もしもVの知力が0. 1だったら   作:正拳突き

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始まってしまった


ACT-4 バカと新合衆国の野望〜俺たちがその気になりゃ大統領だってぶっ飛ばせる!!
25 ドッグタウンへようこそ


路地裏に血の生臭い匂いがこもっていた。

 

さっきまで威勢よく喚いていたギャングたちは、もう誰ひとり立っていない。

Vは最後の一人の胸から刀を引き抜き、死体を蹴ってどかすと軽く息を吐いた。

 

『V、聞こえてる?』

 

突如女の声が飛び込んでくる。落ち着いているが、どこか切羽詰まったような響きが混じっている。

 

「悪い、俺新聞は読んでないんだ。それじゃあ」

 

Vはまるでセールス電話でも切るかのように、さっさと通話を終わらせようとする。

 

「待って! 勧誘じゃないから……私はソングバード。あなたにどうしてもやってもらいたいことがあるの」

 

慌てて女が引き留める。声だけだが、額に汗を浮かべていそうな必死さだ。

 

「それって今日じゃないとダメか?」

 

『ええ。お願いだから、ドッグタウンに来てほしい』

 

「ドッグタウンってどこだ?」

 

Vの頭の中に、地図はほぼ入っていない。ナイトシティの区画は「ヤバい場所」「金になる場所」「どっちでもない場所」の3種類だ。

 

『今マップにナビを入れたから、それを見て。正面に大きなゲートがあるから、そこで会いましょう』

 

「あー、いいぞ。じゃあそこに行くか」

 

あっさり頷いたVに対しジョニーがツッコミを入れる。

 

『あんな簡単に応じちまってよかったのか?』

 

ホログラムのロッカーボーイはいつも通りの呆れ顔だ。

 

「ああ、面白そうだしな」

 

Vは気楽に答える、面白いかどうかがいつだって最優先だ。

 

「Vさん、また何かトラブルですか?」

 

路地の出口近くで様子を見ていたカツオが、嫌な予感しかしないといった顔で、恐る恐る質問した。

 

「なんか、ソングバードって女がドッグタウンに来いって言ってるんだ」

 

「ドッグタウン!?」

 

カツオの声が一段高く跳ねる。

 

「知ってるのか?」

 

「知ってるもなにも、あそこは治安最悪の場所ですよ! バーゲストっていう、ミリテクから逃げ出した兵隊たちが実効支配してるんです」

 

カツオは更に早口でまくし立てる。

 

「あそこはナイトシティ以上に混沌に満ちていて……初対面でそんなところに来いとか言う奴なんて、絶対ヤバいですよ」

 

「へえ〜マジか……さらに興味が湧いてきた」

 

Vの目がキラキラと光る、カツオの忠告は完全に逆効果だった。

 

「なんで?」

 

「だってそのバーゲストって奴らは軍人気取ってるけど、本当はギャングなんだろ?ってことは、そいつらを全員ぶった斬ってれば金になる」

 

「うわ……マジかよコイツ……」

 

カツオは小声で呟いた。他人にとっては治安最悪の街でも、Vにとってはそこら中に報酬が落ちている遊び場でしかない。

 

「あのぉ……僕は行かなくてもいいですよね? どうせ行っても足手まといにしかなりませんし」

 

カツオが恐る恐る切り出す。

 

「行きたくないのか?」

 

「いやぁ……まあ、はい……」

 

目を逸らしながら、正直に認めた。

 

「しょうがない。じゃあ今回は俺とジョニーで行くから、お前は留守番しとくんだぞ」

 

「分かりました」

 

少し離れた駐車スペースに戻ると、Vは自分のバイクに跨がりエンジンをかけ発進したが直ぐに引き返してくる。

 

「お土産、何がいい?」

 

「お願いですから、無事に帰って来てください……」

 

「分かった!」

 

Vは満面の笑みを浮かべると、今度こそバイクに跨がり、数秒後にはもう豆粒くらいの大きさになっていた。

 

「今あんたに死なれたら困るんだよ……」

 

