再び転生した元神はダンまち世界へ   作:さすらいの旅人

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今回はフライング投稿です。


『黄昏の館』で過ごす事になった フリーゼの場合

 『黄昏の館』で世話になる事になったフリーゼ達は、まさかこんな事になるとは思いもしなかった。闇派閥(イヴィルス)に狙われてしまった以上、暫くは留まった方が良いと言われたのだ。明日以降にオラリオから去れば良いのではと意見するも、それは却って危険だと却下されている。

 

 闇派閥(イヴィルス)は都市内で犯罪活動を中心に行っているとは別に、他国や他都市にも信者が活動しており、オラリオから出たところで再び狙われる可能性が非常に大きい。それを視野に入れたからこそ、フィンは彼女達の滞在を許可したのである。

 

 オラリオに来たのは失敗だったと内心後悔してしまうフリーゼだが、こうなった以上は諦観するしかなかった。向こうがもし再び仕掛けてくるのであれば、ローゼやリヴァルと一緒にヴァレッタとか言う指揮官を引きずり出してぶちのめしてやろうと思いながら。

 

 部屋をあてがわれ、フリーゼは同性のリーゼと相部屋となる。町で宿を取る時には必ず一緒になるから、そこは全く問題無い。

 

 リヴァルは異性と言う事もあって別部屋なのは当然で、(エルフ達からの要らぬ気遣いにより)幹部用の一人部屋らしい。男性エルフ達が警護をしようと扉の近くで待機する気満々だったが、そこは丁重に断ったとの事だ。

 

 初日から面倒な事になったと思いながらも、フリーゼ達は一夜を過ごすのであった。

 

 

 

 

 

 

 翌日の朝。

 

 朝食の時間は団員達が揃って食べる決まりになっており、そこでフィンが食堂に集まった団員達に周知している。

 

「彼女たち三人は闇派閥(イヴィルス)に狙われた為、【ロキ・ファミリア(ぼくたち)】の方で暫く保護する事にあった。団員ではないにしろ、大事な客人として扱うように」

 

 そう言ながらフィンは次に三人を紹介する。

 

 女性小人族(パルゥム)のフリーゼ・ウィステ。王族妖精(ハイエルフ)のリヴァル・リヨス・アールヴ。ドワーフのローゼ・グランド。

 

 紹介の中で驚いていたのがリヴァルとローゼだった。副団長リヴェリアの弟と、『豊穣の女主人』の店主ミア・グランドの姪である為に。

 

 特に騒いでいだのはエルフの団員達で、食事が始まって早々一斉にリヴァルの方へ来て臣下の礼を取ろうとしており、それを見ていたリヴェリアが窘めた事で何とか収まる。その所為で暫くは姉弟で行動する事になってしまったが。

 

 様子を見る限り、リヴァルは『黄昏の館』にいる限り窮屈な日々を送りそうだとフリーゼは思った。同時にハイエルフを慕うエルフ達の行動にも呆れながら。

 

 彼だけでなく、ローゼに話し掛けてくる者達もいる。昨日に話したガレスとは別に、中年ドワーフの面々が『身長はともかく、見た目が若い頃のミアにそっくりだ』と非常に懐かしそうな感じで。

 

 フリーゼはオラリオに身内がいないから、二人のように積極的に話しかけてくるものはいないだろうと思いきや――

 

「少し君と話したい事があるんだけど良いかな、フリーゼさん」

 

 何故か団長のフィンが話しかけてきたから『何で?』と頭の中が疑問符だらけになるのであった。

 

 リヴァルやローゼと同様、種族同士が会話する事に何の問題も無い。小人族(パルゥム)であれば、同胞であるフィンが話しかけるのは当然なのだが、団員達が気になるように見ている。

 

 

 

 

「まさかこの派閥にいる小人族(パルゥム)が一人だけとは……道理で他の同胞がいない訳でした。それで貴方が私の対応をしおうと?」

 

「まあね」

 

 食事を済ませた後、フリーゼはフィンに本拠地(ホーム)の簡易的な案内をしていた。闇派閥(イヴィルス)に狙われて暫く保護することになったので、建物内を知っておいた方が良いと言う理由で。

 

 団長自らがそのような事をするなどあり得なく、本来であれば別の者に任せる筈なのだ。女性と言う事も考慮すれば、末端の団員である猫人(キャットピープル)のアナキティ・オータムなら上手く対応出来るだろう。

 

 しかし、フリーゼは大事な客人として扱っている。もし団員が失礼な態度を取るような真似をすれば、彼女を主と見ているリヴァルの怒りを買う事になるかもしれないから、こうして団長自ら案内役を買って出たのだ。

 

 同時に気になる事もある。昨日に会合した際、ローゼは堅苦しい感じが無くとも、彼女を守るべき主のように慕う節が見受けられるのだ。同じ小人族(パルゥム)であるフィンとしては、目の前にいる同胞が気高いハイエルフと屈強なドワーフの二人を従えるほどの強さ、もしくはカリスマ性があるのではないかと考えている。

 

