キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第4話

 4月上旬、俺様たちは下ろし立ての制服に身を包み、雄英に向かう。

 

「佐熊よ、行ってくる」

 

「ん」

(行ってきます)

「はい、行ってらっしゃいませ。……火鳥様、唯様制服とても似合っておられますよ」

 

「当然だ。この世に俺様が着こなせない服など存在せん」

 

「ん」

(ありがとうございます)

 家政婦の佐熊に挨拶を済ませ、俺様たちは最寄りの駅に向かう。親父から借りたこの家から雄英まで3駅程離れている。トレーニングの一環として徒歩で通うのもありかもしれん。

 それにしても、先程から唯がこちらを見てそわそわしている。……何を求めているか理解しているが、いざ言葉にするとなると照れくさいな。

 

「あ~なんだ……制服似合ってるぞ」

 

「えっ!?」

 

「だから似合っていると言ったのだ……もう言わんからな」

 

「……んん///」

(……ありがと///)

 普段なら言わないが、俺様も少し浮かれているらしい。暫くの間、俺様たちは互いの顔を見れなかった。

 


 

 入試の際にも通った、雄英の巨大な正門をぬけ掲示板を確認する。俺様たちと同じ新入生でごった返していたが、俺様の視力をもってすれば遠く離れた小さい文字もはっきりと見える。

 

「……俺様はA組か。唯はB組だ」

 

「ん……」

(クラス別になったね……)

「これまでも何度かあったことだ。二度と会えなくなるわけではない」

 

「ん」

(そうだよね)

「これだけ大きい校舎なんだ、遅刻せぬようもう行くぞ」

 

「ん」

(わかった)

 俺様たちは校舎に入り、ヒーロー科の教室に向かう。その途中で入試で出会った心操の後ろ姿を発見した。……あそこは普通科の教室か、頃合いを見て声をかけてみるか。

 暫くするとヒーロー科の教室が見えてくる。扉は【個性】によって体が大きくなる者もいるためか、大きく作られている。

 

「俺様の教室はここだな。唯そちらも頑張るがよい」

 

「ん」

(お互い頑張ろうね)

 唯はそう言うと、自分の教室に入っていく。その後ろ姿を見送りながら俺様もA組に入る。

 

「あ”ぁ」

 

「ん?」

 

 教室を見渡すと、そこまで人はいなかったが、奥に座る爆豪と目が合った。机に足をかけた態度の悪く他のクラスメイトも話しかけるどころか目も合わせていなかった。

 

「フッ」

 

「なに笑ってんだ!!エセキング!!」

 

「エセではない。俺様が王であることは揺るがない真実である。それにお前より入試の成績は上だ。次席の爆豪勝己」

 

「ふざけんなクソが!!」

 

 俺様を見るなり、机から飛びかかってくる爆豪を避け、自分の席に座る。その態度が気に食わないようで爆豪は更にヒートアップする。

 

「啖呵を切ったくせに2番とはな」

 

「ッ!?」

 

「これで理解しただろう。誰が挑戦者(チャレンジャー)であるか」

 

「……クソが」

 

 俺様の言葉に爆豪の勢いは弱くなり、自分の席に戻って行った。周りもやっと収まったかと少し空気が和らぐ。

 誰も話しかけて来ないが、王とは時に孤独なものだ。

 

「あっ君は!?」

 

「ん?」

 

 沈黙が支配する教室に新たな人物が入ってくる。そいつは俺様に声をかけてきたので、顔を向けると入試で出会ったオドオドした男子だった。

 

「貴様も受かったのか」

 

「う、うん。名前聞けなかったから、今日会えて良かったよ」

 

「鳳火鳥、王になるべく生まれた男だ」

 

「え!?……あ、あぁ僕は緑谷出久(みどりやいずく)です。よろしくお願いします!」

 

「そう緊張しなくてもッ「あ!そのモサモサ頭は!!」

 

 俺様の言葉を遮るとは不敬な奴もいたものだ。緑谷の後ろに目をやると、麗らかという言葉が似合う女子生徒がいた。緑谷は女子に対する免疫が無いのか、顔を赤くして固まっていた。

 ……麗らか女子の後ろに何かいるな。寝袋に入った髭と髪を伸ばした、不審者がいた。

 

「……」

 

「……」

 

 緑谷と麗らか女子がなにやら話し込んでいるが、こっちはそれどころではない。不審者とずっと目が合ってる。この場合は警察を呼ぶのがいいのか、教員を呼ぶのががいいのか考えていると、不審者は急に喋り出す。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

 クラス中の視線が不審者に向けられる。不審者はマイペースに寝袋からゼリー飲料を取り出し一気飲み込む、もはや恐怖映像だろう。

 

「貴様は誰だ」

 

 先程から目が合い続けている不審者に俺様は声をかける。部外者ならば即刻、プロヒーローの前に突き出そうと考えていたところで、不審者が寝袋から出てくる。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

(((((担任かい!!!)))))

