楽しめるか否か。それが問題だ。   作:ジェバンニ

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そして次の話が始まるのです。


手段

私がザカリアスに酷いことをするわけないだろう、いい加減にしろ。

ザカリアスの尊い犠牲が必要だったとはいえ、意識を失ったり、死んだりするような魔法薬とか毒薬を友達に飲ませる様な外道の類と私は違うのだ。

では何をしたのか?

以下が飲ませた直後からの記録である。

 

ザカリアスがブツを飲んでからの展開は、まさに劇的と言って良かっただろう。

「見た目と香りは凄く良いのに、味が最悪だよ、これ!あれ?胃が熱くなって……」

そうして彼は私の望んだ姿へと変わってくれた。

故に私は

「はい、ザカリアス。これをどうぞ」

そう言って差し出した手鏡を覗き込んで

「ああ、ありがとう。……僕がティアに……え?」

ザカリアスは盛大に混乱したようだ。

何とも言えない表情でフリーズしてしまっている。それだけの意識の空白があれば、私とて気配を消しつつ、彼の後ろに回り込むことくらいは余裕なわけで

「よっと」

そうして隙だらけの彼に対し、背後から首筋に柔道チョップ(※ただの手刀です)を喰らわせて失神させることに成功したわけである。

恐ろしく速い手刀。私で無きゃ見逃しちゃうね。

いや、まあ目撃者が私しかいない以上、当然のことなのだが。

メタなことを思っているところじゃなかった。正しい変身には成功したようだし、早いとこ準備しないと。

私は何も怪しげな物を飲ませて、彼の意識を刈り取ったとは一言も言っていない。

ポリジュース薬、それは今回腰の重い私が何か月か掛けて作り出し、今後の目的のために使うにあたり、どうしても満たさなければいけない条件がある代物であった。

その条件とは他の人に実験だ……被検者になってもらうことである。

立ち止まっている時間など無い私には、去年の誰かさんみたくリアルに「ねこぢる」を飲んでニャーマイオニーになったり、万が一にも調合を間違えていて予期せぬ変化、例えば私の目玉が増えたり、何処とは言わないが身体の一部分が更に大きくなったりと言ったことが起きたりするかもしれない以上、誰か他の人で実際に試すと言うのはごく当然の話だったのだ。

故に可愛く「プリーズ」と言う魔法の言葉を使ってまでしてザカリアスに試してもらったわけなのだが、鏡を見た後で彼が私の顔で少しだけ嬉しそうにしていたのが解せない。

とりあえず現状をお知らせすると、鏡で散々見慣れた美貌が、ちょっと喜んでいそうな困惑した表情で今私の前に実体化しており、意識を失った状態で転がっているのである。

さて、ここで一つ話をしておくとザカリアスを呼び出しておいたのは皆大好き、マートルの女子トイレの前だった。

意識を失わせてから連れ込んで隠蔽するのに、此処以上の適切な場所が無いと分かっていたからである。

故に証拠隠滅と見分の為に適当な個室に運びこんで詳細に調べてみた。

なお、マートルは予めこの女子トイレから追い出してあるので大丈夫である。

男の子の下着とか脱がすのは初めてなのだが、中身は現在私の姿をしているし、何一つ抵抗感とか私の姿になったことによる嫌悪感が生じる等の問題の類は無いようだった。

男が女物の下着を履いている姿とか嫌だが、女が男物の下着を履いているのは(勿論、それが男装する場合とかどうしても必要な場合に限るが)何だかギリギリで許容範囲内だからだ。

ちなみに前者の場合、個人的には女子高に潜入する必要があった(美しいと言って良い容姿の)男の娘なら男性諸君も何とか許容できることが可能だと思っている。

マッチョで明らかに女子高において女装している男の類は、ギャグならば個人的には是非許可したいものだと言うのが私の意見だ。

これで本命の相手に試すことができるな、と私は手を魔法で浄化しながら悪い顔で微笑んだ。

 

 

 

訂正、凄く悪い顔だった。

 

 

 

その後で狙っていた本命の人物に同じような手段で近づき、言葉巧みにマートルのトイレの前に連れて行き、失神魔法(物理)を喰らわせた後でその人物から衣服と言う衣服を剥ぎ取ることに成功。

