キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第46話

炎鳥・射紅流

 

 大男にタワーの外に放り出された俺様は、壊された壁からタワー内に戻り、勢いよく突撃する。

 

「ヤケになったか!」

 

 壁にできた穴を通り、大男に突進するも受け止められてしまう。

 大男は俺様が一か八かの賭けにでたと思い失望が混じった声で叫ぶ。

 

「俺様がヤケになっただと?貴様は俺様を舐めているのか」

 

 大男に掴まれ勢いが止まってしまい、身動きが取れずにいる。

 俺様は変身を解くことで隙間を作り脱出し、大男の股下を滑り背後をとる。

 

「貴様の【個性】は理解した!」

 

「……なにをするつもりだ!」

 

 俺様はもう一度、全身をフェニックスに変えると足で腕を抑えるように大男を掴み。全力で壁の穴から外に飛び出す。

 

「まさか!?」

 

「どうした!さっきまでの仏頂面が歪んでるな!」

 

炎鳥・射紅流

 

 穴から飛び出した俺様は、タワーに沿って高度を上げると、一気に急降下する。

 

「離せ!!」

 

 大男は全身を変化させ、棘を生やした。俺様の体を貫くが再生力にものを言わせて速度を上げ続ける。

 

「やめろ!!」

 

「もう遅い!!」

 

DOOOOON

 

 地面に勢いよく激突し、俺様と大男は何度も跳ねて転がり倒れる。

 流石の俺様でも高所から勢いよく落下する経験はなく、傷は既に再生したが痛みで体が動かない。

 だが、それは相手も同じようで、いくら鋼の肉体を持っていようとも限界はあったようだ。

 

「プロ……が、その程度で……動けなくなる……とわな」

 

「……それは……お前も、同じだろう……が!」

 

 大男は怒りのままに立ち上がり、上着を脱ぎ捨て上半身を露わにする。

 大男は【個性】で全身を肥大化させると、先程より一回り大きい筋肉質な肉体へと変形する。

 

「お前はここで殺す」

 

「面白い!ならば第2ラウンドだ!」

 

 何度も変身を繰り返したせいで、焼けてボロボロになったシャツとベストを脱ぎ捨て、ファイティングポーズを取る。

 

「……」

 

「……」

 

「……ッ!!」

 

「……ハッ!!」

 

 互いに隙を伺っていたが埒が明かないと知ると、ほぼ同時に踏み込み拳を振るう。

 

「グゥッ!」

 

 大男の鋼の拳が顔面が突き刺さり、顔の骨が砕ける音が頭の中から聞こえる。

 やはり俺様より大男の方が大きいため体格差がそのまま有利になる。

 

「この程度か!」

 

 即座に再生させると、再び殴り合いが始まる。

 大男の巨体から放たれる即死級の拳を回避し、懐に潜り込み、容赦なく急所を殴るが怯む様子がない。

 それでも攻撃を続けるが、大男もダメージはなくともストレスは溜まるのだろう、露骨に距離を取り自身の有利を維持しようとする。

 

「図体の割には臆病だな!」

 

「お前を確実に殺すためだ」

 

「生憎、貴様に殺される予定はない!」

 

「なら書き足しておくんだな!今日が命日だとな!!」

 

 先程と同じように大男の一方的な蹂躙が始まる。

 俺様は回避に徹して大男の動きを観察し勝機を伺う。

 

「どうした?王様なんだろ!逃げてばかりじゃないか」

 

「貴様こそ!でかい図体になったせいでエイムが落ちたのではないか」

 

 自称プロの大男はどうやら沸点が低いようで、俺様の煽りに冷静さが欠けていくのがわかる。

 俺様は大男の動きをあらかた理解し、反撃に出る。

 


 

 135階のサーバールームで警備ロボと戦っていた私たちは、徐々に追い詰められていた。

 

「レシプロが……」

 

 飯田の【エンジン】から黒い煙が出て停止してしまう。

 それに続くように峰田は【モギモギ】の出し過ぎで頭から出血し、八百万は【創造】の使い過ぎで大きく脂質を消費して、ロボを捕まえるための弾が出せなくなった。

 

「ん!」

(私が皆を守らないと)

 この中で私だけが特に弱点のない【個性】を持っていて、沢山のロボを相手に戦うことが出来る。

 

「ウェ~イ」

 

「ん!」

(危ない!)

