作者の別作品も高評価宜しくお願いします!
今回は多少短いです。
ー第二文明圏グラ・バルカス帝国領ヒノマワリ州東部最前線基地バルクルスー
ムー国への侵攻作戦の前線基地となるバルクルスは星型の陸上基地と外に航空基地が併設されている。ここは、機密保持のためヒノマワリ人は原則立ち入り禁止となっている。航空機地には多数の格納庫、レーダーサイト、対空陣地が設置されている。
"バルクルス基地"は、ムー国西部にある国境の町アルーから見て西方30キロの位置に建設されている。この30キロと言うのは絶妙で、グラ・バルカス帝国の重カノン砲を少し進軍させれば射程に捉えることができる。だが、ムー国の重砲では射程距離外なのだ。グラ・バルカス帝国が相手の技術力を良く理解していると言えるだろう。現在この基地には、グラ・バルカス帝国陸軍第8軍団と陸軍第9航空団が進出していた。
基地司令部の屋上でムー国西部の制空権を得るべく、国境近くの街アルー近郊にあるドーソン基地を爆撃するべく"アンタレス型07式戦闘機"や"ベガ型双発爆撃機"が発進の準備をしている様子を見ている者達がいた。バルクルス基地の司令官兼陸軍第8軍団の指揮官ガオグゲル中将と第4師団師団長ボーグ少将である。
「ボーグ君、帝国陸軍は強い!」
「はっ!その通りです!」
「その中でも、君の第4師団は突出している。期待しているぞ!」
「ありがとう御座います!我が完全機械化師団にお任せ下さい!」
そう、第4機械化師団はグラ・バルカス帝国唯一の完全機械化師団だ。"2号戦車ハウンドⅠ"や"2号戦車ハウンドⅡ"を始めとする中戦車や随伴歩兵を軍用トラックや装甲車で運ぶ機甲師団だ。グラ・バルカス帝国は、電撃戦を編み出している。しかし、前世界や今世界も自国より劣る国々しかいなかった。その為、電撃戦と言う戦術自体はあっても実践する機会は余り訪れず、無理に進むと補給切れの方が心配になるレベルだった。つまりは、電撃戦と言う概念は知っているが電撃戦に適応できるドクトリンが完成していないと言う事だ。だが、完全機械化師団と言う事実は変わり無い。彼等は、この世界の国々には、前世界で無敵だった自国の戦車に敵う筈が無いと思っている。
「時にボーグ君、君の師団は兵士の士気は低下していないか?」
「…そうですね。やはり、皇帝陛下の勅令とあってやる気は十分なのですが、何分異国の地なので郷里を思う者もいます」
「ボーグ君、士気は軍の強さに直結する要素の1つだ。柔軟になりたまえ」
ボーグ少将はガオグゲル中将の言いたい事が今ひとつ理解出来なかった。そんな様子を見てガオグゲル中将は言う。
「今回のムー国侵攻で当然だが多数の捕虜や難民が発生するだろう。私はね、彼等を好きにしていいと思う」
「なっ!」
「ここには、ユグドの様な戦時国際法は無い。好きにし給え」
囁く誘惑にボーグは悪い笑みを浮かべる。
「当然だが、本国には秘密だぞ」
「わかっております」
現地略奪とか中世の価値観で近代戦するとか、文明国と自認している割には民度は悪いようだ。(一部例外を除く)これではどちらが蛮族か分からないと、筆者は思う。
そんな話をしている間に、空軍基地の管制塔では発進準備を整えた" ドーソン基地"爆撃部隊に発進命令を下そうとしていた。
「今回は、ムーとか言う野蛮人に帝国の強さを見せつける作戦だ!各員奮励努力せよ!攻撃隊発進!」
そう言うのは、陸軍空将パース少将だ。その号令を受けて、"アンタレス07式戦闘機"や"ベガ型双発爆撃機"が発進していく。
一方で、グラ・バルカス帝国に狙われている"ドーソン基地"の準備は完璧だった。"ドーソン基地"には元々、"マリル型戦闘機"30機、"マリン型戦闘機"42機が配備されていた。しかし、日本国自衛隊がムー国に到着するとグラ・バルカス帝国戦に向けて拠点となりそうな基地に自衛隊の受け入れ体制を整えるべくムー国の許可のもと、陸上自衛隊施設科が土木重機を用いて急いで改造を施したのだ。
具体的には、滑走路を500メートルから2500メートルまで延伸、格納庫増設、"05式中距離地対空誘導弾"や"02式地対空レーザーシステム"、レーダー設備、ジャミング装置等だ。そして、ここにはステルス戦闘機"富士"やステルス爆撃機"星影"が、合わせて10機ずつ。そして、電子戦を主に行うステルス支援型39式戦闘機5機がある。
