ー第二文明圏列強ムー国首都オタハイトー
日本国によるグラ・バルカス帝国艦隊の撃破に伴うムー大陸西岸の制海権の獲得の報は直ぐ様届けられた。作戦成功の報に、第二文明圏連合軍の高官は色めき立った。
自分達が派遣した艦隊が手も足もでない相手に完勝したのだ。日本国の被害が無い事がその証拠だろう。
そして、彼等は次なる作戦の準備を急ピッチで始めた。それは、イルネティア島への襲撃である。
パガンダ島及びイルネティア島はグラ・バルカス帝国が併合し、植民地或いは軍事拠点となっている。日本国はパガンダ島における軍事拠点を制圧し、パガンダ島からレイフォルにおける制海権を確実な物にする予定だ。
日本国はパガンダ島を襲撃する一方、イルネティア島は日ム安全保障条約に基づいて、ムー国が戦力を多く出すことになっている。だが、ムー国の戦力では返り討ちになる可能性が高い。なので、日本国から少数精鋭部隊と装備の貸し出しや低価格での提供がされている。
第二文明圏連合軍は日本国にお世話になりっぱなしではいけないとグラ・バルカス帝国の情報分析や訓練、諜報といったイルネティア島の攻略準備に力をいれるのだった。
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ー第二文明圏ムー大陸西方パガンダ島ー
パガンダ島、それはかつてパガンダ王国が存在した島だ。パガンダ王国は、旧列強レイフォルの筆頭保護国と言う権威と、第二文明圏と西方世界を繋ぐ交易拠点の1つとして栄えた。
そして、パガンダ王国はレイフォルに対して筆頭保護国の立場から外交権を与えられており、文明圏外国を威圧してきた。しかし、グラ・バルカス帝国の皇族ハイラス率いる使節団に対して、現場の外交担当者が通常では考えられない額の賄賂を要求。それに不服申し立てしたハイラス以下使節団は処刑された。
これに激怒した帝王グラ・ルークスは軍を差し向けた。所詮列強ですらないパガンダ王国が対抗出来る筈もなく僅か七日で滅ぼされた。その際、パガンダ王国は徹底的な砲撃によって
以後、同地は軍事拠点やレイフォル行きの輸送船の補給基地として機能してきた。島内には1個地方艦隊が駐留出来る海軍基地の他、小型船の港や主力艦隊が駐留出来る大型の港も完備されている。他にも、島の中央付近に陸軍基地が築かれ、ムー大陸戦線への予備兵力として"2号戦車ハウンドⅠ"や"2号戦車ハウンドⅡ"がそれぞれ70輌配備されている他、警備部隊の人員や"2号戦車シェイファーⅡ"100輌が配備されている。
更に、コンクリートや丸太を利用した塹壕やトーチカが作られ、万が一攻撃に遭った際の防御陣地が形成されている。
飛行場も島の東に建設されており、素早く発進出来るようにしてある。ここに配備されている"アンタレス07式戦闘機"や"ベガ双発爆撃機"はムー大陸及び周辺海域の通商破壊に、"リゲル型雷撃機"はパガンダ島周辺の哨戒にあたっている。
そんな島に、カイザル大将率いる東部方面艦隊が帰還した。軍神カイザルの帰還に島の将兵は出迎えをしようと集まったが、彼等が見たのは悲惨な光景だった。
帰ってきたのは、空母1隻に重巡洋艦3隻のみである。そして、彼等はある事に気付いた。そう、カイザル大将が乗っていた帝国の象徴である旗艦"グレードアトラスター"が帰還していないのだ。
パガンダ島海軍基地に駐留している地方艦隊の指揮官であるエセル准将は生き残りである"ペガサス級航空母艦の艦長であるミカエル大佐と面会することにした。
そこで聞いた内容には驚くばかりだった。突然レーダーが使えなくなり、敵の航空機は時速1000kmを超える。また、誘導式のロケットと思われる物が敵航空機より発射され、必ず命中する。だが、敵航空機は"アンタレス"よりも高高度に位置するために攻撃を行えない。