 

 この瞬間、初めて会ったクラスメイトたちの心がひとつになった。驚いている俺様たちをよそに寝袋の中を漁り、何かを取り出す。

 

「早速だが、体操服(これ)着てグラウンドに出ろ」

 

 ()()を着ろというのか、男子でもだいぶきついぞ。周りに視線だけ向けると、案の定女子生徒の顔は引きつっていた。

 

「……相澤よ。その中にあった体操服を着るのか?」

 

「鳳、敬語使え。……机の中にそれぞれのサイズにあった物が入ってる。時間は有限ださっさとしろ」

 


 

「「「「「個性把握……テストォ!?」」」」」

 

 

 相澤にペースを持っていかれ俺様たちは言われるがまま体操服に着替えグラウンドに集まった。入学式で新入生の代表である俺様がスピーチする予定だったが、相澤曰く、入学式は時間の無駄らしい。続けて相澤は個性禁止の体力テストに対して文部科学省の怠慢と切り捨て、俺様にソフトボールを投げ渡す。

 

「鳳、中学の時ソフトボール投げ何mだった」

 

 成程な、デモンストレーションとしてクラスメイトにこれから行うテストがどういうものか見せるわけだな。人選としては俺様が首席だから……いや分かりやすい【個性】だからか。

 

「72m」

 

「じゃあ【個性】使って投げろ、円から出なきゃ何してもいい」

 

「蹴ってもいいんだな?」

 

「好きにしな」

 

 相澤に言われ俺様は円の中に入り、体操服の裾をまくり膝上まで露出する。

 準備が整いボールを真上に投げると、右足を火の鳥に変化させる。通常、足の力は腕の3倍あると言われている。それを【個性】によって強化するとどうなるか、結果は火を見るより明らかだった。

 

 “火鳥・棍弩朧(ヒート・コンドル)

 

 落下してきたボールを蹴り飛ばすと、風切り音と共に真っ直ぐ高く飛んでいく。

 

「すっげぇ……」

 

 誰かの声が聞こえたが驚くにはまだ早い。俺様は袖を捲り上げて腕を翼に変える。大振りとともに羽が抜け落ちる。

 

 “火鳥・鋭弓矢(ヒート・スワロー)

 

 ボールを追尾するように羽が勢いよく発射される。そのままの勢いでボールに追いつくとブースターのようにボールを更に遠くへ飛ばす。

 

「このまま羽を飛ばし続ければ、ボールが熱で溶けるまで飛距離は伸びるぞ」

 

「もういい」

 

 相澤は手に持っていた計測器をこちらに向ける。そこには『ERROR』と表示されている。

 

「計測不能……まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

「なんだこれ面白そう!」

 

「計測不能ってすげぇ」

 

「【個性】思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」

 

 クラスメイトが沸き立つが、相澤の纏う空気が変わる。

 

「……面白そう…………か」

 

「ヒーローになるための3年間をそんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

 

 クラスメイトも相澤の変化に気づいたがもう遅い。緊張が走り全員が硬直する。

 

「トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」

 

「最下位除籍って……!」

 

「入学初日ですよ!?そうでなくても理不尽がすぎる!!」

 

 当然ながらクラスメイトは反論するが、相澤は全く態度を変えない。

 

「貴様らは、この世界が理不尽で溢れているのを知らんのか?」

 

「え?」

 

静観するつもりだったが、クラスメイトの態度が気に食わないので話に割り込むことにした。俺様が口を開くと困惑の表情を浮かべたクラスメイトが視線を向けてくる。

 

「災害、事故、事件、この世界のどこかで毎日のように誰かが泣いている。生まれも育ちも関係なくある日突然、理不尽によって当たり前が奪われる」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「その理不尽を覆すのがヒーローではないのか?この程度で音を上げるのなら今からでも普通科に行けばいい。……相澤、話の腰を折ったな続けろ」

 

「敬語な。……鳳の言う通りだ。放課後マ〇クで談笑したかったならお生憎様、これから3年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。“Plus・Ultra”さ……全力で乗り越えて来い」

 

 これが雄英か、受験の段階でふるいにかけられてはいたが、入学してもそれは同じか、ならばそれを利用し俺様の力を見せつけるだけだ。

劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。

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