「私有地につき【個性】の使用は自由だよ!」
「今から三時間!自分の足で施設までおいでませ!」
「この『魔獣の森』を抜けて!!」
ピクシーボブの【個性】で崖下に落とされたクラスメイトを見下ろし、俺様はマンダレイに質問する。
「……ここから三時間と言ったが、それはお前たちならって意味であっているな?」
「うわっ!?いたんだ!」
「……ずっとここにいたが?それより質問に答えよ」
「あ、うん……そうだよ。私たちなら三時間で着くって意味だよ。君たちなら日没までには到着するかな?」
「なるほど……」
マンダレイは俺様も皆と一緒に落ちたと思っていたらしく、急に話しかけられて驚いていた。
「鳳、お前もアイツらと合流して合宿に参加しろ」
「わかっている」
質問の答えを聞いた俺様に相澤が早く降りて合宿に参加しろと声をかける。
俺様はガードレールの上に乗り、マンダレイたちの方を振り返り口を開く。
「昼餉の用意をしておけ、三時間で戻る」
俺様は崖下へと身を投げ『魔獣の森』に向かう。
地面にぶつかる前に腕を翼に変え、落下の勢いを殺すと峰田の目の前に現れた、謎の生物……ピクシーボブの【個性】で作られた土人形を破壊する。
「ショールイアワレミノレイ!!」
「やりやがった!?」
「鳳くん!?たとえ敵であっても殺生はいけないぞ!!」
俺様が魔獣を破壊したことで誤解したクラスメイトが好き勝手に野次を飛ばすが全て無視して、足下の土塊を指さす。
「何を勘違いしてるか知らんが、魔獣の正体は土塊だ」
「へ?」
「……」
「……」
「……」
「「「「「ホントだ!?」」」」」
魔獣の正体を知った皆が声を揃えて叫ぶ。
「チッ……見りゃわかんだろ」
最初から気づいていた爆豪は、俺様に手柄を横取りされたことで不機嫌になっていた。
俺様は皆に話を聞いてもらうため、二回手を叩き注目を集める。
「さて、相澤が合宿はもう始まっていると言っていたな。これが最初の苦難だろう。……今一度聞いておきたい、ここから三時間で合宿場までいけるのか」
「……マンダレイが言ってたし行けんじゃねぇの?」
「でも私たちここの土地勘とかないよ」
「確かに……じゃあ無理かも」
「先程マンダレイに確認をとってきた。三時間というのはプッシーキャッツならだそうだ。俺様たちなら日没までには到着できる見込みらしい」
「なんだよそれ」
「いや……まぁ考えてみたらそうか」
「俺たちこれまで散々やられたもんね……」
「「「「「合理的虚偽」」」」」
皆のテンションが一段下がり、声を揃えて担任の常套手段を口にする。
今回の場合は少し違うかもしれんが、積み重ねというのは恐ろしいものだな……相澤。
「というわけだが……諸君、相澤たちを見返したいとは思わないか?」
皆がどうするか話し合っている中俺様が前に出て全員に問う。
いつも俺様たちのことを思って嘘をつき追い込む相澤、三時間で着くと言っておきながら本当はその倍かかると知らせなかったマンダレイたち。
そんな彼奴らを見返したくないか皆に問う。
皆は顔を見合わせ頷き一斉に口を開く。
「「「「「見返したい」」」」」
「よい!ならば陣形を整える!緑谷、爆豪、飯田を中心にチームを組む!耳郎、口田、障子の三人は索敵を頼む!轟は広範囲攻撃で魔獣の足止めを頼む!俺様は全体の指揮と飛行する魔獣を対処する!魔獣がいくら大量にいようとも分断し確実に仕留めていけ!山道は危険が多い、適度に休息を取り三時間での踏破を目指す!」
皆の意志を聞き俺様は指示を飛ばし、この獣道を踏破するための策を立てる。
「さてチーム分けも完了したな……それではヒーロー科1年A組」
「行くぞ!」
「「「「「オー!!!」」」」」
俺様たちは一致団結し、合宿場に向かうのだった。
「ウッソ……ほんとに着いちゃった」
俺様たちはあれから無限に溢れ出てくる魔獣軍団と悪戦苦闘しながらも三時間で合宿場に到着した。
最後の30分は地獄だった、休む暇なく魔獣が押し寄せ後方支援を担当していた者たちも前線に参加しゴリ押しで突破した。
「オイラたち……やったんだ」
「腹減った……」
「身体中……ドロドロのベタベタ……お風呂入りたい……」
俺様の後ろから森をぬけて来た皆が、ボロボロになりながら続々と合宿場に到着する。
「いや~正直な話、もっとかかるはずだったんだけどね。思ったより私の魔獣が簡単に攻略されちゃった」
「……特に君たち」
ピクシーボブは森をぬけてきた緑谷、飯田、爆豪、轟、俺様を指さし、笑みを向ける。
「躊躇のなさは
俺様の脳裏に保須市の一件が思い浮かぶ。
それは緑谷たちも同じようで皆ハッとしていた。
「三年後が楽しみだツバつけとこ」
「
「何すんじゃクソ鳥!!」
ピクシーボブの様子がいきなりおかしくなり、俺様たちに唾をかけてくる。
すかさず爆豪を盾にして俺様はピクシーボブから離れる。
後ろから爆豪が鬼みたいな顔で襲いかかってくる。しかし、流石の爆豪も度重なる連戦で疲弊していたのかいつものキレがない。
「……あの人あんなんでしたっけ?」
「彼女焦ってるの適齢期的なアレで」
一連の流れを見ていた相澤がマンダレイに疑問をぶつける。マンダレイはなかなか切れ味のある返しをしていた。
「適齢期と言えば、その子はどなたかのお子さんですか?」
緑谷がバスが止まったあの場所からずっといた少年について尋ねる。
「あぁ違う、この子は私の従甥だよ。洸汰!ホラ挨拶しな一週間一緒に過ごすんだから」
「えっと……僕、雄英高校ヒーロー科の緑谷出久よろしくね」
マンダレイから少年を紹介された緑谷は少しかがんで挨拶するが、次の瞬間男性陣が顔を青くした。
「フン」
CHIIIIIN!!
「……あれは痛いな」
緑谷は洸汰と呼ばれた少年に、
「緑谷くん!?おのれ従甥!!何故、緑谷くんの陰嚢を!!」
すぐさま飯田が緑谷の安否を確認し、洸汰を問い詰める。
洸汰はこちらを睨みつけ、つるむ気はないと吐き捨てる。
「お前たちこれからの予定だが、本来より早くここに着いたため自由時間とする。バスから荷物下ろして部屋に運べ、その後食堂で昼食をとったら夕飯まで自由だ。体動かしたいやつはマンダレイたちに声掛けてから外に出るように、ただし明日から本格的な合宿が始まる。明日動けるようにそこら辺は調整しろ」
「「「「「はい!」」」」」
俺様たちは施設に荷物を運び始めた。
……緑谷は俺様が炎で治しておいた。