朝、駅を出て雄英に向かうが騒がしいな。近づくとテレビ局のレポーターやカメラマン、どこかの出版社から記者等が大量に押し寄せ、登校中の生徒にインタビューを行っていた。
「朝から騒々しいな」
「ん」
(そうだね)
「……マスコミか」
「ん」
(通れるかな)
「そこで待っておけ」
「ん」
(乱暴はしちゃダメだよ)
正門に近づくと、記者やレポーターが俺様の前に集まってくる。オールマイトが雄英の教師になったことで、これだけの騒ぎになるとはな。オールマイトの事務所にアポをとり取材すればいいのに……いや断られたからここにいるのか。
「誰の許可を得て、俺様の歩みを妨げているのだ!貴様ら疾く失せよ!」
普段は抑え気味にしてるオーラを全開にし、記者どもに圧をかける。モーセの如く道が開かれ俺様と唯は正門に向かう。
「あ、あの一言だけでも……い、頂けないでしょうか?」
1人の女レポーターが俺様の前を横切りマイクをこちらに向ける。俺様に臆さず自分の仕事を全うする姿勢は評価する。だが、俺様の前を横切った無礼は赦すつもりは無い。
「これは全国に放送されているのか?」
「え?は、はいスタジオに繋がってます」
「……なるほどな」
「ん」
(嫌な予感)
「貴様らは人の迷惑を考えんのか?」
「は?」
「カメラよ、周りを映せ」
「え、えっとぉ」
「2度は言わんぞ」
「は、はい!」
レポーターが向けたマイクを手に取り、カメラマンに周りの状況をスタジオひいては全国に伝える。
「報道の自由を盾に、好き勝手するマスコミが度々話題になっていたな?貴様らに自由があるように、我々にも当然権利というものがある」
この場にいる記者に釘を刺すよう一言一言に力を込める。
「オールマイトが教師として勤務するこの学舎に取材したい気持ちは理解する。ならば正式にアポを取れ!貴様らが押しかけたせいで我々は、登校すら儘ならん!」
「「「「「ッ!?」」」」」
「一応聞くが先程インタビューした生徒の顔は隠したんだろうな?……反応を見るにそれすら怠っているのか?彼奴がヒーロー科だから大丈夫とでも思っていたのか?プライバシーはどうした?」
場の空気が重くなる。この空気でまだカメラを切らん羽虫どもに苛立ちが込み上げる。この状況を利用し視聴率を取ろうとでも思っているのか。
「もうよい……2度は言わんからな。疾く失せよ」
俺様は正門を通り校舎に向かう、何か言いたげだったレポーターが後を追うが、けたたましい音とともに重厚な扉が降りその進路を遮る。
「こんな物があるのか、雄英のセキュリティは流石だなッ!?」
扉に触れ、強固なセキュリティに感心していると体に布が巻かれ勢いよく引っ張られる。転ばぬように足に力を入れ踏みとどまり、後ろを見ると爆笑するプレゼント・マイクと髪を逆立たせこちらを睨みつける相澤がいた。
「マスコミに対して強気な発言大変元気でよろしい」
「相澤か、俺様はただ言いたいことを言ったに過ぎん」
「そうだな、お前はそういう奴だ。だがその発言に対する責任、お前は取れるのか?」
「王に逃げるという選択肢は無い。クレームが来たなら俺様直々に相手をしてやる」
「……はぁ、もういい。言っても聞かないだろうが次は同じことするなよ」
「善処しよう」
相澤から解放され、俺様は唯と別れ自分のクラスに向かう。
「鳳が来たぜ!」
クラスメイトが俺様が教室に来たことに気づくと、一気に沸き立つ。
「お前トレンド1位だぜ!」
「#雄英生ガチ説教、だってよ!」
「流石、鳳だぜ!」
スマホをこちらに向け、盛り上がるクラスメイトを適当にいなして席に着く。しばらくすると相澤が来て盛り上がった空気が一瞬にして静まり返る。
「おはよう、昨日のVと成績を見させてもらった。爆豪は子供っぽいことすんな。実力はあるんだから」
「……わかってる」
「緑谷はまた腕ぶっ壊して終わりか?【個性】の制御できませんじゃ話にならん、それさえ出来ればやれることが増えるんだ……焦れよ」
「は、はい」
相澤は2人に昨日の実戦について話すと、本題に入る。
「今日のHRだが…………学級委員長を決めてもらいます」
「「「「「学校っぽいの来たー!!!」」」」」
先程の静けさが一転し、教室が揺れる。
各々がマニフェストを掲げ立候補するが、クラスのほぼ全員が参加しているため収拾がつかない。
「あんたは興味無さげだね」
俺様は興味が無いので茶番として見ていたが後ろから耳郎に話しかけられる。
「当たり前だろう。この俺様が、たかが一学年の1クラスのリーダーに収まると思うか?最低でも生徒会長でなければ俺様は動かん」
