝国によって撃沈された軍艦に乗っていた乗組員だ。彼等はニグラート連合が収容できなかった海軍軍人でありバルチスタ海域にほど近いこの港町ミルで受け入れている。
重症者には回復魔法を得意とする魔道士が回復魔法を掛け続け、必要なら治療室に連れて行く。
そんな戦場の中、1人の男が目を覚ました。鍛え上げられた肉体を持つ中年男性、中央法王国海軍提督ファルタスである。
彼は、第一文明圏の文明国として艦隊を率いて、国の威信をかけて世界連合艦隊に参加していた。しかし、戦闘が始まってすぐにグラ・バルカス帝国のシリウス型爆撃機を撃墜しようと、魔法を使おうとしたが間に合わず艦は爆発、撃沈された時に彼等は海に投げ出されたのだ。その衝撃で今の今まで気絶していたのだ。
状況を把握した彼は自責の念に駆られた。充分に訓練を積んだ。鍛錬もした。練度も上がった。自国の技術を信じた。しかし、現実はどうだ!自分たちは敵に攻撃する事すらなく退場している!部下を死なせてしまった癖に自分は生き残ってしまった。その後悔から涙が溢れた。
彼はその後、治療をしていた魔道士の老人に安静にする様に言われ、ベットで横になりながら戦闘の経過から結果を聞いた。そして、話を聞いて自分の無能さを呪った。
数日後、歩ける程度には回復したファルタス提督の元に来客があった。会ってみると、その者はマギカライヒ共同体の軍服を着ていた。
「はじめまして。中央法王国ファルタス提督でよろしいですか?」
「ええ」
「私はマギカライヒ学院連合首都防衛陸上隊指揮官のルイジルといいます」
「私にどの様な用件で?」
「本日はお知恵をお借りすべく参りました。提督は、大魔導師であり、古の魔法帝国の研究をされていると伺っております」
その言葉にファルタス提督は少し身構える。彼は海軍軍人であり高名な研究者でもある。古の魔法帝国の住人、光翼人が扱う魔法を研究している。再現が難しい兵器に目が行きがちだが、個人が使う魔法も現代に残る魔法とは一線を画している。物によっては国家機密なので彼は自分の知識を悪用するのではないかと恐れたのだ。
ルイジルは険しい顔で話し始める。
「実は、我が国の首都北方約100キロ地点に古の魔法帝国の遺跡があります」
「ほぅ…」
本来、魔帝の遺跡など何処の国も国家機密にしていることが殆どだ。他国の軍人に話して良い内容ではない。しかし、話さなくてはならない事態に陥ったと見るべきだとファルタスは考えた。
「先日、我が国の調査団の1人が遺跡内のボタンを押した所、棺が開き中から化け物が現れました。その化け物は我々が保有する文献には記述が無く確かめる術がありません。その化け物によって調査団の半数が殺されました」
「なんとッ!」
「それだけではありません。この化け物を討伐するべく精鋭20人の陸軍軍人を派遣したのですが、これらも全滅しました」
「軍人までも!」
ファルタスの反応に頷き、続ける。
「はい。その後、化け物は大型のゴーレムを20体も生成し、我が国首都に侵攻中です。これを重く見た我がマギカライヒ学院連合は国家の非常事態であると考え、陸軍の本格動員を考えています。しかし、我が国はムー国同様に科学に重きを置いており、魔導知識に乏しい者が多く、魔帝の知識も少ないのです。しかし、この病院にファルタス提督が入院中と伺い、お知恵をお借りしたいのです」
「分かりました。答えられる範囲ですが微力を尽くしましょう。その化け物の特徴を教えて下さい」
魔帝関係となれば、興味を唆られるファルタスは質問した。
「はい。背丈は人間の成人男性ほどですが、全身がぶつぶつした鱗の様な皮膚に覆われ、強力な魔力を帯びていいるとの事です。魔法を使用する際は、背中から光の翼の様に輝きます」
ファルタスはギョッとした。光が翼の様に輝く…それではまるで…
「それは…光翼人そのもの?いや、光翼人は人間と変わらない皮膚だった筈…」
「はい。我々の所有する文献でも皮膚は人間と大差ないと記されています。ですので、今回の化け物はどちらかと言えば、魔物に分類されます。魔法以外にも、口からはワイバーンロードの導力火炎弾よりも高威力の魔力弾や魔力障壁を展開出来るようで、小銃の弾が弾かれたとの報告も受けています」
これを受けて、ファルタスには1つの可能性が浮かび上がった。
「もしや…研究中とされる量産型ノスグーラではないでしょうか?」
「ノス…なんです?」
どうやら、マギカライヒ学院連合はノスグーラの事を知らないらしい。察したファルタスは説明する。
