「前から思っていたが、貴様は【個性】の使い方がおかしいな」
「えぇ!?」
鳳くんが主導のもと始まった。雄英体育祭に向けてのトレーニング中。僕は鳳くんに【個性】について指摘されていた。
「えっと……どこがおかしいか聞いてもいい?」
「どこもなにも、全部だ」
「ぜ、全部!?」
「そうだ。お前の【個性】の使い方は、俺様のイメージだと、家電のスイッチのONとOFFを一々切り替えて、一部のパーツにしか電気を与えていない」
「スイッチの切り替え……一部のパーツ……」
「戦闘は2手目3手目と続いていく。このままだと対応できんぞ」
鳳くんの言葉からずっと曇っていた何かが晴れ光が見えてくる。
「俺様の場合、変身したら鳥になるからな。攻撃の手数が減る。故に一部にしか【個性】を使ってないんだ。だが、単純な強化のお前は違うだろう」
「なるほど……」
「参考までに聞くが、普段お前はどんなイメージで【個性】を使っているんだ」
「レンジで温めた卵が爆発しないイメージ」
僕のイメージを聞いた鳳くんは呆れるような溜息をつき、頭を抱える。
「……緑谷この際だからはっきり言うぞ」
数秒程考えていた鳳くんが口を開く。
「そのイメージを捨てろ。ゴミだ」
「ゴミッ!?」
「一応聞くが、どれくらいのwで何分温めたら爆発するのか理解しているのか?」
「え!?」
「わからんのに、そのイメージで上手くできるわけないだろう」
「うっ」
「もっと分かりやすいものはないのか?……例えばグラスに水が溢れないようにするなど、他にあるだろう」
「……水が溢れないように……そうか、最初からそのイメージで良かったんだ!変に考える必要はなかったんだ!それに、一部じゃなくて全体に力を流せば!」
「ワン・フォー・オール!5%常時解放」
稲妻が全身を駆け巡り、体が壊れないギリギリを維持してワンフォーオールを全身に発動する。
「これなら2手目以降も遅れは取らない!」
「おもしろい……俺様が手合わせしてやる。それを体育祭までにものにしてみせろ!」
「うん!」
「鳳くん!ありがとう!」
フルカウルと名付けた、新技を発動した僕は、冷気による妨害でトップになった轟くんを追いかける。
「緑谷マジか!?」
「骨折卒業かよ」
『さーて実況していくぜ!解説アーユーレディ!?イレイザー!』
『無理やり呼んだんだろが』
『早速、A組の轟が大胆に妨害をしかける!だが、流石は同じクラス!読まれてたみてぇだぜ!』
「甘いわ、轟さん!」
「そう上手くはいかせねぇよ、半分野郎!!」
僕を含めたA組の皆が細いスタートラインを抜けて轟くんを追いかけてくる。
『ん?どーした鳳ぃ!!微動だにせず!!もうレースは始まってるぜ!!』
こういう時、真っ先に前に出るはずの鳳くんの姿が見当たらなかった。実況をするプレゼント・マイク先生も驚いてる。
「鳳くんはどうして?」
『OK!今、主審のミッドナイトに繋ぐぜ』
『鳳くん、レースに参加しないの』
『無論、参加する。だが初めから勝敗が決まったレースなど面白くないだろう』
「……」
『よって俺様はこのレースで、誰かが最後の障害物を突破した瞬間にスタートする』
鳳くんの声が会場全体に聞こえる。舐められてる、僕たちの気持ちがひとつになった気がする。視線を逸らすとかっちゃんが恐ろしい形相でキレていた。
「舐めやがって!!あのエセキング!!」
「かっちゃん……」
『その方が盛り上がるだろう。……お前たちもここで終わりなんて面白くないだろ』
マイク越しにボゥっと音がするとスタートラインから大量の人がなだれ込んでくる。轟くんの氷を鳳くんが溶かしたんだ。
『王として慈悲をくれてやったんだ。感謝するがよい』
『主審ミッドナイトは、挑発とも取れるこの強気発言をどうするのか』
『……ルールに則ってはいるので鳳くんの行動は認めます』
渋々といった感じでミッドナイト先生は判断を下した。同時に僕らも負けることが出来ない理由がひとつ増えた。
(((((鳳に勝つ!!!)))))
鳳くんは誤解されがちだけど、冗談であんなことを言う人じゃない。だからこれは本気だ。さっきの宣誓で宣言した通り1位を獲りにくる。そのために、宣誓も強気なハンデも全部、僕らに最高のパフォーマンスを発揮させるため、そして自分を追い込むためだ。いつも高慢な態度をとっているけど実力は本物、そんな彼に勝ちたい。
そう心1つにした僕たちは走る速度を増す。
「負けるもんか」
僕はかっちゃんの動きを取り入れ、小刻みに跳ねて速度を上げながら前に進む。
『ややアクシデントはあったが、レースは進んでいくぜ!』
「轟ぃ!オメーの裏をかいてやったぜ」
僕の横を【個性】のモギモギで跳躍しながら飛び出す峰田くん。
「くらえ!オイラの必さッ!?
