職場体験3日目、俺様たちは昨日と同じようにパトロールをしていた。
各地でヒーローを襲撃してきた凶悪犯が潜んでいるというのに、この街は平和だった。
昨日もエンデヴァーのサイドキックたちとパトロールをしたが、迷子の子供の保護や重い荷物を持ったご老人を助けたりしたが、敵犯罪は起きなかった。
今日も午前のパトロールを終えたが、事件は起きなかった。
ただ、街中でプロヒーローを見かける頻度が多くなっており、まるで嵐の前の静けさのようでどうも落ち着かない。
「ショート!ザ・フェニックス!午後のパトロールに出るぞ!」
今日こそはヒーロー殺しを捕まえると、はりきっているエンデヴァーが俺様たちを呼びに来た。
「ショート行くか」
「あぁ」
俺様たちはすぐに準備を済ませエンデヴァーと合流した。
保須の街を一望できる建物の上に黒いモヤが現れる。そのモヤは段々と大きく広がり、中から包帯のようなマスクをつけた男……今、世間を騒がせている『ヒーロー殺し』ステインが出てくる。
「保須市って案外栄えてんだな」
その後ろから肩に傷を負った死柄木弔が出てくる。
先程まで争っていた二人だが、利害が一致したことで一時的に協力関係を築いていた。
「この街を正す……それにはまだ犠牲が要る」
「先程仰っていたやるべき事というやつですか?」
「
「いちいち角をたてるな。オイ……」
協力関係を築いたと言っても相性は悪い死柄木とステインは、互いに嫌悪感を隠そうともせずまた殺し合いが始まってしまうのではないかと思わせる。
「ヒーローとは偉業を成した者にのみ許される称号!多すぎるんだよ……英雄気取りの拝金主義者が!この世が自らの過ちに気づくまで俺は現れ続ける」
ステインはそう言うと建物から飛び降り、粛清を行うために闇に消えていった。
「あれだけ偉そうなこと語っといて、やってることは草の根運動かよ。健気で泣けちゃうね」
「……黒霧、脳無だせ」
「死柄木弔?」
「やっぱ……合わないんだよ。根本的にムカつくしな。俺に刃をつき立ててただで済ませると思ってんのか……ぶっ壊したいたなら……ぶっ壊せばいいって話だ」
「大暴れ競走だ」
黒霧の体が徐々に広がり、モヤの中から複数体の脳無が出現する。
筋骨隆々、有翼、異様に手足が長い等の特徴を持った脳無が街に繰り出していく。
「あんたの面子と矜持、潰してやるぜ大先輩」
「……驚くほどに何も無かったな」
「あぁ」
日も沈んだ頃、午後のパトロールに出た俺様たちは昨日と変わらず平和だった街を歩きながら雑談していた。
強いて言うならば、俺様が保須にいることをSNS等で知ったファンが押しかけてきたくらいで犯罪は起きていなかった。
「ッ!」
俺様としてはエンデヴァーが見せた赫灼熱拳を早急に会得し極めたいのだが、こればかりは敵次第なのでどうすることも出来ない。
その時だった。
近くのビルが次々に爆発し、火災が起きる。
「ショート!フェニックス!俺について来い!!他の者はビルに残された者たちの救助と避難誘導!」
流石、事件解決数最多は伊達ではない。爆発が起きる前異変に察知し、直ぐに状況を理解して迅速な対応を見せるエンデヴァーはやはりトッププロなのだろう。
「あれはッ!」
エンデヴァーの後を追いかけていると俺様の視界に奴が移った。脳がむき出しになり筋肉が発達したその姿……忘れるはずがない脳無だ。
「エンデヴァー!雄英を襲撃した際に現れた脳無と呼ばれる敵を発見した!奴らは複数個性と常人を遥かに超える力を持っている!!」
「なにッ!?」
できるだけ簡潔に俺様が知り得る脳無の情報をエンデヴァーに共有する。
「並のヒーローまず歯が立たない!エンデヴァー俺様なら無力化できる!戦闘許可を寄越せ!」
「馬鹿なことを言うな!」
「親父!鳳の言ってることは本当だ!連中がオールマイト用の切り札として使ってた!」
「なッ…………仕方ない!ザ・フェニックス!エンデヴァーの名において【個性】の使用並びに戦闘を許可する!ただし無茶はするな!報告を怠るな!」
「了解した!」
エンデヴァーの許可を得た俺様は上空に飛び、筋骨隆々な脳無に突撃する。
“火鳥・射紅流”
……普段と変わらない速度で脳無に突進し、襲われていた一般人と怪我を負ったプロヒーローを助ける。
「俺様が来た!貴様らはここを離れろ!」
この場に来る一瞬で避難経路を確認し逃げ遅れた人たちを誘導する。
常人なら大怪我で済まない威力をぶつけたが、相手は脳無だ。いつでも壁になれるように避難中の人たちと一定の距離を保ちながら様子を伺う。
「……」
「やはり起き上がってくるか」
土煙が晴れると傷一つない脳無がゆっくりとこちらに向かってくる。
その時、俺様のスマホが揺れる。
脳無が一気に距離を詰め殴り掛かる。
「……なんと間が悪い」
脳無の拳を変化した足で受け止め、そのまま腕を掴み空を飛ぶ、あの場は人が多いのでできるだけ人のいない場所まで脳無を運ぶ。
「暴れるな!鬱陶しい!」
掴まれた腕を離せと暴れる脳無を羽による攻撃で大人しくさせる。保須市を見渡し、先程の爆発によって開けた場所に脳無とともに移動するが
次の瞬間、脳無ごと俺様を蒼炎が焼いた。
「よし!いいぞ!そのまま暴れろ!!」
壊れていく街を見下ろしている死柄木弔はいつになく上機嫌だ。
「どうだい先輩!あんたなんか明日には忘れられてる!」
脳無を街に放ち、破壊の限りを尽くす様子を見てステインに嫌がらせをする死柄木だったがある者が目に入り露骨に機嫌が悪くなる。
「……なんで彼奴がいるんだ。黒霧」
「……なんでしょう死柄木弔」
「試作品呼べ」
「あれはまだ実戦投入できる段階ではないとドクターが」
「黙れ……彼奴相手にさっきの脳無じゃ役不足だ。データは取ってるんだ……
「……少しお待ちを確認してきます」
1度大敗した相手を前にストレスからか体を掻き毟る死柄木は黒霧に命令する。
少しすると姿を消した黒霧が戻り、その横に黒い鳥の羽を生やした脳無がいた。
脳無にはプロテクターのようなものが装着されており『P027』と印字されている。
「試作品……彼奴を殺せ」
死柄木は脳無を連れて空を飛んでいる鳳を指さし鳥の脳無に命令する。
脳無は身体を震わせ夜の闇と同化し鳳に接近し、蒼炎で焼き尽くす。
「ハハハ!ざまーみろ!」
黒焦げになった死体が地面に落ちていく。
死柄木は上機嫌になり笑う。
だが鳳が……王がこの程度で終わるわけがない。
「俺様相手に炎を使うか……阿呆の悪戯にしては些か過激だな」
炎が消えるとやはり無傷の鳳が、瞳を紅く光らせ脳無を睨みつけるていた。
劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。
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やってくれ必要だろう
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本編だけで大丈夫
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どちらでもいいよ