稲荷様は平穏に暮らしたかった。   作:味八木

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チベスナ作戦

 

 

ー第二文明圏グラ・バルカス帝国レイフォル州北部ー

 

ヒノマワリ州を通ってレイフォリアを目指す中央軍集団の出撃から遅れるほど10日、チベスナ作戦に基づきグラ・バルカス帝国へ反撃を始めた北部軍集団はムー統括陸軍第2軍や第一機甲師団を日本国陸上自衛隊第1軍が航空自衛隊第1軍の支援を受けながら進撃し、彼らはその後を追っていた。

 

追っていた。と言ってもお荷物にならないように戦闘には参加している。敵小規模部隊を包囲殲滅するための陽動や奇襲などにムー統括陸軍は参加している。

 

彼らはレイフォル州北部の都市ロンニウムの解放を目指して進軍している。しかし、ロンニウムまでは草原が広がっており、戦車が実力を最大限発揮することができる地形だ。

 

雨が降る中、雨音に混じって聞こえるエンジン音に陸上自衛隊第1軍戦車師団長萩浦は気を引き締める。"04式偵察ドローン"で確認した所、戦車を伴う敵部隊の接近を確認していたが、エンジン音が聞こえるということは敵部隊の接近が近いと言うことだ。

 

彼が乗る"12式戦車"に搭載された無線機を通じて注意を呼びかける。グラ・バルカス帝国の戦車はどういった理由か、幕末の頃に製造された九七式戦車などにそっくりなのだ。

 

名前や性能は捕虜の尋問や諜報、撃破車輌や残骸で確認できているので大した問題ではない。ムー国に技術供与したのは、九七式戦車の後継車輌な上に、日本の技術を多数教えて製造した戦車だ。難なくグラ・バルカス帝国の戦車を撃破出来るだろう。

 

そんなムー統括陸軍と共に進軍していた陸上自衛隊第1軍戦車師団長萩浦は停車を呼びかける。そして、グラ・バルカス帝国軍がやって来るのを待った。

 

やがてグラ・バルカス帝国軍が姿を見せると数輌の"2号戦車シェイファーⅡ"が見えて来た。航空自衛隊が爆撃をしていたが、数輌生き残ったのだろう。生き残った中戦車ー"2号戦車ハウンドⅠ"や"Ⅱ"ーの多くは中央軍集団の対応に向かっているのだろう。その証拠に軽戦車の"2号戦車シェイファーⅡ"が多いのがその裏付けだ。

 

"04式自爆ドローン"は安価で大量に用意が出来るが平地では奇襲の可能性が減る。ならば、制空権が取れている今なら自衛隊の戦車でも十分に対応が可能だ。

 

AIやコンピュータを駆使したリアルタイムの情報共有があれば、迅速な対応と敵撃破が可能だ。事実、萩浦の指示のもと多数の敵戦車を破壊している。萩浦は次弾装填を急ぐ。何故なら、グラ・バルカス帝国の戦車は撤退では無く進軍を選んだのだ。今の距離では日本国陸上自衛隊やムー統括陸軍に被害を与えれないと判断したらしい。犠牲覚悟の突撃と言う訳だ。

 

日本国陸上自衛隊の"12式戦車"は戦車とは思えぬ移動速度でグラ・バルカス帝国の戦車攻撃を避ける。ムー統括陸軍側は数輌の戦車が命中してしまったようだが、日本国が九七式戦車のデータを元に砲撃を耐える装甲と撃破出来る主砲製造知識や部品の現物を提供しているので、火花を散らす程度の損害しかなかった。

 

グラ・バルカス帝国とムー統括陸軍及び陸上自衛隊の戦闘は10分程で終わった。グラ・バルカス帝国は20輌もの戦車を破壊されたのに対し、ムー統括陸軍は1輌が履帯を切られただけであり、陸上自衛隊の被害はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー同時刻第二文明圏グラ・バルカス帝国レイフォル州東部上空ー

 

この辺りは萩浦が戦っていた地域とは異なり晴れている。その空に、この世界では聞き慣れないジェットエンジンの音が響いていた。爆撃を行う"87式爆撃機"とそれを護衛するステルスジェット戦闘機富士だ。

 

