キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第12話

「王の庭を荒らしたのだ……覚悟は出来ているな」

 

「痛ぇな……資格もないガキがこんなことしていいのかよ」

 

「貴様こそ、俺様の担任とクラスメイトをこんな目に遭わせてよく言えるな」

 

 火災ゾーンから相澤が大男によって大怪我を負わされたのを目にし、全速力で敵共に突っ込んだ。

 普通なら行動不能になるはずだが、あの大男がぶつかる寸前で壁になったからか、手だらけの男は目立つような傷はない。

 

「王に対する不敬の数々、残りの一生をかけて償ってもらうぞ」

 

「王様気取りかよ……厨二め」

 

「いい歳してこんなことをする貴様には負けるさ」

 

「殺せ脳無」

 

 軽口を叩きあった俺様たちだが、相手の沸点が低いのかキャッチボールは続かず殺意を増して大男に命令する。

 

「や……やめろ!鳳!」

 

「勝算があるからここにいる。後で罰は受けよう……今は休め相澤」

 

 脳無と呼ばれた大男の拳を変化した翼で受け止め、俺様が戦うことに良しとしない相澤が叫ぶ。だが、全身を痛めつけられボロボロになった体で俺様を止めることも出来ない。

 俺様の炎で重傷を負った顔と腕を焼き再生させる。

 

「緑谷!蛙吹!峰田!相澤を任せた!」

 

「何やってる脳無!そいつをはやく殺せ!」

 

「喧しいな」

 

「ぐぁッ!?」

 

 手だらけの男はまだ冷静さを取り戻せていないのか。癇癪を起こしたように喚く。

 脳無の拳を受け止めた際に飛び散った羽を飛ばし、手だらけの男の太腿を貫いた。痛みで蹲る男の両手足を羽で貫き地面に固定する。

 

「死柄木弔!」

 

「次はお前だ」

 

 後方で控えていたモヤが、死柄木(手だらけの男)を助けに動き出すが遅い。変化を解いた腕で脳無の拳を掴みその力を利用しモヤに飛びつく。転移前にモヤに隠れた此奴の本体がどこにあるかはわかっているのでそこを中心に炎で焼く。

 

「ゔぅ……」

 

「黒霧ぃ!」

 

「さて、残るはお前だな」

 

 脳無の前に立ち俺様は入口に続く階段を見る。緑谷たちはまだ時間がかかるな。

 

「脳無!階段に向かってるガキ共を殺せ!」

 

 命令により脳無は恐ろしいスピードで緑谷たちを襲いかかるが、その拳が当たることは無い。

 

 “火鳥・棍弩朧”

 

 拳を蹴りで受け、広場に吹き飛ばす。強化された俺様の身体能力だけでは脳無の相手は厳しいようだ。

 

「腕を壊すつもりで蹴ったはずだが……そういう【個性】か」

 

「そうさ!その脳無は対オールマイト用に用意した!ショック吸収、超再生に加えてオールマイト並の超パワーを持ってる!お前なんて簡単に殺せるんだ!!」

 

「よく喋るな……そんなに玩具の自慢がしたいのか?」

 

「うるっせぇ!!殺せ脳無!!!」

 

「口を開けば殺せばかり……芸がないな」

 

 背後から迫り来る拳の乱打を気配だけで回避していく。確かに力押しだけでは脳無は止められない。

 

「少し手荒に行くぞ」

 

 “火鳥・黒爪(ヒート・クロウ)

 

 変化した足の爪で脳無の体を引き裂く。深く抉ったが痛みで動きが止まることはなく、俺様の足をつかみ地面に叩きつけようとする。

 

「王に気安く触れるな痴れ者が」

 

 もう片方の足の爪で腕を切り落とす。先程と同じように反応は無いが一瞬で傷口から筋肉が盛り上がり再生する。

 

「ムダなんだよ!お前じゃ脳無は倒せない」

 

「だが貴様らも俺様を倒せん」

 

 あまりやりたくないが、この状況で躊躇するのは愚か者のすること。爪に炎を纏わせ、脳無切り裂く。

 

「ムダムダムダ!脳無に効かねぇってなんど言や気がすむんだ!」

 

「元気そうだな。流石は社会の嫌われ者……生命力は段違いだな」

 

「誰がゴキブリだ!」

 

「自覚があるのか」

 

「殺せぇ!!!」

 

 激昂した死柄木だったが、脳無の動きは先程よりも遅くなっていた。

 それもそのはずだ。足や関節を重点的に切り裂き炎で再生を阻害したのだ。いくら痛覚がなくても体は無事ではない。

 

「ふざけんな!チートが!」

 

「チーターはそっちだろう。俺様は地道にレベルアップしスキルを強化したにすぎん」

 

「なんでこうなるんだよ!」

 

「し、死柄……木弔……こ、こは逃げましょ……う」

 

「逃がすと思うか?」

 

「脳無!」

 

 脳無を俺様をその巨体で押さえつける。焼いても力は一切緩まず、その隙に黒霧のモヤは広がっていく。

 

「次は絶対に殺ッ

「くたばれ!!!」……ッが!?」

 