そんな基地にグラ・バルカス帝国の航空部隊が接近しているとレーダーで察知したドーソン基地司令部は直ぐ様、キールセキ総司令部に連絡。"ドーソン基地"とその近くの街アルーに避難警報を発令。"アルー"の住民は避難を始め、"ドーソン基地"からは戦闘機が発進しようとしていた。
真っ先に飛び出したのは日本国航空自衛隊の戦闘機富士だ。その後、1分も経たずにそれらは見えなくなった。そして、"ステルス支援型39式戦闘機"も飛び立つ。遅れてムー国の戦闘機である"マリル型戦闘機"や"マリン型戦闘機"が発進した。それを見送ったドーソン基地に滞在していた陸上自衛隊の自衛官は"05式中距離地対空誘導弾"の配置に就いたり、偽装を施したり、非戦闘員の誘導を行っていった。
◆
グラ・バルカス帝国の航空部隊は東に向かって進んでいた。"アンタレス07式戦闘機"40機、"ベガ型双発爆撃機"60機の編成部隊は"ドーソン基地"に向けて進んでいた。"アンタレス"の半分である20機は"ベガ"の直掩についており、高度4000メートルを飛行している。一方でもう20機は高度6000メートルから敵機の索敵と奇襲を目的に飛行していた。
後数十分で目標地点と言う所で、彼等は此方に迫ってくる航空機を発見した。それは、複葉機と固定脚の単葉機だった。敵性国家の兵器については、頭に叩き込んである彼等はこの飛行機をムー国の物と断定した。そして、彼等を一方的に蹴散らす姿を夢想していた。確かに、零戦モドキに複葉機や"96式戦闘機"が勝てる訳もないのだ。
制空権を確保する攻撃部隊はムー国の戦闘機に狙いを付ける。そして攻撃を開始しようとした時、それは起こった。
なんと、先頭にいた副長の機体が突如炎上したのだ。それに呼応する様にどんどん仲間の戦闘機が炎上していく。これに驚いた"アンタレス"のパイロットは隊長に指示を仰ぐべく連絡を取る。しかし、無線は砂嵐を鳴らすだけで何の反応もしない。しかし、"アンタレス"のパイロットの幾人かは攻撃が何処から来たのかを仲間の犠牲と引き換えに把握できた。
そう、敵機は高度6000メートルより高度に陣取っていたのだ。グラ・バルカス帝国は高い練度を誇る。故に、レーダーに頼らず、遥か上空に位置する黒粒が敵の航空機である事を目視出来たのだ。仲間を殺された恨みからか、戦略的目的の為なのか、"アンタレス"は更に上昇する。しかし、1万5000メートル上空にいるステルス戦闘機"富士"に届く筈もない。"アンタレス"の限界高度は高度1万メートル、届かない。"ステルス支援型05式戦闘機"の活躍もあって無線で連携を取ることも出来ない。そして、真っ直ぐやって来る航空機は、戦闘機富士の良いカモだった。
戦闘機富士に備え付けられた"02式空対空レーザー"は、雨天時には使えない事や、直線方向にしか飛ばせないデメリットがあるものの、今日は晴れ、そして目標はこっちに向かって真っ直ぐ上昇している。つまりは、レーザーが活躍出来る環境なのだ。
AIの補助を受けてグラ・バルカス帝国のアンタレスに狙いを定める。そして、レーザーの一斉掃射が行われた。結果、不可視の攻撃に"アンタレス"のパイロットは何が起きたのかも分からずにバタバタと撃墜されていった。
そう、戦闘機が二手に別れていることを把握していた日本国は、ムー国の戦闘機を囮にして遥か上空1万5000メートルで待機していたのだ。グラ・バルカス帝国の戦闘機がムー国の戦闘機に気を取られている隙に"06式空対空誘導ミサイル"を発射したのだ。そして、敵戦闘機が迎撃に向かってきたら"02式空対空レーザー"を発射する段取りだった。そして、まんまとやってきた"アンタレス"にレーザーを浴びせたと言う訳だ。
因みに、"06式空対空誘導ミサイル"を使用したのは、日本国が"敵味方識別器"をムー国に対して輸出ないしは国産化出来るように支援したのだ。その為、航空機全てにこれが取り付けられている。故に、フレンドリーファイアの危険性は無い。また、態々日本国だけで攻撃を行わなかったのは、ムー国から日本国の航空戦を見たいとの要望があったからだ。さすが、情報収集癖のあるムー国らしいだろう。
◆
一方で、"ベガ双発爆撃機"の直掩についていた"アンタレス"のパイロットは驚愕した。攻撃隊がムー国の時代遅れな戦闘機を攻撃しようとした所に攻撃を受けたのだ。
