再び転生した元神はダンまち世界へ   作:さすらいの旅人

26 / 33
遅くなってすいません。

今回は短い上に、幕間的な話になるのでフライング投稿します。


正邪決戦⑥.5

 フリーゼとアルフィアの戦いは、先程とは比べ物にならないほど壮絶となっていた。

 

 互いに全身からオーラを放出しながら拳や脚を繰り出し、ダンジョン18階層に鳴り響く程の衝撃音を響かせている。

 

 前回に地上で戦った時の焼き直し同然な内容だが、アイズとリヴェリアを除く者達からすれば、信じられない光景だった。

 

「あの娘っ子にはこれまで何度も驚かされたが、今回は飛びっきりじゃのう……」

 

 未知の骨型モンスターや『神獣の触手(デルピュネ)』を倒しただけでなく、万全なアルフィアと真っ向勝負をするフリーゼにガレスは理解不能な状態になりかけていた。冒険者どころか恩恵(ファルナ)を授かっていない筈の彼女がリヴェリア以上の魔法を披露し、『Lv.7』を相手に格闘戦を繰り広げるなど誰が予想出来ただろうか。

 

 同時に納得もしていた。友のように接してるローゼ・グランドは別として、リヴェリアの弟であるリヴァル・リヨス・アールヴが小人族(パルゥム)の少女に忠誠を誓っているのかを。

 

 ハイエルフは(初めて会ったリヴェリアを見て)エルフ以上に高慢ちきで非常に面倒な種族の筈だが、彼女の弟は全く違う。どんな相手にも礼儀正しく接するだけでなく、ドワーフである自分と結構気が合うところもある。これが本当にリヴェリアの弟なのかと本気で疑ってしまう程に。

 

 リヴァルが好青年な性格になったのは、間違いなくフリーゼの影響だとガレスはそう思った。もし出会っていなければ、間違いなく当時のリヴェリアと同様に大変いけ好かない性格をした若造だったかもしれないから。

 

「むぅ……全然見えない……リヴェリア、見える?」

 

「悔しいが、私もお前と同じだ」

 

 ある程度の耐性が身に付いているのか、アイズとリヴェリアは高速戦闘を行っている二人の戦いを目で追う事が出来ずに悔しがっていた。

 

(でも本当にすごくてすごい、フリーゼお姉ちゃん!)

 

 アイズはフリーゼに尊敬の眼差しを送っている。否、その実力(ちから)に魅入られていると言うのが正しいだろうか。

 

 地上での戦いを見た時から、色々な意味でショックを受けていた。冒険者じゃない筈なのにどうしてあんなに強いのかと。

 

 それ以降より、彼女はずっとフリーゼの傍にいるようになる。自分を強くして欲しいと何度頼んでも断られて憤慨寸前となりそうなところ、大好物のジャガ丸くんを用意されて何も言えなくなっているが。

 

『………………』

 

 【ロキ・ファミリア】とは別に、【アストレア・ファミリア】は完全に言葉を失って呆然としていた。

 

 持てる力全てを振り絞って何とか辛勝したと言うのに、第三者が回復アイテムを与えた所為で全てを台無しにしたので抗議したい気持ちで一杯だったのだが、目の前で繰り広げてる戦いを目にした事で既に消え失せている。

 

 先程まで戦っていたアルフィアも、第一級冒険者がいる【ロキ・ファミリア】でも常に余裕を見せていたのだが、小人族(パルゥム)の少女を強敵と認識してるのが一目瞭然だ。

 

 アリーゼ達はフリーゼがつい先程までダンジョンに出現した大型モンスター相手でも圧倒する実力を持ってるのは知ってても、最強格の実力を持つ『Lv.7(アルフィア)』と互角に戦えるなど一人も想像していなかった。寧ろ、あんな強い小人族(パルゥム)が存在していたのかと思わず疑問視してしまいそうになる程に。

 

(クソが! あの女、ふざけやがって……!)

 

 【アストレア・ファミリア】の中で唯一の小人族(パルゥム)――ライラは苛立ちを隠せず歯軋りをしていた。

 

 フリーゼがとんでもない実力者であるのは同胞として喜ばしいのだが、今の彼女にそんな気持ちは微塵もない。

 

 (先日死亡した)アーディから同い年(16歳)と聞いて、その時は少々厄介な泥棒猫程度の認識だった。しかし、今は全く違う。自身とは比べ物にならない実力者どころか、フィン・ディムナが絶対に彼女を嫁に迎えようとする筈だと危機感を抱いている。その読みは正しいのだが、それはもう遅かったと後から知ることになるが。

 

「全く、あの小人族(パルゥム)には驚かされるばかりだ。アストレアも、そう思わないか?」

 

「……ええ」

 

 人間だけでなく、神であるエレボスとアストレアも驚きの連続だった。

 

 あの小人族(パルゥム)の少女がオラリオの冒険者だったら、間違いなく真っ先に嘗ての最強派閥(ゼウスとヘラ)に次ぐ英雄として謳われていただろう。そう考えてしまう程、二柱(ふたり)はフリーゼに対する評価が高くなっていた。

 

 だが同時に気になる点もある。途轍もない実力やルーン魔術とは別に、全身から放出している魔力と思わしきオーラに、ほんの僅かだが『恩恵(ファルナ)』とは異なる奇妙なモノを感じ取った。神々(じぶんたち)が持つ『アルカナム』と似た力を。

 

 フリーゼは間違いなく下界の人間(こども)なのだが、何故あの少女から僅かに『アルカナム』を感じ取れたのが全く不明だった。

 

 エレボスとアストレアは本来ならば神として問い詰めなければならない。天界から下界へ降臨した神々は厳しい制約によって『アルカナム』を軽々しく行使できないが、下界の人間(こども)となれば対象外となってしまうから。

 

 しかし――

 

(此方もルール違反を犯してるから、文句を言える立場じゃないな。それに加えあの少女は、間違いなくザルドやアルフィアに次ぐ英雄になる筈だ)

 

(本当ならアリーゼ達が戦う筈だった強大なモンスター二体を倒してくれた以上、あの子にそんな恩知らずな真似は出来ないわね)

 

 二柱(ふたり)は思惑が違えど、互いにフリーゼを敢えて見逃すのであった。

 

 人間達や神々が様々な考えを抱いている中、ダンジョン18階層は壮絶な戦いが今も続いている。




感想お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。