キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第38話

「……知らない天井だ」

 

 試験が終わった俺様は意識を失い気がつくと、校舎内にあるベッドで寝かされていた。

 折角なので、王様らしい言動の参考にしてきた超常以前の作品にあった有名なセリフを言ってみた。

 

「大丈夫か?」

 

「……轟か」

 

「あぁさっきオールマイトが爆豪と一緒に運んできたから、少し話を聞いて……大怪我だったみたいだな。試験が終わって、ステージに残った鳳を運ぼうとしたら、全身が急に燃えて焦ったって言ってたぞ」

 

 ベッドから体を起こすと、隣にいた轟に声をかけられる。先程の発言を聞かれ少し恥ずかしいが、轟だからまだいいかと切り替えて返事をする。

 

「見た所怪我という怪我は治っている」

 

「体力ギリギリだったんだろ?リカバリーガールの治癒で治してもらったのか?」

 

「いやそうではない。恐らく体力の()()()をしたんだろうな」

 

「前借り?」

 

「あぁ……体力を消費しても休んだりすれば回復するだろ、その回復分を前借りして傷を再生させたんだろうな」

 

「だろうなって自分でやったんじゃないのか?」

 

「前借りが発動する時は決まって俺様が危険な状態の時だ。実際オールマイトに全力の拳を受けたあと限界近くまで炎を圧縮して威力を上げたからな、炎に耐性のある俺様が大火傷を負ったんだ。放置していたら間違いなく大事になると【個性】が判断して再生させたんだろうな」

 

「……なんか色々とすげぇなお前の【個性】」

 

「当然だろう俺様の【個性】だからな」

 

 目が冴えてしまったため、残りの時間を轟との会話を続けることにする。

 轟に了承を得ると試験について話し始める。

 

「今回の試験は各々の課題をぶつけれたな」

 

「あぁ……俺は【個性】に頼りすぎってところか」

 

「多分な……俺様たちの場合は緑谷と爆豪だな。あいつらは仲の悪さだけで選ばれた気がするな」

 

「それだと鳳はなんでそこに入れられたんだ」

 

「爆豪との仲の悪さ……あとは万能故にワンオペになりそうな俺様が周りを頼れるかどうかとかか、思いつく限りだとこのくらいだな」

 

「そうか」

 

「うるっせんだよ!」

 

 轟と会話を続けていると、隣で眠っていた爆豪がベッドから飛び起きる。

 隣に俺様がいることに気づくと目を吊り上げ悪鬼羅刹といった顔になり、試験の文句を言ってくる。

 

「いいか!今回の試験でお前がいなくても俺はやれたんだ!!」

 

「わかったわかった。……そういうことにしといてやるから大人しく寝ていろ」

 

「わかってねぇだろ!!……とにかく今回の試験はノーカンだ!!今度は俺一人でオールマイトに勝つ!!」

 

 試験が終わるまでの間、俺様たちは爆豪の文句を聞かされ続けたのは想像に難くないだろう。

 


 

 雄英高校で期末試験が行われている裏で敵連合にも、新しい動きがあった。

 

 隠れ家的なバーのカウンターに座っている死柄木は終始不機嫌だった。

 理由は簡単で、先の保須市の一件で“ヒーロー殺し”ステインの話題を掻っ攫うと意気込んだものの、結果は失敗に終わり誰も保須の事件で敵連合について語らなかったからだ。

 もちろん、皆が知らないわけではない。

 翌日に出た新聞では敵連合の話題も当然あった。

 死柄木の機嫌も良くなるだろう。

 

 それがステインに話題を持っていかれて、紙面の隅に書かれていなければの話だが。

 

 結果として敵連合の名を上げることには成功したが、ヒーロー殺しというビックネームのおかげというのが、死柄木をイラつかせる原因になっている。

 

「……黒霧こいつらトバせ」

 

 バーカウンターの奥でグラスを磨いていた黒霧に死柄木は目の前の二人を転移させるように命令する。

 

「俺の()嫌いなもんがセットで来やがった」

 

 目の前の二人は、ステインの影響で敵連合に加わりたいと裏のブローカーを通して、死柄木の前に現れた。

 

「餓鬼と」

 

