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ー第二文明圏グラ・バルカス帝国領レイフォル州都レイフォリアー
パガンダ島攻略が終盤に向かっていた頃、ムー大陸戦線を支える統合基地のラルス・フィルマイナでは、混乱が広がっていた。何故なら、ここレイフォリアに2度目の空爆があったからだ。
空爆によって航空基地や駐留していた艦隊の一部が被害を受けている。また、一部の工場も被害を受けている。だが、問題はそこではない。いや、ここラルス・フィルマイナの基地機能の一部が奪われたと言うのも驚きだが、問題は攻撃を2度もして来た事実そのものにある。
1つ目として、こんな攻撃が出来るのは、今亡きカイザル大将が懸念を示していた日本国以外居ない。だが、日本国の艦隊は東部方面艦隊と連戦と言う形になる。東部方面艦隊と言えば、帝国でも最高峰の練度を誇る最強の艦隊だ。如何に日本国がSFチックな兵器を保有していても、多少の被害はある筈なのだ。なのに、連戦出来るのか?ムー大陸に空爆出来るのか?それが1つ目。
そして、2つ目がパガンダ島だ。パガンダ島守備隊は定時に必ず無線連絡をするように義務付けられている訳では無い。
何故なら、敵に無線を傍受され基地の所在地が判明するのを防ぐ為だ。だが、全くしないと言う訳では無い。しかし、流石に何日も連絡が無ければ流石に気付く。パガンダ島は無線連絡が出来ない状態にあると言う事にだ。
事実、潜水艦による調査を行おうにも、潜水艦も消息を絶っている。航空機も同様だ。補給をしようと輸送船を派遣しても帰ってこない。十中八九パガンダ島は攻撃に晒されているのだろう。救援に向かうべく彼等は出撃準備を整えていたのに、第一次レイフォリア空爆によってレイフォリア防衛艦隊が被害を受けてしまい、援軍に出せるのは僅かな地方艦隊のみだ。これでは、救援に行くことが出来ず、精々が潜水艦による補給だが、それも上記の理由で出来ずにいる。
そんな中での第二次レイフォリア空爆をする敵の意図が読めずラルス・フィルマイナに務める参謀達は自分達の知識を元に議論を交わしていた。そんな中、レイフォル沖に哨戒の為に展開していた潜水艦から報告が入った。内容は、『ムー艦隊を発見、ムー大陸西北に北上中!』という物だった。
その報告に参謀たちは疑問符を浮かべた。何故なら、東部方面艦隊が全滅した今、制海権は敵に渡っている。しかし、レイフォルやイルネティアにある艦隊は日本国には敵わなくとも、ムー艦隊等鎧袖一触なのだ。それは、過去の海戦からもムー国側も理解している筈だ。そんなムーの艦隊が北上しているのは理解しがたいことだった。
だが、レイフォル陸軍守備隊の指揮官であるランボール大佐は、敵の意図に気付いた。
「総司令官閣下!敵はイルネティア島を攻略し、レイフォルと本土を切り離すつもりです!」
この言葉に、司令部は凍りついた。レイフォルは第二文明圏の戦線の補給拠点だ。だが、流石に帝国本土とは距離が空いているので、帝国本土からレイフォルまで幾つもの補給拠点を設けている。その一大拠点がイルネティア島だ。そのイルネティア島を奪取されてしまえば、補給が覚束なくなり、軍を動かす資源も無くなるどころか食糧が無くなり、軍民問わず飢餓に苦しむ事になりかねない。それだけは死守しなければならない。
彼等は、持ちうる戦力で行動を開始する。
◆
ー第二文明圏イルネティア島経済都市ドイバー
この都市は、グラ・バルカス帝国の艦砲射撃によって完膚なきまでに破壊されてしまった。帝国は、この良港を軍港として利用する為に改造した。結果、この都市にはイルネティア島守備隊に所属している地方艦隊が駐留している。