 モヤに呑まれていく死柄木を、敵を退け合流した爆豪が爆破する。さらに俺様を抑えていた脳無が突如凍る。

 

「轟か」

 

「敵から話は聞いた」

 

「慢心してんじゃねぇーよエセキング!」

 

「だぁー!出遅れちまった!」

 

 爆豪、轟に続いて切島も敵を退けてこちらに来たみたいだ。俺様たちの目の前には爆破でモヤから弾き出された死柄木がいる。

 

「クソ!黒霧!アイツら持ってこい!」

 

「ですがこちらの脳無に比べて性能は劣りますよ」

 

「レベル1の雑魚よりマシだ!早くしろ!」

 

「……わかりました」

 

 黒霧は死柄木の命令でモヤから白い脳無を複数出す。

 

「あの脳無という奴は、【個性】を複数持ち、改造により力も上昇している。黒いのは特に警戒しろ!」

 

「お前が仕切んな!」

 

「爆豪落ち着けって、情報共有だ」

 

「うるせぇ」

 

 俺様たちと脳無が激突する。遠距離攻撃をするため後ろに下がった俺様は気づいた。死柄木たちは怒りに任せて此奴らを出したのではないことに。

 

「待て!」

 

 脳無という駒を捨て逃げたのだ。爆豪も爆破で追いかけるが脳無に遮られる。

 

「邪魔だ」

 

 “火鳥・素腕”

 

 翼で脳無の四肢を切り落とし、炎で傷口を塞ぐ。そのままの勢いで黒霧に攻撃を仕掛けるが1歩遅かった。

 

「次は殺す」

 

 憎悪に満ちた瞳をこちらに向け傷だらけの体をモヤが呑み込んだ。1秒も満たないうちにモヤは消え、広場には無数の脳無と気を失った敵たちが残った。

 

「もう大丈夫、私が来た!」

 

 静寂を破るように、オールマイトがこの演習場に到着したが、冷静に状況を確認するうちに圧倒的なオーラが弱々しくなっていく。

 

「もう雑魚しかいない。オールマイト、助けてやれ」

 

「あ、はい」

 

 状況を理解し固まっていたオールマイトにまだ敵がいることを伝え、この場にいないクラスメイトの保護を頼む。流石はオールマイトと言うべきか1分も経たないうちに演習場内を駆け回り、散り散りになったクラスメイトを広場に集めてきた。まだ残っていた雑魚も一瞬で倒されたのだろう。

 

「ごめんよ皆、すぐ動ける者をかき集めてきた。1年A組クラス委員長飯田天哉!!ただいま戻りま……した」

 

 数分後、飯田が教師陣を連れて演習場に来たが、オールマイトと同じで既に終わった状況をみて顔が赤くなっていく。

 

「お前ら、今すぐ入口に集まれ!点呼をとる!」

 

「相澤先生、怪我は大丈夫なんですか?」

 

「あぁ、鳳のおかげでなんともない……ドライアイも改善されたかもな」

 

 ここからはスムーズに進んだ。復活した相澤により俺様たちはプロヒーローに守られながら校舎に戻り、警察の事情聴取を受けた。

 終わる頃には、日も沈んでいたが各々の帰宅にも教師がつき問題なく帰宅できた。

 


 

「痛ぇ……話が違うぞ先生!あんなガキがいるなんて聞いてないぞ!!」

 

 薄暗いバーの床に倒れ込んだ俺はモニターに向かって叫ぶ。

 

『間違っちゃいないさ。ただ見通しが甘かっただけさ』

 

敵連合(ヴィランれんごう)なんちうチープな団体名でよかったわい。……ところでワシと先生の共作の脳無はどうした?』

 

「それが全てとある生徒から逃げるために捨て駒に」

 

「ガキ……あのガキだ!アイツさせいなけりゃガキ共は殺せたんだ!オールマイトも殺せたんだ!」

 

 俺を痛めつけ、散々煽ってきたガキの顔が脳裏に浮かび怒りが込み上げてくる。

 

『それほどまでに強かったのかい?』

 

「我々が用意した敵を一瞬で無力化し、脳無と戦い傷一つ負っていませんでした。また重傷を負ったプロヒーローを回復していました」

 

『へぇ……それは興味深いね』

 

『弔……悔やんでも仕方ない!今回だって決して無駄ではなかったハズだ。精鋭を集めよう!じっくり時間をかけて!我々は自由に動けない!だから君のような“シンボル”が必要なんだ。死柄木弔!!次こそ君という恐怖を世に知らしめろ!』

 

 先生の言葉に頭が冷えていくのがわかる。あの男は必ず殺す。そのためにこの憎悪は忘れない。

 


 

 翌日は臨時休校となった。

 休み明け、俺様たちは誰も欠けることなく教室にいた。

 

「あんなことがあったが、安心するのはまだ早い。なんせ戦いはまだ終わってない!」

 

 不安を煽るように相澤は話す。

 

「雄英体育祭が迫ってる」

 

 一難去ってまた一難、俺様たちの苦難はまだ続くようだ。

劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。

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