キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第25話

「常闇くん降参!爆豪くん決勝戦進出!!」

 

 Bブロック準決勝は爆豪が勝利した。

 1回戦から無類の強さを誇っていた、常闇の【ダークシャドウ】だったが、爆豪の爆破の火花に弱腰になる。その隙を見逃さなかった爆豪が絶え間なく爆破を浴びせ光を与え続けたことで【ダークシャドウ】は弱体化し、追い詰められた常闇が降参した。

 

「やはり……貴様が上がってくるか」

 

 控え室のモニターから試合を見ていた俺様は、昼休憩に母さんから貰ったアップルパイを食べていた。

 

「ん」

(落ち着いてるね)

「当たり前だ。彼奴など恐るるに足らん」

 

「ん」

(流石だね)

「それにお前の借りも返さんといかんからな」

 

「ん」

(応援してるね)

「……紅茶が無くなってしまった。悪いが買ってきてくれるか?」

 

「ん?」

(いいけど、自販機の紅茶でいいの?)

「今から淹れ直すのは時間がかかる。近くの自販機で構わん」

 

「ん」

(わかった)

 唯に代金を渡して控え室を出てもらう。

 轟との試合で新たに得た力が勝手に発動し、廊下を歩く人物がこちらに向かってくることを察知し、唯には離れてもらった。

 この目の力を発現したはいいものの、制御ができておらず、試合終了後も何度か発動し観戦席にいると沢山の情報量で頭が痛くなり苦労している。

 

「あ?」

 

 控え室の扉が蹴破り、爆豪が控え室に入る。

 此奴の中では自分の控え室に俺様がいることに、疑問を持っているだろう、証拠に俺様を見た爆豪はポカンとしたマヌケ面を晒している。

 

「マナーがなってないな」

 

「あぁ!!」

 

「そう怒鳴るな、折角のティータイムが台無しになる」

 

「何でテメェがここにいんだよ!」

 

「ここが俺様の控え室だからな」

 

「クソ!ここ2の方か!」

 

「誤解が解けたのなら自分の部屋に戻るがいい。俺様のティータイムを邪魔するな」

 

 爆豪が控え室を間違え、俺様の部屋に入ってきたことで、母さんのアップルパイの余韻が台無しになる。

 

「テメェもテメェだ何寛いでんだ!余裕アピールか!」

 

「貴様はキレなければ話もできんのか」

 

「あぁ!!」

 

「これは俺様なりの精神統一だ。王たるもの優雅でないとな。貴様もどうだ」

 

「そんな甘いもんなんざ食えるか」

 

「……そうか」

 

 母さんのアップルパイを愚弄した貴様に容赦はしない。

 丁度いい機会だと思い俺様は部屋を出ようとする爆豪を呼び止める。

 

「爆豪……俺様と賭けをしないか?」

 

「なんだと」

 

「俺様が負けたら貴様の願いを一つ叶えてやる。退学しろと言うならこの学舎から去る。恥を晒せと言うのなら全裸で校舎を走っても構わん」

 

「イカれてんのか」

 

「俺様は正気だ。それよりどうするんだ」

 

「そんなもん受けるわけねぇだろ」

 

「自分が負けるからか」

 

「あ”ぁ!!!」

 

「負けると思うから賭けに乗らんのだろう。なら最初からそう言えばいい。そういうことならこの話はなかったこ「受けてやるわ!決勝でテメェぶち殺して後悔させてやらぁ!」……いいだろう」

 

 乗り気じゃなかった爆豪を煽り、賭けを受けさせる。実力も才能もあるのにこの性格で大分損している爆豪を、矯正させるために俺様は口を開く。

 

「俺様が勝てばその言動を改めろ」

 

「テメェに言われたくねぇわ!」

 

「俺様は王だからな」

 

「なら俺が勝ったら二度と王を名乗るな」

 

「いいだろう……ではもう行くといい、俺様はティータイムを楽しむのでな」

 

「ッチ……半分野郎が言ってたことは本当なんだな?」

 

「そうだ」

 

「なら最初から本気でこいや……俺が殺したるわ」

 

 爆豪は乱雑に扉を閉め、控え室から出て行く。

 俺様は残っていたアップルパイを食べ、唯の帰りを待つのだった。

 


 

『さぁ!いよいよラスト!!雄英1年の頂点がここで決まる!!!』

 

『決勝戦!!鳳対爆豪!!!今!!スタート!!!』

 