そんな都市が位置するイルネティア島に空母"出雲"が、空母"青龍"はレイフォリアに向かっていた。因みに、稲荷神もパガンダ島攻略を途中で切り上げて"出雲"に乗艦している。
何故、空母を2方向に分けたのかと言うと、イルネティア島に注力してレイフォリアからの援軍によって挟み撃ちに遭うのを防ぐためだ。
空母"青龍"はレイフォリアのグラ・バルカス帝国基地を爆撃、駐留している艦隊にも攻撃を加えていった。お陰で、グラ・バルカス帝国は戦力の立て直しを図っている。
つまりは、"出雲"と"青龍"の役割とは、イルネティア島周辺の制海権及び制空権の確保。レイフォリアでの敵戦力の足止めだ。これらが達成されれば、グラ・バルカス帝国より戦力が劣るとは言え、ムー国を始めとする第二文明圏でも善戦できるだろう。勿論、イルネティア島本土での支援は必須と言う但し書きはあるが…
刻一刻と日本国海上自衛隊とムー国の艦隊が向かっているとも知らないイルネティア島守備隊はいつも通りの日々を過ごしていた。だが、この日は少し違った。
レーダーが急に白くなり、レーダー機能が喪失してしまったのだ。レーダー係は機械の故障かな?と思い、色んな処置を施してみても効果無しだった。故に、上官に報告しようとした時だった。
ドガーン!
爆発音が立て続けに起こったのだ。この突然の爆発音に、基地司令官であるレダイ少将は朝方と言う事もあって寝床から飛び起きて司令部に向かった。
「何事だ!」
「滑走路が爆発しました!使用不可能な状態です!」
部下の言葉に彼は敵襲だと断じた。
「敵襲だ!航空機を格納庫に退避させろ!水上艦及び敵航空機に注意しろ!」
彼が指示を出していると、監視塔から報告が上がった。
『ロケット弾がレーダーサイトに命中!大破しています!』
『レーダー使用不能!』
無線封鎖の中であるため、伝声管を通じて齎された情報に困惑と驚きが混じる。
(空襲警報が鳴っていないと言うことは、レーダーに捕捉されていない。つまり空爆ではない。艦砲射撃するにしても、艦艇を発見出来ないとは考えにくい。陸軍による攻撃は論外だ。敵はどの様な手段で此方の手足を奪っているのだ!)
レダイ少将は、日本国と思われる攻撃に動揺する。これは、"85式巡航ミサイル"による攻撃だ。日本国海上自衛隊空母"出雲"率いる艦隊に所属している"球磨型巡洋艦"による攻撃だ。
"球磨型巡洋艦"1番艦の戦闘情報室にて、
「レーダーサイト、滑走路、燃料タンク破壊しました!尚、戦車含む車両を確認しました!」
「"85式巡航ミサイル"第2射用意!目標敵軍港ドック及び施設!」
"85式巡航ミサイル"は日本版トマホークだ。勿論、各種性能はトマホークよりも高い。彼等は、誘導ミサイルの射程ギリギリから攻撃をしていた。
そんな遠距離から2射目に発射された"85式巡航ミサイル"はイルネティア島の軍港を破壊する。目標に命中した"85式巡航ミサイル"は軍港内の敵艦隊を発見し、戦闘情報室に知らせる。
「"85式巡航ミサイル"映像より、軍港内に敵艦隊を発見。敵艦隊、空母2隻、重巡2隻、巡洋3隻、駆逐5隻!」
「"92式艦対艦誘導ミサイル"用意!目標敵艦艇!軍港から出る前に叩くぞ!」
"球磨型巡洋艦"の艦長は同じ球磨型巡洋艦の2番、3番艦と情報共有をしながら役割を決めて"92式艦対艦誘導ミサイル"を発射する。
球磨型巡洋艦の乗組員からすれば、弾着地点を変更してボタンを押すだけの仕事だが、受ける側からすれば、たまったものではない。現に、グラ・バルカス帝国領イルネティア島守備隊の軍港は地獄の様相を呈していた。
