キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第23話

()()でかかって来い!!」

 

 壊れた右手を握りしめ、緑谷は轟に叫ぶ。この体育祭に参加するクラスメイト、他クラス、他科の生徒たちが全力を出している。なのに轟はそうじゃない、まるで発破をかけるように緑谷は叫ぶ。

 

「お前は()()を望むか」

 

「え?」

 

「こちらの話だ」

 

 俺様は緑谷と試合前にした会話を思い出す。

 緑谷は轟の全力を出させようとしている。過去に縛られ本当の思いを忘れた轟を救うために。

 

「お人好しもここまでくると狂気だな」

 

 緑谷の度の越えた善性、自身を勘定に入れない在り方に俺様は久しぶりに恐怖を感じる。

 

「10%デトロイトスマッシュ」

 

 試合は緑谷の叫びに反応し怒った轟が接近するが、()()から懐に入られ手痛い一撃をもらうことになる。

 

『モロだ!生々しいの入った!!』

 

「やりやがった!」

 

「どう見ても緑谷がボロボロなのに」

 

「ここで攻勢にでるなんて!」

 

 緑谷の拳が突き刺さり、腹を抑える轟。

 ……俺様はこの場を離れようと席を立つ。

 

「鳳くん!どこに行くつもりだい!?」

 

 近くに座っていた飯田に呼び止められ俺様は口を開く。

 

「……この試合で見たいものは見れた。これ以上はどうでもいい」

 

「なんてこと言うんだ!緑谷くんが頑張っているんだぞ!」

 

「はなから俺様はどっちが勝つかなど興味がない。どちらが次に進もうとも俺様のやることに変わりはない。……それにあれだけボロボロの緑谷が勝ったとして、次の試合に出られるのか?」

 

「それは……」

 

「鳳くんなら治せるんじゃない?」

 

 俺様と飯田の間に入ってきた麗日はそう言うが首を振る。

 俺様の再生について詳しく説明したことがないからこその提案なのだろうが、答えは決まっている。

 

「なぜ俺様が緑谷を治さなければならんのだ」

 

 たとえクラスメイトであっても、今は1番を争う敵同士。余程のお人好しでもない限り、塩を送るようなことはしない。

 

「でも!リカバリーガール先生の【個性】であんな怪我を治すんじゃ……デクくんが倒れちゃうよ」

 

「だろうな……彼奴には良い薬だ」

 

「なんでそんなこと」

 

「元々自身が犠牲になるのをなんとも思っていない奴だ。それがどういう結果を招くのか……取り返しがつく今のうちに知るべきだ」

 

「……」

 

「それに再生には俺様の体力を消費する。勝敗関係なく体育祭中は誰も治さん……わかったなら俺様はもう行くぞ」

 


 

「やはりこうなったか」

 

 控え室のモニターから試合の結果が流れる。

 緑谷の捨て身の説得に轟は入学してからずっと使わなかった炎を使った。

 それにより、霜で身体能力が低下していた状態が元に戻り、緑谷は不利になる。

 最後は互いの全力でぶつかり、緑谷が場外に出され試合に負けた。

 

「君の力か」

 

 試合の最中、轟が炎使うきっかけになった言葉を呟く。

 

「……悪ぃ、いたのか」

 

 控え室の扉が開かれ、体操服がボロボロになった轟が入ってくる。

 

「構わん……着替えながらでいい、少し話に付き合え」

 

「なんだよ」

 

 試合前と変わって、刺々しい雰囲気が消えた轟に俺様はモニターを眺めながら質問する。

 

「なぜ炎を使った」

 

「わかんねぇ」

 

「……」

 

「ただ、緑谷の言葉でずっと忘れてた母さんの言葉を思い出した」

 

「緑谷か……轟、次の試合全力でこい」

 

「いきなりだな。まだお前が勝てるかなんてわかんねぇのに」

 

「最初に言ったはずだ。俺様が1位だ。故に次の試合の結果は言わずともわかるだろう」

 

「そうだな……」

 

「……俺様はもう行く」

 

 左手を見つめる轟を見て俺様は控え室を出る。保健室にいる緑谷のところに行くことにする。

 

「邪魔したな」

 


 

「まさか手術中だったとはな」

 

 保健室の帰り道予想以上の大怪我をしていた緑谷は手術を受けていた。結果、俺様は緑谷に会えず会場をぶらついていた。

 轟と緑谷の激突でスタジアムは半壊し、セメントスが修繕している最中のため暇を持て余していた。

 

「あ」

 

「む」

 

 廊下を歩いていると、飯田と鉢合わせした。

 先程のこともありなにか言われると思ったが飯田は何も言わず俺様の横を通り過ぎる。

 

「鳳くん……緑谷くんの容態を見てきた」

 

「……」

 

「君の言わんとしたことは理解した。だが納得はしていない」

 

「だろうな」

 

「だから……次の試合で俺の全てを君にぶつける」

 

「構わん……でなければ面白くないからな」

 