モギモギを轟に投げつけようとした峰田だったけど、横から現れたなにかに吹っ飛ばされる。
「これって……入試の時の!?」
僕たちの目の前には入試の際に戦った仮想敵が大量に配置されていた。
『さーてこれが第1の関門!!ロボ・インフェルノ!!』
「クソ親父が見てるんだ……もっと骨のあるやつ連れてきて欲しかったよ」
先頭を走る轟くんが、0p敵を凍らせる。そのまままっすぐ走り去る轟くんの後を追うように他の生徒が走っていく。
「まずい!?」
轟くんが開けた隙間を走る皆だったが、0p敵は大きく揺れて地面に倒れ込む。
轟くんはわざと不安定な体勢で凍らせていたようで、敵の突破と僕たちの妨害を同時に行っていた。
「5%デトロイトスマッシュ!!」
僕も近くにいた小型の仮想敵を破壊し前に出る。その時、壊れたロボの残骸が目に入る。
「……これ使えるかも」
もしかしたらと思い、切れた配線を体に結びつけてロボ・インフェルノを突破する。
第2関門の前に着くと、僕は目の前の光景に足を止める。
『第二関門!落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!ザ・フォール!!』
『今回は飛行可能な【個性】を持った奴いるので特別に対空ミサイルも設置したぜ』
『当たったら死ぬだろ』
『大丈ー夫!バカでけぇ音だけでダメージはほぼねーよ!!』
そこは無数の足場と足場の間に深い穴がいくつもあるエリアだった。
足場と足場にはロープが張られており、先に進んでいた轟くんは、ロープを凍らせながら、冷気で推進力を上げて難なく渡っていた。
「クソが」
かっちゃんは爆破で滑空し足場から足場へと移動するが、プレゼント・マイクの話した対空ミサイルに邪魔されて思うように進めていなかった。
「ある程度の高さを超えるとセンサーが反応するのか……だったら」
僕はロープを一気に走り抜ける、バランスを崩しそうになりながらも、なんとか上位をキープして次に進めた。
『最終関門は一面地雷原!!怒りのアフガンだ!!!地雷の位置はよく見りゃわかる!!目と足酷使しろ!ちなみに地雷!威力こそは大したことねえが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!』
『人に依るだろ』
僕は足を止めてしまう。
大量の地雷が設置されたこのエリアじゃワンフォーオールで強化しても意味が無いからだ。
「こんなもん律儀に走ってられるか、1位になるんだ」
『言うの忘れてたけどここにもミサイルはあるぜ』
地雷を回避するために爆破で突き進んでいたかっちゃんだったが、轟くんが未だ先頭にいることに加えて、第2関門での妨害でストレスが溜まり、視野が狭くなったのかミサイルに当たって地面に転がる。そして追撃するかのように地雷が連鎖して爆発し、更に飛ばされる。
トップの轟くんも、後続に道を作ることになるからか、地雷を確認しながら走っている。
「どうする、轟くんと同じようにしてたら残りの距離で僕が勝つ可能性は低いぞ」
僕が攻略に悩んでいる間に第2関門を突破した他の生徒が次々に地雷ゾーンに挑戦していく。
「……そうだ!僕にはこれがある」
かっちゃんには悪いけどさっきのを参考にさせてもらう事にする。
僕は持ってきたロボの残骸で地雷を掘り起こし、少し山ができるまで集める。
「緑谷?なにしてんの?」
疑問に思ったクラスメイトが聞いてくるが、返している暇はない。
「よし!行くぞ!」
残骸を腹に当て、地雷の山に勢いよくダイブする。
「大爆速ターボ!!」
BOOOOOM
大量の地雷が一気に爆発して、その衝撃で僕を前に押し飛ばす。先頭の轟くんと、爆発をものともせずに突っ切るかっちゃんの超えゆっくりと落ちていく。
「デク!?」
「緑谷!?」
僕の姿を捉えた二人が【個性】を使って一気に距離を縮めてくる。僕は体を捻って残骸を地面に叩きつけ、更に前に出る。二人は爆発をもろに受け僅かに足を止めてしまう。
「ここからが本当の勝負だ!鳳くん!!」
先頭に出た僕が地雷ゾーンを突破して会場までの直線に入る。ワンフォーオールで強化した体を全力で動かし1秒でも長く距離を稼ぐ。
「僕が1位だ!
FWOOSH
突風が吹き、僕の横をなにかが通り過ぎる。
遅れて
僕らは勝てなかった。
『初戦から大波乱だったが今一番にスタジアムに還ってきたその男……緑谷ッじゃない!?』
僕の視線の先には彼がいた。
『マジかよ!たった一瞬で残ったロボとミサイルを全て破壊して!あれだけの差を簡単に超えちまった!!』
『1位は鳳火鳥だ!!!』
劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。
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やってくれ必要だろう
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本編だけで大丈夫
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どちらでもいいよ