キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第32話

「二人の【個性についてだ】」

 

 談話室の空気が張り詰め、顔が青くなった二人に俺様は、午後の授業の出来事を話し始める。

 

「保須市での脳無との戦いで俺様は、他人の個性因子を視ることが出来る力に覚醒した」

 

 二人の顔が更に青くなる。俺様の話を聞いて誤魔化そうとしていたのだろう。だが、俺様が個性因子を視ることが出来ると聞いてそれも無駄と悟り、俺様の話を最後まで聞く姿勢になる。

 

「そして二人を視た結果、仮説を立てた」

 

 緑谷の【個性】は、本来オールマイトのもので何らかの事情により譲渡したこと。

 そして【個性】を譲り受けた緑谷を鍛えるために雄英に赴任してきたこと。

 

「……以上が俺様の推測だが二人の答えを聞きたい」

 

「お、鳳くん」

 

「緑谷少年!……大丈夫だ」

 

 緑谷はまだ誤魔化そうと俺様の名を呼ぶが、痩せ細った男が空を静止する。

 

「鳳少年……君の推測は概ね正しいよ」

 

 痩せ細った男が力むと、体が一回り以上大きくなりオールマイトになった。

 俺様は目の前のとんでもない光景に、驚くがオールマイトの話の腰を折るわけにもいかないので、一旦置いておく。

 

「……正直、誤魔化そうと思ったよ。でもここまで知られているなら変に隠すより教えた方がいいと私が判断した」

 

 オールマイトはもう一度痩せ細った男の姿に戻ると、シャツの裾をめくり肌を露出する。

 そこにはおぞましい傷跡があった。

 

「それは」

 

「この傷は六年前に負ったものだ。君が聞きたい私たちの【個性】に関係している」

 

 そう言ってオールマイトは緑谷の隣に座るよう促すと、お茶を飲み、口を開く。

 

「私の【個性】ワン・フォー・オールは……一人が力を培い、その力を一人に渡し、また培い次へ……そうやって救いを求める声と義勇の心が紡いできた力の結晶だ」

 

「先程、緑谷少年には言ったがワン・フォー・オールは特別な【個性】なんだ……そう、その成り立ちもね」

 

「ワン・フォー・オールは元々()()()()()()()】から派生したものだ」

 

オール・フォー・ワン。他者から【個性】を奪い己がものとし……そしてソレを他者に『与える』ことのできる【個性】だ」

 

 そうして、オールマイトは超常黎明期の話を始める。

 オール・フォー・ワンがその【個性】を用いてこの国の支配者に君臨した話から入り、ワン・フォー・オールの成り立ちについて語る。

 

 オール・フォー・ワンによって【個性】を与えられた者のなかで適応できない者は廃人となること。

 

 そして【個性】が与えられたことで変異し混ざり合うケースもあったこと。

 

 ワン・フォー・オールは【個性】を譲渡する【個性】と力をストックする【個性】が混ざりあったことでできた【個性】だということ。

 

「なるほどな」

 

「鳳少年が聞きたいことは答えたつもりだ。くれぐれも他言は無用だよ」

 

「当たり前だ。それより……俺様もその巨悪とやらに狙われている可能性がでてきたな」

 

「なんだって!!?」

 

 オールマイトがお茶を零しながら前に乗り出す。

 俺様は驚いている二人を見ながら保須市であった出来事を伝える。

 

「俺様が保須市で戦った脳無のなかに、翼を持ち蒼炎を放つ個体がいた。ご丁寧に超再生も持っていたな……この【個性】になにか思い当たるか」

 

「それって鳳くんの」

 

「あぁどれも俺様の【個性】と共通する。そしてその脳無はあの時、俺様を狙って来た。嫌がらせか()()()()()の奪取か理由はわからんが狙われたのは事実だ」

 

 オールマイトは頭を抱える、緑谷はあたふたしている。

 そんな二人に俺様は溜息をつき話を元に戻す。

 

「それよりもワン・フォー・オールについて理解したが、態々巨悪の話までする必要があったのか」

 

「そうだったね」

 

 オールマイトは俺様の言葉で落ち着きを取り戻しコホンとわざとらしく咳をすると、ワン・フォー・オール継承者の宿命……即ち巨悪と戦うことになるかもしれないと緑谷に伝える。

 

「……俺様もその時に備えて緑谷を強くすることを手伝おう」

 

「鳳少年」

 

「本当は【個性】について聞いたら後はどうでもよかったんだがな……俺様以外に王を名乗る輩がいるとなれば話は別だ。……この鳳火鳥が王の中の王であると証明するためにも共に戦ってやる」

 

「鳳くん」

 

「鳳少年……とても危険なんだ。今日聞いたことを秘密にしてくれるだけでいいんだ」

 

「ヒーローに危険は付き物だ。それを払い除けるために協力するのであろう。お前は巻き込んでしまったと思っているようだが、俺様は俺様の意思で巻き込まれに来たんだ、負い目を感じる必要は無い」

 

「それにオールマイトがそれ程の怪我を負う相手なのだ。何時になるかはわからんが、火の粉は此方にも飛んでくる。それなら共に戦った方が被害も少なくできるだろう」

 

 オールマイトは目をつぶり考え込み、数十秒悩んだ末に俺様に頭を下げる。

 

「緑谷少年をよろしく頼む」

 

「任せろ!瞬く間に俺様の次に優れたヒーローにしてやる」

 

 オールマイトと握手をし残った茶を飲み干す。

 

「さて……これで俺様たちは協力関係となったわけだが、言いたいことがあるのだが構わんか」

 

「ん?あぁ質問でもなんでも構わないよ」

 

「そうか……」

 

 オールマイトが?を浮かべながら許可を出したのでこれまで思っていたことを指摘する。

 

「貴様ら警戒心が無さすぎる。もっと周りに気をつけろ!現に轟に指摘されていただろう!」

 

「え!?」

 

「お、鳳少年!?」

 

「オールマイト!緑谷だけでなく他の生徒にも声をかけろ!砂藤や尾白など近接主体の奴だけでもいいからアドバイスや相談にのれ!そうすれば緑谷だけでなく、他の生徒も目にかけていると思われるだろう!!それだけでもカモフラージュになる!!」

 

「す、すいません!!」

 

「緑谷もだ!USJの時にオールマイトと似てると言われて慌てていたな!嘘でも構わんから事前に別の答えを用意しておけ!あの時はたまたま切島が話に入ってきたから有耶無耶になったが、もし続いていたらどうするつもりだったのだ!!」

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

「次にオールマイト、緑谷に【個性】の使い方はしっかりと教えたのか」

 

「いや~……私譲渡されてからなんとなくで100%使えたから」

 

「論外だ!!」

 

「ひぃッ!?」

 

「通りで使い方がおかしかったんだ!!」

 

「お、鳳くん!?落ち着いて!?」

 

 それから一時間ほど俺様の指摘は続き、談話室を出る頃には二人ともぐったりしていた。

 

「とりあえず今日言ったことは明日から実践しろ、緑谷の特訓は俺様が見てやる」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「鳳くんありがとう」

 

 真っ白に燃え尽きた二人を背に俺様は下校する。

 俺様はオールマイトの秘密を知った対価として、緑谷を強くするために特訓メニューを新たに考えるのだった。

劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。

  • やってくれ必要だろう
  • 本編だけで大丈夫
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