ドックにある艦艇は炎に包まれ、工廠は瓦礫の山と化す。"85式巡航ミサイル"に当たった燃料タンクは火が燃え移り火災を広げていく。軍港に停泊していた地方艦隊は退避するべく小型な駆逐艦から出港しようとする。
そこに、"92式艦対艦誘導ミサイル"が飛来してきた。超低空を極超音速で飛行するミサイルをレーダーで捉えることも出来なかった。そもそも、レーダーは使用不可能だが…
閑話休題
兎も角、飛来してきた"92式艦対艦誘導ミサイル"は"スコルピウス級駆逐艦"に搭載された魚雷発射管に命中、誘爆して轟沈、その他4隻も似た運命を辿る。軽巡洋艦、重巡洋艦も魚雷や弾薬庫に命中して1発から2発で駆逐艦同様に轟沈する。
2隻の軽空母は薄い装甲を貫通して航空機用ガソリタンクンに命中して引火して爆発。どちらも海の藻屑となった。
グラ・バルカス帝国領イルネティア島守備隊所属地方艦隊はあっという間に全滅してしまった。
◆
所で、何故パガンダ島と連絡が取れなくなった際にグラ・バルカス帝国は艦隊を援軍として派遣しなかったかと言うと、前述したように、レイフォリアにも攻撃がなされていたのだ。
時間は自衛隊水陸機動団がパガンダ島に上陸してから3日目程前に遡る。
海上自衛隊は、レイフォリアにあるラルス・フィルマイナの軍港に攻撃を仕掛けていたのだ。攻撃を行っていたのは"依10型原子力潜水艦"だ。
彼等は、安井司令官の指示の下でパガンダ島に派遣される恐れのあるレイフォリア防衛艦隊を足止めし、作戦遂行を滞りなくするためだった。
グラ・バルカス帝国の"シータス級潜水艦"よりも遥かに静音性が高い日本の潜水艦は、レイフォリアに駐屯とするレイフォリア防衛艦隊に気付かれないまま、"78式魚雷"を放った。
"78式魚雷"は静粛性を高めた誘導魚雷だ。勿論、純酸素魚雷であり、グラ・バルカス帝国の空気魚雷よりも高火力、長射程だ。
3隻の潜水艦から放たれた"78式魚雷"はレイフォリア防衛艦隊に向かっていった。
◆
ーレイフォル防衛艦隊ー
レイフォル防衛艦隊は、戦艦3隻、正規空母3隻、軽空母2隻、重巡洋艦9隻、巡洋艦9隻、駆逐艦36隻、補給艦12隻からなる最精鋭の艦隊だ。レイフォルと言うムー大陸から本土に及ぶシーレーンを防衛する為に帝国本土にある艦隊よりも練度も装備も高い。
旗艦である"ヘラクレス級戦艦"の艦橋で2人の男が話していた。艦隊司令アンダール少将と参謀長シビエ大佐だ。
「ラルス・フィルマイナ基地への攻撃によって基地は被害を受けた。だが、練度の高い東部方面艦隊と戦ったと言う事は敵は少なくとも艦隊の半数をやられている筈なのだ。その事実が、我が艦隊は被害を受けなかった事を物語っている!練度は帝国最精鋭だ。将兵達の練度なら日本国の艦隊程度蹴散らしてくれる!」
「その通りです!我が国の航空機は世界最強!負ける筈がありません!」
「そう思うかね?やはり我が軍は圧倒的だ!空母こそ戦局を左右するのだ!時に、ジビエ君。私は実は大艦巨砲主義者なのだよ」
「…は?」
ジビエは、唐突なアンダールの言葉に疑問符を浮かべる。ついさっき自分で『空母こそ戦局を左右するのだ!』と言っておきながら、大艦巨砲主義者だとカミングアウトしたのだ。矛盾している。現に、彼は軍内部では空母・航空主兵論者として知られ、大艦巨砲主義に否定的な立場だ。ジビエでなくとも、その事実を知る者は皆同じ様な反応をするだろう。
「大艦巨砲主義と航空主兵論は似た者同士だ。何故なら、大艦巨砲主義は砲弾を敵艦に飛ばすアウトレンジだが、航空主兵論は魚雷を敵艦に近付いた状態で投下する。謂わば、アウトレンジの延長上だ。つまり、空母こそが帝国に必要なものなのだよ」
