アンケート結果から、ここから日本国本土に視点を移します。注意!!今回、稲荷神は名前しか出てきません。それでも良い方はとうぞ…
第三文明圏混乱の序章
ー第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリスー
時間は第二次バルチスタ沖海戦直後に遡る。皇帝の居城であるアルビオン城で緊急御前会議が開かれていた。出席者には、
・神聖ミリシアル帝国皇帝ミリシアル8世
・外務大臣 ペクラス
・外務省統括官 リアージュ
・対魔帝対策省古代兵器分析戦術運用部長ヒルカネ
・空中戦艦"パル・キマイラ"2号機艦長メテオス
・帝国情報局長 アルネウス
・軍務大臣シュミールパオ
・国防省長官アグラ
などのいつものメンバーである。だが、対魔帝対策省の重鎮がいる以上重要な議題なのだろうと予測はつく。
「それでは、会議を始めます」
アルネウスの1言から、会議が始まった。情報局が中心となって集めた情報を元に作成された報告書に皆の視線が向く。
「先日、第一文明圏外国家であるメーズに設置した魔導海上レーダーに多数の魔力反応が海上を移動しているのを確認しました。魔力反応の規模や船体に魔力反応が無いこと、移動速度から間違いなくグラ・バルカス帝国の艦隊です。そこで、更なる情報収集をした結果、大艦隊が第一文明圏南方海域を東に向けて移動しているのを確認しています。その数は500隻以上にのぼります」
この報告に場がざわつく。
「これ程の規模の艦隊が第一文明圏南方海域をどうやって通過したのだ!」
「いや、世界連合艦隊を相手取った時よりも多いです。早急に対応を考えねば…」
アルネウスは、場が静まったのを確認して続ける。
「艦隊は第一文明圏を大きく迂回した模様です。今回発見した艦隊は、我が情報局の想定する規模を上回る物です」
ここに、軍務大臣シュミールパオが手を挙げた。
「グラ・バルカス帝国艦隊が東に向かったとの事だが、情報局の見解では何処を攻撃目標としているのだろうか?」
「情報局の見解では、日本国に向かったと思われます」
アルネウスの言葉に更なる質問をぶつけた。
「仮にだが、この500隻を超える艦隊が日本国に攻撃を行った場合、日本国の被害はどれ程の物になるのだろうか?」
「この艦隊全てが日本国に攻撃を行った場合、情報局の分析ではグラ・バルカス帝国側にも多大な被害を受けるでしょう。しかし、日本国の被害もまた大きな物になる可能性が高く、最悪の場合首都が焼かれ多くの軍艦が撃沈され、工場も空爆と艦砲射撃で使えなくなります。よって、想定される敵戦力が大きく変化したので運用に再度意思決定が必要でしょう」
これに、多数の者が驚くが、国防省長官アグラが質問した。
「補給は?奴らの本土は第二文明圏外だと聞く。ならば、日本国のある第三文明圏外まで補給が持つはずがない」
「はい。まずはレイフォルで補給を行ったと仮定します。それと、情報局と外務省の調査結果から第三文明圏外に位置するニューランド島にある国家チエイズ、同島のグルートがグラ・バルカス帝国の傘下に下った事を確認しています。彼らは此処に港を整備しており、補給基地も作られているようなので、ここに立ち寄るつもりだと思われます」
「補給も可能なのか…」
仮にもこれだけの大部隊だ。追撃するにしても、規模が規模だ。それ相応の数の艦艇を送り込む必要がある。しかし、神聖ミリシアル帝国の東側を守る第1〜第3魔導艦隊は第一次バルチスタ沖海戦で壊滅している。地方艦隊を集めて送り込んだとしても、その頃には補給を済ませて日本国へ向かってしまうだろう。
どうしようもない現状に皆がざわつく中、ミリシアル8世は手を挙げて場を制した。
「このままでは、日本国は再起不能になると言うことか?」
「はい。少なくとも都市の1つは焼け野原になると思われます」
皇帝の質問に答えるアルネウスの口元は僅かに震えていた。
「では、仮にこの艦隊を撃滅した場合はどうなる?」
「はい。本国にどれ程の艦隊があるかは分かりませんが、これ程の艦隊が敗れたとなれば再建には少なくとも数年は掛かると思われます」
この答えに、ミリシアル8世は考え込む。幾ばくが経ち口を開いた。
「友好国を見捨てた…と他国から後ろ指をさされぬ様、最低限の事はすべきだろう…日本国には、グラ・バルカス帝国艦隊の規模と進行方向の最新情報を教えてやれ。軍は…」
そう言いつつ、国防省長官アグラの顔を見るが、彼は首を横に振っていた。
「軍は間に合わぬな」
「申し訳ありません」
「よい。それよりも敵艦隊が帰投するタイミングでトドメを刺せるように迎撃準備をせよ」
「はっ!」
次に、対魔帝対策省古代兵器分析戦術運用部長ヒルカネに顔を向けた。
「ヒルカネよ。空中戦艦パル・キマイラは出撃出来るか?」
