植物プラントで遭遇した敵を轟たちに任せ、俺様たちはプラント上部にある外周通路の扉を破壊して部屋を出る。
「クッ……こっちもダメか」
「おいおい、どーすんだよ。オイラたち袋のネズミじゃねぇーか!」
「ここまでかよ!」
轟たちが繋いでくれた道がここで終わるのかと、皆が諦めかけた時。
「メリッサさん、あそこ!あの天井、扉みたいなものが見えませんか?」
緑谷がメリッサを呼び、天井を指さす。その先には植物プラント内の天井の隅にある小さなハッチだった。
「日照システムのメンテナンスルーム……」
「あの構造なら非常用の梯子があるのでは?」
「確かに手動式のがあるけど、内からしか開けることはできないわ」
飯田の質問にメリッサは残念そうにうつむき答える。
皆もここまで来たのにと悔しさを露わにする。
「諦めるにはまだ早いだろう!」
「そうですわ。可能性はあります!」
“火鳥・鋭弓矢”
俺様はハッチに羽を飛ばす。羽がハッチにぶつかると、纏わせた炎が炸裂し蓋が外れる。
煙が晴れると狭いダクトが僅かに見える。
「通気口の隙間から外に出て、外壁を伝って上の階に」
「そうか!上にも同じものがあれば!」
「なかに入れるわ!」
八百万の言葉に麗日とメリッサと耳郎が顔を見合わせる。
「というわけでお前の出番だ……峰田」
「え?」
「狭い通気口に入れて、外壁を伝っていくには峰田くんしかいないんだ!」
「え?」
俺様と緑谷が同じ結論に至り峰田に声をかける。
当の本人はまさか自分がと思っていなかったのか、目を丸くして驚くばかりである。
残りの皆とメリッサも峰田の方を見る。嫌な予感がしたであろう峰田は後ずさる。
「も、もしかしてオイラが!?鳳の方が適任だろ!」
「俺様はひみつ道具じゃないぞ。できないこともある」
「じゃあ!無理なのかよ!」
「……全身の関節を外せばワンチャン」
「なんで不可能じゃないんだよ!?」
「あんたら漫才してる暇ないよ!」
俺様と峰田の言い合いに耳郎がツッコミを入れる。
峰田は恐怖で動くことが出来なかったが、上鳴がなにかを耳打ちしたことで、急にやる気を出した。
「オイラやるぜ!!」
峰田の活躍もあり、俺様たちは無事に上に進むことが出来た。
「……誘われてるな」
「え?」
「100階からここまで隔壁が全て降りていた……連中の仕業だろうな」
100階に上がってから一度もシャッターや隔壁に行く手を阻まれることがなくなり、俺様は警戒を強める。
八百万も気づいているようで、俺様の言葉に頷く。
「ええ、私たちは誘いこまれていますわ」
「ああ」
「それでも、上に行くには誘いにのるしかない!お前たち油断するなよ!」
「「「「「おう!/うん!」」」」」
俺様たちは改めて最上階を目指し、廊下を走る。
130階まで上がった時、俺様の目に反応があった。
「止まれ!」
「え?」
「鳳?」
俺様が待ったをかけると、皆が不安そうな顔でこちらを見てくる。
“王の瞳”でこの先に敵がいることがわかり、俺様はゆっくりと近づいていく。
「……待っていたぞ」
「貴様もテロリストの仲間だな」
「いかにも」
次の階に進むために通る必要がある実験場の前で、全身が黒い鋼のような大男が扉を塞いでいた。
「……俺の任務はお前たちの捕縛だ。……大人しくするなら乱暴はしないと約束しよう」
「抵抗すると言ったら?」
「……2、3人殺して黙らせる!」
俺様たちの態度から大人しくするつもりは無いと悟ると、大男は一気に踏み込み俺様たちとの距離を詰める。俺様は振りかぶられた大男の腕を掴み、体を捻り勢いを利用して背中に回ると首を絞める。
「お前たち!此奴は俺様に任せろ!」
「鳳くん!」
「優先順位はシステムの奪還だ!」
俺様を心配してから緑谷が前に出るが、それを静止させ先に進むよう伝える。
「……友達との会話は終わったか!」
「ああ!律儀に待っていてくれて感謝する!!」
“火鳥・火刻苦”
スーツの隙間から尾羽が飛び出し、炎が俺様たちを包み込む。
炎の熱量で床が抜け、俺様たちは下に落ちていく。
「火鳥!」
唯が俺様たちが落ちた穴からこちらを覗く。
俺様はジャケットを脱ぎ捨て、サムズアップを向ける。
「大丈夫だ!……お前との
俺様は視線を大男に戻し、一気に距離を詰める。
“炎鳥・棍弩朧”
俺様の蹴りと大男の拳がぶつかり、凄まじい衝撃が廊下全体を震わせる。
火鳥が敵を相手取り、私たちは先に進んだ。
襲ってくる警備ロボは私の【個性】で小さくして、八百万の【個性】と峰田の【個性】で捕まえて放置した。
実験場を抜けて上を目指して走り続ける。
耳郎が索敵をしてロボが来ないルートを選んで進む。
私たちは135階のサーバールームに到着した。
「ん!」
(来るよ!)
