再び転生した元神はダンまち世界へ   作:さすらいの旅人

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動き出したフリーゼ達②

「良いぞ貴様等! 撫でただけとは言え、こうも簡単に防いでくれるとは嬉しいぞ!」

 

「それはどう、も!」

 

「ぬぉぉぉおおおおっ!」

 

 戦いが始まってまだ数分にも拘わらず、三人が戦っている周囲は既に荒れ果てている。

 

(これが『Lv.7』の実力(ちから)……本当に強いわね!)

 

(やはり今の我々では届かないか……!)

 

 ローゼの黒い金棒が何かが当たる度に粉々に粉砕され、リヴァルの大剣は硬さなど関係無く簡単に斬り裂かれていく。

 

 凄まじい破壊力と切れ味を見せている武器だが、それだけでザルドと渡り合える訳ではない。

 

 フリーゼと出会ってから数年、彼女から課せられた修行を一切怠ることなく続けた結果、闘気(オーラ)を取得し、身体能力も圧倒的に飛躍している。未だに発展中の身であっても、二人は既に第一級冒険者と渡り合えるほどの実力者だ。

 

 しかし、今のローゼとリヴァルでは【Lv.7】のザルドに勝てない。互いに前世(むかし)の知り合いな事もあって、息の合った高速の連携攻撃を披露して何とか戦えている状態に過ぎないから。尤も、【Lv.7】を相手にそんな凄い戦いをしてる時点でガレスとシャクティが頭の処理が追い付かない状態になってるのだが。

 

(おいエレボス! こんな強い奴等がいたなんて聞いてないぞ!)

 

 それは当然ザルドにも言える事だった。

 

 果敢に挑んでくる二人の猛攻を大剣で捌きながら表面上楽しんでいるが、内心では依頼主である邪神(エレボス)に悪態を吐いていた。自身が戦っているドワーフとハイエルフは知り合いの身内だからって、これはいくらなんでもおかしいだろと抗議したい程だった。

 

 ベヒーモスとの戦いによる後遺症で負傷してるとはいえ、【Lv.7】の自分とここまでやれるなど誰が予想出来るだろうか。

 

 先日倒した糞ガキ(オッタル)が敗北から立ち上がり、再び挑む際には自身を超え倒して欲しいとザルドはそう願っている。

 

 今のオラリオ最強の冒険者は『Lv.6』の猪人(ボアズ)しかいない筈なのだが、目の前のドワーフとハイエルフも同様の領域に至っているなど明らかにおかしい。

 

「うおぉぉぉぉおおおッ!」

 

「「ッ!」」

 

 ローゼとリヴァルの連続攻撃を防いだ後、反撃に転じたザルドは大剣を勢いよく振るう。

 

 単なる斬撃であっても、【Lv.7】が繰り出す威力はまともに直撃すればタダでは済まない。それを理解してるから、二人は咄嗟に後退したのだ。

 

「やるではないか! この俺とここまで戦える冒険者がまだオラリオにいたとはなぁ!」

 

「「………………」」

 

 距離を取って武器を構えるローゼとリヴァルだが、ザルドの称賛に思わず無言になってしまう。

 

(何かワタシ達、いつの間にか冒険者扱いされてるわね)

 

(本当なら訂正したいのだが……取り敢えず黙っておくとしよう)

 

 自分達は冒険者でなく単なる旅人だと突っ込みたいのだが、今の状況でそれを口にしたら色々不味い事になるかもしれないと察し、敢えて口を閉ざしている。

 

 しかし――

 

(どう言う事じゃ。ワシの記憶が確かであれば、あの二人や娘っ子(フリーゼ)に【恩恵(ファルナ)】はない筈……!)