「申し訳ありません!現在、パル・キマイラ全機が整備中であります。燃料及び弾薬補給を終えた後に派遣したとして、日本本土に間に合うか…と言った具合です。東京に向かうと仮定して、補給に時間を掛けるか、ロデニウス大陸南を大きく迂回でもすれば間に合うかと思われわす」
「それで良い。1機でもいいから派遣してやれ。そうだな…派遣するのはメテオスが艦長を務める2号機が良いだろう。だが、メテオスよ」
「はっ!」
「日本と世界に向けて、神聖ミリシアル帝国は友好国を助けると言う姿勢を示す政治的パフォーマンスだ。また、日本国に対して我が国の力を示す意味合いもある。故に、1号機の様に無闇に接近せず時間を掛けてもじっくりと攻撃せよ。弾薬や燃料が少なくなったら無理せず帰投せよ」
「承知しました!」
「リアージュよ」
「はっ!」
「第三文明圏外国家に伝えよ。グラ・バルカス帝国艦隊の艦艇を1隻でも撃沈したら外交等級を5級対象国から3級対象国へ引き上げると。そして、ニューランド島の各国にはチエイズとグルートに攻撃をするなら後ほど神聖ミリシアル帝国から支援があると伝えてやれ」
神聖ミリシアル帝国の外交には国の格付けの様な物が存在する。
上から順に列強国が認定されてる"特級国家"
第一文明圏及び先進11カ国会議参加国が認定される"1級国家"
第二文明圏内国家が認定される"2級国家"
第三文明圏内国家が認定される"3級国家"
第一文明圏外及び第二文明圏外国家が認定される"4級国家"
そして、第三文明圏外国家が認定される"5級国家"である。
つまりは、神聖ミリシアル帝国にとって第三文明圏外国家は必要最低限のお付き合いと言う事だ。しかし、5級国家である第三文明圏外国家がグラ・バルカス帝国の艦艇を1隻でも撃沈出来たら第三文明圏内国家と同じ3級国家と同列にすると言う。これは、破格の対応である。魔導技術の供与も受けやすくなり、周辺国家を出し抜けるまたとない機会だ。
「よろしいのですか?」
「よい。日本国の台頭によって近い将来、勢力のパワーバランスは大きく変わる。なら、変わぬ内に我々に取り込んだほうが良い。それに加えて、東方国家群の冒険者ギルド協会には敵艦隊に導力火炎弾及び魔導砲どちらか1撃でも叩き込めれば、ミリシアル皇帝が褒美を与えると通達せよ。身分、門地は問わず、海賊でも良い。また、チエイズとグルートのギルドには攻撃を命中させれば、褒美の他に神聖ミリシアル帝国第3級市民権を与えるとも伝えよ」
「承知しました」
各々が決められた事を直に実行に移す。神聖ミリシアル皇帝の謀略は始まったばかりだ。
◆
ーナハナート王国ー
ロデニウス大陸南方に位置する国、ナハナート王国。この国は第三文明圏外に位置しており、国土は世界地図に点で記される程小さい。しかし、第三文明圏と南方世界を中継する国として栄えているが、国力はお世辞にも高いとは言えない国だ。
だからこそ、正規の海軍以外にも冒険者、果ては海賊まで取り込んで海軍戦力としていた。そんなナハナート王国を衛星によって確認した日本国は同国と接触、国交を結ぶことに成功した。
ナハナート王国は相変わらず貿易で栄えているが、日本国との貿易や投資で過去最高の好景気を見せている。
そんな国の冒険者ギルド協会に所属する冒険者や海賊、ナハナート王国上層部は大盛り上がりしていた。理由は、神聖ミリシアル帝国からの通達だ。
冒険者や海賊がミリシアル皇帝からの褒賞に思いを馳せながら酒盛りしていると、王国に仕える騎士が話に割り込んできた。
「いや、そう楽観視出来る話でも無いぞ。神聖ミリシアル帝国は我が国含め複数の国家に対して、敵艦1隻でも撃沈出来たら5級国家から3級国家に引き上げるとしている。この知らせに王宮は大騒ぎだ。3級国家になれば、富や技術が集まる。日本国の支援や投資もあれば今よりももっと贅沢が出来るだろう」
「なら尚のこといい話じゃねぇーか」
そう言う海賊に、騎士は首を振る。
「そんな単純な話じゃない。民間に魔信やテレビが発達してないこの国じゃ情報が入るのが遅いから知らないかもしれんが、グラ・バルカス帝国が列強レイフォルを滅ぼした事は知っているな?」
「おう」
「その後、神聖ミリシアル帝国と第一文明圏、第二文明圏を中心に世界連合を結成した。そして、神聖ミリシアル帝国は古代兵器まで投入したらしい。しかし、グラ・バルカス帝国排除に失敗した。相手はそれ程の実力があると言うことだ」
楽観視していた者は沈黙する。しかし、騎士は続ける。
「だが、方法が無いと言うわけでもない。実は、日本国から打診があった。我が国の東の街にある大規模の港と飛行機械用の空港を使わせてくれと言ってきた。それも破格の金額でだ。国王陛下は了承なされた。強国の圧力ってヤツだ。すでに港には鋼鉄の船が何隻も待機してる。もう一つ言えばムー国も他国の空港を経由して攻撃機120機が来るらしい。これらは、日本国の攻撃で脱落した艦を狙う為らしい」
話を聞いて、自分達の出番はないと暗い顔をする海賊に騎士は一喝する。
