キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第30話

「お前らも大変だったみたいだな」

 

 夜が明け、敵の襲撃から街の人々を守りきった俺様は病院に入院している緑谷たちの見舞いに来ていた。

 俺様が脳無と戦っている時、緑谷たちは《ヒーロー殺し》と戦っていたらしい。

 

「鳳くんも脳無と戦ったんだよね」

 

「あぁ」

 

「体は大丈夫?」

 

「傷は既に再生している。強いて言うならコスチュームが少し破損したくらいだ」

 

「そっか……」

 

「……何か言いたいことでもあるのか」

 

「えっと……あの時どうして動けたのかなって」

 

 緑谷は昨日のことを俺様に聞く。

 


 

 僕たちはヒーロー殺しを倒し、襲われた飯田くんとプロヒーローと一緒に路地裏から出た。

 轟くんが呼んでくれた応援が到着して、僕たちは保護された。

 

 その時だった

 

 僕は突然現れた脳無に捕まり空高く連れていかれる。

 周りにいたヒーローたちは突然の事で動けず僕は地上からどんどんと離れていった。

 

ゾワァ

 

 脳無の動きが突然止まり、僕たちは落下していく。

 何者かが脳無に飛び乗り、僕を掴んで着地する。

 

 周りを見渡すとそこにヒーロー殺しの姿がなかった。それに気づくや否や恐ろしい殺気が辺りを支配した。

 

「偽物が蔓延るこの社会も徒に力を振りまく犯罪者も」

 

「粛清対象だ」

 

 ヒーロー殺しだ。

 僕を脳無から助けたヒーロー殺しは周りのヒーローに向かって歩き出す。

 

「全て正しき社会の為に」

 

「助けた」

 

「バカ!人質とったんだ」

 

「躊躇なく人殺しやがった」

 

「いいから戦闘態勢とれ!」

 

 ヒーローたちはとまいどいながら、接近するヒーロー殺しと戦うために構えをとる。

 

「何故一カタマリでつっ立てっている!!?」

 

「そっちに一人逃げたはずハズだが!!?」

 

「エンデヴァーさん!!」

 

「あちらはもう!?」

 

「多少手荒になってしまったがな!して……あの男はまさかの」

 

「エンデヴァー……」

 

「ヒーロー殺し!!」

 

「贋物……正さねば、誰かが……血に染まらねば……!」

 

 

 

英雄(ヒーロー)を取り戻さねば!!」

 

 

 

「来い。来てみろ贋物ども」

 

 

 

「俺を殺していいのは本物の英雄(オールマイト)だけだ!!」

 

 

 

 ヒーロー殺しの放つ殺気と狂気が入り交じったナニカが僕たちを呑み込み、誰一人として動くことも話すことも出来なかった。

 

 

 

 

 

 

「ならばなぜ殺した!!」

 

 

 

 

 

 僕たちとヒーロー殺しの間に割って入るように鳳くんが空から降りてくる。

 

「殺人を犯した貴様が英雄(ヒーロー)を語るな!!」

 

「正論も血を浴びれば脅迫となる!!」

 

「貴様はヒーローになるべきだった!!」

 

「殺人者ではなくヒーローになり、その在り方を示せばよかったのだ!!」

 

「現にオールマイトは殺さない」

 

「貴様は間違っている!!!」

 

 ヒーロー殺しの主張に真っ向からぶつかる鳳くんはとても輝いていた。

 どんよりとした雲の隙間から太陽の光が差した。圧倒的なカリスマを放つ鳳くんから、僕たちは目が離せなかった。

 


 

「……どうして動けたのか……特に理由は無いな」

 

「そうなの!?」

 

「敵がくだらん事を抜かすのでな、俺様が思ったことを言っただけだ」

 

「マジか」

 

「鳳くんらしいといえばらしいが」

 

「は、はは……凄いや」

 

 その時だった、病室の扉が開かれスーツを着た犬面の男と共に、飯田と緑谷の職場体験先のヒーローが入ってくる。

 

「元気にしとったか……色々言いたいことはあるがまずはお前さんらに来客だ」

 

 緑谷からグラントリノと呼ばれた老人が犬面を紹介する。

 

「保須警察署署長の面構 犬嗣(つらがまえ けんじ)さんだ」

 

「面構!!署……署長!?」

 

「掛けたままで結構だワン」

 

 ……ワンって言った。

 厳つい顔をして語尾にワンをつける署長に俺様は笑いそうになるが、過去に会得した表情管理で真顔を維持する。

 

「君たちがヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね。そして君が複数体の脳無を相手に活躍した鳳くんだワンね」

 