私だって失神魔法(通常)くらい使えるけれど、使うとどうしても杖に履歴が残っちゃうからね、しょうがないね。

パンツにスティールの魔法(手動)を掛けて生まれたままの姿になったその人物にはポリジュース薬を飲ませて別の人物、正確にはザカリアスの姿になってもらったのだが、勿論彼の姿になる前にザカリアスから剥ぎ取った衣服を着させてあるから此処でも問題は無いのだろう。

ザカリアスが相手とはいえ、異性を意識が無い状態で裸にした上でじっくり見るとか(無論治療する場合などは除く)人としてやってはいけないことだと思うのだ。

と言うかそういう関係でもない人の裸体には興味が無い、と言うか愛情が無い相手のそんな姿を見ても喜べないと思う。

彼の最低限の尊厳だけは保たないと。

ちなみに脱がせた本命の人物は女性だから、裸にした時のそう言った抵抗感は無い。

ザカリアスのポリジュース薬を飲ませた時にうぇっとした顔をしていたし、本人に無断で衣服一式どころか下着まで拝借したうえで私が纏っている(※使用前にスコージファイ 清めよ! しました)のは色々な意味で悪いとは思っているが。

まあ、ザカリアスの鼻毛の入った魔法薬とか誰だって嫌になるだろう。

ブツを入手した経緯だが、以前彼が一度ビンズ先生の授業においてどうしても内職をしないといけない時に、もしも僕が眠ったら起こしてくれと頼まれたので、心優しい私は快く了承したのだ。

 

 

 

安眠しているザカリアスの鼻毛をぶちっと引き抜くという手段で。

 

 

 

彼の「あああああっ!」と言うちょっと間の抜けた悲鳴を聞いた後で、もっと他にやり方が無かったのか!と問われたわけだが、その後で「次に寝たらもっと引き抜きますよ」と咲き誇る毒華のような微笑みで言って、彼の眠気をすっかり取り払ってやることができた私の優しさは、はっきり言ってノーベル平和賞並に称えられるべきだと思う。

というか音がしないよう起こす手段となるように腐心してやったのに、その気遣いを無視するかの如く大声を出されたのは正直どうなのか。耳元で雄鶏の鳴き声を、できるだけ大きな声でやってやった方が良かったとでも言うのか。

彼のせいで要らない注目を浴びてしまったことに対して遺憾の意を表明したい。

……まあ、本人の素材を無断で拝借したうえで本人になりすますことの方がやってはいかんのだが。

ハーマイオニーが二年生の時にこれをやったとか彼女はぶっ飛んでいるにも程がある。

主人公三人組の一人である奴はやさぐれペダンティックで、ロンはブラコンにシスコンにマザコンを拗らせている三重苦で、ハリーは陰険眼鏡な上に沸点が低すぎる人物であることを考えると、ひょっとしたら魔法界には私以外まともな性格をした人はいないのかもしれない。

もしかして私が正義の女神の名を冠しているのは正しいことなのだろうか?

 

おっといけない。

どうでもよろしいことばかり考えている場合でなかった。

それにしてもゲスくてニューゲームをプレイしているところの、正統派ヒロインだった私が暴力ヒロインデビューとかあまりよろしくない傾向である。

でもまあ、ザカリアスも何だかんだ嬉しそうな顔をしていたし、ひょっとしたら女の子になりたい願望でもあったのかもしれない。

心優しい私は彼がそう言って来たら、遠慮なく女の子になれるポリジュース薬を飲ませてやるつもりである。

具体的には、エロイーズのそれを考えているわけだが。

だって私のそれはと言えば、味が最悪とか評されたことだし。

一体何が悪かったのだろう?