そんな荒唐無稽な話を聞いたのだ。こんな話、本来なら一蹴するだろう。だが、実際帰還したのがたった4隻なのがその証拠だ。彼らは、パガンダ島のドッグで修理をすることになった。彼らは、この海戦結果を本土に報告することになる。
◆
ー第二次バルチスタ沖海戦から数日後ー
とある日の夜、パガンダ島は静寂に包まれていた。原因は言わずもがな制海権の喪失にある。レイフォルに駐留していた東部方面艦隊は壊滅し、制海権は敵の手に渡ってしまった。故に、東部方面艦隊の生き残りの証言を元に、高高度を警戒し、見張りを増やすなどの対策をしてきた。
しかし、日本国の前には無力だった。
夜明け前にパガンダ島東に建設された滑走路がいきなり爆発したのだ。続けて、哨戒に当たっていた"リゲル型雷撃機"が音もなく撃墜される。
これを見ていた監視塔の兵士は直ぐ様電話で報告をする。司令部は航空機を直ぐ様退避させる様に命令した。
この命令を受けて飛行場の兵士が"アンタレス"を始めとする航空機を飛行場から退避させる。この判断は正しい。日本国のステルスジェット戦闘機"富士"による"05式空対地誘導弾"が滑走路を破壊し、とてもではないが、離陸できる状態ではないからだ。
格納庫へ避難する航空機に無慈悲にミサイルが落下していく。避難に当たっていた兵士は物言わぬ屍となり、航空機は鉄の残骸と化していった。
この攻撃に対してグラ・バルカス帝国は後手に回っていた。理由は簡単だ。自衛隊による電子攻撃によって対水上及び対空レーダーが使用出来なくなっていたからだ。
これにより、パガンダ島の飛行場は使用不能になり、グラ・バルカス帝国パガンダ島守備隊は手駒を1つ失った。
◆
グラ・バルカス帝国パガンダ島飛行場が襲撃された事は自衛隊の無線封鎖によって無線連絡が出来なかったので、伝声管や口伝で伝えられた。
パガンダ島守備についている地方艦隊の指揮官エセル准将は、旗艦である"オリオン級戦艦"に乗艦して報告を聞いていた。彼は、休眠を取っていたのだが、飛行場が攻撃を受けている旨の報告を受けて急いで来たのだ。
艦長であるシンハ大佐以外数名と情報共有を行っていると、伝声管から慌てた様子で報告が齎された。
『報告!高高度に敵航空機発見!此方に向かって急速接近中!』
この報告に凍りついた。既に飛行場の対水上、対空レーダーは破壊されており、現在は地方艦隊の艦艇に取り付けられているレーダーで確認している状態だ。だが、そのレーダーも磁気嵐(と思っているが実は自衛隊の電波妨害)によって使用不能の状況にある。
そんな事はお構い無しに空母"白虎"から発艦したステルスジェット戦闘機"富士"は地方艦隊に攻撃を仕掛け始めた。
ここパガンダ島を守備する地方艦隊には、"オリオン級戦艦"1隻、軽空母1隻、重巡洋艦1隻、巡洋艦1隻、駆逐艦6隻、補給艦3隻の計13隻で構成されている。
これは、少し戦力が少ない様に思えるが、現地国家や護送船団にはこれでも十分だったので、戦力の多くは東部方面艦隊や特務軍に組み込まれていた。これが、ムー国を始めとする第二文明圏諸国なら問題無いだろう。しかし、日本国自衛隊の前には無力だ。
だが、練度の高いグラ・バルカス帝国は海戦の結果の報告を受けた際に、艦隊を何時でも動かせる様にしていた。彼等は、港内から出て艦載機を発艦させようとする。しかし、それを逃す筈もなく、発艦して直ぐ様"02式空対空レーザー"による不可視の攻撃で破壊される。
そして、直に"富士"から"95式空対艦誘導ミサイル"が発射される。
高速で飛来する"95式空対艦誘導ミサイル"を撃ち落とそうと艦隊から対空射撃が行われる。しかし、近接信管は"95式空対艦誘導ミサイル"の速さに対応出来ず、爆発する頃には既に"95式空対艦誘導ミサイル"は通過している。結果として、1発も撃ち落とすことも無く艦隊に殺到する。
