稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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ムー大陸打通作戦
第二文明圏の反攻


 

 

ー第二文明圏列強ムー国首都オタハイトー

 

ムー国はグラ・バルカス帝国との戦争状態に陥っていた。そのため、ムー国の国民は戦争に協力するようになり、軍需産業やムー統括軍が拡大していた。

 

そんなオタハイトの一角にムー統括軍の総司令部がある。その会議室には大勢の軍人が集まっていた。彼らは第二文明圏連合軍の高官達だ。彼らは迫りくるグラ・バルカス帝国に対抗するために結成された多国籍軍だ。

 

参加しているのは以下の通りだ。

 

・日本国

・ムー国

・ニグラート連合

・マギカライヒ共同体

・ソナル王国

 

そして、彼等の中には、新生イルネティア王国の外務大臣もいる。

 

会議の始まりをムー統括軍の高官が宣言した。

 

「皆様、今回はお集まりありがとう御座います。今回は、ムー大陸における現状とそれを受けて、今後のグラ・バルカス帝国戦における反攻作戦をご説明します」

 

この言葉に皆に緊張が走る。グラ・バルカス帝国と言えば、第二文明圏外に突如として現れ、第二文明圏外の国々を併合し、果ては、パガンダ王国を7日で、レイフォル国を5日で滅ぼした。今でこそ王国が再建しているが、イルネティア王国も滅ぼしている。

 

そして、11カ国会議で世界征服を宣言し、破竹の勢いに進撃するので、各国はグラ・バルカス帝国を恐れていたのだ。そんな相手に反攻作戦をとるのだから緊張するのも当然だろう。

 

「グラ・バルカス帝国は強い。それは、第一次バルチスタ沖海戦やフォーク海峡戦でも証明されています。しかし、彼らは、ここオタハイトとマイカルに艦隊を差し向けましたが、これを全滅。次いで敵前線基地を占領しました。これも日本国あっての成果です。ここで改めて感謝を申し上げます」

 

そう言って、日本国出席者に礼をした。日本国出席者の中には稲荷神もいる。彼らもまた返礼をした。

 

「そして、第二次バルチスタ沖海戦で神聖ミリシアル帝国すら成し得なかったグラ・バルカス帝国艦隊撃破を成し遂げました。そして日本国は勢いそのままにパガンダ島とイルネティア島を占領し、ムー大陸西岸の制海権を奪取しました。今なら奴らの補給線である海路も航路も制限されています。今こそムー大陸における反攻作戦を開始するべきだと我々は考えています」

 

その言葉に拍手が巻き起こる。グラ・バルカス帝国に対する感情は最悪であり『グ帝討つべし』の考えのもと殆どの国が賛同の拍手をした。

 

「では、反攻作戦について日本国から作戦案が提示されました。皆さんにはこの場で作戦案を提示し、意見交換を求めるものであります」

 

そう言って彼は日本国自衛隊参謀本部から派遣された五十嵐に代わった。

 

「では、ここからは日本国自衛隊参謀本部所属、五十嵐からムー大陸解放戦に向けた作戦案を発表いたします」

 

そう言って、五十嵐は持参してきたスクリーンに3Dでムー大陸の地図を投影した。この技術に皆がざわつくが五十嵐は気にせずに説明を始めた。

 

「グラ・バルカス帝国州都レイフォリアにむけて、北部中部南部の3つの戦線で目指すと言った内容です。この戦線内訳について、ムー統括軍の関係者様と協議した結果、次のような内訳になりました」

 

北部軍集団

ムー統括陸軍第2軍

第一機甲師団

日本国陸上自衛隊第1軍

航空自衛隊第1軍

 

中央軍集団

ムー統括陸軍第1軍

日本国陸上自衛隊第2軍

航空自衛隊第2軍

稲荷神

 

南部軍集団

神聖ミリシアル帝国陸軍第1・2軍師団

ニグラート連合陸軍

マギカライヒ陸上隊

ソナル王国陸軍

日本国陸上自衛隊機甲師団

 