なお、目的を達成する為に飲用した、対象の人物のポリジュース薬は見た目と匂いは強烈だったが、味はそれなりにいけるそれであったことをここに記しておこう。

 

ちょっとした「保険」を掛けた後で私は女子トイレの個室から出た。

私は本作戦において命を賭けないといけないし、もしも失敗するようなら死ぬしかないと思っている。

だからこそ手は抜けない。

途中親し気に変身した人物の知り合いと思しき人物との会話や、ちょっとしたやり取りを楽しみつつ、私は廊下を歩いて行く。

そして件の人物に接触し、無事訊きたいことを訊き出した私は、始末をした後で必要の部屋に舞い戻っていた。

手順を踏み、何時も使用しているラボの入り口を出す。

扉には「メリーのアトリエ」とやる気の無い日本語で書かれており、木星の白い羊の頭がドアノブに当たるところに嵌め込まれていた。

「羊頭狗肉」

「貴方にラムチョップ」

羊の頭が日本語で合言葉を言ってきたので、それに対して正しい解答をしながら、私は羊の頭にチョップを喰らわせた。

「正解だよ、おメェー」

言葉と共に扉が開いた。

「もっと早く開けないと次こそ本当にラムチョップにしますからね」

毎度お馴染みの心温まるやり取りである。

ちなみに合言葉を知らないと「誰だてメェー」と日本語で返してくる仕様だ。

ラボの内部は複数の部屋に分かれており、良く分からない代物やかき集めた物資で一杯の集積所、それから☣マークの入った代物など幾つかに別れてはいるのだが、今回用があるのは「第3実験室」だった。

この場所では主にちょっと表には出せないような研究をしている。

聞き出すべきことは三人から聞き出したので準備はオーケー。

ブツを取り出し、夏休みに聞いていた通りの手順で私は復元と解呪を開始し、あまりにもあまりにもあっけなく、それに成功したことを確認した。

達成感も何もあった物じゃない、ってどういうことだ。

いや、確かに私はこの為の準備を繰り返してきたし、成功させる自信もあったが……。

予想よりも早く手に入るとは思っても居なかった。

この私が手に入れた当初は、呪いに依る汚染で黒ずんでいたのに、今は輝かんばかりの素敵な銀色を誇っている。

目的の為、本当にこれが役に立つかどうかは要検証なわけだが。

 

私が「これ」を手に入れようとした切っ掛けは単純に、私自身の限界にぶち当たったからである。

ただ帰りたい、そうは思っていても何をすればいいのかが分からない。

道具なのか、扉なのか、それとも前世の姿になれるような魔法薬なのか?