制空権を確実な物にするために優先的に空母が狙われる。正確に向かって来る"95式空対艦誘導ミサイル"に耐えうる装甲をタンカーを改造した軽空母が有している訳もなく、機関停止と甲板が炎上する。続けざまに来る2射目にも対応出来る余裕があるはずも無く、軽空母は撃沈された。
他にも、巡洋艦や駆逐艦を狙っているが、何故か"オリオン級戦艦"は対水上、対空レーダーを破壊されたが、それ以外に目立った損傷はない。それをエセル准将は現状を苦々しく思うと同時に不思議に思っていた。
『何故、敵艦隊は戦艦を狙わないのか』…と。海戦は如何に制空権を握るかだ。たった一隻しかない軽空母が沈められた今、戦艦を狙う筈なのだ。何故なら、航空攻撃なら駆逐艦や巡洋艦の魚雷は使え無い。なので、対空射撃が出来る戦艦を狙って敵艦隊の被害を抑えるのではないのか。彼はそう考えたのだ。
確かに遠距離からの攻撃が可能な戦艦の主砲攻撃や高射砲は脅威だ。しかし、音速を超える航空機が第二次大戦レベルの近接信管に命中する可能性は小さい。彼等が攻撃しなかったのは、"95式空対艦誘導ミサイル"を戦艦に命中させるのは、コストパフォーマンスが悪いからだ。
だから、彼等は別の手段を取ることにしたのだ。圧倒的な貫通力を誇る
"オリオン級戦艦"の射程外から、200kmの射程を誇る
元々戦力の少ないパガンダ島守備隊地方艦隊はあっという間に壊滅した。
水上艦隊を撃破して、パガンダ島周辺海域における制海権を確実な物にした海上自衛隊は、ステルスジェット戦闘機"富士"による"95式空対艦誘導ミサイル"を対空砲陣地や内陸のトーチカに対して発射し、
"95式空対艦誘導ミサイルによる攻撃はパガンダ島の遥か上空に位置する敵航空機から狙われる施設が判別できるが、音速で飛行するミサイルに対処する術をグラ・バルカス帝国は持たない。同様に、帝国の射程外からの主砲攻撃によって沿岸施設が破壊されるなど常識の埒外、魔法と言っても差し支えないだろう。
"95式空対艦誘導ミサイルは、上空からの攻撃を避けるために退避していたグラ・バルカス帝国の戦車をも破壊する。結果として、生き残った戦車は"2号戦車ハウンドI"及び"2号戦車ハウンドⅡ"を合わせても、半数以下の16輌にまで落ち込んでしまった。
警備用に配置されていた"2号戦車シェイファーⅡ"も13輌にまで落ち込んでいる。軍事施設を破壊され、将兵達は塹壕等に籠って夜を明かす羽目になった。日本国が爆撃を敢行しているので、照明や火を使うことも出来ない。彼等は夜明けを暗い中で過ごす羽目になった。
だが、僅かな休息を取らせる事なく、日本国は次の行動に移っていた。
第二次バルチスタ沖海戦の際に、後方で待機していた空母"白虎"率いる第3艦隊と水陸機動団はパガンダ島を包囲。主砲攻撃を行った。既にパガンダ島には艦艇に対処する為の沿岸砲や航空機も使え無い状況であり、グラ・バルカス帝国パガンダ島守備隊には耐えるしか無かった。
小口径とは言え、巡洋艦クラスの砲弾が高頻度で降り注ぐのだ。帝国将兵達は疲れを顕にする者もいた。
塹壕に立て籠もっていたグラ・バルカス帝国将兵のうちの一人が海上自衛隊の沖合に佇む艦隊を睨みつけていると、何隻もの小型艦艇が此方に向かって来るのに気付いた。
「敵襲!奴ら揚陸してくるぞ!」
彼は直に塹壕にいる仲間に報告し、回線を地下に設してられた有線電話にて司令部に伝達した。
それに呼応して各々が小銃や機関銃を持って揚陸艦に向けて弾丸を放つ。揚陸艦が応射する中、艦首扉が開かれた。