ジビエは合点がいった。アンダールは大艦巨砲主義に対する皮肉を言ったのだと。
「日本軍など捻り潰してくれる!」
「その通りですね!」
アンダールは、攻撃を受けた事を屈辱に感じていた。絶対に日本海軍にツケを払わせると誓う。
「我が軍は圧倒的だ!」
そう言った時だった。
ドガーン
「空母"リュウセイ"に被雷!轟沈します!」
「被雷だと!」
見張りが被雷と言うが、周囲に敵艦の姿はない。となれば、結論は1つだ。
「全艦、対潜戦闘配置!近くに敵潜水艦がいるぞ!」
ペガサス級航空母艦"リュウセイ"は、パガンダ島を攻撃していると思われる日本海軍及び陸軍に対して航空攻撃を行うべく準備をしていたが、それが良くなかった。日本国海上自衛隊の"依10型原子力潜水艦"が放った"78式魚雷"は空母含め、船の背骨とも言える竜骨に誘導され、命中、轟沈する。
「駆逐艦及び巡洋艦は対潜戦闘をしろ!その他艦艇はムー大陸に進路を取れ!」
アンダールの的確な命令によって大型艦はムー大陸に針路を取り、小型艦は対潜戦闘を始める。
だが、グラ・バルカス帝国の対潜装備は爆雷とパッシブソナーのみだ。アクティブソナーがあれば話は別だが、パッシブソナーでは味方のスクリュー音も聞こえてしまい、幾ら冷却音が聞こえる原子力潜水艦と言えど、静音性を第一に設計されている"依10型原子力潜水艦"を捉えられる筈もない。
幾らパッシブソナーで水中音を聞こうとも、聞こえるのは仲間の艦艇のスクリュー音のみだ。駆逐艦や巡洋艦達が必死に周りを捜索している間に、"依10型原子力潜水艦"は次の行動に移っていた。ムー大陸に避難していた大型艦(特に空母)目掛けて"78式魚雷"を放ったのだ。それらは、グラ・バルカス帝国側に探知されることもなく空母に命中する。戦艦も同様だ。
この攻撃によって、グラ・バルカス帝国レイフォリア防衛艦隊は、正規空母2隻、軽空母2隻、戦艦1隻、重巡洋艦5隻の被害を受けた。
また、"依10型原子力潜水艦"に搭載された垂直発射システムによって発射された"85式巡航ミサイル"によって、大型艦全てに命中。撃沈もしくは航行不能状態になった。ついでに小型艦も被害を受けている。
1回の潜水艦による"78式魚雷"と"85式巡航ミサイル"による苛烈な攻撃によって、レイフォリア防衛艦隊は4分の1の戦力を喪失した。これでは、パガンダ島に援軍を派遣する事は出来ない。戦力の立て直しに奔走する為にグラ・バルカス帝国はパガンダ島の兵士を合理的に切り捨てたのだった。
イルネティア島を巡る攻防戦が今始まる…
〜コラム〜
時系列
東部方面艦隊バルチスタ海域にて全滅。僅かな部隊がパガンダ島に帰投。
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パガンダ島襲撃。
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3日後、ラルス・フィルマイナ基地爆撃。同時にレイフォリア防衛艦隊は潜水艦による攻撃によって4分の1が消滅。
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イルネティア島守備隊所属地方艦隊壊滅
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パガンダ島守備隊玉砕或いは降伏
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これから登場する兵器について
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