再び転生した元神はダンまち世界へ   作:さすらいの旅人

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『黄昏の館』で過ごす事になった ローゼの場合

 フリーゼやリヴァルがそれぞれ別の場所で談笑している中、とある広間では一つの集団がいる。

 

 その集団は主に壮年の男性がおり、中心には見目麗しい長身の女性ドワーフ――ローゼ・グランドが一番の話題となっていた。

 

 何度も言ってるように、ローゼは若い頃のミア・グランドの生き写しとも言うべき可憐で美しい容姿をしている。当時を知る者達はあの頃を思い出し、懐かしむように語っていた。

 

 伯母が現役冒険者だった頃を余り知らなかったローゼとしては、彼等の話を聞いて、相当派手にやっていたのだと改めて理解した。

 

 また会った時にはさり気なく本人に訊いてみようと思いながらも、ミアの姪は昔話をしてくれた彼等に礼をしている。

 

「お、おお……もう、無理……」

 

「ロ、ローゼちゃん、お主、何と言うテクニックを……」

 

「ワ、ワシ、もう動けん……」

 

 ローゼに礼をされた中年ドワーフ達は全員横たわってピクピクとまともに動けない状態になっている。

 

「あらあら、大の男が揃いも揃って情けない姿してるわねぇ♪」

 

 小悪魔な笑みを浮かべているローゼは、まるでサディストのようだった。

 

 彼等が足腰立てない状態になっているのは卑猥な事をされた訳ではない。今までガチガチに硬かった身体を全身マッサージで徹底的に揉み解された結果、フニャフニャとなって起き上がる事が出来ないのだ。

 

 中年ドワーフ達は戦慄しながらも、マッサージが余りにも気持ち良かった所為でだらしのない顔になっているから、ローゼは情けない男のように見ていた訳である。

 

 因みにローゼは前世の頃に医術の知識を持っている事で、人体のツボを正確に知り尽くしている。それを活用してる事で、ツボを突くマッサージもお手の物なのだ。

 

「全く、だらしのない男どもだねぇ。情けないったらありゃしない」

 

「大丈夫よ、お姉さんもそうなるから♪」

 

「ああっ! こ、これは……!」

 

 そして次にマッサージを受けている中年女性アマゾネス――バーラは軽い悲鳴をあげる。彼女の背中のツボを的確に突かれてしまった為、予想外の快感が走ったから。

 

 ついでに普段行動している男性ヒューマンのノアール・ザクセン、ドワーフのダインも、他の男性達と同様にだらしない顔をしたまま倒れている。その二人を見た事で最初は何て無様だと思っていたが、ローゼのマッサージを直接受けたら無理もないとアマゾネスは諦めの境地に至ってしまう。

 

「あらあらお姉さんってば、随分良い声出すじゃない♪」

 

「こ、この……! 小娘が調子に乗るんじゃ……うぁぁっ!」

 

 またしてもツボを突かれたバーラが悲鳴をあげてしまい、その後から年甲斐もなく喘ぎ声を響かせる。

 

 今まで硬かった身体が急に柔らかくなった事で思うように動けないアマゾネスは、まるで情事をしたかのように疲れ切ってる表情となるも、余りの気持ち良さに寝入ってしまっていた。

 

「これは……一体何が起きたのじゃ?」

 

 そんな中、一人のドワーフが現れて、身内の余りの姿に目が点になっている。

 

「ノアールにダイン、バーラまでも……おい娘っ子、これはお主の仕業か?」

 

「ええ。ミア伯母様の昔話を聞かせてくれたお礼として、マッサージをしましたの」

 

「マッサージじゃと?」

 

 冒険者になる為の『恩恵(ファルナ)』を得た筈の彼等が、そんな事であんな姿を晒して倒れるなど尋常ではないとガレスは思わず彼女を見る。

 

 彼も若き日のミアを知る一人であるが、マッサージなどと言う優しい行為をするのは断じて有り得ない。何かあれば拳で黙らせる女傑だから絶対にあり得ないと。

 

 しかし、目の前にいる彼女の姪は全く予想外なモノを得意としてるから、本当にあの暴力女の身内なのかと思わず疑ってしまう。

 

「一応確認したいが、この者達は大丈夫なのだろうな?」

 

「勿論です。今はあんな状態ですけど、後になってから身体が軽くなる予定なので」

 

「ほう……」

 

 身体が軽くなると言われた事で、ガレスはローゼのマッサージに少しばかり興味を引く。

 

 闇派閥(イヴィルス)の対処だけでなく、ギルドからの強制任務(ミッション)を引っ切り無しに受けている事もあって、今の彼は相当疲弊している。酒を飲めば多少の気が紛れるも、それはあくまで一時的な処置に過ぎない。

 

 いくら『恩恵(ファルナ)』で身体が強化されてるとは言え、大して休む時間も無く酷使されたらいずれ参ってしまう。尤も、それは自分だけでなく他の同僚達にも言える事だが。

 

 なのに、自身の眼前には多くの同僚達がローゼのマッサージを受けて無様な姿を晒している。後になってから元に戻るとは言え、コレは流石に如何なものかと思ってしまう。

 

「宜しければ、おじ様もワタシのマッサージを受けますか?」

 

「……折角の誘いだが、今は遠慮しておく。この後には仕事があるのでな」

 

「あら残念」

 

 マッサージを受けるのは吝かではないのだが、ガレスはギルドで報告しに行かなければならない為に敢えて遠慮した。

 

「でしたら今夜如何です? 周囲の目が気になるのでしたら別の場所でやりますわよ」

 

「むぅ……。まぁ、それなら」

 

 夜には時間が空いているから、受けるのに何の問題も無い。加えて今のノアール達みたいな顔を周囲に晒したくないから、彼女の言う通り別室でやった方が都合が良い。

 

 約束を取り付けてガレスが去って行くのを見たローゼは――

 

(ウフフ、今夜が楽しみだわ♪)

 

 自分好みの男性にマッサージが出来ると笑みを浮かべていた。

 

 フリーゼとリヴァルが知ったら、ガレスを気の毒に思ってしまうだろう。二人は彼女が前世(むかし)の頃は筋骨隆々の男性(オカマ)だったのを知っている為に。

 

 因みに翌日以降、ローゼのマッサージを受けた者達はすこぶる調子が良くなっていた。いつもより身体が軽くて、動きもスムーズになったと。




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