もしもVの知力が0. 1だったら   作:正拳突き

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全国1千万人のカツオファンの皆様、お待たせしました。


11 運のいい男

カラン コロンとVが投げたコインがアスファルトに落ちる。表ならカツオを殺し、裏であれば見逃す。別に結果がどうであれ、大きな変化は訪れない、どこにでもいるチンピラが死のうと生きようと、この街には関係ないのだ。

 

だが当の本人にとっては別である。

 

「う、裏だ!これで僕を助けてくれますよね?」

 

「ああいいぞ、運が良かったな」

 

コインの向きは裏、Vは目の前の青年の首を切り飛ばすために持っていた刀を鞘に戻す。

死神の鎌をギリギリのところで避けたカツオは天に仰ぎ生きている事に深く感謝をした。

 

『なんだよ本気だったのか?俺はてっきり油断させたところでズバっと殺るのかと思ったんだかな』

 

「いやいや、そんな酷い事はしないって」

 

ジョニーは初めから殺すつもりであったがVは違う、彼は約束を守る男だ。

 

「あの、一体誰と話しているんですか?」

 

カツオはとても不思議そうな顔でVに質問をする。彼から見れば目の前の男が何も無い所へと話しかけているのだ。気にするなというが無理難題である。

 

「そっか…カツオには見えてないんだな。紹介するよコイツはジョニー • シルヴァーハンド、昔アラサカタワーを核で吹っ飛ばした男だ。今俺の頭の中に居候してる」

 

『全く、お前はホントに俺を驚かしてくれるぜ』

 

またしても何も無いところを指差しながら、ニコッと笑うVを見てカツオは全てを悟った。

(コイツ…サイバーサイコだ……!!)

 

肉体を機械に入れ替えれば入れ替えるほど、その人物は人間性コストを失う。その数値が0になった時、正気を失い全てを破壊しようとする狂人へとなるのだ。

 

そして当然の事だが、それ程にまでインプラントを入れている人間は生身とは比べ物にならない程の戦闘力を持つ。実際にNCPDに対サイバーサイコ専門の部隊、マックスタックがいるのがその証拠だ。

 

カツオはVの戦闘力と、そのイカれ具合から見て彼をサイバーサイコと断定した。

 

「う、うわあ!凄いですね〜その人僕でも知ってるくらいの有名人ですよ〜〜流石ですね!」

 

口を大きく開け、顔にはとびっきりの営業スタイルを浮かべながらわざとらしくカツオはVを褒めちぎる。相手がぶっ飛んでいるのなら、自分がそれに合わせるだけだ。下手な事を言って怒らせてしまっては意味がない。

彼の合理的は脳は僅か0.2秒でその決断を下した。

 

「お!初めてだな、俺の話を信じてくれた奴。ほらな、やっぱりコイツを生かしといて正解だっただろ?」

 

『気に入らねぇ、コイツのニヤケ面もお前のバカさ加減にもだ』

 

Vはカツオのお世辞を真に受けたが、当然ジョニーには通じない。だがそれを一々指摘する気にもならない、何故なら彼が頭に入った男はナイトシティ1番の馬鹿であり、忠告するだけ無駄だと知っているからだ。

 

『それと、お前ここに何しに来たのか忘れてるだろ。ローグに言われた通りに、さっさと依頼主を助けるんだな』

 

「確かに、なあカツオこの倉庫に武器屋が捕まってるって聞いたんだが分かるか?」

 

「はい、勿論分かりますとも!アイツ僕らに粗悪品を売り付けるとかいう舐めた真似してくれたんで、そこの倉庫の地下で焼き入れてたんですよ!」

 

カツオはニコっと笑いながら、爆発で滅茶苦茶になった倉庫の中へVを案内する。そのまま地下へ続く階段へと降りると、薄暗い部屋へとたどり着いた。部屋にはパイプ椅子にバットやスタンガンと監禁、拷問をするにはピッタリなのだが、肝心の人間がいない。

 

「おい、ここに居るって言ってただろ。お前俺に嘘をついたのか?」

 

「い、いやホントにさっきまでは居たのに…どうして?」

 

暗い部屋でも分かるくらいカツオの顔が青くなっていく、本来はVがターゲットと脱出する隙に逃げるはずだったのたが、その男がない。

このVとかいうセンスのない名前を持つ、自称傭兵のサイバーサイコはコインで人の生死を判断するくらいには狂っているのだ。

機嫌を損ねればどうなるのか分からない、カツオの判断は早かった。

 

「申し訳ございません!!僕が間抜けなせいでV様の貴重なお時間を無駄にしてしまい心からお詫び申し上げます!!!」

 

カツオはVのスニーカーを全身全霊を込めて舌で舐め始める。人間以外の生き物だって、弱いオス等は群れのボスの毛繕いをしたりするのだ。アラサカの重役を父に持っていた彼にとって、靴舐めは決して苦ではない。寧ろこれで命が助かるのなら安い物である、しかしコーポのルールはこの男には通用しなかった。

 

「うっわ汚いことするな!」

 

Vは反射的に自分の靴を舐めるカツオを顎を蹴り上げる、しかしタイミングが良くなかった。顎を蹴られた事により勢いよく歯を閉じ、カツオは舌を思いっきり噛んでしまったのだ。

そのあまりの激痛に、カツオは両手で口を抑えて悶絶してしまっている。

 

「クソっ、なあジョニーこういう場合は誰に聞いたらいい?」

 

『先ずはローグに電話しろ。アイツならこの程度のトラブルは慣れっこだからな』

 

Vはジョニーに言われた通りローグにコールをする。1秒程度で繋がり、アフターライフの女王の顔がホロコールに映った。

 