「くたばれ!!!」

 

BOOOM

 

 スタート同時に爆豪は麗日との試合で見せた最大威力の爆破を浴びせる。

 俺様は翼に変えた腕で防御し、爆破の煙で視界が遮られている爆豪に接近する。

 

 “火鳥・棍弩朧(ヒート・コンドル)

 

「これは読まれてるな」

 

「テメェは接近する時はその技が多いからな!」

 

 俺様の鋭い蹴りは読まれていたようで爆豪は危なげなく回避し、爆破で牽制し距離をとる。

 俺様は接近戦に持ち込むために距離を詰める。

 

「攻めてこんのか?」

 

「ついてくんなや!」

 

 爆破で移動する爆豪を追いかけるが、いきなり振り返り眩い光と轟音が至近距離でぶつけられる。

 

 “閃光弾(スタングレネード)

 

「!」

 

「死ねぇ!!」

 

 目と耳を潰された俺様の背後を取った爆豪だったが、次の瞬間ステージの端まで吹き飛ばされる。

 

 “火鳥・棍弩朧”

 

「俺様の目と耳を潰して油断したか?この程度で動けなくなるわけないだろう」

 

「ぐっ……クソ、が!」

 

 破れた鼓膜は既に再生し、眼球も炎で焼き新しく再生させる。

 

「さて、俺様に本気を出せと言ったな。立てお望みどおり本気で戦ってやる」

 

 足の変化を解き、腰を落とし構えを取る。

 爆豪が起き上がり攻撃を仕掛けてくるその時を待ち、真っ直ぐ見つめる。

 それが挑発と捉えたのであろう爆豪は青筋を立て、距離を詰めるが

 

「遅い」

 

 一切の攻撃を許さず、俺様の拳が顎を捉える。

 

「がっ!?」

 

 体勢を崩しがら空きになった胴に蹴りを放つ。

 

「ぐっ!?」

 

 痛みに耐え爆破で反撃しようとする手首を弾き、軌道を変える。

 

「だったら!」

 

 もう一度先程の目潰しで体勢を立て直そうとするが、俺様の拳が先に爆豪を捉え頬を打ち抜く。

 爆破の反動で地面に激突した爆豪の胸ぐらを掴み持ち上げる。俺様の顔を爆破するがこの程度の痛みなら既に慣れている。

 

 それでも爆豪は俺様を爆破し続ける。

 

 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も

 

 己の体力が続く限り、全力で爆破し続けるが俺様は微動だにしない。

 

「この程度か?」

 

 胸ぐらを離し落ちる爆豪の顔面を真正面から殴りスタジアムに叩きつける。

 叩きつけられたスタジアムに少しクレーターができ、爆豪は痛みで痙攣しながらも意識を保っていた。

 

「これでわかったか?貴様など【個性】を使わずに圧倒できるのだ」

 

 炎で爆豪の傷を焼き再生させる。

 屈辱なのだろう、再生中に顔がどんどん歪み悪鬼の如く目が吊り上がる。

 

「ざけんな!!」

 

 爆破で俺様を吹き飛ばし、爆豪は立ち上がる。

 

「情でもかけてんのか」

 

「そんなわけないだろう。慈悲を与えただけだ」

 

「あぁ!!」

 

「貴様の最大限の一撃を使え、俺様も真っ向から迎え撃ってやる」

 

「舐めプもいい加減にしろや!!!」

 

「なら先程のようにボロ雑巾にでもなるか?」

 

「クソが!!」

 

 爆豪はスタジアム上空まで飛び回転をしながら何度も爆破をし破壊力をあげていく。火炎と黒煙を纏った爆豪はそれ自体が核とも言える状態だった。

 

榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)

 

 俺様も翼を器用に折り曲げていき砲身をつくる。全身の熱を一点に集中する。

 轟の試合で覚醒した力の影響か、今の俺様なら更に強力な一撃が放てるであろう確信があった。

 

炎鳥・炎鳳(ヒート・フェニックス)

 

 轟の試合の時よりも更に強力な炎が放たれる。

 爆豪とぶつかり合い、眩い光とともに会場全力を覆い隠す。

 

BOOOM!!!