ちょっと考え付くだけでもこれだけの可能性があり、しかも試すにしても膨大なトライ&エラーが必要なのは明白。

元の自分の人生を取り戻すのは不可能に思えた。

こんなことなら、魔法の研究家になれるような便利なアイテムでもあれば良いのに。

思考がそこまで及んだことでそう言えば、と思い出したものが在った。

アレだ。

可能性があると言えば一つだけ思い当たる物が有った。

だから私は動くことにしたのだ。

二年次の最後の方で、できるだけ安全に、それを壊す手段については入手していた。

だけど壊れていた場合は、それを使うことができないかもしれない。

故に次に必要だったのは、直し方についての正しい知識。

ノクターン横丁にて、貴重品を処分するついでにそれも入手できた。

残るのは「物体に掛けられた強力な呪い」に関する深い知識。

勿論閲覧禁止の棚にある本の情報は何時だって欲しい物ではあるのだけど、それだけでは足りない。

故に、私が計っていたのはタイミング。

ファイアボルトが没収され、そのことで悩んでいたハーマイオニーは渡りに船だった。

第一に接触する人物として、フリットウィック先生は欠かせなかったのだ。

だって書物で得られる知識は少ない。

古い時代の、その時代に於いてあまりにも当たり前だった知識などは、後世に伝わる書物に記されることが無いかもしれない。

それに書物に記された情報が全てではない、それを示しているのは現在だ。

過去に記された物だけが正しく、完全無欠なのであれば、今訂正する必要も新しく本が記される必要もない。

だからこそ今、呪いの第一人者の一人に接触するのは、やっておきたいことだった。

特に不審に思われず、二人でフリットウィック先生からはとても有益なお話を聞けたのは僥倖だ。

さて、残るのはそれの使い方だった。

手に入ったがいいが美品としてしか役に立ちませんでした、では話にならない。

それは勿論、象徴としての価値しかない場合も可能性としてはあると覚悟はしているけれど、全ての不都合は一つずつ消していかなればならない。

知っている人、と言うには語弊があるかもしれないが、これに関する心当たりは、これも一つだけ。

だから同じく不審に思われず接触する必要があった。

ポリジュース薬はその為の第一歩。

幸い私が変身するつもりでいた人物に関しても、運が良いことに今学期初めに話をすることができていた。

ジャスティンが近くに居た為、その時こそ髪の毛を入手することができなかったが、何度か廊下で会った際に目的は容易に達成。

そうして準備は済んでいたのだ。

第三の人物に接触するにあたり、残る問題はただ一つ。

そう、材料になってもらっていても、同時刻に双子でもないのに二人も同じ顔の人間が歩いているのはよろしくなかった。

手紙で呼び出せるくらいの仲には、私たちは親しくなっていたので警戒されることが無かったのはプラスである。

そして彼女には意識を失って貰った。

忍びの地図(妹)を駆使して最短ルートでその人物の下まで赴いたものの、途中で彼女(変身した人物)を良く思っていない人物に絡まれたのは誤算だったと言って良い。

とりあえずこいつから奪った杖で「平和的」に解決し、物陰に隠した後で第三の、本命の人物に接触できた。

そう、ロウェナ・レイブンクローの娘、ヘレナ・レイブンクローその人である。

「こんにちは、ヘレナ」

事前に聞いていた通りの呼び方をした後で私は本題に入ったのだ。

「あたし、あんたに聞きたいことがあるンだ」

そう、目的は「レイブンクローの髪飾り」に関することを訊く為である。

 

分霊箱、あるいはホークラックスと呼ばれるそれを入手したくなったのは、勿論それを利用する為であった。

そもそも強力な呪い、あるいはそれ自体を破壊から防ぐ為の、所謂護りの手段が備えられていても、無視できないことが一つある。

壊されたはずの「蘇りの石」は、最終局面においてハリーに使用が可能だった。

これは要するに、他の分霊箱も壊した後で、再利用することが不可能ではないことも同時に私達に示しているのだ。

二年次においてそのことに思い至った時、私は小鬼に鍛えられた短剣を得た後であり、ハリーが秘密の部屋を開ける蛇語の、盗み聞きを企む少女になることを余儀なくされていたのだった。

……結果的にそれは幾つかの「歪み」を見せたわけだが。

まあ、この件が成功したのは、その時の失敗も踏まえての事なので塞翁が馬である。

訊き出せて、無事に使用方法も分かった私は必要の部屋へと赴き、作業を速やかに終わらせたわけだが、失敗したら犠牲者が出ていた。

と言うのもそれは私が用意しておいた物に関係があったから。

今回私が作成しておいたのは二種類の魔法薬である。

そのうちの一つはポリジュース薬で、もう一つは禁書に記されていた毒薬だった。

順を追って説明するとしよう。

さて、以下が今回用意したポリジュース薬の詳細である。

 

ポリジュースA……通称私汁(原材料、私の髪の毛)。いやらしい意味ではない。

ポリジュースB……通称ザクエリアス、もしくはザカリスエット(原材料、ザカリアスの鼻毛)……長いのでザカリで。なおザカリさんの汗はまるで関係ないし、発汗により失われた水分、イオン(電解質)をスムーズに補給する健康飲料でも何でもない。

ポリジュースC……通称LSD(原材料、ルーナの髪の毛)なおルーナ・スペシャル・ドリンクの頭文字である。

 

三つに分かれたそれだが、私汁はザカリアスに、ザカリはルーナに、LSDは私が服用した。

この内、最も大量に用意しておいたのはLSDである。

何の為かと問われれば、逃走用だ。

もしも私がルーナではない、とバレてしまった場合は、周辺の人物に飲ませたうえで、錯乱の呪文を使い、七人のハリーならぬ七人以上のルーナがてんでバラバラの方向に走り去ることになっていた。

何故こんなことをするのかと言うと、理由は簡単。ヴォルデモートに知られたら、私の死亡率が上がるからである。

ただ髪飾りについて尋ねていたのがバレる程度なら、問題はない。

ルーナの姿の誰かが、それについて聞き出そうとするくらいなら誤魔化しは効く。

だけど問題があるのは、私が捕まって根掘り葉掘り、例えば真実薬など盛られたら、非常に拙い。

前回ハリーを殺そうとして失敗した時に私は反省した。

あれではただ甘いだけだったのだ、と。

チャンスの神様をしばき倒してモノにするには、容赦していては駄目なのだ。

と言うのも、私がヘレナにルーナでないことがバレてしまった場合でも、逃走こそするものの、使用法を聞くまで諦める気が無かったからだ。

要するに感づかれたらプランBが発動していた。

ルーナを人質とした作戦である。

 

