「あの店の料理は中々美味しかったですね」
「味が少々濃すぎなければ満点だったのですが」
「そう言えばリヴァルは、ハイエルフになってから若干薄味が好みになってたわね」
食事を終えたフリーゼ達は『豊穣の女主人』を後にして、歩きながら店の料理について話していた。因みにローゼも一緒で、営業時間中だが早上がりとなっている。仕事が出来る美人だからなのか、従業員や客達からは『まだ居てくれ~!』と懇願されるも、そこは店主ミアの一喝で収まっている。
宿を探している三人だが、今の時間帯で営業してるのは全く見付からなかった。
「しかしまぁ、オラリオに行こうと決めた私が言うのもなんですけど、まさか
「だとしても解せませんね。オラリオには姉上も含めた有名な高レベル冒険者達が揃っているというのに、何故こうも未だに鎮圧しきれないのでしょうか」
治安の悪化による元凶が
しかし、今のオラリオを見る限り、所々に発生した暴動を各派閥の行動には統率感が全く無かった。本当に
「多分だけど、様々な要因が重なって上手くいってないと思うわよ」
フリーゼとリヴァルの疑問にローゼがそう答えた。
「様々な要因?」
「それはどう言う事だ?」
「ミア伯母様から聞いた話なんだけど――」
二人が【ロキ・ファミリア】の
知っての通り、現在のオラリオは嘗ての
しかし、
鎮圧に貢献しているのは主に【ロキ・ファミリア】で、他の派閥も協力しても大して進展が無く歯痒い日々を送っている。暴動や犯罪を阻止しても焼け石に水に等しく、何一つ解決してないのが実情だ。
確かにオラリオの冒険者であればダンジョンに行くのは当然かもしれないが、そんなの後回しにすべきだと誰もが思うだろう。それでもダンジョン攻略もやれと命じてくるギルドは、どう考えても
しかし、ギルドがそうしなければならない理由は一応ある。オラリオは『英雄の都』や『世界の中心』と呼ばれており、内外にその力を喧伝させなければいけない義務がある。この世界はオラリオが中心となっているから、力に綻びを見せるようなことは絶対にしてはならない為、ギルドは無理を承知で冒険者にダンジョン攻略を命じているとの事だ。
「――と言う状況らしいわよ、今のオラリオは」
「……どう考えてもギルドが原因じゃないですか」
ローゼから聞いた情報を聞いたフリーゼは物凄く呆れ顔になっていた。ギルドこそがオラリオの暗黒期を長引かせてる元凶だと思いながら。
いくら理由があろうとも、都市内の問題を一通り解決してから喧伝すべきなのだ。なのに問題だらけのまま喧伝するなど、それこそオラリオの不名誉を逆に周知させている事に気付いていないのかもしれない。
「確かそのギルドにはロイマンと呼ばれる最高責任者のエルフがいるそうです。非常に強欲な性格で人格も問題だらけな俗物でありながらも、ギルド長としては非常に有能だとか。恐らくその同胞が、各派閥にダンジョン攻略を命じておるのやもしれません」
リヴァルは姉のリヴェリアから聞いた情報を思い出しながら、ギルド長のロイマンについて教えていた。
面倒な人物がオラリオの最高権力者になってるなと憂うフリーゼだが、それはもう今更である。
「まぁどちらにしろ、
オラリオの暗黒期は数年以上前から始まっており、未だに解決の糸口が掴めないまま無駄に長引かせている。
フリーゼ達が協力すれば話は別になるかもしれないが、彼女達はオラリオが抱えてる問題に自ら首を突っ込む気など無い。下手に介入すれば、これまで対応していた冒険者達の面子を潰してしまう事になるから。
「それはそうと、今の私達は宿を取らなければ」
「そうですな。とは言え、この辺りで取れそうな宿は……ありませんね」
「う~ん、いっそテントでも張って一夜を――」
宿が取れないのであれば旅で利用してるテントを使おうとローゼが提案してる最中――
「いたぞ! 例のハイエルフだ!」
「あのハイエルフだけは生かして捕らえろ!
一様に目元以外の全身を隠している装束を纏った謎の集団が三人を包囲していた。
「この連中は……」
「これが噂に聞く
「そうみたいね。でもこいつ等、リヴァルを捕らえる気みたいよ」
フリーゼ達は包囲されているにも拘わらず、全く臆する様子を見せていない。それどころか冷静に相手の素性を探ろうとしている。
「掛かれぇ!」
『ウォォオオオオ!!』
直後、謎の集団は武器を手にした状態で三人に襲い掛かろうとするのであった。
「こんな事になるなら、リヴァルやフリーゼを此方の
「リヴェリア様、我々も行きます!」
「
【ロキ・ファミリア】のリヴェリアを中心としたエルフ達が駆け付けており――
「グズグズするな、ヘグニ!」
「わ、分かってるよ、ヘディン……!」
とある派閥に属してる
因みに他のエルフ達も大急ぎで急行している事も補足しておく。
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