カツオは、誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。それは、Vにとっては何でもない仕事のひとつだが、カツオにとってはVの死が自分の破滅に繋がるのだから、当然と言えよう。

 

     

 

「本部、こちらアルファ1、どうぞ!」

 

『こちら本部。無線はクリアだ、どうぞ』

 

割れ気味の音声が、バーゲストの警備部隊のヘルメット内に響く。視界の先には、巨大なゲート。そこへ向かって、ひとりの男が歩いてくる。

 

さっきまでそこには、自分たちの仲間がいた。だが気付けば今この場で動いているのはそいつひとりだけだ。

 

それなのに、そいつの歩き方はあまりにも普通だった。まるでただ散歩のコースを間違えましたと言い出しそうな足取りで、真っ直ぐこっちに向かってくる。

 

手足が勝手に震える。

 

コイツは普通じゃない。

 

「正面ゲートにサイバーサイコが現れた、既に10人は殺されてる! 至急応援を求む!」

 

隊長格の男が叫ぶ。

 

『了解、すぐさま鎮圧部隊を送り込む。それまで持ち堪えるんだ』

 

その返事は最後まで聞こえなかった。

通信の相手はもうこの世にいない。先ほどまで怒鳴っていた男の身体は、Vの刀によって文字通り真っ二つにされていたからだ。

 

「軍隊って聞いてた割には、歯ごたえがないな」

 

足元に転がる死体を見下ろしながら、Vがぼそりと呟く。

 

『ねえV……私はあなたに“ゲートの前まで来て”って言っただけなのに、どうしてバーゲストと戦ってるわけ?』

 

頭の中にソングバードの呆れた声が響く。

 

「いやあ、つい我慢できなくて」

 

Vは悪びれもなく笑う。

 

『……そう。ならもう何でもいいから、早くドッグタウンに入って』

 

「まあその前に」

 

Vは軽く笑うと、右手に握った日本刀を構え直す。その顔には不安も恐怖もない。あるのはただ獲物を見つけた狩人の笑み。

 

「もうひと狩りしてからにするよ」

 

次の瞬間、Vの姿が掻き消えた。

 

残るバーゲストたちへと、目にも止まらぬ速度で突撃する。接近しては首を、腕を、脚を切り飛ばし飛び散る返り血を浴びるたびに、Vの身体は真っ赤に染まっていった。

 

その光景は、バーゲスト達からすれば、戦闘ではない。虐殺だ。

 

「ダメだ、アイツ早すぎる! 弾が当たらない、いや、当たっても刀で弾き返してきやがる!!」

 

「俺が注意を引く、その隙に殺れ! うおおおおおお!」

 

重装備の男が一歩前に出る、その腕にはバルカン砲。本来なら装甲車に取り付けるべき火器を筋肉とクロームでねじ伏せ、人ひとりで振り回す。

 

溢れんばかりの弾幕が、Vを飲み込もうと押し寄せた。

 

しかし神業というものは、その「人類の限界」をさらに軽々と飛び越えてくる。

 

Vはサンデヴィスタンを起動した。世界が粘りつき、色褪せ、音が遠のく。

時間がまるで水あめのように伸びる。

 

「っと……あったあった」

 

Vはのんびりと辺りを見回すと近くの監視塔を見つけ、壁を蹴ってよじ登る。屋根の縁に足をかけ大きくしゃがみ込み____

 

重装兵目掛けて、一直線に飛び降りた。

 

落下のスピードが乗った刃が、男の首を正確に捉える。火花が散ると同時に、白い人工血液が勢いよく吹き出した。

 

「クッソ……クソがあがああ……!」

 

男は自分がもう助からないことを本能で悟りながらも、最後の意地で拳を握りしめ、Vへと叩き込む。

 

その決死の一撃は、Vのゴリラアームにあっさりと受け止められた。

 

「へえ、根性あるな」

 

感心したように呟くと、Vは空いている方の腕で男の顔面に拳を叩き込む。

鈍い音とともに、男の頭部は文字通り吹き飛んだ。

 

「嘘だろ、今のアイツの動き見えたか!?」

「これは俺たちの手に負えん、撤退だ!」

 