であった。五十嵐は説明する。

 

「今回は、北部中部南部の3つの戦線で同時攻撃を行い、戦線を増やし相手の戦力リソースを削ります。本命なのは中央軍集団であり、北部軍集団は中央軍集団の援護、南部軍集団は戦線の撹乱です。では、次にそれぞれの具体的な役割についてです。

 

中央軍集団は旧ヒノマワリ王国に侵攻しこれを解放。侵攻拠点とします。この戦線はグラ・バルカス帝国がムー国侵攻の拠点としているので、激しい抵抗が予測されます。なので、我々が主体となって行う予定です。

 

北部軍集団は機甲師団による戦線の突破、そして可能であれば中央軍集団の前方に移動し、敵の大規模包囲を実現したいと考えています。しかし、これは難しいと予測されますので、北部軍集団の役割は戦線の押し上げ。余裕があれば大規模包囲と言うような形です。

 

そして、南部では陸上自衛隊の機甲師団と神聖ミリシアル帝国が主体となって数による戦線の押し上げを狙います。とは言え、この戦線は各国の技術の差が顕著なので無理のない範囲での戦闘…言い換えれば敵の牽制をし、無理のない範囲での戦線押し上げが望まれます」

 

そうして、こう続けた。

 

「機甲師団は性質上、航空機に弱いです。なので、制空権を確保するために戦闘機を各地のグラ・バルカス帝国が建設した飛行場を奪取して、そこからの利用になると思います」

 

そういった時、ムー統括軍の高官の一人が手を挙げた。

 

「お待ちください。戦闘機による制空権の必要性は認知しているが、グラ・バルカス帝国の戦闘機は強敵だ。今の我々の戦闘機で勝てるかどうか…」

 

そう言う彼だが、実際の所ムー国で生産されている戦闘機は日本で言う所の"九六式艦上戦闘機"や"九七式戦闘機"であり、零戦並みの速度を誇る"アンタレス07式戦闘機"に勝てるかは怪しい。

 

「ご心配なく、我々が主体となって制空権を確保します。更に、貴国には我々の旧式戦闘機ドルフィンを提供しています。我々も初期型のジェット戦闘機の開発に協力しますので、それを活用してもらうものと愚考します」

「貴国の支援があるなら百人力ですな!」

 

日本国の支援があると言われ、安心したのか着席した。

 

「ありがとう御座います。五十嵐殿。それでは、最後に日本国最高統治者である稲荷神様にご挨拶願います」

 

そう言われ、渋々壇上に上がる稲荷神。マイクを渡され、無言の時が続いたが、やがて口を開いた。

 

「皆さん。グラ・バルカス帝国は世界征服と言う国際協調と平和を乱し、数々の蛮行をして来ました。この作戦を成功させ、自分達の家族、友人、そして国を守るために力を合わせ、奴らをこの大陸から追い出しましょう!」

 

稲荷神の演説に、日本国の者は涙を流し、一部の者も感激している。こうして、大陸打通作戦ーチベスナ作戦ーが採択された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー第一文明圏列強神聖ミリシアル帝国帝都ルーンポリスー

 

帝都の中央にそびえ立つ皇城アルビオン城にて皇前会議が開かれていた。参加者には皇帝ミリシアル8世はもちろんのこと、外務大臣ペクラス、情報局長アルネウス、外務省統括官リアージュ、国防省長官アグラ、軍務大臣シュミールパオ、対魔帝対策省局長ビルクバーン、対魔帝対策省古代兵器分析戦術運用部長ヒルカネと言った面々が着席している。

 

そして、会議の主役となっているのは仮面をつけた怪しげな男ー空中戦艦パル・キマイラ2号機艦長メテオスーであった。

 

彼は石板を操作すると、空中に日本国の3D技術とも違うホログラムが浮かび上がり映像を映し出していた。それは、空中戦艦パル・キマイラ2号機が撮影したニューランド島での日本国の戦闘の様子であった。

 

