演習試験当日
「全員揃ってるな。それじゃあ演習試験を始めていく」
俺様たちは無数のバスが停留している広場で、演習試験が始まるのを待っていた。
目の前には雄英の教師陣がおり、俺様の予想が当たったのではないかと
「この試験でももちろん赤点はある。林間合宿に行きたけりゃ、みっともねぇヘマはするなよ」
「……先生多いね」
「諸君なら事前に情報を仕入れて、何をするのか薄々わかってるとは思うが……」
「ま、まさか」
「ほ、本当に」
「何人か察しているが」
「諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
クラスメイトが不安そうに尋ねると、相澤のマフラーからスーツを着た謎の小動物が飛び出す。
この小動物こそ雄英高校の校長を務める根津校長だ。
「やっぱり!」
根津校長曰く、最近の敵が活発的になっていき、ロボットでの試験は実戦的ではないとのこと。そこで対人戦闘、活動を見据えた実戦に近い教えを重視するらしい。
俺様の予想が当たったことで、クラスメイト全員の顔が強張る。
この一週間、試験対策としてそれぞれの苦手な部分を洗い出し特訓メニューを考え実践した。
この試験で俺様たちの一週間の成果が試される。
「君たちにはこれから
「……」
「ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や成績、親密度……諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表していくぞ」
轟&八百万VSイレイザーヘッド
上鳴&芦戸VS根津校長
青山&麗日VS13号
口田&耳郎VSプレゼント・マイク
常闇&蛙吹VSエクトプラズム
瀬呂&峰田VSミッドナイト
障子&葉隠VSスナイプ
飯田&尾白VSパワーローダー
切島&砂藤VSセメントス
クラスメイトが順に呼ばれ誰と戦うか発表されていく。
しかし、このクラスの生徒数は21人だ。二人組をつくる場合一人余るが、そこはどうするのだろうか。
「緑谷!爆豪!」
「そして鳳!」
「お前たちは
「私がする!!!」
「協力して勝ちに来いよお三方!!!」
緑谷と爆豪……そして俺様、共通点は爆豪との親密度が低いことだろう。緑谷は言わずもがな、俺様は入試からの因縁だな。
「それぞれステージを用意してある。10組一斉スタートだ。試験の内容については、各々対戦相手から説明される。移動は学内バスだ。時間がもったいない速やかに乗れ」
相澤がそう言うと俺様たちは、対戦相手の教師とともにバスに乗り目的地に向かった。
相澤くんの言葉でバスに乗った私たちは、試験が始まる前にもかかわらず既にピンチを迎えていた。
私が乗るバスの空気がとてつもなく重いのだ。
緑谷少年と鳳少年は私と秘密を共有する仲で、特訓にも付き合うなど関係は良好だが、問題は爆豪少年だ。
爆豪少年は緑谷少年と鳳少年のどちらとも仲が悪い。
「しりとりでもする?」
「……」
「……」
「……」
いたたまれなくなった私は空気を変えるために、しりとりをしようと提案してみるが、返事が返ってくることはなかった。
……鳳少年、そんな目で私を見ないでくれ。
この空気を忘れるためにも、実技試験についての会議を思い出し、この試験でどう動くか考えることにする。
「組の采配ですが……まず上鳴と芦戸の二人。良くも悪くも単純な行動傾向にありますので、校長の頭脳でそこを抉り出して頂きたい」
「オッケー」
「轟、一通り申し分ないが全体的に力押しのきらいがあります。そして八百万は万能ですが、咄嗟の判断力や応用力にかける。よって俺が【個性】を消し近接戦闘で弱みを突きます」
「「「「「異議なし」」」」」
「次に緑谷と爆豪ですが、オールマイトさん頼みます。この二人に関しては能力や成績で組んでません」
「偏に仲の悪さ!!」
「そしてここに鳳も加えて三人一組で、試験を受けてもらいます」
「鳳少年もかい?」
「はい、鳳も爆豪と仲が悪いですが……それ以上に実力が頭一つ抜けています。ですから鳳にはハンデを課し緑谷と爆豪のサポートに回ってもらうよう誘導します」