古の魔法帝国、ラヴァーナル帝国はその魔導技術によって新種の生命体を作るまでに研究が進んでいた。竜魔大戦によって多数の死傷者を出した帝国は、自分達に変わる戦闘生物、謂わば生物兵器を作ろうとしていた。その試作品の1つが魔王ノスグーラであった。
この魔王ノスグーラ1体で当時文明が低かった各種族は絶滅寸前にまで追い込まれた。そう言う意味では、地球世界で研究された生物兵器とは一線を画すだろう。しかし、ノスグーラは光翼人の魔力量をしても製造コストが高かった。しかし、魔物を操る念動力、多大な魔力量、高い忠誠心、永遠の寿命と魅力的な能力を有していたノスグーラは、それらの性能を多少落とした上で、適度な戦闘能力と知能、魔導兵器を操る事が出来る廉価版ノスグーラとでも言うべき物を設計した。
それは、魔法を扱う観点から光翼人を模して作られている。これがファルタスが魔王ノスグーラと判断した決め手だった。
「その化け物は、魔導兵器を利用していませんでしたか?古の魔導兵器を持っていたら厄介という他ありませんぞ」
古の魔法帝国の陸戦兵器は現代の兵器とは一線を画す。それらが1つでも使われたらマギカライヒ共同体には荷が重いだろう。
「いえ、今の所魔導兵器と思しき兵器は見つかっていません。しかし、魔物ではなく兵器だったとは…他国の支援も必要ですね」
「私もその化け物を一目見たいですな。お力になれるかも知れません」
「是非お願いします。提督の知識は役に立つ事でしょう」
この事実を知ったマギカライヒ学院連合上層部は驚愕した。国家の滅亡に繋がりかねない今回の事態に他国に増援を求めようとした時、天啓が舞い込んで来た。グラメウス大陸で封印されていた魔王ノスグーラを日本国が倒したと言う一報であった。幸いな事に、日本国は現在ムー国に展開している。
マギカライヒ学院連合は日本国に対して、軍の派遣を要請、この情報は内閣及び稲荷神に届けられた。内閣は、マギカライヒ共同体にいる日本人保護とグラ・バルカス帝国への警戒からその要請を受諾。稲荷神も支持した事から、速やかに討伐部隊が派遣される運びとなった。
◆
―第二文明圏マギカライヒ共同体首都エーベスト北方50キロ地点バルーン平野―
平野には、マスケット銃を持った兵士が多数展開していた。他にも、馬によって牽引された魔導砲や航空戦力のワイバーン25騎が展開している。
マギカライヒ共同体首都防衛部陸上隊将官ルイジルは、後方に設置された司令部で作戦指令書に目を通していた。隣には、中央法王国のファルタス提督の姿もある。
「間もなく日本国の陸上自衛隊が到着します。到着次第現在の状況と作戦をご説明します」
「分かりました。しかし…」
ファルタスの視線の先には奇妙な石の塔が聳え立っていた。いきなり現れたというこの塔は、草や蔓が生い茂り禍々しいだけでなく、膨大な魔力を帯びている。
しばらく待っていると日本国陸上自衛隊がやって来た。派遣された日本国所属陸上自衛隊の戦力は以下の通りだ。
・12式戦車3輌
・対空レーザー車2輌
・軽装甲機動車3台
・AI制御型無人戦闘ヘリ3機
・超電磁砲1輌
・輸送ヘリ2機
・稲荷神1柱
・近衛兵2人
結構なガチ編成だ。超電磁砲を持ち出して来る時点で、その本気度が伺い知れる。何故この様な編成になったのかと言うと、トーパ王国の際は稲荷神が魔王ノスグーラを倒してしまった。故に、将来現れるだろう古の魔法帝国の生物兵器の脅威度が分からないからだ。トーパ王国の魔王よりは劣るらしいが、量産型なら戦力分析として申し分ないからだ。そんな事を知らないマギカライヒ共同体の面々は、やって来た戦力にこの場にいた全員が驚愕した。そうしている間に、12式戦車から降りた水田が挨拶する。
「日本国陸上自衛隊国際派遣部隊隊長水田であります」
「日本国神皇稲荷神です」
「私は、マギカライヒ共同体のルイジルです。この度は学院連合の要請を受諾して頂き感謝します」
「私は、中央法王国海軍のファルタスだ。マギカライヒ共同体陸軍のアドバイザーとして、ここに来させてもらっている。今回はよろしくお願いする」
早速、水田が口を開く。
「我々は、マギカライヒ共同体の依頼は化け物討伐らしいのですが、現状をご説明願います」
「…」
無言の説明に水田は察する。
「なる程、ここが最前線ですか」
「ええ、と言ってもあの塔について分かっていることは、魔帝の遺跡関係だと言うことだけです」
「凄い塔ですね…」
稲荷神が気の抜けた返事をする。そんなやり取りを尻目にルイジルが話し始める。