 俺様たちは署長に軽く頭を下げ、話を聞く。

 三人が対峙したヒーロー殺しことステインは、命に別状はないが重症だということを教えられた。

 

「超常黎明期……警察は統率と規格を重要視し【個性】を武に用いない事とした。そしてヒーローはその穴を埋める形で台頭してきた職だワン」

 

「個人の武力行使……容易に人を殺められる力。本来なら糾弾されて然るべきこれらが公に認められているのは、先人たちがモラルやルールをしっかりと厳守してきたからなんだワン」

 

「……資格未取得者が保護管理者の指示なく個性で危害を加えたこと。たとえ相手がヒーロー殺しであろうともこれは立派な規則違反だワン」

 

 署長の言いたいことは理解した。

 俺様は予めエンデヴァーに許可はとったが此奴らはそれをしなかったのだろう。

 

「君たちの内、個性使用許可を得ずに戦闘した飯田くん、緑谷くん、轟くん、およびマニュアル、グラントリノ、エンデヴァー。この6名には厳正な処分が下されなければならない」

 

「轟……お前は何をしているのだ。俺様が許可を取ったところを見ていたであろう」

 

「悪ぃ……連絡が来てすぐ行かねぇと不味いと思っちまった」

 

「……ごめん」

 

「いや緑谷が謝ることじゃねぇ」

 

「……それだけではないんだろう」

 

 このままだと脱線しそうだったので署長に話の続きを促す。

 

「以上が警察としての意見。で、処分云々はあくまで()()()()()の話だワン」

 

「公表すれば世論は君たちを褒め称えるだろうが処罰は免れない。一方で汚い話、公表しない場合ヒーロー殺しの火傷跡からエンデヴァーを功労者として擁立してしまえるワン」

 

「幸い目撃者は極めて限られてる。この違反はここで握り潰せるんだワン。……だが君たちの()()()()も誰にも知られることはない」

 

「なるほどな」

 

「どっちがいい!?一人の人間としては……前途ある若者の偉大な過ちに()()をつけさせたくないんだワン!?」

 

 緑谷たちの顔を見ると答えは決まっているようだ。

 三人は頭を下げ、自分たちの功績を手放した。

 

()()()()()()()で君たちが受けていたであろう賞賛の声はなくなってしまうが……せめてともに平和を守る人間として。ありがとう!!」

 

 署長は三人に頭を下げ、病室を後にした。

 三人の処罰は無くなったが、職場体験先のヒーローは監督不行届で責任を取ることを説明し、同じことをしないよう注意をして病室を出ていく。

 

 今回の一件とは関係ない脳無撃退は、事前に許可を取っていたのでそのまま世間に公表される形となった。

 


 

「……それでは俺様もエンデヴァーの所へ戻る」

 

 ヒーローと面構署長が出ていった後、俺様たちは少し話していた。

 

「飯田……その腕痛むようなら俺様が治すがいいのか?」

 

「あぁ構わない……()()は戒めとして残しておく、鳳くんの気持ちは嬉しいが受け取るわけにはいかない」

 

「……そうか」

 

 俺様は少しだけ考え、飯田にある提案をする。

 

「お前が大丈夫じゃないことを、知ってなお声をかけなかった俺様にも非はある。お前がその傷を治さんと言うなら、お前の兄を治すことで手打ちにしろ」

 

「え?」

 

「これは受け取ってもらうぞ」

 

 飯田はまだ何か言おうとしていたが、俺様は無視して轟に今後の動きを説明する。

 

「エンデヴァーが半年間教育権を剥奪されたからな、俺様たちは今日から事務作業を中心に残りの日を過ごすことになる」

 

「悪ぃ」

 

「別に謝らんでいい。赫灼熱拳は会得したからな……今はコイツを使いこなすことに集中する。それにヒーロー事務所の事務作業も立派な経験だ。早く治して退院しろ……俺様は先に進んでおく」

 

 そう言って病室の扉に手をかけ部屋を出る。

 

「それとクラスメイトからお前たちが無事かどうかの連絡が鳴り止まん……早いうちに返すことだ」

 

 俺様は病院を出ると、エンデヴァー事務所のサイドキックが迎えに来ていた。

 サイドキックの運転する車で事務所に戻ると事務員から事務作業の説明を受け作業に取り掛かる。

 

 脳無との戦いで瞳の力も制御できるようになり、事務作業の傍らサイドキックたちを観察することで、個性因子を視る感覚を慣らし、空き時間で赫灼熱拳の精度を上げる特訓をする。

 

 こうして残りの職場体験はあっという間に終わり、俺様たちは雄英に帰るのだった。

劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。

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