 

 光が収まり、観客全員の視界が戻るとスタジアムには傷一つない俺様と、黒焦げになりながらも必死にこちらに向かってくる爆豪の姿があった。

 

「理解したか」

 

「まだ終わってねえ」

 

【個性】故に炎熱に耐性があった爆豪は、先の一撃を受けてなお、まだ戦おうとしついる。

 

「ならこれで最後にしよう」

 

「お前が決めんな!」

 

 口ではそう言うが爆豪自身も自分の状態は理解しているであろう。爆豪は残りの力を全て右の大振りに使い、最後の一撃を放つ。

 

「……」

 

 俺様はあえてそれを受ける。

 体操服は焼けるが傷はすぐに再生する。

 

「貴様……いや、お前を挑戦者と認めよう。次に戦うのが楽しみだ」

 

 俺様を爆破した爆豪は気を失った。しかし執念で倒れることはなかった。

 俺様は爆豪を焼き再生させる。

 本気の俺様相手にここまでやったのだ。言動がどうであれ認めることにした。

 

「……爆豪くん行動不能よって……鳳くんの勝利!」

 

 試合を見守っていたミッドナイトが判定を下す。

 

『……あ。い、以上で全ての競技が終了!!今年度雄英体育祭1年生優勝は!!A組鳳火鳥だ!!!』

 


 

 全ての競技が終わり、表彰式が始まる。

 会場の中心に設置された表彰台には、俺様の他に爆豪、轟、常闇が立っていた。

 

「それではこれより!表彰式に移ります!!さぁメダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!!」

 

「私が!!!」

 

「メダルを持って「我らがヒーロー!!!オールマイトォ!!!!!!」

 

 ……段取りぐらい事前に確認しておけ。

 ミッドナイトの紹介で会場の上空からオールマイトが派手に登場するもセリフが被ってしまい、いまいちカッコがつかない。

 

 気を取り直したオールマイトとが常闇にメダルを授与する。

 

「常闇少年おめでとう!強いな君は!!」

 

「もったいなきお言葉」

 

「ただ相性差を覆すには【個性】に頼りきりでは駄目だ。もっと自力を鍛えれば取れる択が増すだろう」

 

「……御意」

 

 常闇にアドバイスをしたオールマイトは次に轟にメダルをかける。

 

「轟少年おめでとう!」

 

「ありがとうごさいます」

 

「試合で炎を使ったことについて聞いてもいいかな?」

 

 オールマイトの質問に轟は左手を見て口を開く。

 

「……緑谷が言ってくれたんです。【これ】は俺の力なんだって。……あなたが緑谷を気にかける理由がなんとなくわかった気がしました。……俺もあなたのようなヒーローになりたかった。ただ俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ駄目だって分かった。色々清算して……俺も前に進みます」

 

「……顔が以前と全然違う。深くは聞くまいよ、君はここでよい出会いに恵まれた。今の君ならきっと清算できるさ」

 

 轟の言葉を聞きオールマイトは轟を抱きしめる。

 

「爆豪少年……おめでとう!」

 

 オールマイトは爆豪にメダルをかける。

 

「……オールマイト、俺は負けた」

 

「……そうだね」

 

「でもこっからだ……こっからまた始める。次は勝つ!」

 

「君の覚悟しっかり伝わったよ!だから今日は休みなさい、休んでまた明日から頑張っていこう!」

 

「おう」

 

 爆豪を抱きしめたオールマイトは俺様の前にやってくる。

 

「鳳少年!優勝おめでとう!伏線回収見事だったよ!」

 

 1位を象徴する金のメダルが俺様にかけられる。首に感じる重さが優勝した実感を伝えてくる。

 

「当然だ。王である俺様に不可能はない」

 

「流石だね!これからも頑張って欲しい!……後、少しは言動を改めるようにね」

 

「……善処する」

 

 オールマイトは多くは語らず、俺様を抱きしめ健闘をたたえる。

 

「さァ!! 今回は彼らだった!! しかし皆さん! この場の誰にもここに立つ可能性はあった!! ご覧いただいた通りだ!!」

 

 メダルの授与が終わり、最後にオールマイトの総括が入る。長かった体育祭も終わり明日からまた日常へと戻っていく。

 

「競い!高め合い!さらに先へと登っていく姿「次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!ってな感じで最後に一言!!皆さんご唱和ください!!せーの!!」

 

「「「「「プルス・ウル「お疲れ様でしたぁ!!!」……トラ」」」」」

 

 まさかの最後でハプニングが起きるとはな……雄英体育祭はなんとも締まらない形で幕を下ろした。

劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。

  • やってくれ必要だろう
  • 本編だけで大丈夫
  • どちらでもいいよ
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