「ローグ…その…ターゲットのことなんだが、逃げちゃったみたいで…」

 

『ターゲットは既にアタシのドライバーが保護してるよ』

 

「ええ!どうやって!?」

 

『アンタが派手に暴れている間にコッソリと抜け出したと言ってたよ。アタシの期待してたやり方とは違ったけど、そこは結果オーライさ。よくやったね』

 

その言葉を聞きVは安堵のため息をつき、安心したせいか脚の力が抜けその場にぐったりと膝をつく。今思えば今日はクラウドでタイガークロウズと交戦した後、ヴァレンティーノズとも命を奪い合いをしたのだ、疲れて当然といえる。

 

「それじゃあ約束通り」

 

『アンダース • ヘルマンはアタシが探し当てるさ。でも流石に今日中にってのは難しいね、また明日アフターライフに来な』

 

ローグは完結に要点だけを述べると通信を切った。部屋には今だに悶絶中のカツオのうめき声が鳴り響いた。

 

「いきなり蹴って悪かったな、でもソッチだけいきなり俺の靴を舐めたんだ。これでアイコだろ?」

 

「は、はい」

 

「なんか顔色悪そうだな、歩けるか?」

 

「すいません…ちょっとだけ腰が抜けちゃって…」

 

カツオはまだ恐怖に顔を曇らせ、足は産まれたての子鹿の様にブルブルと震えている。1日に2度死の恐怖を間近で感じたのだからコレが正常な判断と言えるだろう。

 

「なら俺が運んでやるよ」

 

Vはゴリラアームでカツオを持ち上げると、そのまま左肩に乗せ階段を登る。昨日は荒事も終わりかと思ったが、そうではない。

地上に戻ったVは弾幕による盛大な歓迎を受けた。

 

「何だよいきなり!!」

 

咄嗟にサンデヴィスタンを起動したから、瞬時に物陰に隠れたものの、あと0.5秒遅ければ確実に死んでいた。Vはカツオを地面に降ろすと、再び刀を抜き耳を澄ませる。聞こえて来たのは男の野太い声だ。

 

「V!テメェ、よくも俺たちの仲間を殺してくれたな!このお礼は鉛玉でしてやる、とっとと顔を出しやがれこのウスノロが!!」

 

「ジョニー誰だアイツ、何で俺のことを知ってるんだ?」

 

『お前さっき、仲間を呼んでた女の首を斬り落として通話先の男を煽ってただろ。ソイツがブチ切れてライトマシンガンを持って1人突っ込んで来たってとこだろうな』

 

ジョニーのツッコミでVは思い出した、確かにそんな事をしたなと。ひょっこりと顔を出すと、その直ぐ目の前の壁に弾丸がめり込む。

 

「ハハハ!泣け!叫べ!ヴァレンティーノズに手を出したしたことをあの世で後悔するんだな!」

 

大柄で口元にスカーフを巻いた男は容赦なくLMGを乱射する。あの大口径弾をアレだけの連射速度で撃たれたら、Vの刀ではとても弾ききれない。

 

『おい、今のは危なかったぞ』

 

流石のジョニーも今の銃撃には焦ったのか、いつもの嫌味や皮肉は一切なく早口でまくし立てる。

 

「心配してくれたのか?」

 

『お前が死ねば俺も死ぬんだよ!脳みそを共有してることを忘れるな』 

 

「分かってる、まだ死ぬつもりはない」

 

刀を強く握り思考を巡らせる、見えるところまで近づいてきた死を前にVは思い出す光景は1つだけだ。

 

『あとは頼んだぜ、相棒』

 

誰よりも強くて、誰よりも優しかった親友。その友を犠牲に自分はここにいる。忘れない、何があろうとも決して忘れない。

 

本日最後の戦いが幕を開ける。




オマケ : コーポは辛いよ

2076年

デイビット「母さん、俺アラサカなんかで働きたくないよ」

グロリア「何いってんの!アンタにはアラサカタワーのてっぺんで働くようなエリートになって欲しいんだから!!」

デイビット「でも…俺と同じクラスのカツオが今日さ」



カツオ『昨日、オヤジがウチにアラサカの役員の方を連れて来てくれたんだ』

取り巻きA『ホントですか!?』

取り巻きB『流石カツオさんのお父様は凄い方です!!』

デイビット『そんなんで大袈裟な』

カツオ『なっ大袈裟とはなんだ!お前みたいな庶民には分からないだろうが、役員が自宅に来るってのは出世コースに入ってるってことなんだぞ!!』

デイビット『あ〜そうですか…それで、その役員と一緒にホンモノのステーキでも食べたって話なんだろ』

カツオ『庶民の想像力ってのはその程度か?僕は役員の方の革靴についていた泥を全部舐め取ったんだぞ!!』

デイビット『は?舐めるって何で?』

カツオ『舌に決まってるだろ?上司の靴も舐められない奴が出世出来るわけないからな。オヤジも若い頃から必死になって靴を舐め続けたから重役になれたんだ』

カツオ『僕なんかほら見ろ、靴を舐める為に舌にインプラントを入れてるんだぞ!』

取り巻きA『流石ですカツオさん!!』

取り巻きB『俺たちに出来ない事を平然とやってのける!そこにシビレル、憧れるう!!』

カツオ『そんなことは…あるな!』 キリッ

デイビット『ええ…』       



デイビット「ってことがあったんだ。俺オッサンの靴とか舐めたくないよ…」

グロリア「嘘でしょ…ま、まあ!出世出来なくたってアラサカに働いてるだけで勝ち組なんだから!もうちょっとだけ頑張って!!」

デイビット「う、うん」

この後事故った
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