驚いている間にも上空から火が付いた"アンタレス"の残骸が流星群の如く落下してくる。しかし、それらは細かな瓦礫に過ぎず当たっても火が燃え移らない限り脅威ではない。
何とか躱した"アンタレス"は気を取り直してベガ双発爆撃機を守るべくムー国の戦闘機を撃墜しようとする。しかし、航空自衛隊のジェット戦闘機は健在だ。遥か上空から"06式空対空誘導ミサイル"を発射した。これは、大量に搭載可能な小型の誘導弾であり、これ1基7発搭載されており、"富士"は4ポッドあるので28発撃てる。最早オーバーキルだ。
直掩隊の"アンタレス"に向かう誘導弾。攻撃手段である誘導弾にすら、"アンタレス"の性能は何もかもが劣っている。たった数分で直掩隊を"06式空対空誘導ミサイル"全滅させた航空自衛隊とムー国の戦闘機は"ベガ双発爆撃機"に襲いかかった。
第21航空隊所属の"ベガ双発爆撃機"は編隊を密にする。そして、機体に取り付けられた旋回機銃で応戦する。しかし、ムー国の"マリン型戦闘機"や"マリル型戦闘機"なら兎も角、"06式空対空誘導ミサイル"を迎撃出来るはずも無かった。
ステルス戦闘機"富士"の"06式空対空誘導ミサイル"や"02式空対空レーザー"が命中する。レーザーの直撃を受けても辛うじて生き残っていた機体も主翼やプロペラを破壊された機体が多い。そんな機体に"マリン型戦闘機"や"マリル型戦闘機"が殺到し、機銃掃射を浴びせる。
グラ・バルカス帝国の爆撃機は、旧式機として馬鹿にしていた機体と未知の航空機によって全滅した。彼等はこの未知の攻撃と未知の航空機の情報を本部に伝えようにも、"ステルス支援型05式戦闘機"の無線封鎖によって無線は封じられた。
彼等はこの通信妨害が人為的なものであると気付くことなく全滅した。
◆
「ドーソン基地司令部より入電!『敵航空機を全滅せり!』」
この一報を受け取ったムー国首都オタハイトに築かれた第二文明圏連合軍総司令部は直ぐさま、キールセキ駐屯地、エヌビア基地、ドーソン基地に対して命令を発した。
「各基地に命令、計画に則り『剣閃作戦』を開始する!攻撃目標はアルー西方30キロに位置するバルクルス基地、攻撃を開始せよ!」
この命令を受けて、各基地に駐屯していた航空自衛隊のステルス戦闘機"富士"、"ステルス支援型05式戦闘機"がワイバーンや"マリン型戦闘機"とは別次元の速度で滑走路を飛び立ち、一分もすれば豆粒程の大きさにまで離れていた。
バルクルス基地は、今回の攻撃でドーソン基地への攻撃能力を失った。態々受け身で爆撃部隊の迎撃に出たのか?理由は、ドーソン基地壊滅の可能性を下げて後方部隊の安全を確保する為であった。実際、爆撃部隊は壊滅したので、日本国の戦闘機や爆撃機が出向いていた時にグラ・バルカス帝国の攻撃が来ても対処出来るだろう。("05式中距離地対空誘導弾"があるので心配ないのかもしれないが…)
各国は、日本国の戦闘機の速さに驚愕すると共に第二次、第三次攻撃に向けて着々と準備を進めていく…
〜コラム〜
"ステルス支援型05式戦闘機"
戦闘機とは銘打っているものの、その実態は多少自衛ができる程度であり戦闘そのものは得意ではない。これは、ステルス化されており、電子戦を有利に進める為の装置が多数内蔵されている。今までは魔信と言う魔力を使っての通信だった為にジャミングが出来なかった。しかし、グラ・バルカス帝国戦では大いに活躍できるだろう。尚、神聖ミリシアル帝国に魔導電磁レーダーの元となるレーダーの見返りに魔力を用いたレーダーの開発あるいは共同研究を提案している。
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それと、今回から固有名詞に""を付けることにしたのですが、【】とどっちが分かりやすいですかね?
これから登場する兵器について
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核兵器
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光学兵器
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その他(生物兵器、化学兵器、宇宙兵器等)