再び転生した元神はダンまち世界へ   作:さすらいの旅人

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久しぶりに更新しました。


『黄昏の館』で過ごす事になった リヴァルの場合

「姉上、あの者達を如何にかする事は出来ないのですか?」

 

「出来るなら疾うにやっている」

 

 フリーゼが中庭でフィンと話している間、リヴァルは自身の姉より本拠地(ホーム)の案内をされながら談笑していた。その周囲には多くの同胞(エルフ)達がいて、まるで警護するように二人を見守っている。

 

 彼等がそう言う行動を取るのは無理もない。神よりも神聖視している王族妖精(ハイエルフ)、リヴェリアの弟君であれば一層気合いが入ってしまうのだ。益してや闇派閥(イヴィルス)に狙われたと知れば、身を挺してでも守ろうと躍起になっている。

 

 そんな同胞達の行動にリヴァルが内心うんざりしている最中、一人の女性エルフはジッと視線を送っている。

 

(ああ、不敬なのは分かっているのに……でも……!)

 

 リヴァルに熱い視線を送っている女性エルフの名は、アリシア・フォレストライト。あともう少しで『Lv.2』に昇格(ランクアップ)寸前となっている将来有望な女性冒険者の一人。

 

 他のエルフ達と同じくハイエルフを崇拝しており、リヴェリアに仕えようとオラリオにやって来た。【ロキ・ファミリア】に入団した以上、ハイエルフを守る為の盾になると誓って日々弛まぬ努力を続けている。

 

 そんな中、アリシアは出会った。本拠地(ホーム)の門番をしてる際、自身が崇拝してるハイエルフと似た顔立ちと美しい髪をしたリヴェリアの実弟と。

 

 初めて見た瞬間、彼女はまるで魅了されるかのように目を奪われた。もしもリヴェリアが女性でなく男性だったら恋に落ちていたかもしれないと夢想するも、それが現実になってしまっている。

 

 一介のエルフである自分が崇拝すべきハイエルフに恋心を抱くなど不敬だと戒めるも、リヴァルの(かんばせ)を見るだけで再び心臓が高鳴ってしまう。

 

 本当ならアリシアも他の同胞達と同じく二人の警護をしようと来たのだが、今の彼女は完全に恋する乙女の顔になっており、とても警護出来る状態じゃないのは言うまでもなかった。

 

 これでもし声を掛けられたら――

 

「そこのお嬢さん、少々宜しいかな?」

 

「へぁ!?」

 

 絶対に平静を保てなくなるだろうと思っていたところ、意中の殿方(リヴァル)が目の前にいる事で奇声を上げてしまった。

 

 他の同胞からは「何やってるのよ!?」、「不敬だぞ!」、「まぁ、いきなり声を掛けられたら無理もない」と言う様々な反応を示している。

 

「どうした、アリシア。お前にしては珍しいな」

 

「へ、あ、リ、リヴェリア、様……」

 

 リヴェリアが話しかけると、どうにか心を落ち着かせようとするアリシア。

 

 すると、リヴァルが声を掛けた理由を言おうとする。

 

「突然話し掛けて申し訳ない。だが、どうしても礼を言いたくてな」

 

「そ、それは、どう言う……?」

 

 アリシアは酷く困惑していた。お礼を言われる事は何もしていない筈なのに、一体何でこうなっているのかと。

 

「昨日に君が門番をしていなければ、こうして姉上と再会することが出来なかった」

 

「そ、そんな。あれはエルフとして当然の事をしただけで……!」

 

 と言ってるアリシアだが、内心では非常に舞い上がっている。

 

 本当は昨日に門番をする筈だった同僚が闇派閥(イヴィルス)の襲撃で怪我をした為、代わって門番をした結果、こうしてリヴァルと出会うことが出来た。不謹慎だと思いながらも、今の彼女は怪我をした同僚に対して非常に感謝していた。

 

「アリシア、と言ったか。君のような気が利く同胞がいてくれて助かった。もし何か困った事があれば、その時は私に遠慮無く言ってくれ」

 

「は、ハイエルフである御身に、そんな無礼な事は……!」

 

「気にするな。それに、見目麗しい女性の助けになるのであれば、私も男冥利に尽きる」

 

「!」

 

