再び転生した元神はダンまち世界へ   作:さすらいの旅人

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緊急会議

 アルフィアが姿を消した後、別の場所で襲撃していた闇派閥(イヴィルス)も撤退を開始していた。正義の眷族である【アストレア・ファミリア】が押し返したのを切欠に、オラリオの冒険者達だけでなく、今まで陰鬱状態だった住民達も息を吹き返したように活気が湧いているようだ。

 

 まるで勝利を祝うように、都市中は既にお祭り騒ぎとなっている。【ヘルメス・ファミリア】が密かに運搬したことで食料品、医療具、道具(アイテム)が行き届いた為に。

 

 しかし、それはあくまで契機祝いに過ぎない。肝心の闇派閥(イヴィルス)は撤退しただけで、未だにオラリオの市壁を包囲している事に変わりないのだから。

 

 無論、オラリオ側が未だに不利な状況である事は理解している。冒険者達としては絶対勝つ為の意気込みも含めて、次の戦いに備えて英気を養っていた。

 

 そんな中、フリーゼ一行は再び『黄昏の館』へ戻っていた。その直後にはリヴァルを心配していたエルフ達が真っ先に駆け寄って大騒ぎになったのは言うまでもない。

 

 三首領達からも苦言を呈され、その後からは姿を消した後に何をしていたかの聴取をする。フリーゼ達の報告を聞いて、フィンやロキは唖然としていたが。

 

 

 

 

「まさか【恩恵(ファルナ)】を持っていない筈の三人が、あのザルドやアルフィアと戦っていたとはね」

 

「うちもビックリや。しかも嘘なんか全然吐いとらんかったから、ほんまに驚いたわ」

 

 聴取を終えた後、執務室でロキも含めた三首領の緊急会議を開いていた。

 

 フリーゼ達が一刻も早く旅を再開したい為、止む無く参戦したとの事だ。先日の戦いで大敗を喫したフィンとしては耳が痛くて反論出来ず、彼女に情けない姿を晒してしまって申し訳ない気持ちになっていたとか。

 

 噂の『覆面狩人』となって末端の信者達を倒し続けただけでも充分に凄いのだが、一番に驚かされたのは、『Lv.7』のザルドとアルフィアとも戦った事だった。最初は一体何の冗談なのかと耳を疑うも、直接目にしていたリヴェリアとガレスが本当だと証言している。

 

「直接見たワシも自分の目を本気で疑ったぞ。いくらミアの姪やリヴェリアの弟だからって、二人掛かりでザルドと互角に戦うなど予想外じゃったわい」

 

「私もだ。フリーゼが一人でアルフィアと互角、いやそれ以上の戦いを繰り広げていた光景など、正直言って頭がおかしくなりそうだった」

 

 ザルドと互角に戦っていたローゼとリヴァルは、有名冒険者の身内だったからと辛うじて納得出来るだろう。しかし、フリーゼは違う。小人族(パルゥム)の彼女はフィンや【フレイヤ・ファミリア】にいるガリバー兄弟の関係者ではなく、平穏な村に生まれた一般の村娘に過ぎない。

 

 神から【恩恵(ファルナ)】を受けず、一体どうやって強くなったのかと思わず訊いてみるも、『教える事は出来ない』と明確に拒否されてしまった。無理矢理問い質すような事をすればフリーゼ達に見放されてしまうから、ロキやフィン達は断念せざるを得なかった。

 

「だがそれとは別に、彼女が見せたルーン魔術は非常に興味深い。指で文字を描く動作をしただけで発動するなど、完全に未知の魔法だった。もし闇派閥(イヴィルス)の件がなければ、真っ先に教えを乞いたいほどだった」

 

(そら完全にあの爺(オーディン)が使っとるヤツやないか!)

 

 ルーン魔術の発動方法を語るリヴェリアに、北欧の女神であるロキは自分が知っている物だと内心驚愕していた。流石に浅い知識だけとはいえ、もしうっかり口に出せば根掘り葉掘り問い詰められるのが目に見えてるから、とぼけるように振舞うしかない。

 

小人族(パルゥム)の僕としては嬉しい話だけど、素直に喜べないね」

 

 聞いていたフィンは複雑な気持ちだった。

 

 アルフィアと戦っていただけでなく、リヴェリアが興味を引くほどの魔法を持つなど、同胞として誇らしく思う。

 

 しかし、そのフリーゼが今まで隠していた力を見せる事になったのは、冒険者(じぶん)達が闇派閥(イヴィルス)に敗北した所為でそうなってしまった。

 

 一ヵ月以上生活してる事もあって、フィンは単なる同胞ではなく、もう既に気になる女性として傾き始めている。彼女の作る料理は美味しいだけでなく、【ロキ・ファミリア】団長の立場や冒険者としての二つ名など一切気にせず、個人のフィン・ディムナとして接してくれるのが非常に心地好いのだ。

 

 そんな女性小人族(パルゥム)がローゼとリヴァルを連れて姿を消しただけでなく、一人でアルフィアと戦うなど、安全な場所で指揮を執っていたフィンは男として非常に情けないと自己嫌悪している。守るべき筈の同胞から実は守られていたと分かれば猶更に。

 

「彼女達の頑張りを無駄にしないよう、僕達も本腰を入れないとね」

 

 今のオラリオは何とか息を吹き返した状況になったとは言っても、不利な状況である事に変わりない。次の決戦で全てを賭け、背水の陣で挑む覚悟でやらなければ勝利を手にするなど不可能なのだ。

 

 加えてフィンとしては、これ以上フリーゼの前で無様な姿を見せたくない為、今まで以上に本気の顔となっている。それを見たロキ達は内心気付くも、敢えて何も言わず見守るだけに留めていた。

 

 

 

 

 一方、フリーゼは現在部屋で休んでいるのだが――

 

「フリーゼお姉ちゃん、私もお姉ちゃんみたいに強くなりたい。だから強くして」

 

「断る」

 

 ずっとアイズに引っ付かれて強くしてほしいと乞われ続けていた。食事や風呂の時からずっと。

 

 フリーゼは当然断っても、金髪の幼女は諦める姿勢を見せず何ともトライしている。

 

「あんまりしつこいと……明日からジャガ丸くんは二度と作らないぞ」

 

「うっ!」

 

 ジャガ丸くんを作らないと言われた瞬間、今まで諦めなかった筈の途端に怯む。

 

 オラリオのファストフードとして知られているジャガ丸くんは、基本的に屋台で販売されている。フリーゼは一度食べた後に真似てみようと、『黄昏の館』で作って再現した際、偶然にもアイズが目撃して一緒に食べた。それ以降から食事時に『ジャガ丸くんを作って欲しい』と強請る事になってしまったが。

 

 フリーゼが作るジャガ丸くんは屋台と違って違う美味しさなので、作らないと言われた事でアイズは非常に焦っている訳なのだ。

 

「取り敢えず今日は一緒に寝ようか。私としてはそろそろ寝たいし」

 

「……うん、わかった」

 

 アイズも段々眠くなってきたのか、フリーゼと同じベッドで寝る事になった。

 

「あれ? 何でアイズちゃんがフリーゼちゃんと一緒に寝てるのかしら?」

 

 マッサージを終えたローゼが部屋に戻ると、フリーゼの隣にアイズが彼女の腕に引っ付きながらベッドで眠っているのを見て疑問を抱く。

 

 まるで仲の良い姉妹のようだと眺める長身の女性ドワーフは、一先ず母親役のリヴェリアに報告する事にした。




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