紛れも無く奴に会いたくない   作:ぶーく・ぶくぶく

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暗黒街の友


 

 

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俺は、レオ・ゴルドン……に転生した者だ。

 

この世界はSF――いや、SFを超えた異星文明の世界だ。ライオンの頭を持つ異星人が街を歩き、女性は肌を露わにしたハイレグやボディスーツがデフォルト。全員、セクシーでダイナマイトなスタイルだ。思わず目を奪われるが、俺はそんな世界での騒ぎには関わりたくなかった。特に、あの主人公コブラにはもう関わりたくないと思っていた。

 

ホントだぜ?

 

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マルセ市のセンチュリーホテル804号室、ここに宿泊客が入ったら連絡がくるように手配して随分経つ。

情報を迂回させて、俺だとは気づかれないように、コブラが情報を取ってるように見せかけてある。

 

今日、ついにその日が来た。

 

ドミニク・ロイヤル銀河パトロール中尉が宿泊だ。

あーくそ。関わりたくない。関わりたくない。

 

が、女を見捨てるのは流儀に反する。

 

行くか。

 

俺はマルセ市に急いだ。

 

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センチュリーホテルの8階辺りに人影が浮かんでいる。

海賊ギルドの宇宙元帥サラマンダーが、コブラへの見せしめにドミニクの背中の皮を剥いでるのだろう。

まったく悪趣味なこった。

 

そのまま、ドミニクを投げ捨てるサラマンダー。

 

間に合ってくれよ!

オープンカーを飛ばし、なんとかキャッチしようと俺は飛び出した。

俺は全身で加速するオープンカーの風を感じながら、空中を飛ぶドミニクの姿を目で追った。落下速度は速い。地面に叩きつけられたらひとたまりもない。

「頼む……間に合え!」

 

アクセルを全開にして路面を蹴り出す。車体が軽く跳ね、車輪が砂埃を巻き上げる。視界の端で、8階の外に浮かぶサラマンダーの黒光りする影が一瞬見えた。あの野郎、手加減はしない。間違いなく、ドミニクの命を狙っている。

 

俺の手が自然とシート下のサブマシンガンに伸びる。撃ちたい、だが狙う場所を間違えればドミニクを傷つけてしまう。いや、今は守るだけだ。無理に戦闘を仕掛ける必要はない。

 

オープンカーが屋根の上を跳ね、砂利を蹴散らす。ドミニクの落下点まであと数メートル。タイミングを計る。

 

「よし……!」

 

車の跳躍と同時に、俺は全身で衝撃を受け止め、ドミニクを抱きかかえる。体重と落下の勢いで俺の腰が沈み、全身に衝撃が走る。が、かろうじて二人は無傷。

「……あぶねぇ……」俺は荒い息を吐き、ドミニクをしっかり抱え直す。

 

オープンカーが再び路面に着地した瞬間、サラマンダーが空中で体勢を変え、俺を睨みつける。

「仲間か……」

 

くそ……俺はため息をつき、拳を握る。ここで油断すれば、また誰かが犠牲になる。だが、守るためには冷静さが必要だ。落下速度、距離、障害物の配置――全てを頭の中で計算する。

 

「……行くぞ、ドミニク。安全な場所まで移動する」

 

オープンカーを再加速させながら、俺は頭の中で戦術を組み立てる。サラマンダーの攻撃をかわしつつ、街の裏路地に逃げ込むしかない。そして、この都市の構造は俺にはお手の物だ。

「さあ、無事に……無事に終わらせる」

 

心の中で何度も呟き、俺は都市の陰へと車を滑り込ませる。サラマンダーの魔の手から、ドミニクを守るために――俺は今日も、全力で戦うのだ。

 

背中から、太ももにかけて皮を剥がれたドミニクをはやいとこメディカルマシーンにぶちこまなきゃならん。時間がない。サラマンダーがまだ上空で睨みを利かせてるうちは、油断できん。

 

「……くそ、こいつを生かしたまま安全圏まで運ぶしかねぇ」

 

オープンカーを路地の陰に滑り込ませ、俺はサスペンションの跳ねを利用してスピードを落とさずに曲がりくねる。手に汗握る状況だが、ドミニクの体は抱きかかえたまま、体勢を崩さぬよう必死で支える。血の匂いが車内に満ちる。

 

街灯の明かりが瓦礫に反射し、俺の視界をちらつく。サラマンダーはまだ上空、黒光りのシルエットで追跡してくる。だが、俺は都市の構造を知り尽くしている。裏路地、階段、屋根の連結……全て使えばあの野郎を振り切れる。

 

「……あと少しだ、ドミニク。頼む、耐えてくれ」

 

車体を細かく左右に振りながら、俺はサラマンダーの射線から少しずつ外れる。反射神経が研ぎ澄まされ、視界に入る全ての障害物と人影、瓦礫を瞬時に計算する。ここでミスれば、ドミニクの命も俺の命も一瞬で終わる。

 

やがて、都市の外れの宇宙船発着所が見えてくる。そこには、俺の宇宙船を係留したドックがある。メディカルマシーンは既に起動済み。

「よし、ここまで来れば……」

 

車を安全に停め、ドミニクを抱えたままメディカルマシーンへ押し込む。装置が自動で応急治療を開始し、失われた皮膚組織や出血箇所を瞬時に保護、鎮痛薬を投与して痛みを和らげる。機械音が低く唸り、内部で光が瞬く。

 

「……ふぅ、間に合った」俺は荒い息をつき、後ろを振り返る。サラマンダーの影はもう見えない。都市の建物の間に紛れ、こちらを探しているのだろう。だが、トラップと遮蔽物、そして都市の迷路を使えば、追跡は難しい。

 

俺はドミニクの体に手を添え、装置の光が安定するのを確認する。血の匂いと緊迫の空気がまだ漂うが、とにかく生きている。命が繋がった瞬間、心の奥底でわずかな安堵が湧き上がる。

 

「……ああぁ、コブラの仲間認定されちまったよ……」

 

俺は拳を握り直し、発着場の宇宙船の内部で、サラマンダーの次の動きに備える。戦いはまだ終わっていない――いや、これからが本番だ。

 

コブラに連絡を取りたいが、今は不味い。この発着場にも海賊ギルドの手が回っている。

取り合えず発着場のD247宛に届くコンテナを俺のドックに届くよう細工して、宇宙へ飛び出した。

 

長居しては海賊ギルドの殺し屋がごまんとやってくる。

 

――アバジの町かな。

 

 

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