残ったバーゲストたちが、威嚇射撃をしながらじりじりと後退していく。だがその動きはVから見ればカタツムリの行進にしか見えなかった。

 

「くらいやがれ……!」

 

そのうちの1人が、震える手でロケットランチャーを取り出す。

肩に担ぎ、狙いをつけ、引き金に指をかけた______その直後。

 

「いい武器だな」

 

突然、背後から聞こえてきた知らない男の声。バーゲストが振り返るとそこにはVが立っていた。

 

さっきまで自分の周りで牽制射撃をしていた仲間たちは、全員身体がバラバラになって地面に転がっている。

 

「あ……そんな……」

 

その戦闘能力の差はもはや想像の範囲を超えている。完全に格の違いを見せつけられた彼は、戦意を失った。

 

「ちょっと借りるぞ」

 

Vは流れるような動きでランチャーを奪い取ると、そのまま正面のゲートへと構えた。

 

引き金を引く。ロケットは一直線に飛び、硬く閉ざされていたゲートに見事なまでの風穴を穿つ。

 

「じゃあこれ返すから」

 

使い終わったランチャーを、手元に押しつけるように返す。

 

「あっ……あああ……」

 

バーゲストは、もう何も言えなかった。

ただゲートの穴をくぐり、中へと進んでいくVの背中を呆然と見送るだけだった。

 

     

 

『本当にありえない。あんな大騒ぎを起こすなんて!』

 

通信が再びつながり、ソングバードの怒気混じりの声が響く。

 

「でも、これがいちばん早いだろ?」

 

Vはのほほんと答える。ステルスという言葉は、彼の辞書には存在しない。

 

『連中の無線は私がハックしたから、しばらくは増援は来ないはず。とにかく、今度は騒ぎを起こさず“静かに”来てね』

 

「任せろ。俺はプロだからな」

 

『チッ』

 

短い舌打ちとともに、ソングバードは通信を切る。ゲートを抜けた先、そこがドッグタウンだった。

 

まだ数分歩いただけだが、すでに空気が違う。

 

白昼堂々、道端で服を脱ぎ肌を重ねる始めるカップルは周囲の視線などまるで気にしていない。

少し離れた通りでは、ギャング達が銃撃戦を繰り広げている。

 

銃声、悲鳴、笑い声、薬物でラリった叫び。

それら全てを、まるでASMRか何かのように聞き流しながら、行き交う一般市民たち。

 

ナイトシティも十分狂っていたが、ここはそのさらに数段上を行く壊れっぷりだった。

 

「テーマパークに来たみたいでテンション上がるな〜」

 

Vは場違いなほどお気楽な声でそう言い、血の跡がまだ乾ききらないブーツでドッグタウンの路地を踏みしめていく。

 

ドッグタウンでの冒険はまだ、始まったばかりだ。




おまけ : 猫ちゃん

Vの自宅にて

パナム「V〜遊び来ちゃった!」

V「よく来てくれたなパナム!上がってくれ」

猫「ニャ~ォ」

パナム「うっそ…ヤバこれ超かわいいんだけど、この子どうしたの?」

V「拾った」

パナム「ええ、凄くいいじゃん。あっほら見て!アタシの手舐めてくれたよ!」

V「舌がザラザラして気持ちいよな」

パナム「名前はなんていうの?」

V「名前って?」

パナム「普段この子のことなんて呼んでるの?」

V「ネコ」

パナム「いや、だから名前を」

V「ネコって呼んでる」

パナム「……」
   V「……」

猫「ゴロゴロ~」



あとがき

一狩り ☓
人狩り ◯


最初にゲームでゲートの前に来た時、どうすればいいか分からなかったんで取り敢えず敵を切りまくったんですよね。
でも、増援がいっぱい来て3回くらい試したんですが、3回ともゲームがクラッシュしました。

(コレ…ゲームおかしいんじゃないかな…)

と思ってYouTubeで検索したら、コレ…ホントは指定された場所に行くだけで良かったんですね。
おかしいのは私でした。
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