 今のところ分かっているのは、端整な顔立ちをして、誰にでも礼儀正しい振舞いをする優しい同胞と言うくらいだ。派閥は違うが、自分を狙っていると思われる同胞(ライラ)とは全く大違いだと思ってしまう程に。

 

 自身の後継者となる子供を欲しているフィンからすれば、フリーゼのような同胞に求婚するかもしれないだろう。尤も、まだ会って間もない相手にそんな失礼な事は流石にしない。ゆっくり時間を掛けてから、改めて決めれば良いと。数年後には自身を狙う恋するアマゾネスが現れた事で、判断を誤ってしまったと心の底から後悔してしまう事を知らずに。

 

 一通りの案内を済ませた二人は、休憩も兼ねて中庭に設置されてる長椅子に腰掛けている。小人族(パルゥム)の身長もあって座り辛そうに思われるも、フリーゼとフィンは全く気にしない感じだ。

 

「突然だが、君は『女神フィアナ』について知ってるかい?」

 

「ええ、一応は」

 

 フィンからの問いに知っていると答えるフリーゼ。

 

 小人族(パルゥム)の象徴とされている女神フィアナだが、実際には存在しない架空の存在。神が降臨する神時代になって以降、生き甲斐を失ってしまった小人族(パルゥム)達は急速に落ちぶれてしまい、他の種族達から見下されるようになってしまった。中には小さいだけの搾取されるだけな存在に過ぎないと侮蔑を込める者もいる程で、そう言われても全く抵抗しないのが現状で嘆かわしいものになっている。

 

 フリーゼは別世界より再転生した存在だから、フィアナの信仰など微塵も無いが、心の支えを失った事で意気消沈する同胞に何とも言えない気持ちだった。以前の世界では多くの人間や天使達から崇拝される存在だったから、自身の死で悲嘆する者達がああなってしまうのは無理もないと同情したほどだ。

 

 とは言え、彼女は落ちぶれた小人族(パルゥム)達に同情しても、寄り添う気など微塵も無い。弱い種族だからと諦める前に、這いあがって強くなると自ら発破を掛けている。

 

「あくまで知識として知ってるだけで、大して興味ありません」

 

「そうか……」

 

 興味無いと言われた事で若干落ち込む様子を見せるフィン。

 

 小人族(パルゥム)の英雄譚として語り継がれている存在を引き合いに出して会話を盛り上げたかったのだが、思わぬ返答をされた事で出鼻を挫かれてしまったのだ。

 

「それを訊いてくるのは、貴方はフィアナを信仰してるんですか?」

 

「まぁね。架空の存在だと分かってても、僕たち小人族(パルゥム)を支えてくれた存在に変わりないから」

 

 向こうからフィアナに対する信仰を問われたので、少々落ち込んでいたフィンはすぐに返答した。

 

「だけど君も知っての通り、小人族(パルゥム)は他の種族から見下されている。一族を復興するには象徴となる存在がどうしても必要だから――」

 

「――ディムナさんがその旗頭になろうと、【勇者(ブレイバー)】としての名声を広げているのですね」

 

 フリーゼはフィンに関する情報はそれなりに得ていた。

 

 小人族(パルゥム)でありながらも第一級冒険者の『Lv.5』になっている他、オラリオ最大派閥の団長となった事で都市外の同胞達から『一族の英雄』と称えられている。

 

 しかし、フリーゼは他と違って羨望の眼差しを送ってはいない。英雄と言う存在は余り好ましくない存在であったから。

 

 前世(むかし)の頃に『禍の団(カオス・ブリゲード)』の『英雄派』がいて、歴史に記されてる英雄の末裔や魂を継ぐ者達がいた。その者達は英雄とは名ばかりで、動機があっても身勝手な振る舞いをする傍迷惑な集団に過ぎなかった為、フリーゼ(リューセー)は英雄に対して嫌悪している。勿論コレは単なる個人的な考えにすぎなく、人格者の英雄もいる事も理解してて完全に嫌っている訳ではない。

 

(確かにこのフィン・ディムナと言う人物は英雄に相応しいかもしれないけど、聖書の神(わたし)には表面的な模範生のようにしか見えないな)

 

 目の前にいる【勇者(ブレイバー)】は欠点と呼ばれるものがなく、殆どが万人受けな情報ばかりだったとフリーゼは疑問視している。まるで周囲の目を気にしながら名声を得ている、と言うような感じがしてならないのだ。

 

「私としては大変素晴らしいと思います。いつか夢が実現すると良いですね」

 

「はは、ありがとう」

 

 社交辞令だと勿論理解していても、フィンとしては礼儀正しく端整な女性小人族(パルゥム)から応援されるのはそれなりに嬉しい。

 

 話して分かった事もあり、この同胞は【勇者(ブレイバー)】ではなくフィン・ディムナ個人として見ている。

 

 立場など関係無く普通に接してくれるフリーゼの対応に、フィンが個人的に興味を抱くのは当然の流れかもしれない。




いまいちかもしれませんが、先ずはフリーゼとフィンの会話でした。

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