「あなた方、陸上自衛隊と共に共同で攻撃を行いたいのですが、首都のすぐ近くとあっては自国民の為にも訓練をしている場合ではありません。今すぐ攻撃を開始します。我々の兵器が敵わなかったら助太刀をお願いします」
◆
バルーン平野に突如現れた塔はラヴァーナル帝国の辺境の研究施設だった。そんな塔の中の研究室の一室で人間とは似てるようで似つかない怪物が端末を操作していた。この怪物が、先日復活した【量産型ノスグーラ】の1体、量産型戦闘培養体・コード009個体名リョノスである。
彼は、研究室の一室で魔導記憶装置を読んでいた。
「ふむ…魔帝様は神々の星落としから逃れる為に大陸ごと未来へ避難したのか…どれ程の魔力が必要か…流石は魔帝様だ」
リョノスは魔帝様の凄さに驚愕する。更に、彼を驚愕させる記録があった。
「今は魔帝様の転移からこれ程の時間が経っているのか…魔力使用量からして復活なされるのは…今から数十年後か…なんてことだ!もうすぐじゃないか!私が復活したのも空間神の導きだな」
自分に都合の良い解釈をして笑うリョノス。
「座標は…なるほど、座標指定の為の僕の星や地上にも多数のビーコンがあるのか。万単位の月日を経ても壊れぬとは!流石は魔帝様の技術だ。間もなく復活なさるのなら、国1つでも献上しなくては私の存在意義は無いに等しい…」
リョノスが独り言を呟いていると警戒音が鳴る。すると、空間に立体モニターが表示され光翼人の言語や数値がどんどん書き込まれる。
「うん?魔力反応が上昇しておるな。誰かが迫っているのか?」
そう言ってモニターを動かすと、塔に迫ってくる時代遅れな軍隊の姿があった。
「これは…現地人の軍隊か。先日滅ぼした下等種の仲間か。魔帝様がいた時代よりかは文明が進んでいる様だが、魔帝様や龍神国に比べるのも烏滸がましい」
そう言って、リョノスは武器庫へと向かった。中には、白く無機質な人型の物体が佇んでいた。顔にあたる部分は透明であり、体が入れそうだ。これは、古の魔法帝国製の陸上兵器である。これは、内蔵された魔導エンジンによって魔力を発生、保存する。他にも、操作者の魔力を増幅して放つ事が可能だ。副次効果で、手や足の力も何倍にも増幅できる。【MGZ型魔導アーマー】と呼ばれる汎用人型陸戦補助兵器である。
このアーマーの性能は以下の通りだ。
・全高 2メートル
・全幅 1.2メートル
・後背部に魔導兵器を任意で搭載可能
・防御力向上
因みにだが、日本国にもこの補助兵器として
閑話休題
「部下も欲しい所だ。ゴーレムでは心許ないが…雑魚しか残ってないな」
リョノスは、MGZ型魔導アーマーを着用して呟く。しかし、無い物ねだりしても仕方ないので、下層の部屋に向かった。そこには、カプセル型の培養体が所狭しと並んでいた。
これは、雑兵としてラヴァーナル帝国が製造した培養体量産型ゴブリンである。低コストながら、野生のゴブリンロード並みの強さがある。しかし、知能が少なく軍隊としては向かない。だが、魔王ノスグーラの念動力があれば十分な戦力となる。文明が今よりもずっと低い昔では、恐怖による支配にうってつけだった。
「ゴブリン2000体か…数は少ないが致し方あるまい」
ボタンを押して、次々と培養体から出てくる悍ましい形相のゴブリン達がリョノスの指示に従い武器庫から剣や槍、盾、弓を装備する。
「下等種の軍隊など私1人で殲滅出来るが、恐怖を煽るには数も必要だからな」
何となく、公務員じみた考えを元に、リョノスは行動を開始する
〜コラム〜
超電磁砲
超電磁砲(レールガン)、水上艦だけでなく陸上車両用の物もある。しかし、電力の消費量が激しいので数発が限度だ。だが、その威力は絶大だ。本来は対艦用や要塞と言った物への対策用。極超音速ミサイルを迎撃も可能だ。
本文にもある様に魔王ノスグーラを稲荷神が倒しちゃったので生物兵器の脅威度を測る為に色んな兵器を投入した。超電磁砲はホントに最後の切り札であり、使われるかは不明
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これから登場する兵器について
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核兵器
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光学兵器
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その他(生物兵器、化学兵器、宇宙兵器等)