「……緑谷のことお気に入りなんでしょう。上手く誘導しといてくださいね」
「……」
会議を思い出していると、バスはステージに着いた。私はバスを降りるとステージの出入口の前で立ち止まり試験の説明を行う。
「さてここが我々が戦うステージだ」
「あの……戦いってまさかオールマイトを倒すとかじゃないですよね?どうあがいてもムリだし」
「消極的なせっかちさんめ!今から説明する」
緑谷少年は私と戦うことにビビっているが、その後ろにいる二人、爆豪少年は険しい顔で私を見ている。鳳少年はいつも通り余裕の笑みを浮かべ私の説明を待っているようだ。
「制限時間は30分!皆の目的は『このハンドカフスを私にかける』or『どちらか一人がこの出口から脱出する』」
「……みんな?僕たちは違うんですか?」
「その通り!今回の試験において鳳少年にはハンデを背負ってもらうことになっている」
「ハンデ……いいだろう」
「あっさり受け入れるんだね……君たちのクリア条件は『緑谷少年か爆豪少年が私にカフスをかける』or『緑谷少年と爆豪少年が出口から脱出する』だ。これに加えて鳳少年は【個性】を用いた直接攻撃が禁止されている」
「なるほどな。……徹底的に俺様にサポートをしろと言っているようなものか」
「……クソが」
頭の回転が早い鳳少年は、すぐに自分のこの試験で求められているものを理解した。
爆豪少年は、鳳少年との実力差をハンデという形で突きつけられて歯噛みしていた。
「というわけでこの試験は君たちの判断力が試される!……けどこんなルール逃げの一択じゃね!?って思っちゃいますよね?」
「そこでこちら!超圧縮おーもーりー!!!」
私はこの試験のために作ってもらった重りを装着しながら、説明を続ける。
「戦闘を視野に入れさせるためか……ナメてんな」
「HAHA!……どうかな」
オールマイトから試験の説明を受け、俺様たちはステージの中央で試験開始の合図を待つ。
この間に作戦会議でもするのだろうが、このチームにおいてそれは不可能だろう。
「かっちゃん!作戦考えないと!」
「黙れクソデク!!俺一人で充分なんだよ!!」
「爆豪、口が悪いぞ」
「黙ってろエセキング!!!」
爆豪がこの調子でろくに話し合いができていない。試験開始まで刻一刻と時間は過ぎていくが、こればかりはどうしようもない。
『皆、位置についたね。それじゃあ今から雄英高1年、期末試験を始めるよ!』
『レディーゴォ!!!』
ステージに取り付けられたスピーカーから、リカバリーガールがスタートの合図を出す。
「かっちゃん待っててば!」
「ついてくんな!オールマイトは俺がぶっ倒す!!」
「それじゃダメなんだって!!」
試験が開始しても、二人はろくにコミュニケーションが取れず、ステージを無駄に動いていた。
「貴様ら!ここに喧嘩しに来たのか!」
「なんだと!!」
「この試験はオールマイトを倒すのが目的ではない!条件を達成し合格することがッ!?緑谷!爆豪!伏せろ!!」
THOOM!!!!!
次の瞬間、俺様たちの目の前にあったビル群が、凄まじい衝撃とともに吹き飛んでいく。
咄嗟に俺様は緑谷と爆豪の前に立ち、翼に変化した腕で防御する。
「街への被害などクソくらえだ」
なんだ……。
「試験だなんだと考えていると痛い目見るぞ」
なんだ!
「私は敵だ」
なんなんだ!!
「ヒーローよ真心込めてかかってこい」
この威圧感は!!?
俺様たちの期末試験が今、最悪な形でスタートした。
劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。
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やってくれ必要だろう
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本編だけで大丈夫
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どちらでもいいよ