再び転生した元神はダンまち世界へ   作:さすらいの旅人

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気分転換にお試しで書いてみました。


三人の転生者

 嘗て、聖書に記されし神が存在した。そして人間へと転生し、悪魔へ転生した弟と共に波乱万丈な人生を送るどころか、様々な出会い、更には世界の命運をかけた壮絶な戦いを繰り広げた。

 

 しかし、それらの出来事は一切知られてないどころか、世界中にある歴史の記録にも一切記されていなかった。

 

 何故そんな当たり前な事を言うのだと誰しも疑問を抱くだろう。

 

 理由はある。人間へと転生した筈の神が、またしても人間へと再転生したという異常事態が発生したのだ。

 

 それは二度目の死を迎えた神としては、全く予想だにしない誤算であった。それどころか、自分の知る世界でない。

 

 神は存在するが、天使や堕天使などの超常的存在は一切いない代わりに、人間以外にも妖精(エルフ)、ドワーフ、アマゾネス、小人族(パルゥム)、更には多種の獣人が存在する摩訶不思議な世界。

 

 更には怪物(モンスター)がいて、人類には恐怖の象徴とされている。何の力を持たない者達が襲われたら、その脅威を前に抵抗出来ずに殺される末路しかなかった。

 

 そんな奇妙な世界に再転生した元神は、人間(ヒューマン)ではない種族に生まれ変わった。手先の良さと視力に長けても力が劣る小人族(パルゥム)で、しかも女性として。

 

 女性小人族(パルゥム)として生まれ変わった元神――フリーゼは男としての感性を持ちながらも、女として生きるのも一興だと前向きに考えるのであった。

 

 更には彼女にとって嬉しい誤算が起きていた。前世(むかし)の知り合いが二人も、自身がいる世界に転生していた事実を、後になってから知る。

 

 

 

 

 

 

「ふぅっ。この世界は色々刺激があっていいけど、それでも前世(むかし)が恋しくなってしまうなぁ。貴方達もそう思いませんか?」

 

 周囲の風景を楽しみながら旅をしている女性小人族(パルゥム)――フリーゼは、同行している二人に前世の事について訊ねた。

 

「うふふ。フリーゼちゃんの気持ちは分からなくも無いけど、ワタシは今世(いま)を生きてるから、そこまで気にしてないわ」

 

 妙齢の女性――ローゼ・グランドは大して気にしてないように答えた。

 

 ドワーフでありながらも、170(セルチ)以上の身長がある。同時に美しい容姿をしており、オラリオにいる古株の冒険者が見たら酒場の女店主の若い頃にそっくりだと思ってしまうほどに。

 

 実は彼女、嘗て兵藤隆誠の協力者だった筋骨隆々なオカマ――自称ローズだった。前世(むかし)は男性だったが、フリーゼと同じく女性に転生したのだ。

 

「私もローゼと同様ですね。新しい世界で生まれ変わったのであれば、今世(いま)の人生を謳歌すべきかと」

 

 絶世の美男子――リヴァル・リヨス・アールヴは申し訳なさそうにしながらも、ローゼと同じ返答をした。

 

 彼は王族の『ハイエルフ』と呼ばれる種族であり、世界中のエルフ達から崇拝されている。これまでは里で鍛錬の日々を送るも、引き籠もり同然な生活に飽きて、姉と同じく里を飛び出してフリーゼ達と出会う事になった。

 

 もう察したかもしれないが、リヴァルも二人と同じく転生者だ。嘗て司祭枢機卿で聖剣デュランダルの前所有者――ヴァスコ・ストラーダ。

 

 嘗て崇拝していた聖書の神だと分かった際、ハイエルフとしての立場を忘れ、人目も憚らずに涙を流して(こうべ)を垂れていた。その所為で他のエルフ達が大騒ぎになったが、そこは省略させてもらう。

 

 そう言う事もあってフリーゼは彼等と出会い、こうして一緒に旅をしている。その際に彼女が前世(むかし)の知識を利用しての修行方法をやるかと尋ねたところ、二人は即座にやると承諾して、それなりの実力を取り戻す事に成功する。

 

「まぁ確かに、貴方達の言う通りだな」

 

 二人の返答を聞いたフリーゼは、前世(むかし)の事を引き摺るのは良くないと自省し、今世(いま)を考えるべきだと改める。

 

 そんな中、三人は今回の目的地である都市が視界に入った。

 

「アレが有名な迷宮都市オラリオ、か。確かあそこにはお二人の家族がいると言ってましたね」

 

「ええ。港街(メレン)で聞いた話によると、ワタシの伯母は現在冒険者を辞めて酒場を開いたとか」

 

「同胞が大袈裟に誇張してましたが、何でも私の姉は最大派閥の副団長を務めて大活躍しているらしいです」

 

 フリーゼがオラリオに来る目的としては観光だけでなく、二人の身内もいると聞いたから是非とも寄ろうと決意したのだ。

 

「それとフリーゼ様、現在のオラリオは大変治安が悪いと聞いております。闇派閥(イヴィルス)と言う組織が跋扈して、様々な犯罪活動を行っているとの事です」

 

 リヴァルとしてはフリーゼに万が一の事が起きないようオラリオに行って欲しくなかったが、主が行くと決めた以上、何が起ころうと絶対に守ると誓っている。

 

「もう、リヴァルちゃんは心配性ね。フリーゼちゃんが可愛い小人族(パルゥム)でも、この世界の第一級冒険者でも後れを取らない事は知ってる筈よ」

 

「確かにそうかもしれないが、貴殿は少しばかり緊張感を持つべきかと――」

 

「お二人とも、そろそろ検問に着くので一先ず後回しにしましょう」

 

 楽観が過ぎるローゼに真面目なリヴァルが指摘しようとするも、フリーゼが二人の話を中断させようとするのであった。

 

 この時の転生者三人は、まだ知らない。

 

 迷宮都市オラリオに来て早々、非常に厄介な事件に巻き込まれてしまう事を。




再転生した元神が女性小人族(パルゥム)に転生する話を書いてみました。

ついでに他のキャラ二人も元神の協力者として転生させています。

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