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ー第二文明圏グラ・バルカス帝国領ヒノマワリ州ハルナガ京ー
バルクルス基地からの定期連絡が途絶したハルナガ京に駐屯していたグラ・バルカス帝国陸軍には困惑が広がっていた。
バルクルス基地は定期連絡にて『ムー国のアルー周辺の制空権を確保するべくドーソン基地爆撃を行う』との連絡を最後に連絡が着かない状態にある。偵察機を飛ばしても何の通信も無く行方不明になっている。これを受けて、グラ・バルカス帝国第五師団長クルペは敵国の攻撃を受けていると考えた。
ひとまず、彼はグラ・バルカス帝国領レイフォル州州都レイフォリアにある統合基地ラルス・フィルマイナに無線連絡を取って、指示を仰いだ。以下がその結果である。
『バルクルス基地司令部からの通信が途絶した以上、敵の手に落ちた可能性が高い。情報を集めるため、待機されたし』
この一報を受けて、ハルナガ京に第五師団は待機することになった。
一方で、バルクルス基地陥落の速報はその日の内に全世界に伝達された。反攻作戦に参加した各国の国旗が翻った写真や魔写が雑誌や世界のニュースで報道された。この事実に第二文明圏を始めとした諸国は歓喜した。
第二文明圏外国を中心に次々と国を制圧したグラ・バルカス帝国。その魔の手は第二文明圏にも及び、レイフォル国を滅ぼした。これに対抗して、神聖ミリシアル帝国が主導する第一文明圏や第二文明圏からなる世界連合艦隊てさえ、バルチスタ沖海戦で敗れ、空中戦艦パル・キマイラでさえ撃墜され、ムー大陸西岸の制海権を奪取出来なかった。この事実を前に、ヒノマワリ王国を始めとした国々は抵抗せずに降伏する国も現れた。だが、第二文明圏の国々が基地1つとは言え、初めての勝利を手にしたのだ。
それに対して、グラ・バルカス帝国では動揺が広がっていた。この世界に自分達と同等の国は、神聖ミリシアル帝国だけと(一部の者は日本国も含まれる)思っている。しかし、ムー国への橋頭堡であるバルクルス基地を早期に奪還し、この世界の蛮族共に『グラ・バルカス帝国に勝てる訳がない』と改めて知らしめるために第五師団に出撃命令を下した。
「情報部によると、空挺部隊によって陥落されたようだが…あんな軟弱な部隊にやられるとは…全くもって滑稽よな…全軍進軍開始!」
こうして、バルクルス基地を巡る戦いが始まった。
◆
ー元グラ・バルカス帝国領ヒノマワリ州バルクルス基地ー
グラ・バルカス帝国がムー国の前哨基地として構築したこの基地は瓦礫の山になっていた。しかし、この基地で動く者達がいた。人間や獣人、エルフなど様々な人種が割拠している。また、国籍もバラバラだ。例を出すと、日本国、ムー国、マギカライヒ共同体、ニグラート連合、ソナル王国と言った具合だ。
彼等は、シャベル片手に地面を掘っていた。そう、彼等は塹壕を掘っていた。日本国からグラ・バルカス帝国の陸軍部隊がバルクルス基地に向かっているとの連絡があった。その連絡を受けて彼等は自衛の為に協同して塹壕を掘っていたのだ。
日本国の陸上自衛隊からすれば、装備の観点から塹壕を掘るより迎え撃った方が速い。しかし、他国はそうは行かない。各国からすれば、グラ・バルカス帝国の技術には、依然敵わない。故に、日本国主導で各国が一丸となって強固な塹壕をグラ・バルカス帝国に対抗する為に準備していたのだ。
ここでも活躍したのは日本国だった。日本国は"
因みに、もしもバルクルス基地を奪還された時のためにアルーには"105mmイレール砲"を始めとする野戦砲が待機している。
稲荷神も修理に携わろうとしたが、他国との兼ね合いの観点から待機している。稲荷神様が出動したら滑走路も塹壕もブルドーザー真っ青の速度で構築出来るだろうに…
ともかく、一度破壊した基地を修理しているのは自業自得がするが、塹壕は兎も角として滑走路を修理延伸するのは短時間では不可能と断ずるべきだ。そこで、"05式中距離地対空誘導弾"や"02式地対空レーザーシステム"を配備した。これにより、空からの攻撃から身を守る。そして、迫ってくる戦車については、"12式戦車"と"04式自爆型ドローン"で戦車を遠隔破壊する予定だ。