空中戦艦パル・キマイラは戦闘をしながら演算能力に物を言わせて日本国自衛隊の戦闘を記録していたのだ。

 

神聖ミリシアル帝国では開発途上の音速を超える航空機。肉眼では追えず、スロー再生してようやく視認できる不可視の攻撃。古の魔法帝国の代名詞である誘導魔光弾。そして、神聖ミリシアル帝国にしかない海上要塞パルカオンの兵器が日本国の軍艦に搭載されていた。

 

海上要塞パルカオンは秘匿された兵器なので、その詳細を知るものは少ない。ゆえに、誘導魔光弾に目が向きがちだが、知識あるものはその事に誘導魔光弾以上の衝撃を受けた。

 

日本国の強さは情報局が集めた資料や技術提携の際にある程度は理解しているつもりだった。しかし、文字と映像では強い衝撃を受けずにはいられない。

 

皆が驚愕する中で口を開いたのはミリシアル8世だった。

 

「ふむ。航空機や艦艇から射出されたのが誘導魔光弾か。わが国でも研究中だが、実用化の目処は立ったのか?」

「はい。現在古の魔法帝国の遺跡にあった物と、日本国から技術供与を受けて貰い受けた資料をもとに現在開発中です。早ければ、今年度から来年度には完成出来ると思われます」

「ふむ。ならばよし。しかし、完成を急ぐあまり質の悪いものを作ってはならんぞ。音速の航空機についても同様だ。ルーンズヴァレッタ魔導学院にも日本国の教えを請うように伝えてやれ」

「はっ!」

 

求心力が低下している神聖ミリシアル帝国はその威信を取り戻すべく手段は選ばない…

 

 

 

 

 

 

 

 

ー第二文明圏ヒノマワリ王国国境付近ー

 

ムー国とヒノマワリ王国の国境にほど近い町ーオカナガーには、ムー統括軍をはじめとする敵軍に対抗するために、バルクルス基地の代わりとしてグラ・バルカス帝国の基地が建設されていた。

 

ここには、グラ・バルカス帝国陸軍第8軍団所属の第5機甲連隊と第7歩兵師団の他、国境警備隊の本部もあった。また、バルクルス基地に代わる基地ともあって、時間の関係から小規模だが飛行場も建設されている。ここには"シリウス型爆撃機"30機、"アンタレス07式戦闘機"60機が配備されて"いた"。

 

'いた"。そう過去形である。何故なら日本国が"アンタレス"の届かない高高度からヒノマワリ州各地に爆撃をしてきたのだ。

 

爆撃を行ったのは、"87式爆撃機"だ。もちろんステルス化とジェットエンジンが搭載されている。これに積まれているのは、精密爆弾である。これにより、ここオカナガにある基地は全滅。高射砲陣地も破壊されている。復旧作業も行われているが、焼け石に水であった。

 

そして、航空機の払底。これが問題である。日本軍が空爆を始めた最初の頃はヒノマワリ州各地にある"アンタレス"が迎撃に向かっていた。しかし、"87式爆撃機"には"ステルスジェット戦闘機富士"が護衛として付いていたのだ。迎撃に向かおうと上昇する"アンタレス"をバタバタと羽虫のように撃墜させ、日本軍に被害すら出なかったのだ。

 

制空権を完全に奪われたグラ・バルカス帝国は自分達より格下の複葉機や低速の固定脚のついたムー国の爆撃機を見逃すしかない。高射砲陣地や航空機が払底した今、彼らに出来ることは防空壕に逃げることだけだ。燃料タンクも破壊され、生き残りの戦車数台が破壊されるなど恨みは募るばかりだ。そして、航空機が去るのを待つ事しか出来ない。

 

いつもの空爆が終わって被害確認を…と思っていた基地司令官は国境警備隊からの敵戦車確認の報告を聞いたのだ。

 