【個性】の使い過ぎで頭がショートした上鳴がロボに捕まりそうになる。

 気づいた私がすぐにロボに触れ装甲だけを小さくして、中の機械を圧迫させて破壊する。

 上鳴の横には、ロボに【個性】を使って内部から破壊しようとして返り討ちにあった耳郎が耳を抑えて蹲っている。

 

「……ごめん」

 

 戦えるのが私は一人になり、ロボの数が増え続けていく。

 私はここにはいない火鳥に謝ると、彼から貰った大切なドレスの裾を裂き、機動力を確保する。

 

「んん!」

(火鳥が私のために、選んでくれたドレスだったのに……絶対に許さない!)

 私は怒りを力に変えて、ロボの軍勢に立ち向かう。

 

「ん!」

(いくよ!)

 “私流忍法・隙間通し”

 

 体育祭で爆豪に負けて悔しくて泣いたあの日、私はもっと強くなろうと努力した。

 どういうわけかエッジショットに指名をもらって、職場体験でその動きを自分なりに模倣する。

 火鳥に言われて始めた柔軟運動のおかげで、柔らかくしなやかに体を動かし、得意の寝技に繋げるための技を編み出した。

 火鳥とエッジショットの二人が私を更に強くした。

 

「ん!」

(ここから先には行かせない!)

 大量に迫るロボの隙間を掻い潜り、次々触れては装甲を小さくして壊していく。

 壊れたロボの残骸で他のロボの動きが止まれば、そこを狙い連鎖的に大量のロボを破壊する。

 

「小大くん!」

 

「小大……さん」

 

「小大ぃ……」

 

「ウェ~イ」

 

「大丈夫、私がいる」

 

 皆が心配そうに私の方を見る。

 私は笑顔で皆に大丈夫だと伝える。

 だって私は強いから。

 


 

「どうしたデカブツ!!」

 

「クソ!」

 

 俺様と大男の戦いは、【個性】で自身を強化し、俺様が二次被害を回避するため炎をあまり使わなかったことで、大男の方が優勢だったが……

 

「さっきまでの勢いがなくなっているぞ!()()()かァ!!女にモテねぇぞ!!」

 

 棘に全身を貫かれ、地面への激突し、大男の拳で顔の骨が砕け、血を流し過ぎたことでハイになった俺様は普段は言わないようなことを叫ぶ。

 

「黙れ!クソガキ!!」

 

 大男は怒りで我を忘れ、俺様を殺すために拳を振るう。

 しかし冷静さが欠けた大男の拳等当たるはずもなく、俺様は隙を晒した大男の関節を狙って攻撃する。

 

「グゥッ!?」

 

「やはりな!全身が鋼鉄でも、関節はその限りではないみたいだな!!」

 

 大男の動きを完璧に把握した俺様は、一気に反撃に出る。

 

 “火鳥・棍弩朧”

 

 炎で強化した強烈な蹴りを膝に叩き込み骨を砕く。

 

 “火鳥・素腕”

 

 炎で熱された翼が大男の体を切り裂く。

 

 “火鳥・黒爪”

 

 炎の推進力で勢いを増した足の爪で肘を貫く。

 

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」

 

 大男は激痛のあまり絶叫し、肥大化した上半身を触手のようにして俺様に攻撃を仕掛けるが、事前に用意してきた羽が全て貫き地面に固定する。

 

「眠れ」

 

 変化を解いた腕で大男の顔面を打ち抜く。

 羽を肩と肘に突き刺して推進力を増した俺様の拳は、相当な威力のようで、鋼でてきた大男の顔面に跡を残す。

 

「……」

 

 大男が気を失ったのを確認すると、炎で傷を再生させる。

 俺様の傷も治ったことを確認すると大男の首に「私は敵です。警察とヒーローを呼んでください」と書いたボードを首かける。

 

「縛るものはないか……」

 

 大男をこのまま放置するわけにもいかないので、ロープ等を探していると、タワーから大きな声が聞こえる。

 その声は人々を安心させ、希望を感じさせる明るい声だった。

 

「もう大丈夫!!」

 

「なぜって!!?」

 

「私が来た!!!」

 

 緑谷たちが作戦を成功させたようだ。

 急に体から力が抜ける。

 大男との戦いで思ったより消耗していたらしい。

 

「オールマイト……頼んだぞ」

 

 タワーの屋上に向かったオールマイトの背中に安心した俺様はその場で倒れるのだった。

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