再び転生した元神はダンまち世界へ   作:さすらいの旅人

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一先ず書いてみました。


予想外の滞在

 フリーゼ達が【ロキ・ファミリア】に保護されてから約一ヵ月。

 

 リヴァルを襲撃した件でエルフ達は激怒して打倒闇派閥(イヴィルス)を掲げるも、そう上手くも行かなかった。相手の根城が全く分からず、下っ端の信者を成敗するのが精々だったのだから。

 

 フリーゼは単に同行者の身内に会う為だけにオラリオへ来ただけに過ぎなかったのだが、闇派閥(イヴィルス)の襲撃を受けた所為で長く滞在する破目になっていた。

 

 彼女達としても最初は余り長く居座るのも良くないという理由でオラリオから去ると提案するも、フィン達から『闇派閥(イヴィルス)に目を付けられた以上、暫く此処にいた方が良い』と説得されてしまった為、止むを得ずに留まっている。

 

 因みに強硬手段として(リヴァルとローゼも習得済みの)飛翔術で脱出を図ろうと考えたが、そうすれば面倒な事になってしまうので却下した。ハイエルフを崇拝しているエルフ達が絶対大騒ぎになってしまうという理由で。

 

 滞在している間、フリーゼ達は何もせず世話になっていた訳ではない。闇派閥(イヴィルス)の鎮圧やダンジョン攻略をしているフィン達を労う奉仕活動をしていた。

 

 先ずフリーゼは疲弊しながら帰ってきた者達に(前世の日本で培った)手料理を振る舞った。彼女の作った料理に躊躇う者も少なからずいたが、いざ食べると一気に平らげて完食と言う光景になり、それ以降から【ロキ・ファミリア】内での楽しみの一つとなっている。因みにフィンはフリーゼが料理を作ると知った際、必ずと言っていいほど一番乗りで食べていると補足しておく。

 

 ローゼはフリーゼの手伝いをしながらも、負傷者の治療、並びにマッサージで癒していた。特にマッサージを受けた者達の殆どが『アヘ顔』になるも、翌日には身体がすこぶる調子が良くなるから一切文句が言えない。寧ろ、マッサージが気持ち良くてクセになってるのもいて、健康な状態にも拘わらずやって欲しいと懇願する者(特に中年層が)もチラホラいる程だ。

 

 最後にリヴァルだが、二人と違って何もしていない。と言うより、エルフ達の所為で何もさせてもらえなかった。それどころか向こうから世話をしたいと懇願してくるので、彼は内心うんざりしながらも受け入れるしかなかった。出来たのは、事務処理や子育て(?)をしてるリヴェリアの手伝い程度だが。

 

 そんなこんなで三人がすっかり【ロキ・ファミリア】に馴染んでいる間、オラリオは相も変わらず闇派閥(イヴィルス)の暴挙に手を焼かされている。冒険者達が取り押さえても、実行犯は単なる命令通りに動いた末端に過ぎない為、いたちごっこが続く日々ばかり。

 

 しかし、闇派閥(イヴィルス)側である変化が起きた。暴挙を行う際に無差別の略奪行為もしているのだが、その盗んだ品物が妙なのだ。魔石製品工場を襲撃した際、魔石製品の『撃鉄装置』を盗んで一体何をするのかと、現場にいた冒険者達も未だに全く見当がつかない。

 

 何か禄でもない事を仕出かすのは確かかもしれないと冒険者側は予想するも、それは後ほど最悪な状況で判明する事になる。

 

 その他にも、ギルド主催の炊き出しで闇派閥(イヴィルス)の襲撃は起きた。多くの派閥に属する冒険者達が警護をしても、まるで隙を突くかのように闇派閥(イヴィルス)の幹部――【殺帝(アラクニア)】ヴァレッタ・グレーデが信者達を連れて大暴れした事で被害を受けてしまう。

 

 一体いつになったら闇派閥(イヴィルス)の鎮圧に本腰を入れるのかと思っていた所、漸くその日が訪れようとしていた。

 

 

 

 

闇派閥(イヴィルス)の拠点を叩くのは三日後、か」

 

 オラリオの街中を一人で歩いている女性小人族(パルゥム)――フリーゼは、先程フィンから軽く聞いた内容を反芻するように呟いていた。

 

 いつもは誰かと一緒に同行してるのだが、今回珍しく単身で行動している。後から彼女がいない事を知ったリヴァルだけでなく、普段冷静なフィンも珍しく動揺しているのも補足しておく。

 

 フリーゼが歩いている道は荒れた光景となっているも、襲撃の気配は一切無い。普段から襲撃による騒動が起きているのだが、今のところ全く起きていない。余りにも静かだから、まるで嵐の前の静けさではないかと思わず不安な事を考えてしまいそうになる程だった。