その為の手段も備えておいた。

二種類用意した魔法薬の内、毒薬はその時の為、既に本物のルーナに盛ってあったのだから。

ザカリを飲ませた後で、時間経過で中身が溶け出す入れ物毎、ルーナに盛ったわけだが、方法自体は割とありふれた物だろう。

その毒薬は、ポリジュース薬の作成法を記してあった本には「服用した人物は恐ろしい死を迎える」とあり、ベゾアール石でも解毒は不可能とあった。

後、譬えルーナに毒が回ってから治そうにも、ダンブルドア校長の不死鳥は使えない。

だって今日私が校長室を訪ねるから、部屋から出さないでくださいね、と手紙でお願いしたから。

去年校長室をお邪魔して以来、私は偶に校長宛の手紙を出していた。

その内容は季節の挨拶から、ちょっとした質問である。

誰かが私から校長宛の手紙を表から見たとしても、特に大事な物とは思うまい。

まあ、全ては今日この日の為だったわけだが。

詰将棋のように私は可能性を潰していったので、ルーナに盛った毒を中和する術はなかった。

――この私が予め調合しておいた解毒剤を除いては。

え?

意識を失ったり、死んだりするような魔法薬とか毒薬を友達に飲ませる様な外道の類と私は違うのだ。

と言うことを冒頭で言っていたじゃないかって?

 

?ルーナは知り合いではあるけれど、友達ではないよ?

 

……まあ言いたいことは分かる。

何の罪も無い女の子を、本人の了承無く人質にするなんて、酷いと言いたいのだろう。

それは私もそう思う。

前世で好きだった少年漫画の主人公が、同じようなことを似たシチュエーションでやっていたから、つい真似してしまったのだ。

だけど案ずることはない。

ルーナが死んだら、私は敵討ちの為に全力を尽くすつもりだった。

即ち、凶悪犯シリウス・ブラックの抹殺である。

 

 

自分がルーナでないことがバレたシリウスは、ルーナに毒を盛ったことを白状、訊き出すべきことを訊き出せなかった腹いせにルーナに解毒剤を服用させず、死に至らしめてしまう。

これがバッドエンド1である。

エピローグは、正義の女神の名前の少女が証拠隠め……義憤に駆られたために、シリウスを殺害。

 

自分がルーナでないことがバレたシリウスは、ルーナに毒を盛ったことを白状。訊き出すべきことを訊き出せた彼は、ルーナに解毒剤を服用させたものの、居場所を突き止めた正義の女神の名前の少女に吸魂鬼をけしかけられて、吸魂鬼のキスを受けてしまう。

これがバッドエンド2である。

エピローグは、何故シリウスはかの秘宝について質問をしたのか?という疑問が残る物である。物語が進むにつれ、明らかになる事実。シリウスは無実だったんだよ!

 

どちらにせよ後味は悪そうだった。

ルーナは所属寮で軽んじられているからそこまで注目されなさそうだし、誰かに変身する上で大事なのは本人の癖など完璧にトレースすることだが、多少間違えても「まあ、あの子変人だから」で済ませられそうなので対象に選んだのだが……。

ちょっぴり悪辣だっただろうか?

人死にさえでなければオールオーケーと考えていたわけではないが、しかし誰も犠牲にならずに良エンディングを迎えられて何よりである。

私はそんなことを思いながら「戦利品」を冠のように、自身の頭の上に載せ、ただの学生レベルの魔女から逸脱したのだった。

 

 

 

 

 

 

……あ、ザカリアスが女子トイレでおねんねしたまんまだ。

 




なおマートルの女子トイレから出てくるところを、パーシー・ウィーズリーに見咎められて罰則を喰らった模様。

感想は次回返すと言いましたが、ごめんなさい。あれは嘘でした。
いや、作家と宗教家は嘘吐くのが仕事だってティアのお爺ちゃんが……。
次回は必ず!



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