国境警備隊が築いた防衛陣地は全滅していた。トーチカなどはコンクリートの瓦礫であり、砲兵にはいい的なのだ。また、塹壕は再構築などが必須な程に破壊されている。そんな防衛陣地に奇跡的に生き残った兵士達は雑多な小火器や生き残った野戦砲や対戦車砲の引き金に手を当てる。

 

グラ・バルカス帝国の"2号戦車ハウンドⅠ"を遙かに上回る巨体にグラ・バルカス帝国兵は動揺を隠せない。しかし、攻撃に移ろうと僅かな対戦車砲や野戦砲で攻撃しようとした時だった。

 

"04式自爆型ドローン"が高速飛行し、生き残った"2号戦車ハウンドⅠ"に特攻する。対戦車砲や野戦砲を持つ相手には、"12式戦車"の主砲攻撃を加える。

 

グラ・バルカス帝国歩兵には"12.7mm重機関銃"が容赦の無い射撃を加える。

 

日本国陸上自衛隊の戦車が"04式自爆型ドローン"などの航空支援を受けながら突撃する。かつて自衛隊が戦ったソ連軍よりも質も量も貧弱なグラ・バルカス帝国が現代兵器に敵うはずも無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二文明圏連合軍の先陣を切った日本国陸上自衛隊はあっという間にヒノマワリ・ムー国境を突破。ムー統括陸軍が軍用トラックに乗ってそれに続いた。彼らの目標はオカナガの解放である。ここを解放する事で、ヒノマワリ中央部侵攻の橋頭堡とするのだ。

 

国境防衛線と連絡が取れなくなり、グラ・バルカス帝国陸軍オカナガ駐屯地所属の将官達は慌てた。これは敵軍が本格的な侵攻を開始したと判断したオカナガ駐屯地を任されている指揮官は戦闘用意を命令した。兵士達は訓練通りそれぞれの持ち場につく。

 

生き残った戦車は対戦車用意をし、機関銃や野戦砲、対戦車砲を用意する。

 

やがて東の方から土煙が舞っているのが見えてきた。そして、その姿を見た将兵達は驚いた。何故なら、自分達しか持っていないと思っていた戦車や自走砲、装甲車や軍用トラックといった明らかな機甲師団の姿があったからだ。どうやら、日本国とムー国の連合軍らしい。

 

だが、彼らは自国の兵器に絶対の自信を寄せていた。"2号戦車ハウンドⅠ"や"2号戦車ハウンドⅡ"が攻撃をしようとするが、射程外で停止してしまった。すると、聞き慣れない音がすると次の瞬間には爆発音が響き、戦車が炎上していたのだ。"04式自爆型ドローン"の飛行を撃墜しようにも、彼らにはドローン知識がない。撃墜しようにも、大量にあるドローンを小銃で1機1機撃墜するのは無理な話だ。

 

そして何より驚くのは戦車よりも素早くやって来る狐耳の幼女だ。獣人の身体能力を知るグラ・バルカス帝国将兵達は幼女を内心嘲笑いながら銃の引き金を引く。

 

しかし、幼女は弾丸を全て手で掴み、その辺に捨てる。そして、勢いそのままに戦車や野戦砲をひっくり返したり、青い炎で燃やし尽くす。稲荷神と日本国陸上自衛隊の活躍で、ムー国は出来レースの様に同地を占領しに向かった。

 

オカナガの駐屯地基地や征統府支部を第二文明圏連合軍は1時間半ほど掛けて占領。チベスナ作戦は幸先のよいスタートを切ったのだった。

 

 

 

 

 






〜コラム〜

ムー国のジェット機

日本国からの技術提供でドルフィンを提供したが、ムー国側の知識と技術では生産するのは不可能なので、ジェット機黎明期の震電改の生産研究に励んでいる。なお、ムー国にあるジェット機はドルフィン数機と試作の震電改のみである。

なお、今作戦名は狐の名前を使用しております。

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グラ・バルカス帝国の今後

  • 日本国本土近海に軍を派遣する。
  • レイフォル沖制海権を取り戻す
  • その他(経緯をメッセージボックスにて)
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