頼もしい日本国の"
掘り出した土は土嚢にして陣地を作る。また、障害物として"94式対戦車地雷"や"チェコの針鼠"を設置している。土嚢の間には"93式12.7mm重機関銃"を設置している。これは、対空と軽装甲の相手なら貫通出来る優れものだ。因みに、ムー国では"99式機関銃"のライセンス生産をしている。
第二文明圏連合がバルクルス基地を修理改造している頃、グラ・バルカス帝国は出撃準備をしていた。バルクルス基地に程近いハルナガ京とバルクルス基地の中間にある補給基地で"アンタレス07式戦闘機"や"シリウス型爆撃機"による航空支援の為に結集しつつある。また、"2号戦車ハウンドⅠ"や"2号戦車ハウンドⅡ"からなる第五師団は既に出撃を開始している。
第五師団の師団長クルペ少将は前線指揮車の中で情報部からの情報を思い出していた。
(敵は空挺部隊を送り込んできたとの事だったが…小火器しかない筈だ。ムー国の野戦砲では"2号戦車ハウンドⅠ"の装甲すら貫けない。だが、日本国と思われる謎の兵器は気になるが…勝てる訳あるまい。バルクルス基地の滑走路は壊滅しているそうだから敵は航空機を利用出来ない。我が国の"アンタレス"なら制空権も確保できるだろう。ここに我が陸軍の屈強な精神力が有れば制圧は余裕だろう)
グラ・バルカス帝国では精神論が横行していて、冷静な判断ができない者が多い。これも、自分達以外を劣等人種と見なす人種差別主義者なら仕方ないのかも知れない。
◆
ー元グラ・バルカス帝国領ヒノマワリ州バルクルス基地ー
バルクルス基地を巡る攻防はグラ・バルカス帝国による航空戦から始まった。まず、"アンタレス07式戦闘機"30機と"シリウス型爆撃機"20機が制空権を取るためにバルクルス基地上空に向かった。やがて、バルクルス基地跡地が見えてくると件のバルクルス基地跡地からロケット弾が此方に飛んできた。
それは、自分達が想像するロケット弾と決定的に違いがあった。"アンタレス"は回避行動をしたが、ロケット弾は後から追いかけてきて、追ってくるロケット弾に満足な活躍をする事なく撃墜される。それが10機近くだ。一瞬で撃墜された理由は分からないが、彼等はロケット弾に追尾機能がある事だけは理解した。
無線による連携を取ろうとするが、雑音を吐くだけで使えなくなっていた。これは、バルクルス基地にいる陸上自衛隊の"08式対電子対策車両"が接近しつつあるグラ・バルカス帝国の"アンタレス"や"シリウス"にジャミングをしているのだ。お得意の連携が取れない"アンタレス"は"05式中距離地対空誘導弾"によって全滅した。続けて、"02式地対空レーザーシステム"が"アンタレス"より鈍足で旋回能力も劣る"シリウス"に向けて放たれる。
不可視の攻撃は何が起こったのかも分からずに"シリウス"を撃墜した。バルクルス基地に爆弾どころか銃弾1つ浴びせる事なく航空隊は全滅した。
◆
「まさか航空隊が早くも全滅するとは…」
第五師団長クルペ少将は自分達の戦闘機や爆撃機が短時間で全滅したことに驚きを漏らした。彼の航空隊と戦車隊によるバルクルス基地奪還の前提が早くも崩れたのだ。
(あの未知の攻撃は不明だが、素早く占領してしまえば問題あるまい)
「全軍突撃!バルクルス基地を占領しろ!」
「「「おおぉぉぉぉぉー!」」」
ジャミングされているので、口頭で伝達される命令に雄叫びを挙げながら我先にとバルクルス基地に殺到する。その時だった。
バルクルス基地から数多の小型と言うには小さ過ぎる航空機が小さな音を立てながら此方に向かって来る。これに対処すべく"2号戦車ハウンドⅡ"の車載機銃を小型航空機に撃とうとした時だった。
バルクルス基地からやって来た戦車が"2号戦車ハウンドⅡ"を撃破したのだ。無敵の戦車だった"2号戦車ハウンドⅡ"がいとも容易く撃破された事に第五師団の誰もが動揺した。
それは小型航空機以上の衝撃だった。"2号戦車ハウンド"は正面装甲25mm、側面25mm、後面20 mm、上面10 mm、底面8 mm、防盾50 mmを有する。この防御力は高く、グラ・バルカス帝国製の対戦車砲なら兎も角、前世界でグラ・バルカス帝国と世界を二分したケイン神王国の対戦車砲では貫徹出来なかった。