 俺様に挑戦すると言う飯田の背を見送ると、視線を感じた方に声をかける。

 

「バレとったんやね」

 

「もっと気配を消せ」

 

 麗日が物陰から出てくる。

 

「……それでなにか用か?」

 

「さっきのこと謝りたくて」

 

「謝罪などしなくていい。そもそも俺様が再生について説明していなかったからな、原因はこちらにある」

 

「でも私は鳳くんを便利道具みたいに言っちゃったし……ごめん!」

 

「……ヒーロー科にはお人好ししかおらんのか」

 

「え?」

 

「なんでもない……そういうことならその謝罪は受け取る」

 

「う、うん」

 

 会場に設置されたスピーカーからスタジアムの修繕が完了したことを知らされる。

 

「……では俺様はもう行く。お前も席に戻ったらどうだ」

 

「そ、そうだね……頑張ってね」

 

「あぁ」

 

 麗日は足早に観戦席に戻っていく。

 俺様も入場口に向かう。

 


 

『さぁーて少し遅れたが二回戦第二試合やってくぜ!!』

 

『傲慢!最強!王の快進撃はどこまで続く!!ヒーロー科A組鳳火鳥!!』

 

『真面目な委員長!その足で走り抜け!!ヒーロー科A組飯田天哉!!』

 

 スタジアムで向かい合う俺様たち、試合開始の合図を待つ。

 

「お前の全力……受け止めてやる」

 

「行くぞ!」

 

『スタート!!!』

 

 合図ともに加速する飯田、俺様はその場から動かず真っ向から飯田の蹴りを受け止める。

 

「いい蹴りだ……だが俺様を倒すにはまだ足りんな」

 

「そうだな!君相手にこれで終わるわけがない!!」

 

 体をひねりもう片方の足で蹴りを放つが、俺様は冷静に対処する。

 このままでは埒が明かないと思ったのか飯田は距離を取り、スタジアムを走り回る。

 

「なるほどな……確かに回避は容易ではないな」

 

 スタジアムを縦横無尽に駆け回る飯田は、蹴っては離れるを繰り返し俺様の体力を削る作戦だろう。

 全方向から飛んでくる蹴りを受け流しつつ、反撃の機会を伺う。

 

『飯田!怒涛の連続のアタック!!鳳は防戦一方だ!!!』

 

「そこだ!」

 

 背後から放たれた蹴りに変化した足で防御する。

 動きを見切られたことに驚いた飯田だったが、続けて蹴りを放つ、それに対し俺様も蹴りを放ち防御する。

 

「お前の得意で戦ってやる」

 

 軽くジャンプし体をひねり回転を乗せた蹴りを飯田に落とす。肩にダメージを受け体が傾いた瞬間を逃さず、ガラ空きの胴体にも回し蹴りを放つ。

 大きく吹き飛んだ飯田はギリギリで踏みとどまる。

 

「それが全力か」

 

「……ここで決めるしかないか。レシプロバースト!!」

 

 脚のマフラーから炎が吹き出し先程よりも速度が上昇する。一瞬で距離を詰められ、速度を乗せた蹴りが俺様の胴を撃ち抜く。

 

『ここに来て!鳳初のダメージらしいダメージ!!飯田このまま攻めきれるか!!』

 

「いいぞ……いいぞ飯田!」

 

 両腕を翼に変え俺様も速度をあげる。

 飯田のレシプロもそう長くは持たないだろう、飛んでしまえば俺様の勝利は確定するが、それが王のやることか、否真っ向から迎え撃ち勝つ。

 俺様と飯田は正面からぶつかり合い衝撃がスタジアムを震わせる。

 互いの蹴りがぶつかり力勝負になる。

 

「鳳くん、君と戦えたこと誇りに思う!俺は更に強くなる!!」

 

 マフラーから吹き出る炎が更に勢いを増し、俺様が押され始める。

 

「そうか!ならば俺様はその上を行く!!」

 

 足に纏った炎で推進力を上げ、飯田を押し返す。

 

「くッ!?……ハァァァァァ!!!」

 

「オォォォォ!!!」

 

 互いの力が増していき、より高みへと向かっていく。

 だが

 

「……しまった、レシプロが」

 

 ここで飯田の脚から煙が出て、勢いが落ちていく。

 時間切れのようだ。

 

「飯田、楽しかったぞ。次の挑戦を待っている」

 

「あぁ俺も君に感謝する、必ずリベンジすると約束しよう。……降参します」

 

「飯田くん降参!鳳くん三回戦進出!!」

 

『二人とも熱いバトルをセンキュー!!会場全体が盛り上がったぜ!!』

 

 沢山の拍手の中、俺様と飯田は互いの健闘を称え握手を交わす。

 

「俺の分も頑張ってくれ」

 

「あぁ……俺様の勝利を信じていろ」

劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。

  • やってくれ必要だろう
  • 本編だけで大丈夫
  • どちらでもいいよ
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