『さーて次の試合に行くぜ!』
『B組からの刺客!可愛い顔に騙されるな!ヒーロー科B組小大唯!!』
『対するは、硬い拳に熱い心!漢気インファイター!ヒーロー科A組切島鋭児郎!!』
「間に合ったか」
「鳳くん遅かったね……なんか濡れてない!?」
「まさかトラブルでもあったのか!?」
「暑かったのでな、少し水を浴びただけだ。気にするな」
「そ、そうなんだ」
「風邪をひかないようちゃんとタオルで拭くんだ」
俺様は、席に戻ると唯の試合が始まる直後だった。
戻ってきた俺様を見て、緑谷と飯田は驚いていたがどうでもいい。
「俺様のことなどどうでもいい、それより試合が始まるぞ」
『スタート!!!』
「鳳くんと小大さんって仲良いよね」
試合が始まり俺様は唯の活躍を見ていると、緑谷が話しかける。俺様は視線はスタジアムに向けたまま口を開く。
「そうだな、いわゆる幼なじみというやつだ」
「そうなんだ」
「……鳳くんから見てこの試合どっちが勝つと思う?」
「唯だ」
「即答だね」
「俺様が鍛えたんだ、当然だろう」
切島に臆することなく攻めに行く唯を見て、中学生の頃を思い出す。
当時の俺様はヒーローに興味はなく、己を鍛えることに青春を消費していた。
そんなある日、平和だった地元で敵犯罪が起きた。強くは無いが面倒な【個性】を持った敵はヒーローを行動不能にし金を奪い逃走していた。そこにたまたま鍛錬の時間を奪われ虫の居所が悪かった俺様とぶつかり不敬にも暴言を吐いたので、【個性】を使用せず身の程をわからせ、事件は無事解決した。
その翌日だった、唯は俺様に頭を下げ強くして欲しいと頼みに来たのだ。無下にするのも忍びなく俺様の鍛錬についてこれるように鍛えた。
「え!鳳ってあの子と幼なじみなの!?」
「鳳ィ!!お前幼なじみいたのか!!」
緑谷との会話が聞こえたのか、恋愛センサーが反応した芦戸は席から身を乗り出し、峰田は俺様に幼なじみがいるとわかり嫉妬で血涙を出す。
「喧しい。試合の邪魔だ」
「それで逃げられるとでも思ってんのか!!」
「あ゙?」
「なんでもないです」
「芦戸もだ……ただの幼なじみだ、それ以上も以下もない」
「ちぇーせっかく恋バナできると思ったのに」
「俺様の恋バナに需要などあるか」
邪魔が入ったが、スタジアムに視線を戻す。
「……最後に聞いてもいい?」
「構わん」
「鳳くんから見て小大さんはどのくらい強い?」
「少なくとも……同学年の女子の中じゃ1番だろうな」
『スタート!!!』
「あ〜小大……俺の【個性】じゃ手加減できねぇ……できれば降参して欲しんだけど」
「んん」
(優しいね、でも降参はしないよ)
私は切島の提案に首を振り、ファイティングポーズをとる。
切島の【個性】は対人向き近接じゃあちらに分がある、でも私が勝負を降りる理由にはならない。
「……あんまり気乗りしねぇけど、やるからには勝ちに行くぞ」
切島が【個性】を発動し、腕が変化する。それを合図に私は姿勢を低くしながら接近戦を仕掛ける。
「ん!」
『小大!いきなり真正面から突っ込んだ!!切島相手じゃマズくねぇか!!?』
「ん!」
「マジか!」
『躱した!小大!意外と動けるなぁ!?』
私は最小限の動きで切島の拳を回避して、体操服の上下に
一度距離を取り、いつでも【個性】が発動できるよう隙を伺う。
「今なにしたんだ?」
「ん」
(ひみつ)
「やっぱわかんねぇ」
「ん」
(火鳥はすぐ理解してくれたよ)
切島の反応を伺いながら、また懐に潜り込む。真の狙いを気づかせないように攻め続ける。
火鳥に教えて貰ったことを自分なりに活かしていく。
「あっぶね」
私の蹴りが切島の脇腹に当たるが、【硬化】した体ではダメージにならない。
それでもいい、ひたすら攻撃を当ててストレスを与えていく。思うように動くなくて痺れを切らした時が、私の勝利だ。
『小大!見かけによらず連続アタックで攻めていく!!切島は【個性】で防御!しかし攻めあぐねているぞ!』
「クソ……全然当たんねぇ!?」
切島は近接戦が得意なんだろう、でも私は君より早い拳を知っている、君より強い人を知っている。だから私は君に勝てる。
切島の攻撃を回避しながら、スタジアムの端に誘導し始める。
「あ!?」
『おっと!?小大がバランスを崩した!切島チャンス到来だ!!』
「今だ!」
わざとバランスを崩すフリをして、切島の隙を作り私は【個性】を発動する。
「矮小化」
「ウッ!!!?」
拳を放つ体勢のまま切島が動かなくなる。
それもそうだろう、私が体操服の大きさを操作して、身動きができなくなるまで縮めたからだ。
『切島どーした!?折角のチャンスが水の泡だ!!』
「ん」
(動ける?)
「なん……のこれし、き」
切島の体操服からビリビリと音が鳴り、徐々に亀裂ができる。
私の作戦じゃこのまま場外に落とすだったけど、切島の力を少し甘く見ていた。
「巨大化……からの矮小化」
あまりやりたくなかったけど、体操服の下のみ元の大きさより一回り大きくして、一気に縮める。
「マジか!?……ってあれ?」
切島も私がしようとしたことが理解できたようで、身構えるがいくら待っても痛みは来ない。それもそのはず、だって最初から
私のフェイントで大きな隙ができた切島に突進し、全身で場外に押し込む。
「切島くん場外!小大さん二回戦進出!!」
『一回戦第七試合!個性を活かしてテクニカルに攻めた!小大が二回戦進出だ!!』
観客席から拍手が送られる中、私はA組の席に視線を向ける。A組の席の一番前で私を見ている人物と目が合う。
(勝ったよ)
口パクで幼なじみの火鳥に話しかける。火鳥は普段の仏頂面を少し緩めて、微かに笑って喜んでくれた。
「ん!」
私は視線を戻し、A組に勝ったことで狂喜乱舞している
「おい!鳳ィ!!今お前の幼なじみが手を振ってたよなぁ!!!」
試合が終わり、黙っていた峰田がまた騒ぎだす。原因は試合に勝利した唯が俺様に向けてアピールしたからだろう。
峰田は嫉妬で怒り、俺様の肩を激しく揺らす。別に痛くもないが鬱陶しいのでもう一度黙らせる。
「……次は爆豪だな」
「うん……」
「……試合が始まってから姿が見えんとは思っていたが、麗日のところに行ってきたのだろう」
「うん」
「お前が考えた秘策をいらないと返されたんだろうな」
「えっ!なんでわかったの!?」
「爆豪のことはお前が一番知ってるんだ。そして麗日と仲のいいお前ならそうすると思っただけだ」
「あたりだよ」
「麗日を信じろ……彼奴も無策で爆豪を相手にするような馬鹿ではない」
スタジアムに目をやると、麗日と爆豪が向かい合い、試合の開始を待っていた。
「信じてやれ」
「うん」
『一回戦最終試合!!スタート!!!』
麗日と爆豪の戦いが始まる。
劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。
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やってくれ必要だろう
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どちらでもいいよ