この世界でもパガンダ島やイルネティア王国で使用されているが、両国の魔導砲は全く通用しなかったのだ。そう、今の今まで"2号戦車ハウンド"は無敵だったのだ。しかし、ムー国の戦車程度に撃破されたことにグラ・バルカス帝国の僅かな将兵は動揺したのだ。
だが、クルペ少将は件の戦車がムー国製の物では無いことに気付いた。そう、件の戦車には日本国のマークが記されていたのだ。
日本国の戦車ー"12式戦車"ーはグラ・バルカス帝国の戦車よりも大きく、砲塔も大きいように見受けられる。その上、機動性が高い。しかも、一番の問題は"2号戦車ハウンド"よりも長射程だという点だ。相手は射程圏内でも自分達はまだ射程圏内にいないのだ。"04式自爆型ドローン"も機動性が高く、的が小さいので車載機銃も余り命中しない。
彼等について、クルペ少将が状況判断をしている間にも次々と歩兵は勿論、"2号戦車ハウンド"が撃破されていく。
こうしてはいられないと、"2号戦車ハウンド"を敵戦車や小型航空機に差し向けるようにクルペ少将は指示を出した。
"2号戦車ハウンド"の主砲弾は練度の高さにより"12式戦車"に何発も命中する…かと思いきや、戦車とは思えぬ高速な動きで全弾回避されてしまう。いや、本当に数発だけ着弾コースだったのだが、それらは"12式戦車"の主砲弾で空中で爆発してしまう。
敵戦車は全部で5輌だ。小型航空機は数十機とあるが、たった5輌の戦車に足止めされている。その事実にもどかしく思った。
「歩兵部隊は自動車やバイク、自転車でも何でも使ってバルクルス基地に突貫しろ!」
クルペ少将は声を荒げるが、次々と"2号戦車ハウンド"が撃破されている事で混乱している現状では、無線が使えなかったので、近場の部隊にしかその声は届かなかった。だが、届いた部隊はその命令を守るため全速力で基地へと向かっていく。
そこに、塹壕を掘ったことで強固な陣地へと変貌したバルクルス基地から自衛隊の"93式12.7mm重機関銃"やムー国の"99式機関銃"が火を吹いた。
数多の銃弾がグラ・バルカス帝国将兵に襲いかかった。銃弾は、バイクや自転車に乗る将兵の命を奪ったり、タイヤに命中してパンクして横転する乗り物も現れた。慌てて退避したり、進路変更をしようとした者達も撃たれていく。
戦車部隊も"12式戦車"や"04式自爆型ドローン"による攻撃で消滅する。"04式自爆型ドローン"は自動車やトラックまでが対象となって破壊していく。
グラ・バルカス帝国第五師団の損耗は最早半数にまで登りつつあった。クルペ少将は遅いが撤退を決意した。そこで、戦闘指揮車を反転させる。その時だった。自衛隊が敷設した"94式対戦車地雷"が運悪く作動、爆発したのだ。そのまま、クルペ少将は戦死してしまった。
他の高級幹部の殆どが壊滅しており、指揮できるものは撤退命令を伝える。しかし、そんなのお構い無しに、我先にとグラ・バルカス帝国将兵は思い思いの方向へ逃げて行く。
グラ・バルカス帝国第五師団は作戦を放棄。撤退中にも第二文明圏連合軍に銃弾を叩き込まれ戦線を離脱できたのは僅かだった。他の将兵は捕虜になるか行方不明となった。
グラ・バルカス帝国第五師団は世界に改めて畏怖を与えるどころか世界に恥を晒す結果となった。
因みに、何故稲荷神が居なかったかと言うとマイカルに停泊中の日本国護衛艦隊に合流していたからだ。これから、ムー大陸西岸の制海権を賭けての戦いが始まる…
クルペ少将はオリジナルの者です。元ネタは某有名ゲームです。
〜コラム〜
"04式自爆型ドローン"
陸上自衛隊ではヘリコプターに代わってドローンを利用している。偵察機として無人機の活用や対戦車用にドローンを活用している。海上自衛隊も同様に偵察機として無人機を活用しており、それらに対する対策もある。
※因みにヘリが順次廃止される事を知った私は今話の大幅変更を余儀なくされました。
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