「あんたはブレないね」
そうこうしているうちに飯田が投票で委員長を決めることを提案し、寝袋に入っている相澤に許可が降り採用された。
「投票箱とくじはこちらで作っておいた。集計は俺様が行う。文句は無いな?」
「「「「「準備がよすぎるッ!?」」」」」
「貴様らの茶番がつまらんかったのでな、もう少し続くようなら俺様が進言するつもりだったからな」
数分後、全員が投票したのを確認し集計を始める。
「……なぜ俺様に4票入っているのだ」
結果は俺様が委員長に決まった。
俺様に票を入れた奴に心当たりがあったので、目をやると尾白は露骨に目を逸らし、葉隠は胸を張りやってやった感を出している。
「俺様が委員長になった件は一旦置いておく、次に票の多い緑谷と八百万、じゃんけんでもなんでもいいから副委員長を決めろ」
話し合いにより八百万が副委員長に決まり、残りの委員を午後の時間に決めることなので、HRが終了する。
「面倒を押し付けられたぞ」
「いいじゃないか?ヒーロー科の委員長なりたくてなれるもんじゃないだろ」
食堂にて俺様は目の前の人物に朝の出来事を語っていた。カレーライスを頬張る此奴は普通科に入学した心操人使だ。
「興味ない」
「相変わらずだな」
「……話は変わるが、お前はまだ諦めていないんだろ?」
心操のスプーンを持つ手が止まる。
「あぁ、雄英体育祭……1ヶ月後そこで優秀な成績とってヒーロー科に編入する」
「具体的な策はあるのか?」
「……俺の【個性】なら本戦で活躍できる」
「【個性】頼りでヒーローになれるとでも?」
「それは……」
「そこで提案だ。俺様が直々に稽古をつけてやる」
「は?」
「聞こえなかったか?お前がヒーロー科に編入できるよう手を貸すと言っているんだ」
「そりゃありがたいけど」
「なら今週の日曜日、メッセージに送った住所に来い。時間等は追って連絡する。……お前は自分の【個性】を卑下しているようだが使い手次第だ。良い【個性】も愚者が使えば殺戮の兵器となり、悪い【個性】も善人が使えば誰かを助ける。お前はヒーローになるのだろう、人の【個性】を馬鹿にする愚か者の言葉に耳を貸すな、大事なのはお前がどうするかだ」
『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外に避難してください』
煮え切らない心操に俺様は思ったことをそのまま伝え食堂を後にするが、突如としてサイレンが鳴り響いた。
「あのマスコミ共、俺様の言葉が通じなかったのか?」
窓際の席に座っていた、俺様たちは押し寄せる人の波に巻き込まれずに済んだ。外の状況を確認するとマスコミが、あの重厚な扉を破り雄英の敷地に侵入していた。
「……愚か者にチャンスを与えたのが間違いか。やはりあの場で見せしめとしてカメラを壊すべきだったか」
「おいヒーロー科」
「自己紹介か?まだ気が早いだろう」
「お前に言ったんだよ」
比較的落ち着いている俺様たちは、事態が収まるのを待っていたが、食堂の上空を勢いよく何かが飛んで行った。
「大丈ー夫!!!」
事態を察した飯田が食堂入口に張り付き大声で事態の説明し生徒たちを落ち着かせる。
「……嬉しそうだな」
「そう見えるか?……そうだな、面倒を押し付ける理由ができた」
「……暴君」
「聞こえているぞ」
「それでは残りの委員会決めを行うが俺様から1つ提案がある」
朝のHRで委員長となった俺様が進行を務める委員決めだが、この期を逃すとチャンスは無いので昼休憩に決めたことを伝える。
「俺様は委員長を降りる。代わりは飯田、お前だ」
「ええ!」
「いいのかよ!」
「最初から委員長に興味は無い。ならやる気がある奴に任せる方がクラスのためだ」
「昼休みの飯田凄かったよな」
「非常口の標識みてーだったもんな」
俺様の言葉に賛同する意見が出始めたので、無理矢理にでも飯田に任せる。
「本当にいいのか?鳳くん?」
「好きにしろ。クラスのために励め」
俺様の最後の一押しで、飯田が委員長になることが決まった。八百万は立場がどうとか言っていたが無視する。
「……」
それにしても、昼休憩の一件本当にマスコミだけで起きたのだろうか。裏で手引きした奴がいるのではないか。違和感の多い事件に疑問は尽きないが、悩んでいるだけでは結論も出ないので、一先ずは置いておくことにするのだった。
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