グラ・バルカス帝国将兵は艦首扉の開閉と同時に弾丸を叩き込んだ。しかし、それらは金属音を奏でて弾かれてしまった。音の発生源をよく見ると、そこにはこの世界では見ることがなく、自分達しか持っていないと思われていた兵器、戦車があった。
それは非常に洗練されていて、"2号戦車シェイファーⅡ"よりも大きく、長身の砲塔を備えていた。彼等は思わぬ兵器に動きが鈍る。そこを逃さず"78式水陸両用車"の集団が"12.7mm重機関銃"で反撃する。
これによって、多数の死傷者が出る。しかし、グラ・バルカス帝国も増援として派遣した"2号戦車シェイファーⅡ"が3輌森の中から姿を現した。搭載された"57mm砲"が"78式水陸両用車"に命中する。しかし、装甲技術が高い"78式水陸両用車"に"57mm砲"は弾かれてしまう。
反撃として"12.7mm重機関銃"を"2号戦車シェイファーⅡ"に放とうとする。しかし、そこに待ったを掛けるように揚陸艦から1つの影が飛び出してきた。それは、人型をしており、戦場には似つかわしくない幼女だ。
区分するなら狐の獣人だ。獣人は、戦車よりも高スピードで迫ってくる。迫ってくる獣人に弾丸を撃ち込む。しかし、それらは目で追えない速度で弾丸の速度を殺してその辺に捨てる。この間、コンマ数秒。そのまま"2号戦車シェイファーⅡ"に突貫して戦車を持ち上げてしまった。
持ち上げた"2号戦車シェイファーⅡ"をその辺にポイッと捨てる。捨てられた"2号戦車シェイファーⅡ"は履帯が上向きになってしまい、使用不可能になった。残り2輌の"2号戦車シェイファーⅡ"は"78式水陸両用車"の"12.7mm重機関銃"によって撃破されてしまった。
無敵と思われていた戦車があっという間に撃破されてしまった事で対抗手段が無くなったグラ・バルカス帝国将兵は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。そこを追撃する様に現れた"12式戦車"が屍の山を量産する。そんな中、水陸機動団所属の自衛官は戦車隊を陰にして上陸した。水陸機動団はパガンダ島に橋頭堡を確保する事に成功した。
そこからは怒涛の展開だった。残った戦車を片付けるべく100機以上の"04式自爆型ドローン"が森の中に潜んで反撃を狙う"2号戦車シェイファーⅡ"や"2号戦車ハウンドI"及び"2号戦車ハウンドⅡ"を赤外線感知によって把握して、奇襲する。
虎の子の戦車が破壊されてしまったグラ・バルカス帝国パガンダ島守備隊は迫撃砲や機関銃を用いてゲリラ戦を展開した。しかし、低空からのドローンによる索敵と、赤外線による探知、夜間には暗視装置を用いて隠れている場所を一つ一つ着実に潰していった。既にパガンダ島周辺海域は日本が制海権を握っており、遠くから見ていた潜水艦も撃沈され、補給を届けるために来た船団も潜水艦による通商破壊によってパガンダ島の軍港に入港する事が出来ず、パガンダ島の現状が本国に届くことはなかった。これも、日本国自衛隊が無線封鎖を実施していて報告が届かなかったのだ。
戦力が着実に減っていったグラ・バルカス帝国パガンダ島守備隊は補給が途絶した事もあって飢餓と青い炎による心理的圧迫によって精神異常を起こした。だが、最後まで正気を保った者達は機密文書や暗号装置、暗号を処分した後に玉砕。
2週間程でパガンダ島守備隊は全滅し、グラ・バルカス帝国は重要な補給拠点を失った。
〜コラム〜
水陸機動団
日本版海兵隊。最新兵器や機材が優先的に回されており、高い練度を誇る。勿論、稲荷神に対する忠誠心も高い。
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これから登場する兵器について
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