 

 奴等を一網打尽にする事が出来れば、オラリオから出て再び旅が出来る。だからそれまでは残って欲しいとフィンから言われた為、フリーゼ達は未だオラリオに留まり続けているのだ。あと数日我慢すればオラリオの問題が解決して万々歳なのだが――

 

(本当にそうなれば良いんだけど、な)

 

 彼女は内心疑問視していた。

 

 冒険者側が密かに拠点制圧の準備をしている間、闇派閥(イヴィルス)側は妙に大人しいのが解せない。何だか此方の動きを察知して、迎撃する為の準備をしている感じがしてならないのだ。

 

 リヴァルやローゼも同様の考えを示すも、冒険者ではない第三者の自分達が口を出す事じゃないと敢えて何も言わないでいる。

 

「ねぇー、小さい女の子が一人で歩いていたら危ないよー」

 

「やはり万が一に備えて……」

 

 すると、背後から女性の声がフリーゼに向かってそう言うも、声を掛けられた当の本人は全く気にせず歩を止めていない。

 

「ちょっとー! 貴女の事なんだけどーっ!? 」

 

「ん? 私か?」

 

 自分に声を掛けていると漸く認識したのか、フリーゼは歩を止めて、いつの間にか回り込んで目の前にいる女性の方へ視線を向ける。

 

 青い髪に同じ色の瞳で、服装も青を基調としており、人懐っこい表情をしてる少女。

 

 初めて会ったにも拘わらず、彼女は目の前の少女を何処かで見たような気がしている。

 

「取り敢えず、君は?」

 

「私? 私はあのシャクティ・ヴァルマの妹で品行方正でいつも笑顔を忘れない――【ガネーシャ・ファミリア】所属の『LV.3』! アーディ・ヴァルマだよ! じゃじゃーん!」

 

「別にそこまで聞いてはいないんだが……」

 

 詳しく自己紹介をする青髪の少女――アーディ・ヴァルマに突っ込みを入れるフリーゼ。

 

(妹……ああ、道理で見覚えのある顔をしてる訳だ)

 

 約一ヵ月前にリヴァルを捕らえようとしていた闇派閥(イヴィルス)の信者達を撃退した後、大急ぎで駆け付けた【ガネーシャ・ファミリア】団長のシャクティ・ヴァルマと顔を合わせている。

 

 美人でありながらも屈強な男性眷族達を纏めている光景に、フリーゼは(元男だが)同じ女性として思わず尊敬する程だった。

 

「それで、その【ガネーシャ・ファミリア】が私に何か用か?」

 

「別に用と言う訳じゃないんだけど……って、ちがーう!」

 

 フリーゼが用件を尋ねるも、アーディは答えてる最中にハッとして即座に否定した。

 

「君みたいな子供がこんな所で一人で歩くのは危険だよ! お父さんやお母さんは何処にいるの!?」

 

「………私は小人族(パルゥム)で既に十六なのだが」

 

「え? 小人族(パルゥム)って……ご、ごめんなさい! てっきり迷子だと思っちゃって……!」

 

 相手が自分より年上だと判明したアーディは謝っている。

 

 小人族(パルゥム)は成人しても身形が小さい上に容姿も幼く見られがちである為、幼子と誤解されるのはよくあることだった。

 

「でも、こんな所を若い女性が一人で出歩くのはどうかと思うけど」

 

「それを言うなら君もそうだろう」

 

「私は良いの! 【ガネーシャ・ファミリア】として都市を巡回してるから!」

 

「ほう、それは頼もしい」

 

 問題無いと言い返すアーディにフリーゼは思わず称賛してしまう。

 

「なら宜しければ私を『黄昏の館』へ連れて行ってくれないか」 

 

「良いよー。じゃあ今から【ロキ・ファミリア】の本拠地(ホーム)へ……って!」

 

 フリーゼが現在世話になってる本拠地(ホーム)を口にすると、アーディは思わず彼女を凝視する。

 

「思い出したわ! 確か貴方は【ロキ・ファミリア】に保護されて、ライラからは泥棒猫と呼ばれてる女性小人族(パルゥム)!」

 

「……待て、泥棒猫とは一体何の話だ?」

 

 前者はともかく、後者は全くの初耳だった。何故自分が泥棒猫と呼ばれている事にフリーゼは意味が全く分からない。

 

 

 

 

 因みに少し離れた場所にて――

 

「放しやがれテメェ等! アタシはあの女に用があるんだ!」

 

「ダメよライラ! 今の貴女を行かせたら絶対不味い事になる気がするわ!」

 

 桃色の髪のショートカットが特徴の女性小人族(パルゥム)がジタバタと暴れるも、仲間と思われる赤髪の女性達に阻止されているのであった。




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