中央軍集団が攻勢を開始して2週間、彼らは早くもヒノマワリ州東部のほとんどを解放しつつあった。解放を円滑に行うのが彼ら航空自衛隊第2軍の役目であった。

 

彼らの今回の任務はグラ・バルカス帝国の防衛線の破壊だ。既に制空権は確保していると言っても過言ではない。しかし、過信して本当に万が一にでも爆撃機に損傷が出れば大変だ。だからこそ、護衛をつけているのだ。

 

現に、何処から来たのかグラ・バルカス帝国のもと思われる機体が下方から向かってきたのだ。すぐ近くには敵戦車部隊が見える。恐らく、目視で航空自衛隊の機体を確認した敵は、目標の防衛陣地近くの飛行場から機体を飛ばしたのだろう。だが、そんな事は問題にならない。

 

向かってきた敵機に対して、戦闘機富士は"02式空対空レーザー"を発射する。それだけで、"アンタレス"は撃墜されていく。

 

迎撃機が無くなった事で、グラ・バルカス帝国は僅かに保っていたこの空域の制空権を消失。日本国航空自衛隊の攻撃を受け、防衛陣地に用意されていた重カノン砲や野戦砲、高射砲、"2号戦車ハウンドⅠ"と言った兵器の多くが破壊された。弾薬の半数以上が吹っ飛び、土木機械も破壊されてしまった。

 

この一回の攻撃で、グラ・バルカス帝国は無視できない被害が防衛陣地に生まれてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、同時刻レイフォル南部でも陸戦が行われていた。

 

ー第二文明圏グラ・バルカス帝国領レイフォル州南部ー

 

ソナル王国とグラ・バルカス帝国領レイフォル州の国境付近でも戦闘が行われていた。この日、今まで沈黙をしていたムー大陸南端でも戦端が開かれていた。

 

南部軍集団の中心にいるのは、日本国陸上自衛隊と神聖ミリシアル帝国陸軍である。

 

南端は山あいであり、グラ・バルカス帝国軍の砲兵が鬱蒼とした森の中にコッソリと重砲を集めていた。しかし、それらは日本国航空自衛隊の攻撃で沈黙している。しかし、その全てを破壊したわけではない。現に、散発的にだが砲撃が行われている。

 

だが、それらは日本国陸上自衛隊の砲撃や空爆で順次発見されては破壊されている。その中でも更に苛烈だったのが空爆である。

 

彼らは空爆に誘導爆弾よりもある意味恐ろしい物を使った。それは、ナパーム弾である。

 

何故ナパーム弾が沢山あるのかは後日説明するとして、彼らは森の中でゲリラ戦を展開されると、とても面倒になる事を知っている。ならば、軍用のサーモグラフィーで敵兵や敵兵器の位置を確認するとその地点にナパームで焼き払ってしまえと言うことだ。

 

地球世界では国際法で制限される代物だが、グラ・バルカス帝国は植民地人を奴隷の様に働かせているのだ。そんな彼らにお上品に戦争をする必要もない。そもそも、日本国の友好国イギリスは、『戦争と恋愛においては全てが許される』と謳っているのだ。勿論、戦時国際法を破るような真似は許されないが、この世界には国際法もない。故に、グレーゾーンだがナパーム弾の在庫処分も兼ねて使用に踏み切ったのだ。

 

ナパーム弾を使用した場所付近では、日本国航空自衛隊の爆撃機よりも超低空に、ニグラート連合やマギカライヒ共同体のワイバーンが導力火炎弾を撃ち込んで、グラ・バルカス帝国兵を焼き払っている。

 

これらの航空攻撃で、グラ・バルカス帝国側は重砲による反撃をする暇が無かったのだ。対空砲を徹底的に潰されたグラ・バルカス帝国は制空権を奪われ、砲兵達は的となってしまっていた。

 

重砲を粗方潰したと判断した日本国陸上自衛隊宗田は戦車隊を前に動かした。戦車部隊の他にも見慣れぬ部隊がある。それは、コンバットフレームであった。この地は山あいであり、戦車でも役立つ地形だ。しかし、一度山の中に踏み入れば戦車の力は半減する。そこで、戦車の護衛と山中での強力な火器として投入されたのが、コンバットフレームだった。

 