 アリシアは突然固まってしまった。リヴァルに『見目麗しい女性』と言われた瞬間に。

 

 彼女だけでなく、周囲のエルフ達も当然耳にしている。

 

 男性エルフ達はアリシアを見て「ああなるのは無理もないな」と納得してる反面、女性エルフ達からは「おのれアリシアぁ~!」と嫉妬の視線を送っていた。

 

 少しばかり混沌と化している光景に、リヴェリアが呆れた表情になるのは無理もなかった。

 

「おいリヴァル、姉である私の前で同胞(エルフ)の娘を口説くとは何事だ」

 

「別に口説いてはいないのですが……」

 

 全く以って心外だと言い返すリヴァルだが、リヴェリアはただ嘆息するだけだった。

 

 まだ『アルヴの王森』で暮らしていた頃、弟は多くの女性エルフ達から好意を抱かれていた事を今でも憶えている。

 

 ストイックな性格でありながらも、女性に対する扱いが慣れているように紳士な対応をした結果、沢山の贈り物が送られた。更には多数の縁談話を持ち掛けられたことで、父のラーファルも非常に困っていたらしい。

 

 当の本人は女性に全く興味が無いように剣の修行に明け暮れていると思いきや、それが今は旅先で見つけた女性に忠誠を誓っている。エルフではない小人族(パルゥム)――フリーゼ・ウィステと呼ばれる女性に。

 

「リヴェリア」

 

 エルフの集団の中に、異種族の女性が声を掛けてきた。

 

 その声を聞いたリヴェリアは途端に反応し、即座に振り向く。

 

「アイズか、どうした?」

 

「その人、確かリヴェリアの家族……」

 

 リヴェリアが向けてる視線の先にはヒューマンがいた。金髪金眼の少女――アイズ・ヴァレンシュタインが。

 

 子供とは言え、ヒューマンがハイエルフに無礼な態度を取ればエルフ達は激昂してもおかしくない。だが、それに反するように誰一人たりとも全く気にしていない様子だった。

 

「ああ、こいつは弟のリヴァルだ」

 

「初めまして、お嬢さん。名を聞いても良いかな?」

 

「……アイズ・ヴァレンシュタイン、です」

 

 リヴァルが名を尋ねると、アイズは慣れない口調で自己紹介をする。

 

「ほう、君が噂の娘か。成程……」

 

「? 何がなるほどなの?」

 

「いや、気にしないでくれ」

 

 首を傾げながら問うアイズに、リヴァルは何でもないように振舞った。

 

 あくまでリヴェリアからの手紙を通じて簡易的に知っただけだが、目の前にいる少女は今も相当手を焼かされている問題児らしい。加えて、強くなる事に相当貪欲な上に周囲を大変困らせているのも含めて。

 

(まだ年端も行かないというのに、この少女の眼……復讐を望むか)

 

 前世の頃から多くの子供達を見たリヴァルは、即座にアイズの心情を見抜いた。大切な何かを奪ったモノに復讐したい、と言う憎悪を抱いた目をしている事に。

 

 すると、少女はリヴァルにある事を問おうとする。

 

「ねぇ、あなたがリヴェリアの弟ってことは強いの?」

 

「……どうかな。私は姉上や君と違って冒険者ではないから、必ずしも強いとは限らない」

 

 だが少なくとも、と言ってリヴァルは言葉を続ける。

 

「我が主フリーゼ様は、私や君とは比べ物にならないほどの実力者である事は断言しておこう」

 

『!?』

 

 リヴァルの発言はアイズだけでなく、リヴェリアや他のエルフ達も驚愕した。

 

 他の種族と比べて力や魔力が圧倒的に劣っている筈の小人族(パルゥム)が、王族妖精(ハイエルフ)より強いなど断じて有り得ない。

 

 普通ならエルフ達が真っ先に抗議してもおかしくないが、相手がハイエルフだからか少々躊躇っている様子だった。

 

「そのフリーゼって人に会ってくる!」

 

「待て、アイズ!」

 

 アイズは素直に信じたのか、本当に強いのかを確かめる為に彼女に会おうと何処かへ行ってしまった。

 

 その後に母親(ママ)であるリヴェリアが、彼女を追いかけるのは当然の流れなのは言うまでもない。




リヴァルに恋をするアリシア、と言う流れにしました。

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