人によってはネタバレと感じるかもしれないので読む際はご注意ください。
俺様たちは親父から借りた自宅に、新しく地下に造られたトレーニングルームで特訓していた。
「心操!もっと腰を入れろ!その程度の拳で俺様が怯むと思うな!」
「わかってる」
「俺様はまだ【個性】を使っていないぞ!体育祭まで時間がないんだ!このままだと次に進めないぞ!」
「ん」
(張り切ってるね)
「あぁ、先の戦いで思うところがあったからな」
「詳しくは教えてくれないんだろ」
「そうだ。警察と担任から箝口令が敷かれている」
「ん」
(でも無事でよかった)
「……そうだな」
「ん?」
(大丈夫?)
「あぁ、俺様を誰だと思っている。それよりも特訓を続けるぞ」
「ん」
「おう」
俺様たちがなぜ特訓をしているのか、それは数日前に遡る。
敵連合による雄英襲撃から2日後、俺様たちは朝のHRを待っていた。
幸いと言うべきか、あの事件で怪我を負ったのは緑谷だけで、それ以外は皆かすり傷程度の軽いものだった。
あの場にいた相澤と13号は俺様たちを守るため重傷を負った。相澤は【個性】に後遺症が残る可能性があり、13号は女性だったので傷跡が残らないように注意して再生させた。
「お早う」
「「「「「先生!」」」」」
「怪我は大丈夫なんですね!」
「あの後、医者に診てもらったが俺も13号も異常なしだ」
「よかった」
「俺の安否はどうでもいい、何より戦いはまだ終わってねぇ」
相澤はまた不安を煽るように話し始める。
「戦い?」
「まさか……」
「また敵が!?」
クラスメイトは各々リアクションをとる。戦いと聞いてワクワクするもの、合理的嘘と怪しむもの、敵がまだいるのかと怯えるもの。そんな皆の反応を無視して相澤は口を開く。
「 雄英体育祭が迫っている」
「クソ学校っぽいの来たあぁぁ!!」
雄英体育祭、ここに知らぬ者はいない。雄英高校の中でも特に人気の行事だ。
「待って待って!敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す……って考えらしい。警備は例年の5倍に強化するそうだ。何より雄英の体育祭は最大のチャンス。ヴィランごときで中止していい催しじゃねぇ」
やはり先の戦いのこともあり不安に思う者もいるのだろう。
「いや、そこは中止しよう……?体育の祭りだよ……?」
「え?峰田くん体育祭見たことないの……?」
「あるに決まってんだろ!そういう事じゃなくてよ」
「ウチの体育祭は日本のビッグイベントのひとつ。かつてのオリンピックにとって変わったイベントな訳だ」
「俺様が最も注目される1日なるだろうな」
「鳳も気合入ってるな」
「当たり前だろう。全国のトップヒーローだって見るんだ、スカウト目的でな」
【個性】が発現した現代では、かつてのスポーツはその人気を失っていた。空を飛ぶ【個性】獣に変身する【個性】力が強くなる【個性】挙げればキリがない程に【個性】は存在し、年々複雑になっていく。そんな世の中でルールに則り点を稼ぐスポーツが目立てるのか、多少はプレイングなどで魅せることはできるだろうだが、敵を倒すヒーローの方が圧倒的に注目を集めてしまう。
俺様も王になるために色々なスポーツに挑戦したが、同年代はほぼおらず、趣味でやり込んでいる大人とばかり試合していた。
「当然、名のあるとこに入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに認められれば、道が大きく開ける訳だ。年1回。計3回だけのチャンス。ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ」
言外に準備は怠るなと相澤は伝えHRは終了した。
「うおおお……何ごとだあ!!!?」
放課後、俺様は昼休憩に許可を取ったので体育館に向かおうとしたのだが、教室の前にたくさんの生徒が集まっていた。
大方、敵に襲われ無事に生還した俺様たちに興味を持ちここに来たのだろう。
「出れねぇ」
「なにしに来たんだ?」
「敵情視察だろザコ」
爆豪は意に介さず、生徒たちの前に立つ。
「敵の襲撃に耐え抜いた連中だもんな体育祭の前に見ときたいんだろう。……意味ねえから退け。モブ共」
空気が凍りつく、その静寂を破ったのは俺様の知る人物だった。
「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
「あぁ?」
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ」
心操人使だ。
「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴、結構いるんだ。知ってた?体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科への編入を考えてくれるらしいよ」
「敵情視察?少なくとも俺は宣戦布告に来たつもりだ」
まっすぐ俺様たちを見る心操。自分を追い込むその姿勢に俺様は高笑いする。
「フハハハハハ!!よく言った!その挑戦、王である俺様が受けてやる」
「お、鳳?」
「ここにいる貴様らも同じなのだろう?なら宣言しよう!」
扉の前にいた爆豪を押しのけ、生徒の前に立ち全員に聞こえるよう高らかに叫ぶ。
「俺様がNo.1だ!!」
「貴様らは
「かかってこい!!!」
俺様のオーラにあてられ座り込む者、恐怖を感じ腰を抜かす者大半の生徒は動くことすら出来なかった。だが心操を含めた何人かは俺様をまっすぐ見ていた。
「では俺様はもう行く。貴様らも他の者の迷惑にならんよう疾く失せよ」
言いたいことは言ったので俺様は教室を出る。クラスメイトはなにか言おうとしていたが、興味もないので体育館の方に向かう。
「あんな宣言して大丈夫なのか?」
「ん」
(私のクラスにも聞こえてたよ)
「王の言葉だ。聞くことができた貴様らは運がいい」
「ブレないな」
「ん」
(それが火鳥のいいところ)
「ごめん……さっきから何言ってるか全然わかんない」
「そうか?俺様は理解できるぞ」
「年季が違うだろ」
「褒めるな照れるだろ。……お前も直にわかるさ」
「そういうもんか?」
「ん」
(これから慣れていけばいいよ)
「さて休憩も終わりだ。心操、お前の特訓だがレベルを上げる」
「次はなんだ」
首を傾げる心操に俺様は試練を課す。
「【個性】ありで俺様と唯と組手をしてもらう」
「ん」
(よろしくね)
「先に言っておくが、唯は強いぞ」
「は?」
心操が地獄を見たのは語るまでもない。
なんせ俺様が初めて戦い方を教えたんだ、もう3年にもなるのか。受験のために俺様に教えを乞う姿を思い出す。
「そういえば言ってなかったな、体育祭まで俺様は放課後に残って体育館で特訓する。お前も参加していいぞ」
「いや、体育祭までは今日だけでいい。残りの日は自分なりに鍛えようと思う」
「遠慮か?」
「意地だ」
「よい……決勝で戦うのが楽しみだ」
数週間はあっという間に過ぎ、俺様の晴れ舞台となる雄英体育祭が遂に開幕するのだった。
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