彼らはレーザー兵器や機関砲、小型の迫撃砲などを装備している。そして、徹底的な小型化と走行性を実現し、山の中でも十分な火力と実用性を兼ね備えているのだ。

 

そんな強力なコンバットフレームの背後から日本国陸上自衛隊が進軍する。見たこともない兵器にグラ・バルカス帝国軍は一心不乱に攻撃をする。しかし、"04式自爆ドローン"が生き残った僅かな重砲を破壊してしまい、彼らは小銃や手榴弾での攻撃を強いられている。

 

小銃の弾でコンバットフレームや戦車が倒される筈もなく彼らの接近を許してしまった。そして、日本国陸上自衛隊はグラ・バルカス帝国陸軍が掘った塹壕にまで到達した。

 

ここで一番心配すべき事案は歩兵の肉薄だ。実際、史実の太平洋戦争でもアメリカ戦車が大日本帝国の歩兵の肉薄攻撃で多数撃破されている。それを防ぐ為に随伴の歩兵がいるのだが、陸上自衛隊の隊員は全員が強化外骨格(パワードスーツ)を着用しているので、敵の攻撃にも耐えれるし、スピードもバッチリであり、自転車より少し早い程度の速度で進軍が可能だ。その癖攻撃力は第二文明圏連合軍随一なのでグラ・バルカス帝国との白兵戦…かと思いきや、一方的なものであった。

 

日本国陸上自衛隊の小銃や機関銃に倒れるグラ・バルカス帝国兵。戦車砲を食らい吹っ飛ぶ。レーザー兵器を食らい、高温で焼け死ぬ。

 

グラ・バルカス帝国兵は遠距離攻撃をしようにも小銃は効かず、かといって手榴弾や梱包爆弾をもって近づこうにも排除される。どちらの選択肢も取れなかった。そして、第二文明圏の国々では、少々近代的な装備がグラ・バルカス帝国兵を襲った。

 

それは、火炎放射器である。ある時、日本国はガソリンと増粘剤を混ぜてナパーム弾を製造していたが、そのナパーム弾の元を在庫処分しよとした。しかし、中途半端に量が多かったこれらを第二文明圏各国に兵器として知識と生産方法を無償で教えたのだ。

 

このある種残酷な兵器を各国の兵士がタンクを背負ってグラ・バルカス帝国兵を燃やしていく。だが、この火炎放射器だが、1つ欠点がある。それは、敵兵のヘイトを一心に集めやすいと言う点である。

 

彼らも軍人である。死ぬ覚悟は出来ているが、焼かれて死ぬなどは考えていない。焼かれる恐怖を仲間のかたきを討つべく、逃さまいとする。

 

しかし、火炎放射兵を倒す前に日本国陸上自衛隊が帝国軍兵士を倒してしまい、彼らは敵わないと悟った。1人が銃を捨てて敵前逃亡する。人間の心理的に1人でも逃亡をすれば後はなし崩し的に敵前逃亡を皆が始める。

 

何より、未知の兵器と焼かれる恐怖から逃れ、生を実感する為に彼らは敵に背を向けて我先へと逃げていく…

 

それを見逃す彼らでは無かった。逃がしてゲリラとなっても困る。できる限り殲滅するために追撃する。陸上自衛隊は持ち前の機動力を駆使して、分断して包囲を繰り返していく。

 

グラ・バルカス帝国軍は碌な対抗手段もなく、玉砕か降伏を迫られた。また、別の所では迂回ルートを通ってきたソナル王国、マギカライヒ共同体。ニグラート連合、日本国陸上自衛隊。そして、神聖ミリシアル帝国陸軍の機甲戦力によって勝敗は決したのだった。






〜コラム〜

時系列

中央軍集団、ヒノマワリ州東部解放に向かう

オカナガ解放

北部軍集団ロンニウム解放に向かう

グラ・バルカス帝国軍戦車を撃破

ヒノマワリ州東部上空で空戦、その後グラ・バルカス帝国軍防衛陣地が破壊

レイフォル州南部、南部軍集団の攻勢により壊滅。各個撃破され降伏あるいは玉砕した。

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グラ・バルカス帝国の今後

  • 日本国本土近海に軍を派遣する。
  • レイフォル沖制海権を取り戻す
  • その他(経緯をメッセージボックスにて)
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