 女は、普通の女子学生といった格好をしており、見た目だけならこの場に相応しくないと言えるだろう。

 

「礼儀知らず」

 

 もう一人の男の方は全身に酷い火傷を負ったのか皮膚が爛れており、所々皮膚を移植したのか、ケロイド状の肌と金属製の繋ぎ目で繋ぎ合わせている。

 

「はぁ?」

 

「まァまァ……せっかく御足労いただいたのですから、話だけでも伺いましょう死柄木弔。それに……あの大物ブローカーからの紹介、戦力的に間違いはないハズです」

 

 黒霧は機嫌の悪い死柄木を宥め、ブローカーから紹介された二人の話を聞くように促す。

 

「なんでもいいけど手数料は頼むよ黒霧さん」

 

 ブローカーはそう言うと、二人の紹介を始める。

 

「まずこっちの可愛い女子高生、名も顔もしっかりメディアが守ってはくれてるが、連続失血死事件の容疑者として追われている」

 

「トガです!トガヒミコ!」

 

「生きにくいです!生きやすい世の中になってほしいものです!ステ様になりたいです!ステ様を殺したい!だから入れてよ弔くん!」

 

 ブローカーに紹介されたトガヒミコはまくし立てるように自己紹介を始める。話を聞いていた死柄木からは破綻者と言われ彼にストレスを与えていた。

 

「次にこちらの彼、目立った罪は犯してないがヒーロー殺しの思想にえらく固執している」

 

「……不安だな、この組織に大義はあるのか?まさかこのイカレ女入れるんじゃねぇよな」

 

「おいおい、その破綻JKすら出来ることがお前は出来てないまず名乗れ大人だろう」

 

 死柄木にそう言われると男は“荼毘”と名乗り、先程から床にうずくまっているソレを指さす。

 

「ずっと気になってたんだけどよ……あれはなんだ」

 

「あ?コイツは俺たちの切り札なんだとよ……おいお前も自己紹介くらいしてやれ」

 

 死柄木はうずくまっているソレに声をかけ二人の前に近づかせると、自己紹介するように指示する。

 

 ソレは、全身が荼毘以上にツギハギの皮膚で繋ぎ合わせされており、左右で瞳の色も違う。更にはガスマスクを着けているせいで、表情も読み取れない不気味な男だ。

 

「俺ハ……()()()ダ……」

 

 自らを鳳火鳥と名乗ったソレは自己紹介を終えるとまた床にうずくまってしまう。

 

「……なんでもいいがヒーロー殺しの意思は俺が全うする」

 

 鳳火鳥の自己紹介を聞いた荼毘がそう言った。

 今の死柄木にとって最も不愉快なその名を言った。

 

「聞いてないことは言わないでいいんだ……どいつもこいつもステイン、ステインと…………」

 

「いけない死柄木弔……!」

 

「良くないな……気分が良くない」

 

「駄目だおまえら」

 

 死柄木の手が二人に向かって伸びていく。

 二人も死柄木の殺気を感じて、トガはナイフを荼毘は【個性】を使おうとしたのか掌を向ける。

 

 この場で殺し合いが始まる…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………ことはなかった。

 とっさに黒霧がワープゲートを開き攻撃を逸らした。

 

「落ち着いて下さい死柄木弔。あなたが望むままを行うなら組織の拡大は必須、奇しくも注目されている今がチャンスなのです。排斥ではなく受容を死柄木弔」

 

「利用しなければ全て……彼の遺した『思想』も全て……」

 

「……うるさい」

 

 黒霧にそう言われると死柄木は癇癪を起こして、外に出ていってしまう。

 

「……取引先にとやかく言いたかないが……若いね若すぎる」

 

「……返答は後日でもよろしいでしょうか?彼も自分がどうすべきかわかっているハズだ。……わかっているからこそなにも言わず出ていったのです。オールマイト、ヒーロー殺し……もう二度も鼻をおられた」

 

「必ず導き出すでしょう。あなた方も自分自身も納得する返事を……」

 

 黒霧の話を聞いたブローカーは二人を連れてバーを出ていく。

 残されたソレは死柄木が出ていった扉をただ見つめていた。

 その瞳にはとある存在に対して殺意を静かに燃やしているのだった。

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