ここに来る前に耳郎が索敵をしてくれたけど、敵もバカじゃない。
私たちの中に索敵が得意な人がいることに気づいたから、ここで待ち伏せしたみたい。
「くっ……罠か!」
「突破しよう飯田くん!」
緑谷がさっきみたいに超パワーでロボを吹き飛ばそうと身構えるけど、メリッサが止めに入る。
「待って!ここのサーバーに被害が出たら、警備システムにも影響が出るわ!」
メリッサさんの言うことはもっともだ。
コンピュータ自体が破壊されたら、警備システムを元に戻すことが出来なくなる。
私たちがどうするか悩んでいると、上からガシャンと音がする。
私たちが目を向けると、天井近くのタラップから警備ロボが沢山落ちてきた。
「んん!!」
(私たちが食い止めるから、緑谷たちは他の道を探して!!)
私はロボの群れに突っ込み、次々に触れていく。
職場体験先で教えてもらった動き方で、ロボ同士の僅かな間を潜り抜けて触れ続ける。
「矮小化」
ある程度触れた後、私は【個性】でロボを小さくする。
「オイラもやるぜ!」
「私たちもいきましょう!」
八百万たちも【個性】でロボを食い止める。
飯田も足のエンジンを噴かすと勢いよくロボを蹴り飛ばす。
「緑谷くん!メリッサさんを連れて、別のルートを探すんだ!」
「……メリッサさんお願いします!」
私たちの想いを受け止めた緑谷はメリッサさんを連れてサーバールームから出ようとする。
「お茶子さんも一緒に来て!」
「え、でも!」
「頼む、麗日くん!」
ここでロボを食い止めようと意気込んでいた麗日だったが、メリッサさんからの突然の指名に戸惑っていた。
飯田はメリッサさんのことを信じて麗日に一緒に言ってくれと頼み、ロボに攻撃を仕掛ける。
「わかった!」
私たちは、緑谷たちがシステムを奪還してくれるのを信じて、次々に襲ってくる警備ロボを食い止めるのだった。
「はぁ……はぁ……貴様強いな」
「……流石に体育祭優勝者か……一筋縄ではいかんな」
唯たちを先に行かせた後、俺様はテロリストの仲間である大男と戦闘を続けていた。
大男の【個性】なのか、殴ってもダメージが入った感触がなく、すぐに飛んでくるカウンターを躱すと互いに隙を伺い激突するの繰り返しだった。
「……俺、相手にここまで粘った奴は数える程しかいないぞ」
「そりゃどうも……」
「故に俺の【個性】を教えてやる。……俺の【個性】は【黒鋼】、全身が鋼のように硬い。……そして体を自在に変形させることが出来る」
俺様との殴り合いをこれ以上続けるとまずいと判断したのか、大男は自身の【個性】を明かすと同時に腕を肥大化させ巨大な拳に変形し、説明を聞き入っている俺様に不意打ちを仕掛ける。
「不意打ちとは卑怯だな」
「……生憎俺はプロだ。卑怯どうこうより作戦の成功を優先するさ!」
巨大な拳を回避すると、すぐに追撃が俺様を襲ってくるが全て受け流して、大男に接近する。
「貴様がプロであるならば……俺様は王だ!」
“炎鳥・棍弩朧”
変化した足に炎を纏わせて腹を蹴り飛ばす。
壁に叩きつけられた大男に接近してるもう一度蹴りを浴びせる。
「ガキが俺を舐めるのも大概にしろよ!」
大男は両腕を重ねて一気に前に突き出す。
突き出された腕はとてつもない速さで肥大化し、鉄柱となり俺様を反対側の壁に勢いよく押し出す。
鉄柱の先端に鉄線が生成され、俺様の足に絡みつき避けることができず、何度も壁に激突し突き破りタワーの外壁まで壊し外に放り出されるが、腕を翼に変えて炎の熱量で鉄線を切り裂き脱出する。
「……これならすぐに上に行けるが……此奴を野放しにはできんな」
大男が外壁を壊したことで、俺様は最上階まで一気に行くことが可能になった。しかし此奴を放置することで、後から追いついてくるであろう爆豪たちに負担を強いてしまうので、俺様はここに残り大男と戦うことを決めるのだった。