「いいか!これはチャンスだ!考えても見ろ!日本軍の攻撃で脱落する艦は必ず出る。脱落艦に攻撃を加えても褒賞は出るし、撃沈させれば尚良しだ。ナハナート海軍も脱落艦を狙う手はずになっている」
「そうか!なら準備しないとな!」
欲望が第三文明圏外を駆け巡る。
◆
ー第三文明圏外列強国日本国首都東京ー
日本政府は、物々しい雰囲気に包まれていた。衛星写真からグラ・バルカス帝国の艦隊が南航路でこちら側に向かっているのが確認されたからだ。アメリカ並みの物量を誇るグラ・バルカス帝国の艦隊は、第二次世界大戦仕様の艦艇であり、技術的な差があれどその物量は脅威だと言える。故に、以前から設立されていた総合本部を本格始動し、情報収集や指揮に当たっている。皆が稲荷神様が守ってきた日本の地を穢させてなる物かと躍起になって活動している。
そんな中、外務省の高官が総合本部に入って来た。
「神聖ミリシアル帝国から外交文書が届きました」
そう言って、印刷された文書を配る。それを見ると、500隻を超える艦隊を確認したとの事だった。
「神聖ミリシアル帝国も、捉えましたか」
「衛星写真とも一致しますね」
一人の防衛省幹部が意見を出す。
「衛星写真によると、グラ・バルカス帝国はチエイズ王国とグルート騎国に港を整備して補給も出来ます。我が国に攻撃を加える事は十分に可能でしょう」
「いや、他にも補給可能な基地があるかも知れない。分散して補給を行い、集結して一気に…と言うことも考えられる」
「それなら、ロデニウス大陸南方から来るのでは?北は島が密集しているので、捕捉される可能性が高い。なら、南のルートを通る筈だ」
「迎撃するにしても、近場まで来られると厄介です。排他的経済水域に侵入するまでに撃破したいのですが…」
「それは難しいです。基地建設に同意したのはロウリア王国、クワ・トイネ公国、クイラ王国、アルタラス王国、ナハナート王国のみです。一時的な基地使用許可なら多数の国が承認しているのですが…」
「今回の敵は多い。用心しないと…」
次々と意見を交わす。そんな中、外交文書を見ていた幹部の一人は最後の文章が目に留まった。
『敵艦隊戦力の削減の為、空中戦艦パル・キマイラを派遣する』
「困ったな…神聖ミリシアル帝国の空中戦艦に我が国の敵味方識別装置は…」
「あるわけ無いよな。近付かれると面倒だ。それに、この『第三文明圏外国家の褒賞』これ目当てにワイバーンや各国の海軍が攻撃を雨のようにする可能性が高い。こちらも誤射しかねない」
「外務省を通じてエリア指定をし、そのエリアのワイバーン及び船舶の通航を禁止するのはどうだろう?」
「分かった。それで行こう」
話が纏まり掛けた時、幹部の1人が話を切り出した。
「そう言えば、リーム王国はどうしましょうか?」
その言葉に、幹部たちは考え込む。リーム王国はパーパルディア皇国戦にて73カ国連合軍結成時に頼んでもないのに参戦した。その後、パーパルディア皇国を滅ぼした事でリーム王国は撤退したが、リーム王国上層部を調べた結果覇権主義的な考えを持っていることが判明した。
このハイエナとも言える行為に対して日本国はリーム王国との外交関係を断絶こそしていないが、関係は冷えている。それでも、企業の進出などはしており表面的には仲のいい国家だ。しかし、裏では私掠海賊を利用したりとイングランドの様な事をしている。
そんなリーム王国だが、日本国に対して先日に資産凍結を言い渡してきた。他にもムー国に対しては、ムー国外交官の国外退去を言い渡している。これに外務省の在リーム王国大使は対応している最中であり、これを防衛省や外務省内部では事実上の宣戦布告だと捉えていた。事実、敵国であるグラ・バルカス帝国の艦隊や航空機が出入りしているのを確認している。
「リーム王国はグラ・バルカス帝国に基地を貸し出しているようだが、攻撃するのは外交ルートで決着がつかなかった時だ。だから今はリーム王国よりグラ・バルカス帝国の艦隊の対処をすべきだ」
「そうだな…」
思惑は交錯する…
〜コラム(と言うか注意)〜
時系列的に、第二次バルチスタ沖海戦後の話です。稲荷神はムー大陸西岸でパガンダ島及びイルネティア島攻略をしています。
リモートで出演する事も検討していますが、数話に渡り出演しない事をご了承下さい。
外伝や閑話の時系列は気にしないで下さい。
お気に入り登録、高評価宜しくお願いします。
グラ・バルカス帝国の今後
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日本国本土近海に軍を派遣する。
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レイフォル沖制海権を取り戻す
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その他(経緯をメッセージボックスにて)