 

 事情を知っているガレスだけは、ザルドと互角に戦うローゼとリヴァルに大きな疑問を抱くのであった。

 

 

 

 

 

 

 時間は少々遡る。

 

 別の場所ではザルドと同じく、まるで門番のように立ち塞がっている強敵がいた。

 

「大丈夫か、アイズ?」

 

「うん、平気。でも……」

 

 自身も傷を負っているにも拘わらず、リヴェリアは一緒に戦っている(アイズ)の心配をしていた。

 

 二人揃って負傷してるのは、目の前にいる存在が原因だ。

 

「この状況でも未だに諦めないか。そのしぶとさだけは褒めてやろう」

 

 そう口にしたのは、漆黒のロングドレスを身に纏う長い灰髪の美女。

 

 彼女の名はアルフィア。『Lv.7』の実力者で、【静寂】の二つ名を持つ最強派閥【ヘラ・ファミリア】の元幹部。

 

 八年前に『三大冒険者依頼』の一角だった【海の覇王(リヴァイアサン)】を討伐に成功したが、ある理由(・・・・)によって一線を退いていた。けれどザルドと同様に闇派閥(イヴィルス)に加担し、オラリオを滅ぼす側に回り、冒険者達を悉く得意の魔法で薙ぎ倒している。

 

「だが、それだけでは私に届かん。無意味な雑音だ」

 

「っ!」

 

「止せ、アイズ!」

 

 アルフィアの台詞にカチンと来たのか、アイズは突撃を仕掛けた。リヴェリアが制止しても止まらない。

 

ダンジョンの娘(・・・・・・・)、見た目とは裏腹に感情的なようだ」

 

 アルフィアは剣を振るうアイズの攻撃を難なく躱し――

 

「冒険者であれば、この程度軽く聞き流せ」

 

 そう言いながら反撃として、再び魔法を放った。

 

「くっ!」

 

「アイズ!」

 

 『鐘』の音が鳴り響いてから衝撃が襲い掛かる事を知っているアイズは身構えて――いたのだが、先程と違って痛みが無かった。

 

「まさか君も戦っていたとは、な」

 

「……フリーゼ、お姉ちゃん?」

 

 アイズの眼前には、一ヵ月以上前から『黄昏の館』で居候している女性小人族(パルゥム)の後ろ姿が映っている。

 

「フリーゼ!」

 

 予想外の人物がアイズを守った事にリヴェリアが思わず彼女の名を叫んだ。

 

 だがそれとは別に、アルフィアは眉を潜めている。

 

「お前、今まで何処に行っていた!? 他の二人はどうした!? リヴァルは無事なのか!?」

 

「取り敢えずリヴェリアさんは落ち着いて下さい」

 

 行方不明だったフリーゼが突然姿を現わした所為か、リヴェリアは戦闘中にも拘わらず一方的に捲し立てた。

 

 普段なら決してそんな事はしないのだが、弟のリヴァルもいなくなった所為もあって、彼女はこの数日気が気でなかったのだ。

 

「二人とも、随分とやられたようですね」

 

 フリーゼはそう言いながら片方の手で文字を書く仕草をした直後、魔力で描かれた複数の文字が出現する。ソレ等がアイズとリヴェリアに触れた途端、二人の全身が淡い緑色の光を発していく。

 

「なっ、これは……!?」

 

「傷が、無くなってる?」

 

「ほう……」

 

 先程まで負傷していた二人が見る見るうちに傷が癒えていく光景に、アルフィアが興味深そうに眺めていた。

 

 フリーゼが使ったのは、リヴェリアが知りたがっている『ルーン魔術』。傷を癒す為の『癒しのルーン』であり、アイズとリヴェリアが負っていた傷は完全に消えている。

 

「さて、お次は……」

 

 傷が癒えたのを確認したフリーゼは、次にアルフィアの方へと視線を向ける。

 

「こうして貴女と顔を合わせるのは初めてですが……お久しぶりですね(・・・・・・・・)、アルフィアさん」

 

「……………………」

 

 初めて会ったにも拘わらず何故か再会の挨拶をするフリーゼに、アルフィアは不快そうに眉を潜めて無言になっていた。

 

「……………は?」

 

「リヴェリア、大丈夫?」

 

 因みにリヴェリアは目の前の小人族(パルゥム)が敵と知り合いだった事に、予想外の不意打ちを喰らったかのように呆然としている。アイズが声を掛けても反応出来ない程に。




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